更新日:2025年3月4日

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人間の営みが自然に与える影響を忘れずにいたい

茨城県出身の竹内さんが、中井町へ転居したのは2021年4月。現在、会社員として仕事を続けながら、中井町で立ち上げた任意団体「なかいめぐり」を主宰。「なかいめぐり」を通じて町の情報を発信し、地域文化の興隆や移住支援に意欲的に取り組んでいる。

中井町の竹内さん

物件探しの範囲を拡大し、中井町と出会う

竹内さんが中井町へ転居したのは、それまで暮らしていた大磯町の借家の賃貸契約が切れたことがきっかけだ。転居先を検討する際、最初に確認したのは大磯の隣町、二宮町にある「二宮団地」の空き状況だったという。「団地再編事業の走りとして10年近く前からウォッチしていました。機会があれば住んでみたいと思っていたのですが、残念ながら満室。それだけでなく、該当エリアの空き物件が少ないことに、まずは驚かされました。コロナ前、大磯に越して来たときとはガラッと状況が変わっていたんです。コロナがきっかけで郊外人気が高まっていることを実感しました」
候補エリアの範囲を広げ、不動産屋に薦められたのが現在暮らす中井町の一軒家だ。「最初に中井町と聞いたときは、“それって、どこ?”という状態(笑)。でも訪ねてみたら、落ち着いた静かな街で、一目で気に入りました。自然が残り、海と山、どちらへ行くのにも便利。大磯のサーフポイントや丹沢の入口へも車なら約30分で行くことができます。横浜への電車通勤が大磯に比べて多少不便になるものの、コロナ以降、リモート勤務が定着し、出勤の機会は多くありません。運よく内見は一番乗りでしたが、すでに10件以上問い合わせが来ていると聞き、ほぼ即決で借りることにしました」

幼少期から抱いていた社会問題や環境問題への関心

現在は週の大半をリモート勤務で働き、早朝や週末に夫婦揃って趣味のサーフィンを楽しむというワークライフバランスのとれた生活を送る。ジョギングを日課にしており、休日は丹沢でトレイルランニングをすることもある。畑を借りて野菜や果物を栽培するのは、茨城に住んでいた頃から続く習慣だ。できる範囲で、自給自足に取り組みたい、というのは夫婦共通の思い。「私は幼少期から社会問題や時事問題、国際問題などに関心がありました。アウトドア志向になったのも、自然破壊や環境問題の深刻化に心が痛み、“自然との共生”を考えるようになったことがきっかけです。学生時代から様々なボランティアや社会活動に参加してきました。妻も“里山の再生”をテーマに、様々な活動を行っています。耕作放棄地の再生開墾や持続可能な在り方の模索、最近では大井町で水源再生の活動にも参加するなど、“少しやりすぎでは?”と思うほど(笑)、熱心に取り組んでいます」

富士山の写真

地域コミュニティから生まれた「なかいめぐり」

金曜の夜は、自宅から徒歩約30分の「宮川酒店」の角打ちで仲間と会話を楽しむのが定番の過ごし方となっている。1938年創業の「宮川酒店」は、都内からわざわざ足を運ぶ人もいるという“知る人ぞ知る”名店。店に集まる者同士、地域の垣根を超えた情報交換をしたり、中井町の活性化について話し合ったりと、地域コミュニティの場となっている。
竹内さんが主宰する「なかいめぐり」も、宮川酒店での交流から生まれたものだ。移住支援やコミュニティづくりのサポートを目的とする任意団体「なかいめぐり」は、SNSを通じて中井町に関する様々な情報を発信している。「中井町へ転居して最初に思ったのが、住民同士が気軽に交流できるコミュニティが少ないということ。宮川酒店に集まる移住者の間で“この町のこと、もっと知りたいよね”と声が上がり、中井町が実施する『Cafeミーティング』に申し込んだことが、『なかいめぐり』の発足につながりました」

