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更新日:2020年3月24日

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第1回バリアフリー条例見直し検討会議(審議結果)

第1回神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例見直し検討会議の結果です

様式3

次の審議会等を下記のとおり開催した。

 
審議会等名称 第1回神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例見直し検討県民会議
開催日時

平成26年11月27日(木曜日) 9時45分から12時15分まで

開催場所 神奈川自治会館 3階305会議室
出席者

秋山哲男、磯嶋雅彦、大原一興(会⻑)、⼩野和佳、熊⾕徹、⼩渡佳代⼦、⻫藤進(副会⻑)、坂本堯則、鈴⽊孝幸、⼾井⽥愛⼦、野北康⼦(吉富多美代理出席)、花⽅威之、宮川明、若林伸⼆ (敬称略、五十音順)

当日配布資料

条例見直し検討会議設置要綱 Word版 [Wordファイル/34KB]テキスト版 [その他のファイル/2KB]

条例見直し検討会議の会議及び会議記録の公開に関する取扱要領 Word版 [Wordファイル/30KB]テキスト版 [その他のファイル/3KB]

資料1 条例見直し検討会議傍聴要領(案) Word版 [Wordファイル/32KB]テキスト版 [その他のファイル/2KB]

資料2 条例の見直しについて Word版 [Wordファイル/19KB]テキスト版 [その他のファイル/2KB]

資料3 条例の概要 Word版 [Wordファイル/47KB]テキスト版 [その他のファイル/6KB]

資料3別紙1 条例本文 Word版 [Wordファイル/64KB]テキスト版 [その他のファイル/16KB]

資料3別紙2 施行規則本文 Word版 [Wordファイル/369KB]テキスト版 [その他のファイル/8KB]

資料4-1 条例の運用状況 Word版 [Wordファイル/351KB]テキスト版 [その他のファイル/16KB]

資料4-2 条例の課題について Word版 [Wordファイル/34KB]テキスト版 [その他のファイル/740B]

資料5 検討会議の今後の進め方について Word版 [Wordファイル/50KB]テキスト版 [その他のファイル/586B]

参考資料 関係法令等の動向について Word版 [Wordファイル/16KB]テキスト版 [その他のファイル/2KB]

参考資料別冊 PDF版 [PDFファイル/2.79MB]テキスト版(1) [その他のファイル/4KB]テキスト版(2-1) [その他のファイル/2KB]テキスト版(2-2) [その他のファイル/7KB]テキスト版(3) [その他のファイル/8KB]テキスト版(4) [その他のファイル/7KB]テキスト版(5) [その他のファイル/3KB]

次回開催予定日 平成27年3月
問い合わせ先

地域福祉課 調整グループ

電話番号 045-210-4804(ダイヤルイン)

ファックス 045-210-8857

フォームメール(以下をクリックすると、問い合わせフォームがご利用いただけます。)

保健福祉局 地域福祉課(調整グループ)のページ

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下欄に掲載するもの
  • 議事録全文
要約した理由  
審議(会議)結果

 

(事務局)

ただいまから、第1回神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例見直し検討会議を開会いたします。

県を代表いたしまして、地域福祉課長の西條から御挨拶申し上げます。

 

(西條地域福祉課長)

皆さんおはようございます。本来でしたら、福祉部長の石黒から御挨拶申し上げるところでございますが、所用がございまして、後程参るかと思いますが、代わりまして、私の方から一言御挨拶を申し上げます。

この度は、神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例見直し検討会議の委員をお引き受けいただきまして、また、本日は、お忙しい中御出席をいただきまして、心より感謝申し上げます。

さて、神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例ですが、後程、資料で御説明いたしますが、第1条、その目的におきまして、障害者等が安心して生活し、自らの意思で自由に移動し、及び社会に参加することができる、バリアフリーの街づくりに関して、県、事業者及び県民の責務を明らかにする目的で条例が制定されております。この障害者等の中には、高齢者も入っておりますし、妊産婦といった方々も含まれております。つまり、こうした方々に配慮した街づくりを進めることは、誰もが快適に過ごせる街になるということでございます。

規定の内容でございますが、公共的な施設を新築あるいは増改築する場合に、守るべき基準について定めておるものでございまして、ハード、ソフト両面のバリアフリーの街づくりの取り組みの根幹をなしているものでございます。

この条例の経緯でございますが、平成8年に制定されました、神奈川県福祉の街づくり条例を、平成20年に改正したものでございまして、この10月で施行後5年を迎えます。

今回の条例の見直しでございますが、条例を常に時代に合致したものとするために、施行後5年ごとに見直しを行うという、県庁全体の条例の規定のルールに基づいて行うものでございますが、それは一つのきっかけでして、この5年間で、街づくりがどれだけ進んだのか、あるいは、誰もがというキーワードに沿って考えると、こうした整備基準をこのように変えたほうがいいのではないか、そういった様々な意見を伺いながら、見直しを進めてまいりたいと考えております。

条例の見直しに当たっては、今申し上げました、これまでの条例の運用実績や関係法令等の動向、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催、さらには、障害者権利条約の批准等、条例を取り巻く様々な状況を是非追い風といたしまして、見直しを進めていきたいと考えております。

来年の9月までの約1年間でございますが、ここにお集まりいただきました皆様の御意見を踏まえて、しっかりと検討を進めてまいりたいと思いますので、どうぞ忌憚のない御意見をお願いいたします。

最後に、先ほども申し上げましたが、バリアフリーの街づくりを進めることは、高齢者や障害者、妊産婦の方だけでなく、誰もが暮らしやすく、誰にとってもやさしい街づくりにつながるものであり、県といたしましても、しっかりと取組みを進めてまいりたいと存じますので、是非皆様方どうぞよろしくお願いいたします。

 

(事務局)

本日は第1回でございますので、委員の皆様を御紹介申し上げます。名簿順にお名前を読み上げさせていただきます。(名簿順に所属・氏名を読み上げ)

次に、名簿順に、前列の事務局を御紹介させていただきます。保健福祉局福祉部の石黒部長でございますが、後程参ります。保健福祉局福祉部地域福祉課の西條課長でございます。県土整備局建築住宅部建築指導課依田課長でございます。保健福祉局福祉部地域福祉課の圓道副課長でございますが、本日都合により欠席させていただいております。

続きまして、本日の配付資料の確認をお願いいたします。(以下、資料確認)

なお、当会議の記録につきましては、お手元にお配りしました当会議の会議及び会議記録の公開に関する取扱要領の第5条の規定に基づき、委員等の氏名を記載し、会議の内容を要約した形で会議終了後県のホームページに掲載することとされておりますので、あらかじめ御了承ください。

また、皆様のお席の前に置いてありますマイクでございますが、会議録を効率的に作成するための録音機器でございます。会議中皆様に操作をしていただく必要はございませんが、あらかじめ御承知おきください。

それでは、ここからの進行は、地域福祉課長の西條が務めさせていただきます。

 

(西條地域福祉課長)

会長選任までのしばらくの間、私の方で司会進行を進めさせていただきます。早速、議事に入らせていただきます。

議題1でございますが、今回は初回でございますので、会長と副会長を選任する必要がございます。選任までの間は、引き続き、事務局で進行を務めさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。

まず、会長の選任でございます。お手元にお配りしました当会議の設置要綱でございますが、会議の設置に当たり、あらかじめ定めさせていただいたものでございます。

会長につきましては、この要綱の規定に基づき、委員の互選により選任するとされておりますので、まずどなたか御推薦いただければと存じますが、いかがでしょうか。

 

(鈴木委員)

大原先生が前からいろいろやっていらっしゃるのでお願いしたいのですが、いかがでしょうか。

 

(西條地域福祉課長)

その他に、御推薦等はございますか。鈴木委員から、大原委員を会長に推薦ということでございますが、皆様、いかがでしょうか。

 

(異議なし)

 

(西條地域福祉課長)

異議なしということでございますので、大原先生、御就任いただきたいと存じます。恐れ入りますが、会長席の方へお移りいただければと存じます。

続きまして、議事を進めさせていただきます。副会長の選任でございますが、要綱の規定に基づき、副会長は会長の指名した者をもって充てるとされております。恐れ入ります、大原会長から御指名をお願いしたいと存じます。

