取組事例

神奈川県の「省エネ診断」を
機に設備を更新
環境と地域に根ざした取組を実践

日興電気通信株式会社
代表取締役社長 山中 一生様(写真中央)と
SDGsプロジェクトチームの皆様

横浜市青葉区で、Visual Networkシステムや映像情報関連機器、産業用カメラの開発設計を行う日興電気通信株式会社。環境方針として「人と自然に優しい環境優先の行動」「全員参加の環境管理活動」を掲げ、環境マネジメントシステムの国際規格であるISO 14001の認証を取得するなど、積極的な取組を実践しています。代表取締役社長の山中 一生様とSDGsプロジェクトチームの皆様に、お話を伺いました。

取組をはじめたきっかけを教えてください。

「SDGsプロジェクトチーム」からの発信で、社内に環境意識が根付いた

当社は環境マネジメントシステムの国際規格であるISO 14001の認証を取得していることもあり、以前からSDGsには積極的に取り組んでおり、メンバー7人からなる「SDGsプロジェクトチーム」では、四半期ごとに取組の見直しや新たな活動について検討を重ねています。社内に自然とSDGs意識が根付き、令和5年には「第9回横浜市SDGs認証制度 “Y-SDGs”標準standard」を取得しました。

ISO 14001が実務レベルで浸透しているので、脱炭素はSDGsとの親和性があるというところから、自分たちがどのくらい脱炭素、省エネをやっているのか可視化してみたいということがありました。その中で、令和4年度に神奈川県の補助金を受ける条件となっていた無料の「省エネ診断」を知り、受けてみようとなったのがきっかけです。

取組の具体的な内容を教えてください。

「省エネ診断」を受け、
照明のLED化と空調設備を更新

令和4年に、神奈川県が実施していた中小規模事業者対象の省エネルギー診断※1を受けました。省エネには取り組んでいたものの、具体的な削減率などの数値やデータはなかったので、診断では、蛍光灯のLED化、空調設備の入れ替えについての削減効果を試算していただき、それぞれ5年程度で設備投資を回収できる見込みという結果でした。またそれ以外に、太陽光の設置も提案いただきました。その診断結果に基づき、県の「令和4年度中小規模事業者等省エネルギー設備導入支援補助金※2」を活用し、LED照明276台、空調3台を入れ替えました。

それまで使用していた空調設備は10年ほど前に横浜市の補助金を活用して入れたもので、ちょうど機器更新の時期だったことも良いタイミングでした。照明については、LEDが市場に出始めた頃に入れ替えを検討したこともありましたが、当時はまだLEDの価格が高く、回収に10年かかると言われていたため、導入に至っていませんでした。LEDと空調について、見積もりでは5年で初期投資を回収予定でしたが、実際は昨今の電気代の高騰により2~3年に短縮できそうです。

※1 省エネルギー診断:令和6年度は、「中小企業省エネルギー診断」に名称が変更されております。

※2 省エネルギー設備導入支援補助金:令和6年度は、「中小企業省エネルギー設備導入費補助金」に名称が変更されております。

今後の取組や目標について教えてください。

環境と地域に貢献できる取組を実践していく

当社では、2030年に向けた二酸化炭素排出削減目標として、2018年比で50%減を掲げています。
コロナ禍で滞っていた受注が昨年に一気に回復して、業務時間が増えたこともあり、電力使用量だけを見るとそこまで減っていません。ただ、売上当たりの電力使用量は減少傾向にあり、これまでの取組が節電につながっていると考えています。今年以降、業務量が安定したタイミングで再度比較を行い、CO2の削減効果についても検証する予定です。

電力使用量のグラフ
売上100万円あたりの電力消費量のグラグ

今回、一旦大きな投資をしたので、今後の取組としては、太陽光発電の導入や、営業車の更新時にハイブリッド車にすることを検討しています。
省エネ診断で提案があった太陽光発電については、周辺が住宅地であることや設置には屋上の補強が必要なために一旦見送り、今後の検討かなと思っています。新しい技術として研究されているフィルム型のペロブスカイト太陽電池は、地元発の技術ですし、先行導入したいなと興味があります。
最近、神奈川県のSDGsパートナー認証を受けたので、かながわSDGsミーティングや、SDGsやESG投資関連の展示会で情報収集しつつ、同業の企業さんたちの事例を色々収集して、また、助成金の情報も収集し、取り組めるものを取り組んでいこうと思っています。

今後、脱炭素に取り組む企業へのアドバイスをお願いします。

脱炭素やSDGsに取り組むメリットの1つとして、採用活動での優位性があります。最近の若い方は環境への意識が高く、SDGsに積極的に取り組んでいることは大きなアピールポイントになります。SDGsプロジェクトチームにも新入社員が1人いますが、彼女も就活の際にはSDGsや環境貢献意識の高い企業を選んだと話してくれました。中小企業は採用が厳しいと言われていますが、当社はコンスタントに人員を確保できており、その理由の1つに、当社の取組姿勢や認証の取得実績があるのではないでしょうか。
SDGsや脱炭素は、日本の潮流としても企業が取り組まなければならない課題ですが、我々中小企業、特に製造業は、やらなければいけないとは思っていても何からやればいいのかわからない。
そういう中で、無料で省エネ診断が受けられるなら、是非、まずは受けてみてください。データを可視化して、どこまで改善できるか数値化すると取り組みやすいと思うので、まずはそこからやっていくのがよいのではないでしょうか。

企業プロフィール

  • 称号
    日興電気通信株式会社
    所在地
    横浜工場
    〒227-0033 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町440番地
    設立
    1959年3月
    企業HP
    https://www.ndtc.co.jp/

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