更新日:2025年3月4日

ここから本文です。

酒匂川流域で持続可能な地域づくりを目指す。

愛知県で生まれ育ち、三重県の大学へ進学。就職を機に上京した長谷川諒さんが、南足柄市に移住したのは2023年。主に第一次産業、エネルギー事業を軸とした持続可能な地域づくりの実現に向け、さまざまな活動を展開し、先進事例の研究にも力を注ぐ。

photo1_1

挫折を乗り越えて得た新たな視点が人生の糧

長谷川さんは、「気候変動の緩和」と「格差社会の是正」をテーマとし、フリーランスで環境問題改善に関する活動に取り組んでいる。一見、無茶にも思えるほどの大きな挑戦を支えるのは、「格差を生む要因となる気候変動をどうにかして緩和させ、人々が気持ちよく生きられる持続可能な社会を未来に残したい」という強い思い。その原点は、高校時代にさかのぼる。「大きな挫折が重なり、なんのために生きているのか、わからなくなった時期がありました。生きる意味を問いただし、導き出した答えが、今も人生の指標となっています」。当時の長谷川さんを支え、立ち直るきっかけを与えてくれたのは、父親や友人の存在。自分を認め、寄り添ってくれる人が身近にいたことが、大きな救いになったという。「私もそういう人間になりたいと思いました。いつか肉体が朽ちても、人とのかかわりが分岐点となって開かれた誰かの可能性は、良い連鎖として未来へつながっていく。私に与えられたような恩恵が、全ての人にくまなく行き渡る社会をつくりたい。そのために生きていこうと心に決めました」

格差を助長する気候変動問題を解決したい

三重の大学に進学し、経済を学ぶ中で突き当たったのが格差問題。「貧困格差だけでなく、住む場所や国、職業、社会的地位、生活環境など、様々なことが人々の選択の機会や可能性に影響を与え、格差の温床となっています。さらに気候変動による自然災害の多発が、発展途上国では格差を助長する要因になっていることを知り、これらの問題を解決しなければ、持続可能な未来は拓かれない、と思いました」
卒業後、気候変動問題の解決に向けてデジタルの領域を学ぶため、東京のIT企業へ就職。システムエンジニアとして働き、退職後は、環境保全やサステナブルの取組事例を学ぶため、全国を回った。農地に太陽光パネルを設置し、農業と太陽光発電を両立する「ソーラーシェアリング」を調べる中で行き当たった「小田原かなごてファーム」へ視察に訪れたことが、神奈川県西部エリアに深くかかわるきっかけとなる。

人と人とのつながりから生まれる無限の可能性

photo2_1

「小田原かなごてファーム」が目指すエネルギーの自給・地産地消に共感を覚えた長谷川さんは、代表の人柄や考え方に惹かれ、しばしば足を運ぶようになる。自分より先に通い続けている同年代の仲間がいたことも、縁が深まった要因の一つだ。「彼は、平日は会社員として働き、休日は、かなごてファームで草刈りや農作業などの手伝いをしていました。話してみると、目指す方向性や問題意識などが似ていて、すごく楽しい。2022年からは“かなごて流域祭”の企画運営を代表から任され、二人で行っています」
酒匂川流域を対象とする地域創生イベント「かなごて流域祭&おひさまSDGsマルシェ」では、“人と自然の持続可能なつながりを地域から再構築する”をミッションに、会場では地元農産物や加工品販売をはじめ、ワークショップ、トークイベントなど、多種多彩な催しが開催される。「企画から全てを任せてもらえ、とても貴重な経験ができています。代表をはじめ諸先輩方に支えられながらの運営ですが、“人と人とのつながりから生まれる無限の可能性”を実感でき、大きな自信となりました」