 

(大原会長)

バリアフリー街づくり推進県民会議の座長をされております、斉藤先生にお願いしたいと思います。

 

(西條地域福祉課長)

会長の御指名ですので、斉藤先生、副会長席へお移りいただければと存じます。

それでは、円滑に議事が進められまして、会長、副会長が決まりましたので、一言、大原会長、それから、斉藤副会長から御挨拶をお願いしたいと存じます。

 

(大原会長)

先ほど御推薦いただきました、大原です。私は専門が建築計画で、たまたま、昔の福街条例の改定や、今回のみんなのバリアフリー街づくり条例を改正する時にも若干お手伝いしたこともあり、責任もあるものですから、あっという間の5年だったと思いますが、この評価をきちんとやっていくということで、大変重要な仕事だと思っております。

皆さんの御協力、御意見をいただいて、少しでも良い条例の見直し改定になるよう進めていきたいと思っていますので、よろしく御協力いただきたいと思います。

 

(斉藤副会長)

改めまして、産業能率大学の斉藤です。副会長ということで、会長をはじめ皆さん方の御協力をいただきながら会議を補佐していきたいと思いますが、県民会議の方では、本当に皆さんにお世話になっております。

県民会議の方で、様々な活動を通して、ハード面だけではなく、福祉的対応といったことも非常に課題になっています。条例そのものはハード中心だと思いますけれども、そういった視点も含めながら、皆さんと一緒に検討できればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

(西條地域福祉課長)

ありがとうございました。それでは、ここからの進行は大原会長にお願いしたいと存じます。どうぞよろしくお願いします。

 

(大原会長)

議題2に入る前に、御出席の皆様に一つお諮りしたいことがあります。本日は代理出席の方が1名いらっしゃっていますが、代理ということですので、発言権を付与したいと思いますけれども、一応皆さんにお諮りしたいと思います。特に御異議はありませんか。

 

(異議なし)

 

(大原会長)

では、代理出席の方に対して発言権を付与することといたします。どうぞよろしくお願いします。

議題2ですが、一応確認として、法令等の規定により公開できないものを除いて、原則公開することとされているということです。会議の公開については、既に事務局で要領を作っていただいていますけれども、会議の傍聴に関する規定というのは、この検討会議の場で定める必要があるということです。公開要領ということで、資料の説明を事務局の方からお願いしたいと思います。

 

(事務局)

条例見直し検討会議の会議及び会議記録の公開に関する取扱要領及び資料1の内容に基づき、説明。

 

(大原会長)

ただいまの件で御質問があればお願いします。

 

(坂本委員)

傍聴の方は、普通、発言できないことになっていますよね。要領の中には、傍聴者は発言ができないということが入っていませんので、入れておいたほうがいいと思います。

傍聴の方で、すごい方が来たというとおかしいですが、妨害するような人が来た場合、会議が進行できない、発言ができない、という問題があります。

 

(大原会長)

通常はいかがですか。

 

(西條地域福祉課長)

第5条で「会議の秩序を乱し、又は審議の妨害になるような行為をしてはならない」と記載されております。その中で、今坂本委員がおっしゃった行為も含まれるものと解釈しています。

 

(坂本委員)

私たちの会議では、傍聴者は発言ができないことをはっきり明記しています。その方が間違いがないと思います。

 

(西條地域福祉課長)

それでは、それも含めてお諮りいただければと思います。

 

(大原会長)

そのことに関して反対される方はいないと思いますので、念のために入れておく方が確実ということで。傍聴人の定義ということだと思いますが、その一文を入れるということでよろしいのではないでしょうか。傍聴人は発言ができない、ということですか。

 

(秋山委員)

例えば、会議の進行上、どうしても事情がわからなくて聞きたいという場合に、会長が認めた場合には発言を許すとか、そういうことにしておかないと、何か大切な情報が漏れてしまうかもしれませんよね。

参加者の中にそういう情報をきちっと持っている方がいらっしゃる場合もあるので、傍聴人は原則発言禁止ですが、会長が認めたときにはよろしいというところを残しておいた方がよろしいかと思います。原則禁止ぐらいのところで、「原則」がつけてあれば基本的に対応できるだろうと思います。

 

(大原会長)

何か適当な言葉はありませんか。

 

(鈴木委員)

「原則禁止とする。ただし、会長が認めた場合はこの限りではない。」としておけば、大丈夫だと思います。

 

(大原会長)

では、今の一文を入れていただくということでよろしいでしょうか。

 

(西條地域福祉課長)

文言を整理しまして、会長、副会長にお諮りの上、皆様に御了承いただければと思います。委員のおっしゃった内容を加味しまして、案文作成後、会長、副会長にお諮りさせていただきたいと存じます。

 

(鈴木委員)

あとは、会長が認められればよいと思います。

 

(大原会長)

確認は会長のほうでさせていただいて、一文を入れることに関して案を確定することについては、一任していただければと思います。

他に、この要領に関しての御質問はありますか。なければ、この形で進めていきたいと思います。

今日は傍聴希望者がいらっしゃらないということですので、その手続きは省略していきたいと思います。いらっしゃる場合には、その都度皆さんの許可をという手続きで進めていきます。

それでは、いよいよ本題に入ります。本題というのは、議題3「条例の課題について」ということですが、これについては、長時間になるかもしれませんが、全体の資料説明を事務局の方からしていただいて、その後、皆さんから自由に御意見をいただくということにしたいと思います。

どのような意見が出るか分かりませんが、後で一言ずつは何かコメントいただいく形でお心置きください。それでは、資料の説明をお願いします。

 

(事務局)

資料2から5、追加資料及び参考資料の内容に基づき、説明。

 

(大原会長)

内容が非常に多岐にわたっており、広く、かつ、細かいものが随分含まれていたので、把握するのがなかなか難しいと思いますが、今日説明いただいた点、それから、事前に送られていた資料を御覧になった中で、いろいろな質問や意見があるかと思いますので、最初は、自由に意見をいただこうと思います。

基本的には、ここに課題としてありましたように、遵守率、適合率というのが低下しているということをどのように認識し、どのような対応を考えるかということが問題提起としては一番大きな点かなと思います。

それと連動して、適合率を上げるためにはというか、正しい適合のされ方というものを考える上では、用途や項目等というような、より実情にあった規則の在り方があるのではないかというような辺りが、今後議論できていければいいのかなと思います。

そういう細かい点に限らず、全体を通じて、条例そもそもの考え方等に関しての御意見もいただいて構わないと思います。

それでは、最初は自由にお気付きの点をお話しいただけますでしょうか。どなたでも構いません。気が付いたところからお願いします。

 

(坂本委員)

一番悪いという福祉施設ですが、私たちが新しく建築する場合、適正な基準に合わない限り許可が出なくなっているのに、これが違うというのはどういうことでしょうか。

昔建てたものを調べるとこのようなことになっているということでしょうか。今は絶対に許可が出ませんよね。

 

(大原会長)

事務局の方から御説明いただければいいと思いますが、二段階あって、本当に建築確認がおりるかどうかという義務のレベルと、このバリアフリー条例で規定している遵守義務といいますか、そういう義務と要するに二段階ある。その厳しい方というか、条例で規定されているところに至っていないものが出ているということだと思います。

建築基準法違反は絶対建てられないわけですけれども、その間の話ですね、そのようにざっくりと理解してよろしいでしょうか。事務局からも御説明があればお願いします。

 

(事務局)

まず、建築基準法に合致しなければ建てられないということがございますし、福祉施設に関しては、バリアフリー条例とは別に、個々の施設ごとの整備基準といいますか、設置基準等があるかと思いますので、そういったものは当然クリアしないと設置認可や許可が出ないと思いますので、そういったものは当然クリアされていると思うのですが、そういったものとバリアフリー条例の整備基準が必ずしもリンクしていないということだと思います。

 

(事務局)

建築指導課の方から補足説明させていただきます。地域福祉課から御説明した内容につきましては、あくまでも望ましい水準ということで、比較的小規模から指導をしておりまして、それを事前協議の対象にしています。これは必ずしも適合しなくてもいいというものですが、ただ、ある一定規模以上の建築物になりますと、法律で整備が義務付けられております。

