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更新日:2024年9月25日

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令和6年度精神障がい者雇用・職場定着支援セミナー(第1回)【終了しました】

神奈川県が主催する企業向けの精神障がい者雇用・職場定着支援セミナーのお知らせです。

精神障がい者の雇用と職場定着を考えてみませんか

県内では、すでに多くの精神障がい者が企業の戦力として働いていますが、少しの配慮や工夫を行うことで活躍できる場は更に増えます。また、就職後、長く働き続けることができる環境づくりも大切です。

そこでこのたび、県では、精神障がい者の雇用と職場定着に特化した企業向けセミナーを開催します。

第1回では、「精神障がい者の雇用・職場定着」ということで「雇用する立場」、「働く障がい当事者」、「支援する立場」の視点で障がい者雇用の取組について議論します。

なお、第1回セミナープログラムは、神奈川県が作成した「企業のための障がい者雇用ガイドブック(以下「ガイドブック」という)」で紹介している障がい者雇用のプロセスをベースとしています。

企業のための障がい者雇用ガイドブック(PDF:4,977KB)

本セミナーは終了しました。ご参加いただき、ありがとうございました。

セミナーの概要を掲載しました。

開催日時

ライブ配信(Zoom)精神障がい者の雇用・職場定着「それぞれの目線」で考える 

  • 2024年8月8日(木曜日)14時00分から16時30分まで

当日の様子(当日の概要を記載しています)

オンデマンド配信(YouTube 第1回、第2回共通の内容です)

  • 2024年7月18日(木曜日)から2024年9月30日(月曜日)

プログラム

ライブ配信 精神障がい者の雇用・職場定着「それぞれの目線」で考える 

企業の担当者と働く障がい当事者による雇用事例紹介

ボッシュ株式会社の企業担当者から、精神障がい者雇用を進めるきっかけや採用の経緯、実習内容や職場定着に向けたサポート内容についてご紹介いただきました。

ボッシュ株式会社様企業担当者の発表表紙ボッシュ株式会社様企業担当者の発表目次

ボッシュ株式会社の障がい当事者から、業務内容や訓練内容、安心したサポート内容についてご紹介いただきました。

ボッシュ株式会社当事者の発表表紙

精神障がい者雇用に取り組む企業の担当者と当事者と支援者のパネルディスカッション

【テーマ】

〇「企業のための障がい者雇用ガイドブック」で紹介している以下の障がい者雇用のプロセスをテーマとしました

ステップ1「障がい者雇用に向けた理解を深める」

ステップ2「職務の選定」

ステップ3「雇用に向けた社内環境整備」

ステップ4「採用活動」

ステップ5「職場定着」

〇これからの障がい者雇用、それぞれの目線で企業に伝えたいことについて

【登壇者】

<企業担当者の立場から>ボッシュ株式会社 細谷みゆき氏

<当事者の立場から>ボッシュ株式会社 金子健太郎氏

<支援者の立場から>NPO法人かながわ精神障害者就労支援事業所の会 理事 宮木孝幸氏

<コーディネーター>NPO法人かながわ精神障害者就労支援事業所の会 理事 吉野敏博氏

登壇者3人

ステップ1「障がい者雇用に向けた理解を深める」

  • (宮木氏)精神障がいの方は、人に対する強い不安や人間関係の疲れやすさ、他者の言動の深読み、自分への悲観的思考が強くなり自尊心の低下、人への不安が更に強まるという悪循環に入ってしまう傾向が見受けられる。その方の不安に目を向けると、不安から安心に、安心から自信につながるヒントが見つかると思う。
  • (吉野氏)他の障がいに比べると精神障がいは見えにくいと言われるが、精神の障がいとは何と考えるか。
  • (宮木氏)「周囲が当事者のことを理解しようとしないこと」が障がいと考えている。人との間で傷ついてきたからこそ、人との間でその傷を回復していくことが必要だと思う。
  • (金子氏)当事者が安心して体調をコントロールできる環境は、休憩が取りやすい環境、「体調が悪い」と伝えられる関係性がある環境だと思う。
  • (細谷氏)障がい者雇用を進めていくうえで社内理解を深めるために事前にできることは、当事者の体調面の辛さを周囲の方が理解できるように、一緒に働く仲間が当事者の体調に思いを馳せられるように繰り返し伝えることだと考える。

