取組事例

電力購入で
「再生可能エネルギー100%」を実現
「かながわ脱炭素チャレンジャー」にも
認定され、ブランディングに貢献

日本化工機材株式会社
管理本部長 小川浩二様

相模原市で、リサイクル紙を使用した角紙管や梱包用資材などを開発・製造する日本化工機材株式会社は、従来からエコロジーへの意識が高く、「さがみはらSDGsパートナー」認定を受けるなど、環境への取組に力を入れています。2023年末からは電力購入で「再生可能エネルギー100%」を実現。購入に至った経緯や社内での取組について、管理本部長の小川 浩二様にお話を伺いました。

取組をはじめたきっかけを教えてください。

長年リサイクル商材を扱い、
エコロジーへの意識を高く持っていた

当社は1962年に湿害防止のシリカゲルの加工・販売からはじまり、1970年には世界で初めて角紙管の製造をスタートしました。角紙管は木材や金属に代わるエコな素材であること、加工がしやすいこと、軽量であることなどから、ディスプレイや什器などに幅広くご利用いただいています。

長年リサイクル紙を使用して商品の製造を行っていることもあり、エコロジーへの意識が高く、環境マネジメントシステムの国際規格であるISO 14001の取得や「さがみはらSDGsパートナー」への登録、現在はFSC認証※1を受ける準備も進めているところです。ISOなどの取得には、人的、金銭的コストがかかりますが、環境への取組は積極的に行うという経営判断から、トップダウンでスピーディーな対応を実現しています。
5、6年前に蛍光灯をLEDに更新したのですが、当時は更新費用が大きく10年くらいでの償却という試算でしたが、環境に良いことをやっていこうという会社の方針でLEDに更新しました。
その後、2022年に電力会社を切り替える必要があり、そのタイミングで再エネ電力の購入に切り替えました。

※1 FSC認証:適切な森林管理が行われていることや、森林管理の認証を受けた森林からの木材・木材製品であることを認証する国際的な制度

再エネ電力購入の具体的な内容を教えてください。

電力購入「再エネ100%」を実現

2023年末に、「再生可能エネルギー100%」を達成しました。と言いましても、実はこれはほとんど偶然がもたらした結果です。それまで契約していた電力会社がコロナ禍もあって事業撤退し、最終保障供給で電気代が大幅に上がってしまいました。急いで代替業者を探して契約したところ、そこが再エネ100%の電力プランを扱う業者だったのです。
もちろん、エコロジーの観点から脱炭素というキーワードへの意識はあり、これまでにLEDや空調設備の更新、ハイブリッド車への買い替えなどは行っていました。社用車はトラック等を除いて既に90%くらいハイブリッド車に入れ替わっています。

しかし、電気については、社屋が古いため太陽光発電の設置が難しく、コスト的に見合わないという試算だったため、手を付けていない状態でした。このタイミングで再エネ電力を利用できたことで一気に脱炭素化が進んだのは、大変幸運なことでした。

その後、2022年に「再エネ100宣言 RE Action」※2に参加し、2024年には神奈川県に「事業活動温暖化対策計画書」を提出しました。「かながわ脱炭素チャレンジャー」にも認定され、改めて脱炭素への意識が強くなりました。

※2 再エネ100宣言RE Action:国内の中小企業、自治体、教育機関、医療機関等が、使用する電力の再エネ100%を宣言し、再エネ100%利用を促進する枠組

取組の効果を教えてください。

会社全体のエネルギー使用量のうち約77%が電気でしたので、再エネ電力に切り替えたことでその部分はCO2をまったく出さなくなるという結果になりました。電気代については契約当初はそれほど下がらなかったのですが、市場連動型の電気料金体系のため、現在では従来と同じ程度の金額に収まっています。
また、当社では2018年に「ブランディング委員会」を発足し、商品価値を高める環境貢献活動についても一層力を入れています。メディアへの露出も増え、従来はお付き合いがなかった業界の方からもお問い合わせいただくなど、ビジネスの幅が広がりました。SDGsや脱炭素に取り組んでいることも、当社のブランディングには大きく寄与しており、新たな顧客を呼び込むときに喜んでいただける要素の1つになっていると思います。
さらに、従業員の採用における効果はかなり大きいと考えています。これから自分が多くの時間を費やす会社ですので、環境面にしっかり取り組んでいる会社で気持ちよく働けると思ってもらえると思います。

一方で、それだけでは利益に繋がらないという現状もあります。
カーボンニュートラルを達成したことで受注確度が上がったり、優遇措置があったりすれば、さらに取り組む企業は増えていくでしょうが、今のままでは多くの中小企業にとって、障壁は高い。認証をもっていれば確実に注文をとれるとか、国内でそういうところまで明確化されるといいですね。
意識を変えるきっかけの1つに、他社の事例があると思います。同業者の身近な事例は効果的でしょうし、また、まったく違う業界の企業でも、最先端の取組を行っている工場などの事例は知りたいと思います。この記事もそうですが、「脱炭素に取り組んだから、このようなメリットがあった」という点を広くアピールするコンテンツが増えてくれば、「うちもやってみよう」と思う企業も増えてくるかもしれません。

今後、脱炭素に取り組む企業へのアドバイスをお願いします。

当社は、電力購入で再生可能エネルギー100%を達成し、大幅に脱炭素に近づくことができました。再エネ電力は高価で使いにくいという先入観を捨てて一度試算をしてみると、想定とは違う結果が出るかもしれません。まずは試してみることから始めてみてはいかがでしょうか。

企業プロフィール

  • 称号
    日本化工機材株式会社
    所在地
    神奈川オフィス(本社)/相模原工場
    〒252-0206 神奈川県相模原市中央区淵野辺1-20-8
    設立
    1962年9月1日
    企業HP
    https://www.nk-kizai.co.jp/

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