法律では2000平方メートル以上ということになっていますが、条例の4章で、施設の用途にもよりますが、条例では、例えば500平方メートル以上の施設ですとか1000平方メートル以上の施設ですとか、そういうものにつきましては義務となっておりますので、これは必ず満たさなければ、確認申請はおりないということになっております。その違いかと思います。

 

(花方委員)

確認ですが、要は条例の中に二つあって、一つは整備基準で、もう一つは、バリアフリー法に基づく上乗せ部分。バリアフリー法に基づくものについては義務があり、確認の時にチェックされるし、認可を受ける際にも制約になるけれども、整備基準そのものについては、守らなければならないという絶対的な義務がないということでよろしいでしょうか。

そうすると、遵守率が非常に低いということは、整備基準そのものが少し厳しすぎるのか、対象が広すぎるのか、あるいは、運用基準が非常に限定されている、この3つしか考えられないのです。

整備基準と対象は拡大してもいいかもしれませんが、具体的に必要のないものまで要求しているものについては、弾力的に運用できるような緩和規定を設けておかなければ守れないのではないかという気がします。

福祉施設の中で、点字ブロックが守られていないということですが、福祉施設、特に高齢者施設等を見ていくと、入所者から見ると、点字ブロックは邪魔にしかならないということがあると思います。言われるとおり、事故の原因にもなるということもあるわけですから、やはり、施設の利用の仕方や入所者等をよく考えた上で弾力的な運用ができるようにしておかなければいけない。

全部を100点満点にする必要が本当にあるのか。そういう問題につながってくるのではないかと思います。

全般的な見直しも必要ですが、やはりその3つ、基準がいいのか、対象がいいのか、運用がいいのか、その3点から整理する必要があると思います。

 

(大原会長)

いきなり本題に入ってきた感じがありますね。

 

(坂本委員)

条例に緩い部分と強い部分があって、弱い部分は適当でいいよ、見逃してあげるよということで、福祉施設があまり守っていないということになると、やはり、福祉施設はでたらめをやっているということになりますよね。

ですから、緩い部分については、守っていないところは外さないとおかしいですよね。福祉施設はみんな不正をやって条例を破って事業運用しているということになりますから、これは、緩いところと強いところがあるのではなくて、どちらかにきっちりしたほうがいいですよね。緩いものは外すようにしないと。

このように、福祉施設ばかりが悪者といいますか、基準を守られていないということになるとまずいことになると思うので、それを決めてもらったほうがよいと思います。

 

(花方委員)

誤解を招く可能性が大きいと思います。福祉施設はモデル的にやらなければいけないはずのものが、基準を守っていないという話になると、それは、一般の人から見れば、一番大切なものが守られていない、という話になってしまいますから、やはり、守るべきものは守っているけれども、その施設にとって不要なものはやらなくてもいいのだと。基準の見直しよりは、弾力的な運用ができるようにしておくべきではないか。

坂本委員がおっしゃるように、不適法なものが多いというよりは、適法にしてあげることを考えてあげなければいけないのではないか。

 

(秋山委員)

適法、不適法という範囲をどうするかという時に、視覚障害者の誘導ブロックというのは、安全の問題と誘導の問題という二つの機能を持っていて、安全についてはマストというふうに考えておきますと、誘導についてはマストではないということになると、それを一緒にする事はできないという議論もやっておかなければいけないですよね。

それから、室内の中でどこまで整備するかという議論をやっておかないといけない。屋外ではどこまでやるかについても議論をしないと、法的にここを外す、外さないという議論はできないはずです。そこがまだ研究が十分に進んでいないように思います。

 

(坂本委員)

福祉施設の場合は、中に誘導ブロックがない代わりに、御利用者の3人に1人は介護者を付けないといけないのです。そのために、いつもちゃんと見守り、気遣いをして、立ち上がってどこかに動かれるようなことがあればすぐに行って手助けをするなどしていますから、こういう設備は必要ないのです。かえって危ないのです。

ですから、そういう意味では、普通の公道を歩かれている場合にはなければならないし、公共機関もそうですよね。公共の場所には必要ですが、福祉施設には、私は、誘導ブロックは必要ないと思います。それだけ介護職員を揃えているわけですから。それが配置基準で決まっていますので。

 

(大原会長)

今のは、室内のお話ですよね。主に利用者が特定されている中での話ということで、先ほど誘導でその施設までとか、あるいは、受付まで案内するというのは、また別の話ということで、秋山先生が言われたように、目的をきちんと考えるべきだということは大変重要な議論だと思います。

 

(秋山委員)

事例を一つ申し上げたいと思いますが、羽田国際ターミナルで設計をした時に、必ず障害者の誘導ブロックは受付までは敷設するということにしました。しかし、受付以降は一切ブロックがなく、その代わりに、84人のコンシェルジュをつけて必ず案内をするという原則に立っています。

多分、施設内も見守りを必ずやるという原則がなければ、ブロックを外せないのではないか。つまり、ハード的整備とソフト的対策の連携の中で承認される、そういう代物かな、というのが室内では考えられるだろうと思います。

 

(大原会長)

本質的なところですが、今のハードとソフトをうまく連携させて、かつ、一体的に提供するということは、まさに、先ほど御指摘があった運用の部分ですよね。

基準で寸法などではなかなか規定できない運用の部分、それは福祉の行政と建築のチェックというのが同時に行われなければいけないというところで極めて、行政の体制の問題になってくると思います。そういうことも大変重要なことだということが、今出てきているのだと思います。

 

(坂本委員)

それからもう一つですが、資料を読んだのですが、これだけ細かく決めてあれば、これ以上のものはないと思うのです。これ以上決めたら、がんじがらめで動けなくなってしまいます。

一番重要なことは、やはり障害者の方が安心して暮らせるやさしい街づくりをする事で、住んでいる人たちのやさしい心を育てることが一番ではないかと思うのです。

この間ポルトガルに行きましたが、ポルトガルでは何もバリアフリーにはなっていません。石畳のまま、階段の段差は高い、手すりは何もついていない。そうしたら何をするかというと、車いすの人が来たら4人で抱えて連れて行ってあげたのですね。

そのような、何も言わなくても手を差し伸べるような人たちを育てる、小さな子どもの時から、学校教育で、障害のある方とみんなで助け合うという気持ちを養うことが重要だと思います。確かに、バリアフリーのためにたくさん施設を作ることも重要ですが、困った人がいたらすぐ助けるという、そういう心を養うほうが先ではないかと思います。危険だから横断歩道を作ったら、面倒くさいから誰も使わなくなって、その次に今度は外してくださいということになった。そういうことが多いので、私は、一番重要なことは、やはり、やさしい心をつくることがバリアフリーの街づくりになると思います。

 

(大原会長)

今の御指摘は、改めて条例の目的などを見て行くと、単にハードの整備のためにこの条例があるわけではないというようなことが、どこかで表現され、かつ、その中でも特に、意識啓発や合意形成ですとか、ソフトの人々の意識の部分をどうやって作っていくかが街づくりにつながるというようなことが、条例のどこかに書かれていたでしょうか。

 

(秋山委員)

条例の本来の目的というのは、ハードだけで全てできないので、様々なハード的施設の下支えといいますか、最低限をできるだけ上げていくという役割があると思うのです。

それで足りないところを人的な部分で補っていくというところが、多分方向としてはよろしいのかなと思います。

人の心を育てることも非常に重要ですが、一方で、悪い人もたくさんいると。性善説に立つか性悪説に立つかというのは非常に難しい問題で、私は、結構守られない社会というのがあると思いますので、できるだけ、下支えの条例はある程度はやるべきだろうと。ただ、微妙な、どこまでの水準にするかということは、議論がかなり必要だろうと思います。

 

(大原会長)

今気になっていたのは、条例自体に目的は書かれているのですが、規定する内容がかなりハード整備に偏っているかなと。勿論、それが基盤整備ということで重要なところですが。

 

(秋山委員)