事業所の会宮木様_1

ステップ2「職務の選定」

  • (細谷氏)弊社は、トップダウンのアプローチで障害者雇用を始め、役員会などで社内周知されたことで、各部署の理解も得られる状況であった。職務の選定については、自身の社内のネットワークを活用し各部署から業務サポートセンター(障害者専任組織)で出来る仕事を探すことから始めた。最初は簡単な業務だけだったが、業務サポートセンターが成長するにつれ、そこで働く当事者の力を発揮できるような業務を取りに行く方向になっていった。
  • (吉野氏)職務の選定にあたり、やり方が分からないという場合には、県の障害者雇用促進センターに相談したり、社内で協力的な方を見つけて一緒に考えたりすることで、業務を見つけられると思う。
  • (金子氏)業務中に上司に聞きたいことがあっても上司の不在などを理由に聞けない場合は、質問内容をメモに残したり、メールで送信したりして、後で見てもらえるような体制を作っている。困った時に相談すれば対応してくれるという安心感、関係性が大事だと思う。
  • (吉野氏)参加企業から、社内で障がいのある人にやってもらう仕事を多くても1人~1.5人分しか切り出せないが、雇用率を考えるともっと雇用しなければならない、といった質問が寄せられている。企業としてどのように考えるか。
  • (細谷氏)業務量がスタッフの人数に対して少ない場合、社内の各部署に対し業務獲得活動を行っている。例を挙げると、様々な部署が集まる会議で「過去に実施した業務内容」と「対応時間」をまとめた一覧表を元に業務サポートセンターのパフォーマンスを紹介している。また、この一覧表を社内の誰でも見ることができる場所に掲示したり、当事者自身が作成したデジタルサイネージで宣伝している。個人を特定するような紹介はしないが、「特別な技術(チラシ等のデザインができる、エクセルのマクロが組める等)を持っている人もいます」と伝えている。

 ボッシュのお二人_1

ステップ3「雇用に向けた社内環境整備」

  • (細谷氏)障がい者を雇用する前に社内の事前準備として、一緒に働く仲間の中には不安感が先行してしまう人がいるため、その先入観を排除していただくために「コミュニケーションがちょっと苦手な人」など、具体的にどういう人と働くのかを伝えている。
  • (吉野氏)診断名を教えてください、という質問をいただいた場合はどうしているか。
  • (細谷氏)同じ診断名をもらっていても人それぞれ違うため、診断名は一切開示しない。
  • (宮木氏)支援者の立場として事前に伝えていることは大きく2つ。
    1つ目は、当事者の受入れ部署を孤立させないこと、受入れ部署を支える外部の支援機関のチームがあること。2つ目は、先入観を持ちすぎないこと、当事者が独りぼっちと感じないよう特別扱いをせずに同じチームの一員として接することを伝えている。
  • (吉野氏)宮木さんの「特別扱い」について、細谷さんは企業のお立場として特別扱いしないが、抑えておくポイントはありますか。
  • (細谷氏)社会人としての基本は抑えている。例えば、体調が悪いため頻繁に休憩を取りながら仕事を進めたいと申出があった場合、普段から自分の体調をコントロールしている方であれば理解を示すが、20分仕事したら10分休むというパターンが当たり前のように続いている場合は、しばらく様子を見た後に社会人としてもう少し長い時間働いて休憩をとることが普通であることを伝え、少しずつ改善していくよう働きかけている。
  • (吉野氏)細谷さんの発表で10日間の実習の紹介があったが、支援機関からどのような情報収集、協力の要請を行っているか。
  • (細谷氏)支援機関の方々には入社前の実習段階から、当事者の良い面だけでなく、傾向や課題も教えていただいている。また、私たちの業務内容を理解していただきマッチする方を推薦していただけると、信頼関係を築く上で非常にありがたい。
  • (金子氏)実習の時に自分を信頼して仕事を任せてくれるのか、自分自身もその仕事を出来るのか、の両面で見ていくとお互いに理解が深まりやすいと感じた。また、ざっくばらんに配慮事項等を相談しやすい環境かを確認できると一番良いのかなと思う。

ボッシュ金子様_1

ステップ4「採用活動」

  • (宮木氏)障がい者の採用面接でも一般の面接と基本的には変わらないが、面接時に当事者自身の自己理解の程度を確認するために障がい特性やセルフケアについて聞くことが重要と考える。また、精神的な特性を持つ方には面接中の緊張感や不安がより強くなる可能性があるため、安心して話せる環境を作り、自分らしさや特性を引き出せる環境を作ることも重要で、具体的には、面接時間や質問した理由を説明し見通しを伝えることで当事者の不安を軽減できると考える。
  • (細谷氏)採用までのプロセスは、会社説明会、実習前面談、実習(10日間)、実習フィードバック+採用面接の順で進めている。10日間の実習は業務内容のマッチングと職場へのマッチングの確認に有効と考えている。業務内容は、当事者がお持ちのスキルに対して難易度が高すぎる職場に入ると自信を失ったり体調不良になる可能性があり、逆に簡単すぎるとモチベーションが続かないと思うため、適切なマッチングを意識している。職場へのマッチングは、他のメンバーやジョブトレーナーとのコミュニケーションを通じて確認している。実習の最後には、1時間程で実習の感想や興味関心、苦手なこと、障がい特性については候補者の意向を尊重しつつ、理解を深めるためにヒアリングを行っている。
  • (金子氏)実習や採用面接でメンタル面について詳しく聞いていただけたことで、企業側の気づきに繋がったと思うし、自分から対策を発信できるようになったと思う。相互理解を深める場として体験実習や面接は有効だった。
  • (吉野氏)企業が分かろうとする姿勢ってとても大事ですね。