酒匂川流域“サステナブル実験都市”構想

photo3_1

エネルギー事業だけなく森林に関する事業にも携わるため、南足柄市で運営される「あしがら森の会議」とともに仕事をすることになった長谷川さんは、2023年から南足柄市に定住。現在は、「あしがら森の会議」のスタッフとして、森林資源の有効活用、山と人とのつながりを再構築するための取り組みなど、様々な活動や企画運営を行うほか、「小田原かなごてファーム」や千葉のベンチャー企業と協働し、エネルギー事業の運営やプロジェクトに携わっている。
長谷川さんの胸には今、思い描く未来の実現に向けてあたためている構想がある。「環境省が掲げる地域循環共生圏*の考えに近いのですが、南足柄市または酒匂川流域全体を“サステナブル実験都市”に位置づけてラボメンバーを広く募り、次世代へつないでいけるような生業やものづくり、ライフスタイルなどを自分たちで開発するプロジェクトを推進したいです。森、里、川、海などの自然資源に恵まれ、生業も残る酒匂川流域は、地域循環モデルを構築する条件に恵まれたエリアだと思います」

 *「地域循環共生圏(ローカルSDGs)」とは、地域資源を最大限に活用し、地域内で環境・社会・経済の課題を同時解決する「自立・分散型社会」の考え方。地域同士が補完し合って国全体を持続可能にしていくことを目指している。

質問コーナー

Q 南足柄市のおすすめスポットは?
「あしがら森の会議」が運営する古民家リノベーション施設「地域交流拠点mado.」です。コワーキングスペースとして利用できるほか、山や森、地域創生に関する情報を数多く発信。親子で楽しめるワークショップやイベントも多数開催しています!
Q 趣味はありますか?
読書と木工と研究です。“木目“が好きで、偶発的に作られた柄や、樹種によって異なる模様など、いろいろな表情があって見ていて飽きません。mado.で本棚として使用している箱も私が作りました。
Q フリーランスで「持続可能な社会のあり方」を目指すご苦労は?
テーマが大きく、かつ抽象的な要素も多いため、現在地点を見失いそうになったり、何を優先すべきか迷ったりと、常に悩みながら進んでいます。でも、“会社の方針でやりたくてもできない”というような制限がない分、自身の可能性を最大限に発揮できるのが大きな利点。1社専属ではなく、多様な働き方があってもよい。そんなメッセージを込めて、あえてこの働き方を追求している面もあります。

photo4_1

長谷川諒さん

愛知県長久手市生まれ。三重県の大学を卒業後、東京のIT企業へ就職。退職後、フリーランスとなり、“豊かな社会をつくること”をテーマにさまざまな活動や研究を行っている。2023年、南足柄市へ移住し、ルームシェアで古民家に居住。

移住時の年代

20代

家族構成

単身

移住スタイル

Iターン

その他の記事

活動場所 お名前

関わり方

(移住スタイル)

インタビュー記事
箱根町 廣田 いとよさん Iターン

本を通して人とつながる楽しさ知ってほしい

箱根町廣田さん

湯河原町 福井 貫太さん 2拠点

学生の力で湯河原温泉の魅力を発信

yugawara01

山北町 中村 光昭さん 2拠点

カフェ経営で充実のセカンドライフを構築

yamakita02_01_top

大磯町 萩原 春菜さん Iターン

“海っ子”集まれ!大磯は最高の遊び場

萩原春菜さん

清川村 稲葉 智美さん Iターン

料理を通じて特産物を知ってもらうのが私の役割

稲葉智美さん

横須賀市 薬王寺 太一さん Iターン

横須賀の谷戸で薪焼成によるアート作品を創作

薬王寺太一さん

中井町 竹内 哲也さん Iターン

人間の営みが自然に与える影響を忘れずにいたい

中井町の竹内さん

愛川町 菅野 容子さん Iターン

真の豊かさを追求して自給自足に挑戦

菅野容子さん

真鶴町

松木 一平さん Uターン

 街おこしで“美の町・真鶴”の魅力を再構築

松木一平さん

三浦市 大類 尚子さん Iターン

地に足を付けて生きる。三浦でリスタートした私の人生

大類尚子さん

南足柄市 中野 拓郎さん 2拠点

楽しさは想像以上!仲間に恵まれた二拠点生活

中野拓郎さん

松田町 足立 康仁さん Iターン

事業の多角展開を通じて”自然とのかかわり”を追求する

足立康仁さん

山北町 泉本 保彦さん 2拠点

所有地から始める山林の健全化構想

泉本保彦さん

このページに関するお問い合わせ先

政策局 自治振興部地域政策課

電話:045-210-3275

内線:3275

ファクシミリ:045-210-8837

このページの所管所属は政策局 自治振興部地域政策課です。