更新日:2025年3月4日

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楽しさは想像以上!仲間に恵まれた二拠点生活

東京の広告会社に勤務する中野拓郎さんが、東京・南足柄の二拠点生活を始めたのは2023年。狩猟や有害鳥獣駆除、管理捕獲、森の保全活動などを通じて、「人の役に立ちたい」という思いを形にしている。

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ジビエの世界を知って狩猟に目覚める

「都市部で暮らしてきた反動で、自然への憧れは人一倍」と話す中野さん。埼玉県の浦和に生まれ、高校卒業後に上京。現在も東京の広告会社に勤務し、平日は妻と都内のマンションに暮らす。2023年に南足柄市の古民家を賃貸契約し、平日は東京、週末は南足柄で過ごす二拠点生活をスタートさせた。
自身の生活に疑問を感じるようになったのは、サラリーマンとして働き始めて20年経った頃。「仕事は好きなのですが、誰かの役に立っている気がしないな、と感じ始めていました」
現在の暮らしへ移行することになった最初のきっかけは、2018年に見たテレビのドキュメンタリー番組だ。画面に映し出されたのは、自分で調達した食材をジビエとして提供する料理人の姿。「野生鳥獣による様々な被害が社会問題化する中、それを捕獲してジビエという形で有効活用する。おいしい料理に変えることで人を喜ばせることもできて、めちゃめちゃハイブリッドだな、と思いました」

神奈川県西部エリアとの出会い

ずっと心に抱いていた「人の役に立ちたい」という思い。“どんなことに取り組めば、その実感が得られるのだろうか”と模索していた中野さんの関心は、ドキュメンタリー番組がきっかけで「狩猟」へと向けられるようになった。
情報収集と検討を重ねたあと、2022年、罠・網の狩猟免許を取得し、「小田原くくり罠塾」へ入塾。狩猟と聞くと、猟銃で動物を撃つイメージだが、罠を仕掛けて捕獲する方法もあり、それに使われるのが「くくり罠」だ。もともと自然が好きで、旅先には山を選ぶことが多かった。自然の中での暮らしを志向し、妻を伴い自治体主催の「お試し移住」に参加したこともある。キャンプやアクティビティを楽しむのではなく、山へ分け入り、自然の息吹を直接浴びることが好きだったという中野さんは、入塾を機に一気に「山」「森」へと傾倒していく。

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里山風景が残る内山地区の古民家

「くくり罠塾」に通いながら、第一種銃猟の狩猟免許も取得し、「あしがら森の会議」主催の林業研修へも参加。「くくり罠塾は、実技だけでなく座学も充実していて、山にまつわる課題や獣害についてもしっかり学べます。山の生態系を守るためにはどうすればよいのか、健全なあり方を取り戻すために何ができるのか。それまでなかった視点が与えられ、林業にも興味を覚えるようになりました」。「あしがら森の会議」は、南足柄市の森林資源活用と市内外の人々の交流を通じて、循環型のまちづくりを推進している。「林業研修では、間伐の重要性や、大型設備を使わずに小さな規模で進める間伐の仕方、森林資源の有効活用などについて学びました。研修を通じて出会った仲間や『あしがら森の会議』の代表とは意気投合し、今も山林の健全化や木材利用の推進など、“森林と人をつなげる”取り組みをともに行っています」
毎週末、小田原・足柄エリアへ足を運ぶようになった中野さんは、妻の了解を得て南足柄市に家を借りた。住まいのある内山地区は、神奈川県が定める「里地里山保全等地域」に選定される田園地帯。「紹介された古民家はとても見晴らしの良い立地で、家の外に広がる景観に惚れ込みました。建物自体は古く、トイレも懐かしい汲み取り式。修理や修繕に奔走する日々ですが、DIYのやりがいがあります。簡易式水洗トイレへの改造も、自分でやりました」

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古民家リノベーションの宿泊施設をつくりたい

近隣エリアに及ぶ有害鳥獣駆除や管理捕獲、山林の間伐などに携わり、空いた時間を家のDIYに注ぎ込む多忙な週末を送る。林業研修で知り合った仲間とともに、地域課題解決に向けた活動も行っている。自然の中で暮らしたいと思い続けてきたが、これほど広範に活動することになるとは想像もしていなかった。「一歩、踏み出してみたら、あっという間に世界が広がりました。価値観の近い人が周囲にどんどん増えて、波長の合う仲間にも恵まれました。山林の保全活動に携わり、微力ながら持続可能な地域づくりに寄与できているのがうれしい。最近は、東京の仕事においても、森や自然、環境保全などにまつわる企画を作りたい、などと考えるようになりました」
今後の目標は、古民家をリノベーションした宿泊施設を作ること。「増え続ける空き家を有効活用し、観光客に泊まってもらえるようにしたい。木の伐採・加工・製品づくりなどを体験できる工房のような機能ももたせて、継続的に訪れていただけるようにし、日帰りだけでは味わえない南足柄の魅力を感じてほしいですね」

質問コーナー

Q 南足柄市のおすすめスポットは?
天狗伝説が伝わる「大雄山最乗寺」と、金太郎が産湯につかったと言われる「夕日の滝」がおすすめ。「夕日の滝」では水遊びもできます。規制され過ぎず、ありのままの自然を楽しめるのが南足柄の魅力です。
Q 今後、挑戦してみたいことは?
ロープや登攀具(とうはんぐ)を使って木に登り、樹木を上から伐採していく「特殊伐採」の技術を身につけたいです。
Q ライフスタイルを変えたい人へ伝えたいことは?
「とりあえずやってみる」。興味を引かれることがあるなら、まずは、そのコミュニティに入ってみるのが一番。思考回路の似ている人との出会いが生まれ、どんどん視野と人脈が広がるような気がします。

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中野拓郎さん

埼玉県さいたま市(浦和)生まれ。高校卒業後に上京し、現在は東京の広告会社に勤務。週末は小田原・足柄エリアで管理捕獲・有害鳥獣駆除、森林をまもる活動などに携わり、南足柄と東京の二拠点生活を実践中。

移住時の年代

40代

家族構成

夫、妻

移住スタイル

2拠点

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活動場所 お名前

関わり方

(移住スタイル)

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