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2023年11月22日掲載

インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)

Influence(影響)が語源とされる、インフルエンザウイルスによるウイルス感染症です。毎年11月下旬から12月上旬頃から翌年の3月頃にかけて流行を繰り返します。インフルエンザウイルスにはA、B、Cの3型があり、このうち流行するのはA型とB型です。ウイルスの遺伝子に起こる突然変異によって、インフルエンザウイルスの抗原が少しずつ変化するため、1年ごとのワクチン接種が行われています。感染症法では定点把握疾患5類感染症に定められていて、指定された医療機関から保健所に報告数が届けられます。また、指定届出機関(基幹定点)からはインフルエンザによる入院者数が保健所に届けられます。学校保健安全法では第2種感染症に定められていて、インフルエンザと診断された場合には「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」は出席停止となります。

目次

神奈川県のインフルエンザ

神奈川県のインフルエンザ定点当たり報告数(2008/2009~2022/2023シーズン)

2009年のインフルエンザAH1pdm09亜型1)の流行では、33週に流行開始の目安1を超えました。2022/23シーズンは34週で全県・県域で1を超え、2009年以来の早さでした。全国では1を下回りませんでした。2023/24シーズンは2023年第36週(9月4日)から開始となりました(厚生労働省通知より)。
インフルエンザは定点当たり報告数が10以上で注意報、30以上で警報レベルになります。
(定点当たり報告数とは、1週間のインフルエンザの報告数を定点医療機関の数で割った値であり、1定点医療機関当たりの報告数を表します)


1) 新型インフルエンザパンデミック:衛研ニュースNo.135 2009年(神奈川県衛生研究所)

インフルエンザウイルス検出状況(神奈川県衛生研究所実施分)

2022/2023シーズンはAH3亜型が多く報告されていました。2023/2024シーズンは12月1日時点ではAH3亜型85件(前期174件)が多いですが、AH1亜型も46件(2022/2023シーズン11件)検出されています。

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インフルエンザウイルスの種類について

インフルエンザウイルスにはA、B、Cの3型があり、このうち流行するのはA型とB型です。A型とB型のウイルス表面には赤血球凝集素(H)とノイラミニダーゼ(N)という糖蛋白があり、これらのタイプによってさらに細かく分類されます。現在、人で流行がみられる主なタイプはA1H1pdm09(2009年に流行した新型インフルエンザウイルス)、AH3N2(香港型)がシーズンの始めに流行を開始します。シーズンの後半にB型の山形系統2)とビクトリア系統が流行します。


2) ウイルス分離と抗原解析によるインフルエンザB型の流行予測(山形県衛生研究所微生物部)外部サイトを別ウィンドウで開きます

感染経路

インフルエンザウイルスに感染した人の咳や会話等で発生する飛まつを吸い込むことによる飛まつ感染、またウイルスが付いた手で口や鼻、目に触れることにより感染する接触感染があります。大人では症状が現れる1日前から症状が現れた後の5~7日間、子どもではより長い期間、他人へ感染させる恐れがあります。

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症状

インフルエンザウイルスに感染して1~4日後に、突然の発熱(熱が出ないこともあります)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛、続いて咳や鼻汁などの上気道症状が現れます。子どもでは嘔吐や下痢が比較的多くみられます。通常のかぜと比較して全身症状が強いのが特徴です。二次的な細菌感染や肺炎、稀ですが脳症3)などの生命にかかわる合併症を伴うこともあります。せん妄4)などで、飛び出したり階段から落ちたりして、後から訊いてみると覚えていないこともあります。怪我をしない様に見守りをしっかりして下さい。


3) インフルエンザ脳症の診療戦略(AMED「新型インフルエンザ等への対応に関する研究」班 研究開発代表者:森島恒雄)外部サイトのPDFが別ウインドウで開きます
4) インフルエンザに伴う異常行動に関する論文等について(厚生労働省)外部サイトのPDFが別ウインドウで開きます