他の件でよろしいですか。どこの条例でもそうですが、特に、情報障害の人に対しては、ハード的な部分はたくさんやられていると思うのです。例えば、視覚障害者誘導ブロックなどはやられていますが、音声は結構弱くなっている。特に、聴覚障害、視覚障害を含む人達の音声やサイン等が弱くなっているということと、それから、スマホがこれだけ発達してきますと、スマホを使った情報の部分で落ちこぼれている人が大量に出ているのではないかと思います。

そういう意味で、新しい情報社会に対して条例は関与しなくていいのか、という議論をどこかでしておいた方がいいと思うのです。

ロンドンオリンピックをずっと追いかけて見てきているのですが、ものすごい勢いで情報の変化にロンドンオリンピックは対応してきたのですね。日本社会も、これからオリンピックに向けて、かなり情報社会が進化していくと思いますので、その辺りに対する条例の弾力的な対応が少し求められるのかなというところで、情報の部分も少し入れておいたほうがよろしいのかなという気がいたします。

 

(大原会長)

この条例の扱っていく範囲という議論がかなり出てきたと思います。

まず、大枠の話ですね。それから、その基準の細かい話に行く前に、運用というか、それを実効化していく手続というのがやはり重要になってきたということで、細かい基準、枠を広げる、狭めるというような話はまた後でやっていくとして、他に、この条例全体の位置付けとか目的とか、その辺りに関しての御意見があれば先に伺っておきたいと思います。

 

(宮川委員)

チェーンストア協会の宮川と申します。我々は今、神奈川県のバリアフリー条例ということで話をしているのですが、素朴な疑問として、国や全国の地方自治体でバリアフリーの取組みをやっている中で、神奈川県の取組みがどの辺の位置付けにあるのかということがよく分かりません。

ですから、ある意味、それを誰かに評価してもらうのか、あるいは、一番大事なのは、障害を持っておられる方がどれだけ満足しているかという基準から、神奈川県の今の条例の評価といいますか、それを何かしておくべきと思うのと、最終的に我々はどこのゴールを目指すのか。今は、この段階にありますが、一気にゴールまでは行けませんので、いつまでに、ここまで持って行って、ここのゴールに持って行く。最終的には、やはり神奈川県が一番素晴らしいバリアフリーのお手本だと言われるような、そういう目標を何か持ってやっていくというようなことが、必要ではないかなと思っています。

それから、我々は消費者を相手にやっておりますので、やはり一番大事なのは、お客様の満足というところを商売の原点にしているのですが、そういった意味では、バリアフリーを考えるに当たっては、基準は非常に大事だと思うのですね。基準を作って、これだけやれば障害者の方は多分安心だよというのは、それは健常者の方から見たらそうかもしれませんが、障害者の方にとって、本当にその基準が正しいかどうかというのは私もよく分かりませんので、そういったところの意見も取り入れながら、最終的にどのような姿に持って行くのかというところがあっていいのかなというふうに、これは参考意見としてお聞きいただければと思います。

 

(大原会長)

この会議の目的にも関わると思いますが、最初に御質問された、神奈川県がどのような位置付けにあるのかという辺りの理解というのは、今、事務局から出されている資料は、主に適合率、遵守率という中の話になっていますが、その辺り、何か事務局の方でわかることはありますか。

取組みとしては、神奈川県というのは、いろいろと全国に先駆けてというような形でやろうとしてきている姿勢は今まであったわけですが、実態として、どんなふうに相対的に評価ができるのでしょうか。

 

(西條地域福祉課長)

他県との比較という意味ではやっておりませんが、神奈川県のバリアフリー条例の特徴の一つに、カラーバリアフリーの取組みというものがあります。これは、整備基準のあらゆるところ、例えば、案内表示の色の対比とか、そういうところも定めているというのは、この間、他県の議員さんが視察に見えたときに、これは非常に素晴らしいという評価をいただいたという事例はございます。

基準自体は、法よりも対象施設は厳しいといいますか、拡大されているという部分も含めて、それが他県ではどうなっているかという比較はしていませんが、福祉の街づくり条例が平成8年出来たというのも、これは先を行ってきたというのは間違いないと思っております。厳しいといえば厳しい部類には入っているのかなと感じております。

 

(宮川委員)

競争することが目的ではないのですが、やはり、神奈川県が進んでいるというのを目標に、いろいろな自治体が神奈川を目指してやっていこうという機運になればいいと思って申し上げたまでですので、その評価をきちんとしなければ駄目だと言っているわけではなく、そういう意識を持ってやっていただきたいなということです。

 

(依田建築指導課長)

全国比較というところまでは至っておりませんが、例えば、先ほど私どもの方でお話ししましたバリアフリー法の規定、条例で規模要件等をそれぞれ定めておりますが、やはり、これも各行政でばらつきがある状態です。その中で、神奈川県の場合、対象面積を500平方メートル以上としております。

この関係が、前回条例を策定する段階でもいろいろ御意見いただいた中で、先ほども御意見をいただきましたが、小規模な施設については、なかなかそれを適用するのは事業経営上も難しいという、当時もそのようなお話をいただいている中で、県では500平方メートル以上という形での規制をかけている状況です。

この点に関しましては、例えば、横浜、川崎、東京、埼玉では、全てを対象にするというような、より厳しい規制をかけている自治体もございます。それぞれに考え方がありますが、その中で神奈川としては、バリアフリー法に基づいて規制をかけていく必要性がある中で、やはり、現状の運営、経営をされている方々の実情に応じて500という数字を掲げているというところでいけば、それは、いい悪いということではなく、私どもが認識しているのは、妥当な面積といいますか、一つの指標として、こういう形で出して取り組んでいることについては、今のところ支障がないのではないか。これまでの5年間の運用の中ではいいのかなというふうに認識しております。

 

(秋山委員)

面積規定で500平方メートル以上ということになると、コンビニエンスストアとか小規模の商店、ちょっとした食堂がみんなはじかれてしまいますよね。そういう小規模のものに、何とかいい意味で網をかけられないか。

具体的には、例えば、入口の広さだけでも最低幅員を確保できないかとか、入口の5センチとか10センチの段差をなくしてくださいとか、そういう部分を特出しするようなことができないか。

一律型というのも大事ですが、緩和した形で、小規模で、かつ、市民にいつも使われているような施設に対して、建築系の条例はほとんど入ってないのですね。そこの辺りが入れられないかというところが、もし神奈川県で入れられれば、コンビニエンスストアが相当上がりますね。

最近は、コンビニエンスストアもかなりトイレも比較的よく作っているところも出てきていますので、促進するという意味でも、その辺りも、少し枠をいい意味で広げられないかというところだと思います。

 

(依田建築指導課長)

実情というところで補足させていただきますが、今私がお話ししたのは、バリアフリー法ということで、付加条例という中で500平方メートルということなのですが、条例そのものが、小規模な店舗でありますと、現状でも200平方メートルというところから示してございます。

最終的にこれに適合するかどうかについては、先ほど来議論が出ていますけれども、最終的には努力義務の中で、私どもも土木事務所等の窓口ではお話しをさせていただいて、なるべく遵守をというところでお願いをして、その中で、ケースバイケースで事業者さん側が対応していただいているケースもあるという状況です。

あわせて、そういう中で、どうしても難しいという場合には、お手元の資料4-1で御説明させていただきましたが、4-1の1枚目の、四角の点線の枠の中に、いわゆる13条ただし書きの適用というものがあります。これは、前段につきましては、同程度以上に施設を安全に利用できる場合について、適合という形にはならないけれども、そこまでの努力はしていただいているというところで、実際に現場で対応していますと、この案件が、件数としてはかなりあります。

全く難しいという事業者さんもいらっしゃれば、そこまではやりましょうとおっしゃっていただく事業者さんもいらっしゃる中で、この前段の適用ということで施設を作っていただくというのもかなりありますので、この辺り、先ほど来出ていますが、どこまで求めるのか。やはり、先ほどお話したように、違反ということではないのですね。

望ましいところをどこまで目指していただくかということが条例の趣旨の一つでありますので、その範囲が、秋山先生が今おっしゃられた、もう少しコンビニやそういうところを含めて、よりきめ細かさが必要だという御意見の方向性があるということであれば、それを踏まえた改正というのもあり得ると思います。

 

(坂本委員)

確かに、小さなお店などがバリアフリーで入りやすいようにするということは重要ですが、それを強制した場合、採算が合わないと民間事業者がそれをやらない可能性もありますよね。

