更新日:2025年3月4日

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学生の力で湯河原温泉の魅力を発信

2023年1月より「学生団体YUZU」へ参加し、湯河原温泉を皮切りに関東圏内の温泉や銭湯を対象とした地域活性化活動と勉学を両立する日々を送る。2024年、同団体の代表に就任し、湯河原温泉支部・磯部温泉支部・銭湯支部の3組織約50名を統括。

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湯河原温泉の魅力を若い人へ伝えたい

「学生団体YUZU」(以下、YUZU)は、“温泉地の活性化”を目的として2021年3月に発足された。福井さんが入団したのは2023年。2024年からは同団体の代表として、複数の大学、大学院の学生を束ねながら、関東各地の温泉や銭湯の活性化に取り組んでいる。
団体発足のきっかけとなったのは、幼い頃から温泉に親しんでいた前代表の“かけがえのない居場所だった温泉地に恩返しをしたい”という想い。発足時に最初の活動拠点として着目したのが、湯河原温泉だった。「近隣の箱根や熱海に比べると観光地化されておらず、自然で落ち着いた雰囲気を味わえるのが魅力。そのせいか、神奈川を代表する温泉地の一つでありながら、どちらかといえば“通好み”で若い観光客が少ないのが特徴です。若い層にも湯河原の魅力をもっと知ってもらいたい。将来にわたり長く愛され続ける温泉地であってほしいと思ったため、湯河原を活動拠点に選びました」

地域のサポートを受けながら活性化活動を推進

「癒しに更なる発展を~全国の温泉地・銭湯活性化の主役に」というのがYUZUの理念。その想いを胸に、観光MAPの作成や各種イベントの開催、各種ボランティアなど、様々な活動を湯河原町で展開している。活動を進める上で、自治体の観光課や地域政策課、旅館組合、温泉組合、まちづくりを推進する団体など、関連先との連携は欠かせない。「地域の方々の支援や協力が得られなくては活動できません。訪れるたびに各所へ顔を出して挨拶するのはもちろん、活動趣旨と我々の思いの丈を伝え、企画を立案したらプレゼンしてアドバイスを仰ぎ、時間をかけて地域との信頼関係を構築してきました」。当初は、“湯河原の静かな雰囲気を壊さないでほしい”と異を唱える声もあった。しかし、コツコツと活動を続けるうち、気づけばそのような声を聞くことはなくなっていた。「今ではほとんどのお店の方と顔馴染みになり、皆さまが活動を温かく見守ってくれています。イベント開催時に自治体からテントや机、椅子、ご当地キャラの着ぐるみなどをお借りし、店や施設には告知のチラシを置かせていただきます。ときには宿泊先までご提供いただくことも。地域の方々の手厚いサポートを受けながら活性化の活動に取り組んでいます」

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温泉地に生まれ、衰退を目の当たりにした幼少期

大学で都市政策科学科に所属し、まちづくりや災害復興などの分野を研究する福井さんにとって、YUZUの活動は地域創生を実地体験できる貴重な学びの場でもある。故郷は兵庫県の湯村温泉。年々、観光客が減り、1軒、また1軒と旅館が倒産し、友達が町を離れていくのを見てきた。町の商工観光課に勤める父のもと、幼い頃から自然と“まちづくり”を考える視点が育まれていった。大学入学以来、まちづくりの実践の場がほしいと願い続け、YUZUと出会ったときには運命的な巡り合わせを感じたという。「温泉地の活性化は、ただ観光客を楽しませていればよいというものではありません。地域事業者の想いやニーズに寄り添えてこそ真の地域創生につながるのです。初期の頃、“引っ掻き回さないでほしい”と怪訝な顔をされることがあったのも、観光客目線に傾き過ぎていたからだと今ならわかります。湯河原で活動し、地域の方と交流する中で、大学の勉強だけではピンと来なかった“地方自治法”の意義や、温泉の配湯管など土木関連の知識もリアリティをもって感じられるようになりました」

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観光客と地域の方をつなげるハブのような存在に

活動を通じて最もやりがいを覚えるのは、「地域の方に必要とされている」と実感する瞬間だ。高齢のため商売に消極的な農家の方に代わり、お祭りやイベントにブースを出して農産物や特産品を売ったり、ボランティアで苗の植え付けを手伝ったり。また、福井さん発案の好評企画「学生居酒屋」は、お酒の席ならではの本音や深い話に迫れる貴重な機会であり、新たな企画のヒントや糸口が見つかることも少なくない。YUZUのメンバーは、約8割が東京近郊出身者。湯河原の人たちと心の距離が近づくにつれ、「第2のふるさとができたようでうれしい」と口々に“地元愛”を語るようになる。「卒業後もお祭りのたびに“里帰り”している先輩がいます。そんな先輩たちを見ていると、自分の“居場所”が増えた分、人生の彩りが豊かになっていることを実感します。高齢化が進む地域社会に対し、若者だから役に立てること、若い力で代理できることはたくさんあると思います。YUZUが観光客と地域の方をつなぐハブのような存在になれたらうれしいですね」
福井さんは現在、不動産関連企業への就職を目指して就活中だ。「就職後もまちづくりの知識を深め、ゆくゆくは全国の温泉地、日本の温泉文化の維持に寄与できる事業を立ち上げるのが目標です。YUZUの活動を通して学んだ“草の根からコツコツと”の姿勢で、道を切り拓いていきたいですね。最終的には故郷の湯村温泉に帰って活性化に尽力するのが夢ですが、湯河原町とのご縁も大切にし、仕事を通じて恩返しをしていきたいと考えています」

質問コーナー

Q 湯河原町のおすすめイベントは?

5月に開催される伝統行事「湯かけまつり」がおすすめ!沿道に温泉の湯が入った樽と湯桶が用意され、観客が神輿めがけて約60tものお湯を浴びせかけるお祭りです。神輿の担ぎ手も観客も、老若男女問わず皆がビショ濡れになって大はしゃぎ。豊富な湧出量を誇る湯河原温泉ならではの一大行事です。ぜひ、遊びに来てください!

Q 趣味はありますか?

食趣味は、6歳から現在まで続けている「茶道」です。祖母と母の影響で始めました。茶道は、立居振る舞いやお点前の所作=型と、その意味=精神を学ぶ芸道です。所作の一つひとつに意味があり、無駄がなく合理性にのっとった和のおもてなし精神が追求されています。本当の魅力と奥深さに気づいたのは高校生のとき。私にとっては、マインドを整えてくれる“心のよりどころ”のような存在です。

Q 二拠点生活や移住希望者へ伝えたいことは?

「自己開示」が大切です。具体的には、“なぜここへ来たのか”、“何をしたいのか”を自分の言葉で説明できるようになることが非常に大事だとYUZUの活動を通じて体得しました。それは「暮らし」においても同様。自分の生活圏に見知らぬ人が来たら“なんで来たの?”と思うのは自然なこと。それに対し、きちんと答えられるようにしておくことが信頼関係を築く第一歩になると思います。

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福井貫太さん

兵庫県美方郡新温泉町出身。山陰東部の山峡にある湯村温泉で生まれ育ち、京都の高校へ進学したのを機に初めての一人暮らしを経験。大学入学と同時に上京し、大学1年次の冬より「学生団体YUZU」へ参加。2024年、前代表から役職を引き継ぎ、総勢約50名のメンバーを統率しながら湯河原温泉の活性化に取り組み、その経験をもとに群馬県の磯部温泉にも活動拠点を広げている。

年代

10代

家族構成

単身

移住スタイル

2拠点

その他の記事

活動場所 お名前

関わり方

(移住スタイル)

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