診断について

突然の発症、高熱、咳や鼻汁などの上気道炎症状、全身倦怠感などの全身症状の4つが揃った場合、また4つが揃わない場合であってもインフルエンザを診断する迅速キットによって陽性と判断された場合に診断されます。インフルエンザ濾胞5)も診断に有用で、内視鏡用疾患特徴所見検出支援プログラム6)も承認されています。2009年のAH1pdm09流行時以降RT-PCRでの診断も行われるようになり、COVID-19の流行で機器の普及が急速に進んだことから、インフルエンザ核酸検出検査の有効活用7)も提言されています。


5) 咽頭の診察所見(インフルエンザ濾胞)の意味と価値の考察 宮本ら 日本大学医学会雑誌 72; 11-18, 2013  DOI外部サイトを別ウィンドウで開きます
6) PMDA審査報告書:令和4年3月9日外部サイトのPDFが別ウインドウで開きます
7) インフルエンザ核酸検出検査の有効活用に向けた提言(感染症学会 臨床微生物学会)2023年3月1日外部サイトのPDFが別ウインドウで開きます

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治療について

安静、熱や咳などの症状をおさえる対症療法が中心です。オセルタミビル(商品名:タミフル)、ザナミビル(商品名:リレンザ)といったノイラミニダーゼ阻害薬は、体内でウイルスが増殖する過程で感染した細胞からウイルスが出ていくのに必要なノイラミニダーゼの働きを抑制し、ウイルスを細胞内に閉じ込める作用があります。
バロキサビル8)はエンドヌクレアーゼ活性を阻害します。この結果、感染細胞内でのインフルエンザウイルス RNAの転写反応を阻害し、宿主内でのウイルス増殖を抑制すると考えられています。
いずれの治療薬も、早期(症状が現れてから2日以内)に使用すると症状を軽くし、有症状期間を短くする効果があります。特に高齢者や呼吸器・循環器などに慢性疾患を有する方、糖尿病などの免疫機能が低下している方には、使用が勧められます。


8) PMDA審査報告書:平成30年2月8日外部サイトのPDFが別ウインドウで開きます

予防のために

インフルエンザの流行時期には人込みを避け、手洗い・マスクを着用することが大切です。流水で手を洗えない場合はアルコール製剤も有効です。また咳やくしゃみをする際にはティッシュやマスク(ない場合、手で受け止めた時はすぐに手を洗いましょう)を口と鼻にあて、他人に飛まつがかからないようにする「咳エチケット」を行いましょう。

インフルエンザワクチンは重症化や合併症の発生を予防する効果があり、生後6カ月以上の人には毎年の接種が勧められます。ワクチンの効果は接種後約2週間で現れ、5カ月程度持続します。
2015/16年シーズンからはAH1,AH3と山形系統・ビクトリア系統の4価ワクチン9)が使用されています。

経鼻弱毒生インフルエンザウイルスワクチン10)(4価)が令和5年2月27日に医薬品第二部会で製造承認されました。ワクチン接種の対象は2歳以上19歳未満となります。

オセルタミビル等の予防投与は、原則としてインフルエンザを発症している方の家族または共同生活者であって、下記の方のみ病院での処方が可能です。

1) 高齢者の方(65歳以上)
2) 慢性呼吸器疾患又は慢性心疾患の方(気管支喘息、慢性気管支炎、慢性肺気腫、肺線維症、肺結核、心不全、心弁膜症、心筋梗塞など)
3) 代謝性疾患の方(糖尿病など)
4) 腎機能障害の方(腎機能の低下により薬の量が違います)

9) 平成27年度インフルエンザHAワクチン製造株の検討について(回答)(国立感染症研究所)外部サイトのPDFが別ウインドウで開きます
10) PMDA審査報告書:令和5年3月6日外部サイトのPDFが別ウインドウで開きます

参考リンク


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