私は、デイサービスの方で、利用者の方からレストランに行きたいという要望があるので、かけあいまして、本当はデイサービスは外に出てはいけないのですが、介護施設の中で一日過ごして、お迎えしてお送りするというのがデイサービスのルールなのです。

でも、利用者の方が、お寿司を食べに行きたい、花見に行きたい、というような時に、どのようなお店に行くかというと、やはり、バリアフリーになっていてトイレのあるようなお店を選んで行っているわけです。

ですから、利用者が選ぶのであって、こちらからそういうものをつくれということではなく、自分の事業を発展させたいと思えば、事業者がそういうふうにするのであって、どんな小さな施設にもそのようにしなさいということをルールとして決めるのは、私は間違いではないかと思います。

自分たちの商売を、これから高齢化社会が進む中で、障害者がたくさんいて、そういう時代にマッチした店づくりはどうなのかを考えるのは事業者であって、それをやれというのは、私は違うと思います。

 

(大原会長)

いろいろ御意見があるかと思いますが、個人的な意見では、一般の民間の事業者という範疇にコンビニエンスストアが入るかどうかというところがあります。現在では、コンビニエンスストアには銀行機能もありますし、公共施設のいろいろな窓口的な役割も果たしています。要するに、公共施設の内容を既に持っている気がします。

今までの区分では、小規模にしろ、商業施設ということでひとくくりになっていますが、民間運営で利用者を限定して特定のサービスをするというような商業施設ではない存在だと思うのですね。そういうものがむしろコンビニや何かで、街中にどんどん展開してきている。今までの大きな役所だけで受付するのではなくて、街の様々な場所で公共的な機能が果たされているようになっている。この事実に基づいて、今までの用途区分みたいなものも、やはり見直していく必要があるのではないかと思うのです。

商業施設というひとくくりで見ていいのかどうか、公共的な機能を含んだものという項目がやはり本来必要なのだろうと思います。そういう考え方も重要だと思います。

 

(秋山委員)

今の、例えば義務化するという議論と、それから、市場に任せてとにかく放っておくのと、もう一つ間にあるのは、インセンティブを与えて、できるだけそこを努力していただくという、3つの選択肢があると思うのですね。

やはり、そういう分類をやって、インセンティブを与えていけるものであれば頑張ってやっていただくという選択肢が今後は必要になってくるのかなと思います。

全く市場に任せて放っておくというわけでなくて、大事なことは、やはり、インセンティブをちゃんと働かせるというやり方があるのかなと思います。

 

(坂本委員)

先生のおっしゃる通りだと思います。

相模原に「サウザンロード」という1000メートルの商店街があるのですが、私は、そこの自治会長をやっていまして、皆さんから、商店街が長く休む場所がない、トイレが欲しいという要望が昔からずっとありましたが、それを誰もやらないし、空き店舗があっても、それを開放するということはありませんでした。

そこで、みんなに諮ったところ、それをつくろうじゃないかということになりましたが、お金をどうするという話になったときに、結局御破算になって、それで、私が、バリアフリーの休める場所と、バリアフリーのトイレも作って、自由に休めるようにしたのですね。

そうしたら、親子連れや高齢者の仲間同士の方などが来て休んでいったり、話していったり、トイレを貸してくれということになり、そのことによって、知名度が上がり、あそこは素晴らしいということで評価が上がっていくわけですね。それで利用者が増える。

ということで、私は、民間というものは、自分が事業を拡大しようとか評価を上げようとか、そういうふうに事業を発展させようと思ったら、自分が考えてやるべきであって、こちらからやれということではないと思います。

確かに、今のコンビニもたくさん利用されるようになりましたから、外国人が来て最初に行くのはコンビニだと言われています。これは凄いことですよね。ですから、そのコンビニも、先ほどお話があったように、やはり来てもらおうと思ったら、トイレを貸したり、バリアフリーのトイレを作ったり、休憩所や椅子があるところは、もしかすると、皆がどんどん集まるかも知れませんよね。

トイレを貸さない、入口が狭い、段差がある、となれば行かなくなります。それは、個別のお店の方が考えることであって、今おっしゃった中間的なものがあるかもしれません。やってもらいたい、努力の目標がありますが、あまり厳しく決めない方が、そういうことをやらないと脱落していくわけですから、競争社会ということで、あまり細かく決めないほうが、私はいいのではないかと思います。

 

(秋山委員)

今、坂本委員がおっしゃった部分は街づくりのほうで、条例の役割というのはどちらかというと、単体を一つずつ底上げしていくという役割があります。

街づくりの中でどうやっていくか、おそらく、ミルトン・ケインズという都市が、ショップモビリティを78年に最初にやって、英国では300近いショップモビリティが出来ているのですが、それは世界的に見るとほとんど英国だけのもので、日本ではわずか10か所くらいしかできていないと思いますが、そういう街づくりに関わる部分と条例に関わる部分との接点をうまく考えていけたらよろしいのかなというのが、坂本委員の御意見のように思いますが、そこは条例だから関係ないとしてしまわないで、何か次のプロジェクトがあった時に、そこを丁寧にフォローしていくようなやり方も、もう一方にあるのかなと思います。

 

(大原会長)

私の個人的な考えですが、この条例が、要するに、今言われたように、単体の建築物等にどうも限定してしまっているというもどかしさをいつも感じていて、都市計画と連動させていくとか、各地で、例えば、バリアフリー基本構想を立てて重点整備地区になっているようなところは、例えば、この条例の方をここの部分を強化していくとか、何かそういう街づくりなり、都市計画との連動ということが一つは必要となっているのではないかと常々感じております。

簡単なことではないのですが、条例の中に閉じこもるのではなく、条例の他とリンクしているということを、何らかの形で、盛り込んでいくことができればいいなと思っていますが、まだそういうことをやった自治体は多分ないと思うので、そのようなことも意見として言っておきます。

 

(野北様)

吉富の代理で参りました野北と申します。神奈川子ども未来ファンドは、子どもや若者を支援している団体です。私は子育て支援をやっておりまして、今、国土交通省でもベビーカーの運用について検討が進められていると聞いておりますが、実は、ベビーカーの通りやすい道路は、車いすも通りやすいのです。段差が少なくてベビーカーを押しやすいところは、車いすも通りやすい。それから、ベビーカーを押して入れる場所は、車いすの方も通りやすいと思っております。例えば、道路のグレーチングの角度ですが、道路に沿って溝に車輪がはまってしまうような位置に置いてあるだけで、実はすごく通りにくいのですが、その向きを変えていただくだけで、車いすもベビーカーも車輪が引っかからなくなって通りやすくなるような、本当に小さなことでも改善されることが結構あると思っております。

福祉の方から考えていくと、障害のある方とない方という差が、最近ではなくなってきまして、誰でもがそういう立場になり得る世の中になってきていると思います。例えば、私自身がここを出た時に一歩つまずいて骨折してしまったら、そこからは、やはりいろいろな方の手助けが必要になると思うと、こういう人がいるからこうだと考えると分かりづらくなってしまうので、自分が通りやすくなるようにするにはどうしたらよいかや、子育てしているお母さんたちも、妊産婦さんから乳幼児さんから、いろいろな年齢の方がいますが、抱えている問題を突き詰めて考えていくと、障害の方の問題とあまり変わらないところもありますので、一緒に考えていただければと思っております。

 

(大原会長)

ベビーカーに関しては、秋山先生が国で検討されていたと思うのですが、何か補足はありますか。

 

(秋山委員)

昨日、乳幼児を預かっている場所でワークショップをやって災害の話をしていたのですが、意外に皆さん御存知なくて、家に閉じこもっていてどうしたらいいか分からないということがあって、それをやったことによって、結構、皆さんにこうすればいいんだという理解をしていただきました。

それから、外出するときに、ベビーカーというのが、実はバリアフリーの条例で救われていたり、あるいは、国土交通省のバリアフリー法によってエレベーターがたくさん出来たことによって、鉄道やバスに乗るようになったという、かなりいい意味での効果がベビーカーという形で現れて、新たな問題として、他のお客さんとのコンフリクトというのが出てきていまして、これを何とかしようということで、ルールづくりとか、ステッカーを貼ってこういうふうに使いましょうというような事が、今、国土交通省も含めて進めているところです。

