令和7年度「かながわ青少年みらいフォーラム」
「かながわ青少年みらいフォーラム」を開催しましたので、結果をお知らせします。今回は、「スマホ(SNS、ゲーム、インターネット)との上手な付き合い方」をテーマに県内の中高生と地域の大人の方がグループワークを行いました!
フォーラムの概要
青少年のみなさんが自分たちを取り巻く問題について、主体的に考え、解決に繋げるとともに、地域の大人と一緒に行うグループワークをとおして、自分の考えを深めてもらうことを目的として「かながわ青少年みらいフォーラム」を開催しました。今回のテーマは「スマホ(SNS、ゲーム、インターネット)との上手な付き合い方」です。
開催概要
- 日 時 2025年7月27日(日曜日)13時00分~16時20分
- 場 所 横浜市開港記念会館(横浜市中区本町1-6)
- 主 催 神奈川県・横浜市
- 共 催 かながわ青少年社会環境健全化推進会議
- 参加者 横浜市とその周辺地域の中高生、かながわ青少年社会環境健全化推進会議の構成員の方、そのほか見学の方(保護者・引率者等)84名
プログラム
(講師&アドバイザー)文教大学情報学部教授 情報システム学科 池辺 正典 先生
青少年を取り巻くスマホ利用環境の現状と課題
文教大学情報学部教授の池辺先生から、テーマに関する基調講演を行っていただきました。

(概要)
- インターネット利用開始や利用環境は世代ごとに異なっている。スマホの利用率は12歳頃から伸びてくる。利用目的は動画視聴が100%に近く、年齢が上がるにつれて、ゲーム、情報検索、メッセージ交換と多様化していく。
- SNSを起因とした被害児童数について、令和元年は2,000件程度、令和6年は1,400件で推移して減少傾向だが、重要犯罪(殺人、強盗、不同意わいせつ・性交、略取誘拐等)と小学生のトラブルが増加傾向にある。
- 各国のSNS規制は異なり、中国(海外のSNSの利用禁止等)やオーストラリア(16歳未満のSNS利用禁止等)は厳しい規制だが、日本ではSNS事業者による自主規制となっている。
- どの国にも規制自体はあるが、法律で規制する方向と事業者による自主規制を行っていく方向の2つがある。
- 国が策定している「青少年インターネット環境整備基本計画」に基づき、子どものネット利用方針は3年ごとに改定されており、フィルタリングや最近では、ペアレンタルコントロールが重要視されている。
- この基本計画の当初の趣旨は、利用制限(こどもをネットから遠ざける)だったが、今は利活用(賢く正しく使う)の方針に転換された段階である。
中高生と大人混合の10グループに分かれてサブテーマごとに意見交換を行い、「自分が明日からできるスマホの使い方のルール・行動」を考えてもらいました!
グループごとに意見交換した内容をまとめ、発表資料の展示を行いました。参加者同士で発表内容に対して質問やコメントを行うことで、テーマに対する考えを深めていただきました!



サブテーマ |
グループ |
発表内容 |
1.ネット上のいじめ、誹謗中傷
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A |
「いじめをしない自分でいるために」
- 相手の立場になって発言
- 言葉に責任をもつ
- 罪に問われる可能性があることを学ぶ
- 相談できる場所があることを学ぶ、知る
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B |
「スマホのルール」
- 相手の気持ちを考えてSNSを利用すること
- 急いでいるときや焦っているときに投稿せず、落ち着いてから投稿する
- 相手に向かって面と向かって言えるか考える
- 感情が伝わりやすい文を意識する
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2.ネットを介した性被害
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C |
「ネットを介した性被害」
- 個人情報や自分の写真を送らない
- 知らない人からのメッセージを開かない
- SNSで知り合った人を簡単に信用しすぎない
- (考えたルールを広めるには)今回のグループワークの内容をSNSに載せる
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3.ネット上のフェイクニュースなど
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D |
「MUST(M:メディアを選ぶ、U:疑う心、S:細部まで目を、T:共に確かめる
- 情報源の確認
- 信用できる情報か(本、新聞、大学名、企業名)
- 家族、友達に聞いてみる(反応を見てみる)
- (生成AIを)一つの判断基準として使用する(AIの情報を全てうのみにしない!)
