科学技術関連コラム

掲載日:2020年9月10日

第4回:(地独)神奈川県立産業技術総合研究所 事業プロデューサー 馬来 義弘 様(神奈川県科学技術会議 委員)(令和2年6月掲載)

 科学技術にかかわるコラムを神奈川県科学技術会議の委員の皆様にご執筆いただいております。
 第4回目は、委員の馬来義弘様です。なお、コラムは随時更新予定です。

ベンチャー企業の創出・成長支援の重要性
(地独)神奈川県立産業技術総合研究所 事業プロデューサー 馬来義弘

maki 小職は神奈川県立産業技術総合研究所発ベンチャー企業の創出・成長支援業務に就いているが、このベンチャー企業の創出・成長支援の重要性についての日本における認識は、欧米や中国、特に米国に比較すると圧倒的に不足している。米国の発展を支えているGAFA等もベンチャー企業からスタートしており、米国の先生方や学生達の起業家意識は非常に旺盛で、スタンフォード大学やMIT等の優秀な学生達は官公庁や大企業への就職ではなく、自らベンチャー企業を立ち上げるか、将来有望なベンチャー企業に就職する者が多いとのことである。
 日本の発展のためには有望ベンチャー企業の創出が不可欠であり、国もこのための重要な役割を担う大学への支援策を強化するとともに、「大学発ベンチャー企業創出数」も公表している。
 しかし、多くの大学ではこのベンチャー企業創出数拡大に向けての具体的活動はこれからの段階であると思われる。
 そこで、この活動を進めるにあたっての大学への要望事項を以下に記載する。
1 大学及び先生方は研究と従来型の人材育成だけに留まるのではなく、ベンチャー企業の創出や起業家人材の育成にも力を注ぐことの重要性を改めて認識する
2 起業家意識の高い人材を育てるための仕組みやカリキュラムを開発する
3 自らベンチャー企業を立ち上げてCEO役を担う先生やポスドクを推奨する制度を構築する
4 大学の将来を担うエース級教授のベンチャー企業創出や、CEO就任を強く推奨する
5 大学発ベンチャー企業への出資や成長支援方策を改革する
6 ベンチャー企業に強い大学というブランド創りを成功させて他大学との差別化に活用する
 以上、大学への要望事項について述べたが、ベンチャー企業の成長支援の観点では大学以上に企業の果たす役割が大きい。これまで日本の企業、特に大企業はベンチャー企業の成長支援が自らの大きな役割であるとの認識はほとんど持っていなかったと思われる。今後は、ベンチャー企業をオープンイノベーションの優れたパートナーとして、成長を支援しながらウイン・ウインの関係を築いていくことが肝要であるとの認識を持って研究開発や事業化を進めて貰いたい。

科学技術関連コラムのバックナンバーはこちらです。

第1回「科学技術における基礎研究と応用研究の役割」
東京工業大学名誉教授・前学長 三島 良直 先生(神奈川県科学技術会議 座長)

第2回「長生きと医療とサイボーグ」
慶応義塾大学理工学部機械工学科 松尾 亜紀子 先生(神奈川県科学技術会議 副座長)

第3回「良いアイデアを見つけるためには?」
日産自動車株式会社 フェロー 久村 春芳 様(神奈川県科学技術会議 委員)

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