これから、条例の中でもいい意味で取り込んでいただけるとよろしいのかなと。条例として文書として書けるかどうかは別として、効果が相当現れていて、世の中ではベビーカーの人は邪魔だという人と、配慮してちゃんとやりましょうという人と、両方に分かれています。特に、意外に、50、60代の女性が冷たかったりする例が多いのですね。

そのようなこともありますので、ベビーカーも、いい意味でバリアフリー条例の中にどう組み込んだら良いのかを少しお考え置きいただきたいなというお願いもございます。

 

(鈴木委員)

鈴木です。今までずっと、皆さんの御意見を考えておりまして、そろそろ言っておかないと危ないかなと思いました。

というのは、やはり、こういう建物ですとかそういったところをやっていく時、どうしても車いすの方とか、ベビーカーの方とか、肢体不自由の方とかと対立するところが、誘導ブロックや点字ブロックが邪魔だとか、つっかかるということです。

先ほどの話の中にも、つまずくとか、商品が壊れるという話がありましたが、実際に、誘導ブロック等につまずいて転ぶケースがどれだけあるのかという実態がないので、ただ、雰囲気的に邪魔だよなという話は、何となく私たちもひしひしと感じるところがあるわけですが、僕なんかは今日も一人で来ましたが、途中で誰かが助けてくれたりするので、なくてもいいのかなと思いますが、一人で歩いている人達は、あれを結構頼りにしているのですね。

先日、僕は階段から落ちましたが、なぜ階段から落ちたかといいますと、ホテルの中で、階段の手前の警告ブロックがなかったのですね。3段ほど落ちてしまい、まだ少し痛いのですが、そういうこともありますので、やはり、その危険性といつも隣りあわせにいるのだなと思っています。

それと、道路のこともそうなのですが、2センチの段差というのが結構いろいろ言われていて、あの2センチがないと確かに楽なのでしょうけれども、我々は境目が分からないので、道路に出て待っていたりすることもあるのですね。そうすると、その辺のところは、せっかく誘導ブロックがJIS規格になって、もうかれこれ10年以上経っているわけですけれども、そういったものがきちんと守られていてないということは残念だなということと、それから、誘導ブロックの色が建物とマッチしないなどと言われてしまうのですが、景観に合わないなどというのですが、あの色は、国際的なISOの基準にもなるような、セーフティーイエローという基準なのですね。ロービジョンの人たちは、あれを見て歩いたりしているのです。そうすると、それは我々で言うと、安全で歩いていけるという意味での中身になるので、建物の景観に合わないから色を変えちゃえ、でこぼこしていればいいだろうということではないという理解が進むといいなと。

それで、僕などは全盲なので、色はいいのではないかと思うのですが、ロービジョンの人たちと話をすると、あの色だから我々は歩けるのだという人たちもいるので、その辺は、サインとか表示とかと一緒に考えていただければというふうに思っています。

それとやはり、究極、見える人たちにちょっと避けてもらえばいいのではないかというのがあって、そんなところで、やはり、ブロックというのは、邪魔者っぽいけれども、我々にとっては、とても必要な部分なのだという御理解がいただけるといいかなというふうに思っています。

 

(花方委員)

花方です。運用状況の中の2ページ、事前協議の適合率と遵守率という二つの項目が上がっていますが、適合率と遵守率の違いは何ですか。

それと、もう一点関連して、前にありますけれども、100%合格しないとOKにならないということですけれども、施設の中には、追跡調査されて、竣工時を見てこれでもう十分だという認識を持たれているのか、やはりこれはどうしても基準を守ってもらわなければいけないのではないかという認識を持ちながら不適合、遵守率が低いと言われているのか、これは、今後検討する上で、非常に重要になると思います。

 

(事務局)

適合率と遵守率については、資料4-1の1ページ目に書かせていただいております。適合率といいますのは、全体の協議件数に対して、すべての項目をクリアしているという件数がどれほどあるのかということを示す指標でございます。一方、遵守率と申しますのは、全体の協議件数に占める、先ほど出てまいりました全項目適合の他に、13条ただし書き適用と呼ばれるもの、前段、後段とございますけれども、適合ではないのですが、整備基準を守るのと同じ程度に障害者等が安全快適に利用できる場合、具体的な例で申し上げますと、ブロックを設ける代わりに職員が常駐して人的な介助を行う場合ですとか、後段適用と申しますのは、建物の規模や構造、利用目的等から整備基準を守ることが難しい場合、具体的な例で申しますと、増改築等で小規模で廊下の幅が確保できない場合等、そういった場合について、適合ではないけれども、遵守という扱いにしているということで、その遵守率というのは、全項目適合の他に、ただし書き適用前段後段の件数を合わせたものの比率を遵守率と申しております。

 

(花方委員)

但し書き適用というのは、基本的に、適合しているという判断ではないのですか。

 

(事務局)

適合という扱いではなく、遵守という扱いになっております。

 

(花方委員)

支障がないから但し書きを適用しているのではないのですか。問題がないということを認めて遵守にしたというのは、その項目は守らなくていいという判断をされているのではないのですか。

 

(事務局)

守った場合と同程度の安全が確保されているということです。

 

(大原会長)

要するに、制度的に見れば、項目が全部数値をクリアしていないかもしれないけれども、性能的に言えば、おそらく適合しているとみなされるものが、ここでいう遵守率と。

我々が気にしなければいけないのは、遵守率以外はあきらかに不適合であるので、とりあえず、遵守率を見ていけばいいと考えてよろしいですよね。

 

(西條地域福祉課長)

全項目適合というのは、非常に厳しいといいますか、この条例の性格上、整備基準というものを設けておりますので、それに適合しているかどうかということは、一つの重要な指標ではあります。ただ、制度上は遵守されている、それが遵守率です。

ただ、その遵守率も近年下がっているというのが、これはどういう訳かということで、課題として挙げさせていただいています。

 

(花方委員)

この遵守率のパーセンテージ、これは余りにも低すぎるというか、我々は建築基準をやっているのですが、このパーセントになると、もう何といいますか、法律として機能していない、法律として間違っているとしか言いようがない数字なのですね。

本当にこれが実態を表しているのかどうかという、非常に疑問に感じて、それで、先ほどの弾力的な運用も必要じゃないか、対象や規模によって項目を減らすとか、いろいろな策を考えないといけないのではないかという意味なのですが、この数値は余りにも酷過ぎるので、先ほどの質問の二番目の追跡調査はやられているのでしょうか。

現地調査、要は事前協議での数字ですよね。事前協議をされたものが完成した時には、見に行かれているのでしょうか。

 

(事務局)

建築指導課からお答えします。バリアフリー条例の協議に基づきまして、最終的に完了届が出てきております。それについては、現地に行って、その通りにできているか確認をさせていただいておりますし、場合によって、写真提出ということを認めておりますので、協議箇所を撮影してきていただいて、それに基づいて協議どおりできているかチェックさせていただいているところでございます。

 

(花方委員)

完了検査をするということは当然の話ですが、先ほど、条例の中で、整備基準と付加条例と二つあるということですが、付加条例の方は間違いなく提出されているということがいえるのですが、整備基準のほう、これをチェックされているかどうかということをお聞きしたい。

 

(依田建築指導課長)

完了届の後、実際にお使いになられた段階での建築サイドでの追跡というのは、事実上、行っておりません。

やはり、利用者さん側で使っていただくのですが、ただ、一つの配慮といいますか、このように遵守率が低いという事実の中で、今後、お使いいただいていく中で、建築基準法に関する手続がないにしても、いろいろといじるケースがあるのですね。

改修をするとかそういう時に、遵守率については、なかなか適合しないところがありますので、この部分については、是非、今後お使いいただく中で、改善の方向で目指してくださいという、あくまでも任意ですが、窓口で任意の指導を行うことはございます。そういう中で、啓発をさせていただいて、事業者さんの自主的な改善を期待しているというのが実情でございます。

 

(花方委員)