事業所の会吉野様_1

ステップ5「職場定着」

  • (吉野氏)事前質問でいただいた「職場の受け入れ態勢は万全と企業側が考えていても、当事者の行動が企業担当者の予想を超えてきた場合の対応について」どのように考えるか。
  • (宮木氏)当事者の行動は自分を理解してほしいというサインであり、相手の困りごとや更なる配慮事項が見つかる糸口になる。自社の取り組みや環境を見直すことも考慮すべきと考える。
  • (金子氏)オフィスに休憩専用の部屋やパーテーションなど、1人になれる空間があると安心安全と感じる。また、同僚と仕事の分担を相談できる等、良好な関係性があると、少し体調が悪くても出社しようと思える。その一方で、自分の体調の波に気づき、早めに対処することで気持ちの波を抑えている。さらには正確な業務遂行に心掛け、ミスなく仕事を終えたり、納期よりも早く終わったことで感謝され、自信に繋がった。
  • (吉野氏)体調の波はどのような取り組みで気がつくのか。
  • (金子氏)バロメーターメモを作成し、気持ちや体調の状態を記録している。メモを振り返ることで、疲れや病欠の兆候に早めに気付けるようになり、過去の状態や対策を思い出すことで、自分で対策ができるようになった。
  • (細谷氏)企業担当としても、疲れが出ていそうなときは声を掛け、本人が相談しやすい雰囲気を作るように心掛けている。
  • (金子氏)支援機関にはトレーニングやコミュニケーションスキルの訓練をしていただいた。また、職場での愚痴を言える相手を作ることの重要性を教わったり、企業と自分が相互に直接言いづらいことを支援機関が間に入ってサポートする役割を果たしてもらっている。
  • (細谷氏)精神の方はリカバリーして、手帳の返納が決まることがあるが、まずは「元気になって良かったね!」と一緒に喜びたいと思う。組織としては本人の気持ちを丁寧に聞き、同じ職場を希望するか、社内の他の職場で働きたいかを確認している。もし、本人が他の職場で働きたいが、難しい状況である場合は調整してサポートする責任があると考えている。よって、採用時に一般の職場でも活躍できる人材を採用する意識も持っている。
  • (宮木氏)支援者の思いとしては、定着がゴールではなく、その方の自立・自己実現を大切にすることも重要と考える。神奈川県のメッセージにあるように精神障がいを抱えた方と「ともに働き、ともに生きる」という姿勢がとても大事で、ボッシュさんはその姿勢が実行されていると感じた。

ボッシュ細谷様_1

それぞれの目線で企業に伝えたいことについて

  • (宮木氏)精神障がい者雇用は、初めの段階での負担や負荷はあるかもしれないが、それに諦めずに取り組んでほしいと感じた。ボッシュさんも最初は試行錯誤し、支援機関との協力や経験を通じて成果を上げてきたと思う。企業経営の観点からも、これはダイバーシティやインクルージョンにもつながる取り組みだと考える。
  • (細谷氏)私もこの仕事を始める前は不安があったが、障がいを持つ方々と働く中で、彼らの優れたスキルや能力に触れ、自身が学ぶことが多いと感じている。ただ、彼らは過去の困難や過度のプレッシャーが大きなストレスとなり、体調を崩すことがある。その脆弱性を理解し、業務調整や環境整備を行うことで彼らの力を引き出すことができ、人口減少や採用難の企業にとって大きなメリットがあると考えている。彼らとの協力を始める一歩を踏み出していただけたらいいなと思う。
  • (金子氏)企業が採用する際には、支援機関を通じて雇用を希望する方を探していただき、障がい者を単なる「障がい者」としてではなく、一人の個人として、彼らが仕事を遂行できる形で雇用していただければと思う。 

主催・共催・事業委託先

【主催】神奈川県

【共催】神奈川労働局

【事業委託先】NPO法人かながわ精神障害者就労支援事業所の会

 


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