宮川酒店

地域文化の振興に貢献したい

中井町が取り組む『Cafeミーティング』は、町長が住民のところへ出向いて対談を行う「出張型地域懇談会」。宮川酒店に町長を招いて対談したあと、“もっと町の魅力を発信していきたい”とミーティング参加者で始めたのが「なかいめぐり」だ。活動する仲間は、各々仕事が異なり、年代も様々。それぞれ得意な部分やスキルを持ち寄って補い合い、まずは”楽しい”を大切に活動している。ライフワークとして取り組む「なかいめぐり」は、順調に認知が広がり、中井町と協働する機会もどんどん増えている。もともと社会活動に参加するのが好きなため、こうした活動はもはや趣味のようなもの、と竹内さんは笑う。「最近は、町の社会教育委員もやらせてもらっています。中井町やその周辺地域に残る自然、風景などは、これから町を知る方にもきっと魅力を感じていただけると思います。どんなところなのかを広く発信し、地域文化の振興や活性化に貢献できたらうれしいですね」


勤務先では、環境や社会課題の解決をサポートする部署に在籍している。プライベートで取り組む事柄とは切り離して考えているが、双方の経験が互いに活かされる場面は多い。
「自分たちの営みが自然に与えている影響は多大である」──その事実を忘れないようにしていたいという竹内さん。「そのためにも、自然が近くにある環境で、できる範囲の自給自足を心がけ、周囲の人と協力し合いながら自然と調和する生活を送りたい。そして、中井町に住む方々が大切にしているモノや文化、価値観をもっと知り、町の魅力をより良いかたちで残せるよう模索しながら、里山などの自然環境はもちろん、暮らす方々の魅力もどんどん伝えていきたいですね」
今、多くの自治体で“持続可能な発展”が課題となっている。「まずは一町民として声を上げることが大切。そのうえで、楽しみながら協力し合っていければ、自ずと様々な興味・関心を喚起するコミュニティが作られ、さらに暮らしやすい町になっていくのではないかと考えています」

質問コーナー

Q中井町のおすすめスポットは?

文中でも紹介した「宮川酒店」です!ナチュラルワインやオーガニックワインを主体とする充実の品揃えで、手に入りにくい銘柄を求めて、近隣市町村だけでなく町田市や都内からも客が訪れます。金曜夜の角打ちに集まるメンバーも、中井町への移住者や町外から足を運ぶ人などが多いため、“一見さん”でも馴染みやすいのではないでしょうか。

Q日課のジョギングはどのぐらいの距離を走るのですか?

リフレッシュがてら歩いたり走ったりで、だいたい1日3~5kmぐらいですかね。以前は、トレイルランニングの大会にも出場していたのですが、最近はエントリーしていませんね。ときどき丹沢で走りますが、大自然の中を駆け抜ける気持ち良さは格別です。

QUターン・移住希望者へ伝えたいことは?

都市部へ1時間ほどで通勤できる圏内にも、自然豊かな場所がたくさんあります。“自然との共生”や田舎暮らしに興味のある方は、まず郊外に目を向けてみてはいかがでしょうか。山奥へ行かずとも、“ちょっと不便な暮らし”を楽しんだり、新たな”地域コミュニティ”を紡いで人とのつながりを育んだりできる場所が必ず見つかると思います。

竹内さん

竹内哲也さん

茨城県牛久市出身。中井町で立ち上げた任意団体「なかいめぐり」を主宰。アパレルメーカーで会社員として働くかたわら、ライフワークとしてまちづくりや移住支援に取り組む。東京の大学を卒業後、学生時代からアルバイトをしていたアウトドア系の小売店へ就職。茨城から都内の職場へ通っていたが、転職を経て、現職となることで神奈川県相模原市へ転居。その後、異動を機に、海沿いで暮らしたいと大磯町へ転居し、2年を経て、中井町へ。

移住時の年代

40代

家族構成

夫婦

移住スタイル

Iターン

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活動場所 お名前

関わり方

(移住スタイル)

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