関連でお話しして申し訳ありませんが、この条例そのものはこれから議論されるということですが、建築確認の関係で、ちょっと事例でお話しさせてもらいますと、最近は、確認を取らずに工事をやるケースはほとんどなくなっています。

検査済証の交付率も非常に高くなってきたのですが、最近の傾向として、検査済証の交付率が下がっているので、国が一生懸命追跡調査をするように話をしておりますが、私は、多分追跡調査しても検査率が上がらないのではないかと思っております。

それは、近年、木造住宅の耐震基準が非常に厳しくなっております。

基準が厳しくなることは、防災上必要なことであり、それはそれでよろしいのですが、増築する際に、既存部分の手直しが非常に困難なものまで、遡及適用する規定にしております。実際に手直しが出来ない場合には、もう建主さんは検査済証をもらうのを諦めてしまいます。

結果として、検査済証の交付率が下がることになりますが、検査率が下がったことだけを問題にして、その要因を調べなければ、問題の解決にはなりません。

この事例のように、趣旨は大変結構なのですが、それが実情に合わなければ、やはりうまくは運用できないということになるかと思います。

そういう意味で、実態として、遵守率が低くなった結果、物が悪くなったのか、そうではなくて、それでも、条例があった方が良いという状態なのでしょうか。検証していただきたいなと思います。

 

(大原会長)

要するに、例えば、基準を下げれば、おそらく遵守率は上がってくるわけで、もともとの設定自体に無理がある仕組みがあったのではないかということも考えなくてはならないということですね。

特に、現実に福祉施設や何かにするにしても、小規模の作業所だとかグループホームなどもかなりの部分そうなのですが、既存の建物を改修したり用途変更したりするような場合で、そこでまたいろいろな問題が現実に起きているということがあると思いますし、全くの更地に新築で建てるというのとは違う、いろいろな複雑な問題が出て来ていますので、なかなかその辺が一律には行かないのではないかというような辺りも、今後具体的な対象範囲をどこにするかとか、用途とか、建物の種類をどう考えるか、規模をどう考えるかというような疑問を、これから先、細かくやっていくことになると思いますが、その辺りでも意識して扱う問題としてはあるかなと思います。

大分時間が経ってしまいましたので、まだ御発言されていない方にも、一言お話を伺っていきたいと思います。

 

(戸井田委員)

県身連の戸井田です。お願いなのですが、歩道の道路などが、水はけのために少し傾斜していますよね。ああいう傾斜というのは、車いすで通るときにはすごく怖い状態なのです。そして、いつもこういうお話が出るときには、中央、メインのお話ばかりなのですが、まず障害者が外に出て行くようなことをするということは、家から一歩出たところからバリアフリー化されていないと出て行けないのですね。バス停に行こうと思っても、水はけのために道路が少し傾いでいる。そうすると、なるべく真ん中を通りたいと思っても、自転車が来たりしてなかなか通れない。もう少しそういうことも考えてほしいということと、それから、いろいろな街によっては、歩道と車道の段差が2センチどころではなく、もっと高いところがある。そういうところでも、斜めに傾斜していますと、車いすでは非常に怖いのです。そういう実態を分かってほしい。

とにかく、バリアフリーというのは、大きな公共施設、大きな道路、大きな何かではなく、まず障害者が一歩自分の家から玄関へ出た時からのバリアフリーについても考えてほしいと思うのです。大きなところに出て行ってバリアフリーになっていれば幸せですが、一歩出ることができないのです。

そして、車いすの障害者でも、できれば自立してなんとかして自力で行きたいという方もたくさんいますので、そういう方のことも考えたバリアフリーというものもきちんと考えてほしいことと、そしてもう一つは、トイレなのですが、みんなのトイレとか、すごく格好のいい言葉のトイレが出ていますが、車いすの障害者は、時間的に行っている人もいます。ところが、行ってみると、家族が、ママにおばあちゃんに子どもたちを連れて、3人、4人、5人という中に入っていますと、それだけ時間かかりますよね。そうしますと、車いすの人たちは、トイレをするにもやはり工夫がありますから、時間がかかるのです。それで、待ち時間が入ってしまうと、漏らしてしまうとか、いろいろな情報も入ってきますので、できれば、車いすのトイレは、みんなのトイレの他にきちんとしたものをつくってほしいのです。

バリアフリーのためには、それが必要だと思いますし、おかげさまで、いろいろなバリアフリーという言葉ができていて、心のバリアフリーというのが、一般の人にも少しずつ認識されるようになって、いろいろなことに対して、何か困ったなと思っていると、すぐに声をかけてくださるという、心のバリアフリーというのが非常に感じられるようになりました。

とにかく、家からまず一歩何か出たらバリアフリーでなければいけないということを本当に頭の中に置いて、そして、バスを使うときの、そこまでの区間も考えてほしいと思います。できれば委員の皆さんにも、車いすの体験をするとか、アイマスクをかけて視覚障害者の体験をしてみるとか、そういう体験をきちんとしてほしいと思います。

 

(小渡委員)

小渡と申します。建築の設計に携わっておりますが、住宅から庁舎までいろいろ体験しております。先ほどの皆様のお話を伺っていますと、どれも設計していく上で参考になるお話ですが、まず、実際に設計していますと、適合をいただくということがあるレベルまで一生懸命努力するのですが、あるところで一歩クリアできないところが出てしまうと、施主の方が諦めてしまうというか、適合証はいらないというケースも非常に多いわけです。そういった中で、よいか悪いかということではなくて、レストランの星マークではないですが、一つかゼロかではなくて、これだけやってあったらこのマークがもらえる、けれども、ここの部分が欠けていたらこのマークはもらえない、というような仕組みだと、もう少し建物の目的によっていろいろ出てくるのではないかなと思います。例えば、絶対に使わない人のためのような基準は、クリアしなくてもいいと。

複合の福祉施設を設計したときに、やはり、事前協議で点字ブロックの話がありましたが、そこは地域の決まった人だけが来て過ごすところであり、そこには、今現在はそういう方がいらっしゃらない。だから、それがなくて適合証がもらえないのならいいというお話で、全然施設としては問題ないというようなことがありまして、この5年間見ていますと、社会の福祉関係の施設がすごく多様化してきているように思いますので、基準法の中だけの用途もかなり変化してきて、一つの言葉ではくくれない建物が多くなっています。どちらかといいますと、基準法自体は守られた上で、こういうバリアフリー条例のようなものは、かなり神奈川県という大きな県の中では、地域によって相当ニーズが違うのではないか。

それから、そこに住んでいる人たちの顔がつながっている地域と全くつながらない地域では、ソフト的な、心の支え合いのようなものも違うのではないか。それから、使う施設も違うのではないかと。ですから、使う施設に対して、そこの住民たちが、こういうバリアフリーのニーズがあるという目的が出てくれば、そこは必ずバリアフリーにしていただきたいというような、地域ごとにそういう取組みができればすごくよろしいのではないかと思うのと、また、設計をしていて、実際に500平方メートル以下になりますか、やはり、財力もないし、土地もないし、そういう中で何か経営をしていこうというときには、非常にそういう基準が厳しいものになっているかなとも思います。

ただ、今、新築のものについては非常にいい方向には向かっているとは思いますが、むしろ、こういった時代ですと、古い既存の空き家の活用は非常に目立っておりますが、空き家活用につきましては、先ほど花方委員がおっしゃられたように、非常に厳しいものがございますので、もう少し、そういった点、基準法の中でも、既存の部分と新築の部分との区画ができればいいとか、いろいろ緩和されてきてはおりますが、まだまだ用途を変えようと思うと、非常に厳しいところがあるなというふうには感じております。

先ほど先生がおっしゃられたように、市場に任せるということと、基準法で義務化していくことと、それから、インセンティブを与えていくという、そういった部分ですね。何か努力した施設には、何か御褒美をというのがすごくいいのではないかなと思っています。

今、車いすの話をされましたが、私は、後期高齢化社会といいますか、超高齢社会では、ほとんどの方が、やはり、何らかの健常者と違う、足腰あるいは視覚などいろいろなところで、ある意味障害を持っているわけです。ですから、先ほどの歩道の勾配とか、車道と歩道の段差とか、高齢者にとっても非常に危険なところがあるなというふうに思っていまして、こういう委員会でいつも感じるのは、やはり、先ほど子育て支援の話がありましたが、高齢社会の人口の比率から見ますと、女性が非常に多いわけですね。

