初期公開日:2025年4月10日更新日:2025年4月10日
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鍋つかみの使用中の温度について商品テストを実施しました。
消費者から「100円ショップで購入した鍋つかみを土鍋を持つ際に使用したところ親指にやけどをした。」という消費生活相談が寄せられました。
また、PIOーNET※1や事故情報データバンクシステム※2にも同様の相談が寄せられています。現在、鍋つかみについての品質や性能に規格や基準はなく、消費者が購入や使用に際して安全性について確認しにくい状況となっています。
そこで、安価で販売されている鍋つかみの商品テストを実施し、その結果について消費者の皆様へ情報提供します。
※1 PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)
国民生活センターと全国の消費生活センターをネットワークで結び、消費者から消費生活センターに寄せられる消費生活に関する苦情相談情報(消費生活相談情報)の収集を行っているシステム
※2 事故情報データバンクシステム
消費者の生命・身体に被害を生じさせる事故等の発生、拡大の防止を図るために、行政機関や地方公共団体その他の関係機関が保有している消費生活において生じた事故等の情報を蓄積し活用するデータベース
鍋つかみ10検体(1から10)(安価(1枚110円から1,100円程度)で布製のもの)
<表1>サンプル(検体)一覧(PDF:65KB)(別ウィンドウで開きます)
<表2>製品に表示されている取扱注意等(耐熱に関するものを抜粋)(PDF:265KB)(別ウィンドウで開きます)
ア 土鍋の温度測定
鍋つかみの温度条件を検討するため、土鍋の温度測定を実施しました。
大・小の土鍋に水を入れ、カセットコンロで加熱し、沸騰後5分と10分後の持ち手の表面温度を測定しました結果は〈表3〉のとおりでした。
<表3>温度測定結果(熱電対(温度センサ)を使用して測定)
土鍋大(8号)/持ち手 |
土鍋小(6号)/持ち手 | |
沸騰直後 | 103℃ | 122℃ |
沸騰5分後 | 131℃ | 153℃ |
沸騰10分後 | 150℃ | 167℃ |
〈図1〉サーモカメラの画像(沸騰5分後、左:土鍋大・右:土鍋小)
イ 鍋つかみの加熱試験
加熱条件を、土鍋の表面温度測定結果から170℃としました。
また、土鍋を「鍋つかみ」を使用して掴み持ち上げ、加熱したガスコンロから食卓まで運ぶ時間を20秒として、20秒後までの温度変化と、10℃温度が上昇するまでの時間と検査後の外観を調べました。
令和7年1月から3月まで
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
(〈表4〉〈図3、4〉のとおり)
3~5秒まで、急激に温度が上昇し、8検体はその後緩やかに上昇する傾向がみられました。
2検体(4、6)で、それぞれ10秒後、6秒後に最高温度(32.9℃、34.4℃)となり、その後20秒まであまり温度が上昇しない傾向が見られました。20秒後、すべての検体が31.7℃から50.8℃までの温度となりました。
<表4>20秒までの測定結果(PDF:74KB)(別ウィンドウで開きます)
<図3>温度測定グラフ((1)~(5))
<図4>温度測定グラフ((6)~(10))
(〈表5〉〈図5〉のとおり)
10℃上昇するまでの時間は、2秒から6秒となりました。
外観は検体9に変化が見られました。このことから、鍋つかみの耐熱性試験方法(ニッセンケン法(A法))※3の評価基準によると、接触した際に熱が伝わりやすい製品と考えられます。
鍋つかみの耐熱性試験方法(ニッセンケン法)(PDF:83KB)(別ウィンドウで開きます)
<表5>10℃上昇するまでの時間と外観の変化
検体 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
10℃上昇する 時間(秒) |
3 |
3 | 2 | 6 | 2 | 3 | 2 | 2 | 6 | 4 |
外観 | なし | なし | なし | なし | なし | なし | なし | なし |
あり ※ |
なし |
※ 銀色生地の収縮あり
<図3>検体9(検査後)
【やけどについて】
高温の物体に皮膚が触れて細胞が壊れると「やけど」になる。それほど熱くないものであっても長時間にわたって触れていた場合もやけど(低温やけど)になるとされている。
やけどになる温度と時間は、44℃では、3~4時間、46℃では30分~1時間、50℃では2~3分、70℃では1秒以下などと言われている。
同じ温度や使用時間の条件であっても使用者の皮膚の状態等によってもやけどのリスクは異なる。
※参考文献:山田幸生「低温やけどについて」製品と安全第72号、製品安全協会
【注意表示について】
市販されている「鍋つかみ」は、様々な形状や材質の製品があります。今回は比較的安価な布製の製品をテストした結果から、やけどを予防するための注意点をお知らせします。
【購入時】
【鍋の持ち上げ前】
【使用時】
消費生活相談は、消費者ホットライン188番をご利用ください。