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4.ゲーム課金・ゲーム依存
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E |
「課金、依存症を克服しよう」
- 課金額の上限を決める
- ゲームする場を決める
- 使い過ぎ防止のためのスマホ決済の使用頻度を考える
- 親と話してみる、共有、相談
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5.SNS・スマホ依存
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F |
「自己コントロール!!」
- 使用時間は平日は30分、休日は60分
- 時間と利用制限のアプリを使う
- 人と会って話すなど、SNS以外のことをする
- 習い事や部活のスポーツをする
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G |
「スマホとの上手な付き合い方」
- (スマホ以外に)集中できることを探す
- 親にスマホを渡す(自分に甘えて使用することがない)
- イヤホンといったアクセサリを持ち歩かない
- 電車内で使用しない
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H |
「スマホと自分の距離感~SNS、スマホ依存~」
- 1時間使用したら15分休憩
- 1日の使用時間の総量を決める
- 充電器を自分から遠ざけて充電する
- 家族と一緒にいるときはなるべくスマホを使わない
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I |
「脱却!スマホ依存症!」
- 時間を決める(強い意志)
- 通知を切る
- アプリをアンインストールする
- 友人や知り合いが依存症になってしまったら、遊びに連れ出す(散歩、ピクニック、スポーツ観戦)
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6.SNSやネット掲示板を
きっかけとした闇バイト
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J |
「闇バイトについて」
- (問題点)経済的困難、孤立化
- 人に相談する(先生や家族、公的機関)
- 待遇に惑わされない
- 安全フィルターをつける
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※掲載している教材資料とワークシートにつきましては、学校や各団体等でグループワーク等する際にご活用ください。
最後に池辺先生から本日のグループワークの内容について、講評していただきました。
- 誹謗中傷の投稿について、情報流通プラットフォーム対処法により、この4月から書き込みや投稿を削除する際のルールが明確化された。また、誹謗中傷に関して、罪も重くなってきている。
- 性被害について、児童ポルノの検挙人員は10代が最も多く、リベンジポルノ等、加害者になる場合がある。1回トラブル化すると回収が難しいため、自分の画像や写真等の情報管理をしっかり行うことが重要。
- 生成AIは著作権の影響があり、日本において学習段階における規制は緩いが、個人の顔を読み込むなど、特定目的で学習させる利用には制限がある。実際には、生成AIを使った闇バイトなど他のトラブルと併せて起こることが多い。
- ゲーム課金トラブルは毎年一定数発生しており、高額課金に及ぶこともあるので、子どもだけでは解決できない。
- 課金トラブルが起きた際は、未成年者による課金取り消しのための要件(保護者の同意の有無、未成年者が消費可能な財産の有無、課金時の詐欺の有無)を確認することが重要。
- スマホ依存については、フィルタリングは設定しているが、ペアレンタルコントロールのやり方はほとんどの人が知らないのが現状。保護者のリテラシーが課題の1つだが、中高生の皆さんがやり方を知って、家庭でのルールを考えていくということも1つの方法。
- 闇バイトについて、相手は犯罪のプロであるため、基本的に関わらないことが大事、もし関わってしまったと感じたらすぐに警察に相談すること。
- ネットトラブルには4つの種類がある。(1違法情報、2有害情報、3個人間のトラブル、4自身のトラブル(ゲーム依存など))
- トラブルごとに相談先が整備されており、誹謗中傷なら違法有害情報相談センター、法務局の人権相談、セーファインターネット協会、性被害なら、かならいん#8891、闇バイトなら警察#9110などがある。
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参加者した方の感想
- とても和やかな雰囲気で、高校生や大学生、大人の方など意見交換することができて充実した時間になりました!ありがとうございました。
- 今回、初めての人たちとトラブルの話し合いをして、自分には考えもつかなかった意見ばかりで、新しい発見をしたりとか、これがきっかけで仲良くなれたりして、とても楽しかったし、来てよかったなと思いました。
過去の開催結果