女性はライフステージにおきまして、子育てをしていたり、親の介護で寄り添ったり、あるいは、子どもを連れて歩いたりということで、廊下の幅というのは、このバリアフリー条例でいろいろバリアフリー化されてきまして、非常に育てやすいし、車いすと同じように、ベビーカーでも使いやすくなってきていますし、それから、親を連れてトイレに入るとか、そういうようなことも、トイレのいろいろな機能ができてきたことによりまして、使いやすくなっていますので、もう少し女性の利用者の生の声が聞けるといいなと思います。今この場には3人ですよね。もっといっぱいいらっしゃるといいなと感じました。いろいろなライフステージのところで経験するいろいろなことが、こういった条例の改正見直しをするときには役立つのではないかという感じがしております。

 

(熊谷委員)

神奈川県聴覚障害者協会の熊谷です。聴覚障害者の代表として参加しております。

聴覚障害者というのは、音声によるコミュニケーションができないというふうに思ってください。今、社会は、皆さんのいろいろな協力のおかげで、以前に比べると情報は取得できるようになり、情報取得のバリアが低くなってきましたが、それは、平時の時です。平時の時はほとんど生活できるようなレベルになってきましたが、緊急時の情報保障は、今のところ全くできていないという状況です。

多くの人も同じだと思いますが、緊急時の情報保障については、聞こえないので、隣の人に聞けばいい、隣の人に助けてもらえばいい、というふうによく言われますが、実際に緊急時は、皆さんも周りの人も、精神的に落ち着いた時ではありませんので、どういう状況なのか情報を周りに聞いても、周りの皆さんも自分のことで精一杯ですので、ほとんど手助けができない状況です。そういったところも、今、聞こえない人にとっては課題になっています。

もう一つ、聴覚障害者にとって一番問題なのは、例えば、密室の中にいるような状況、例えば、エレベーターのかごや、ホテルの部屋やトイレにいる時には、外部の情報が全て遮断される状況になります。そうすると、情報が取れない。それが一番困ります。

例えば、公共施設の場合、エレベーターのかごの中では、突然止まった場合に周囲の状況を外部に伝える方法がありません。あるといえば、マイクが付いているだけです。私たちの場合、マイクは使えませんので、ただ黙っているだけの状態になってしまいます。

その部分も、緊急時の場が多いと思います。その辺りも、皆さんと一緒に考えていければと思っております。

他にもいろいろありますが、今の時点ではそのことをお伝えしておきます。

 

(小野委員)

神奈川県障害者自立生活支援センターの小野と申します。自己紹介にあたって、あらかじめ皆さんにお伝えしておきますが、私は東北の福島県出身で、しゃべり方で「あれ?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんので、先に言っておこうと思いますが、震災を機に神奈川の方に生活の場を変えまして、当法人にお世話になっている状況です。

こちらに来て、自分が住んでいた地域に比べると、本当に住みやすい地域だなとは思っていますけれども、今回のこの資料を見させていただいて、いくつか気付いた点をお話しさせてもらいたいと思いますが、この動向についての資料は、大変申し訳ないのですが、私たち障害者の生活のしやすさと比例した数値ではないなというのが、やはり印象としてあります。

各委員の中でもお話がありましたけれども、例えば、エレベーターとかみんなのトイレとか、ある程度誰しもが使える場所、そういったところの設備基準というのは非常に上がっていますし、商業施設等のみんなのトイレとかエレベーターというのは、各意見にもありましたが、それこそ、集客率に繋がる可能性もありますので、ある程度守られている可能性もあるのかなと。

そういった意味で考えると、やはり、まだまだ私たちの生活に見合った部分、この条例でいう「障害者等」に該当する人たちの生活の水準が上がっている数値と見合っていないのかなということです。

というのは、この資料にもありますように、私が印象としてあったのは、この金融機関の遵守率が高いというのが、私としては疑問に感じているところがあって、例えばATMとか、それから、何か手続きをするときの、障害者等のための特別な台座とか、そういったことを考えると、本当に基準どおりなのかなと思うところがまだまだあると思います。

それから、この数値で福祉施設の遵守率と適合率が低いとありますが、私の印象としては、協議件数が福祉施設だけ格段に多くてその他の施設が圧倒的に低いことの方が、問題になるのではないかと思います。福祉施設の場合、行政機関とのやりとりが必要不可欠ですので、行政機関の方々も介入しやすいですし、いかに福祉施設が障害者のサービスというか、支援をカバーしているかというのも見受けられるのではないかと思います。

それから、福祉施設の方でもありましたけども、この資料を見る限り、適合率が低くても、遵守率はもう少し高くてもいいのではないかと思います。

というのは、福祉施設の場合には、この資料を見ると、ある程度利用者も限られてきていることが考えられる。利用者が利用しやすい環境であるということを考えれば、遵守率がもう少し高くてもいいのではないかと思います。

ただ、車いすの人が点字ブロックが邪魔だからいらないというところは、少し違う意見だと思っていて、要するに、障害といっても、車いす使用者は視覚障害がないというようなことではなく、重複障害の人たちもいるわけですから、ハード面の設備に関しては、今の福祉法とか総合支援法とか、そういったことも考えると、ある程度全ての障害のことを意識したハード面の設備というのも、考えておかなければいけないと思います。

ただ、この書類上の数値でいうと、福祉施設は、協議件数が3桁もあるわけですから、遵守率はもう少し高くてもいいのかなと思いました。

あともう一つは、エレベーターとか、移動ですね。車いす使用者の場合には、特に移動の手段です。確かに、エレベーターが設置されたことによって、全ての人が移動しやすくなったということはあると思います。ベビーカーの方、それから、高齢者、いろいろな方が利用しやすくなった。ただ、これはみんなのトイレとも同じようなことが言えるのですが、エレベーター、みんなのトイレ、これは条例でいう「障害者等」に該当する人たちだけが利用するわけではないのですね。健常者の人たちも十分利用します。で、意識として是非考えていただきたいのですが、車いす使用者に限定した言い方で大変申し訳ないのですが、私たちの場合には、例えば、駅のホームから改札に下りるエレベーターを利用する場合、選択肢としてエレベーターしかないということです。他の方々は、エレベーターの他に、エスカレーターや階段等があります。要するに、今、高齢化社会になってきて、エレベーターも必要不可欠になってくると思います。そうすると、設備基準が比較的高いものに関しては、より高い基準を求めていってもいいのではないか。ベビーカーに関しても、大分普及が進んできて、ベビーカーの機種や車種も様々になってきていますよね。海外製のものも増えてきて、三輪バギーのようなものもありますよね。それから、双子の赤ちゃんも乗れるようなものもあります。ですから、中のかごの広さや、視覚障害者にとっては「こちら側の扉が開きます」というアナウンスがあっても、どちら側か分からないということもあるわけですね。

そういった意味では、この5年間で設備基準が比較的高くなってきたものに関しては、より高度なものを求めていっていいのかなというふうに思います。

それから、条例の場合だとハード面のところがあると思うのですが、ハード設備を充実化させていくと同時に、防災や防犯の視点でも設備基準を考えなければいけないと思います。私が利用している駅構内の施設では、みんなのトイレを利用する際には、出入口付近のインターホンを押して「どうぞお使いください」と言われて初めて扉が開くところもあります。それは街づくり条例の適合施設ですという案内があったところだと思いますが、私の場合は自分でインターホンを押すことができますが、押せない人たちもいるわけです。押せない限りはその扉は開かないので、そのみんなのトイレは利用できないということです。このインターホンを設置した理由としては、防犯上の問題ということです。いろいろな事件があったりとか、そういうことを考えると、必要な人だけが使いやすくするためにインターホンを付けたということも考えられますが、みんなが使いやすいところというのは、防犯や防災という視点でも意識しなければいけないのかなと。それによって、本当に必要な、ここでいう「障害者等」という人たちが使いやすい環境がどれだけ上がっているのかなと意識しなければいけないと感じました。

 

(若林委員)

神奈川県旅館ホテル生活衛生同業組合の若林と申します。この条例は、先ほど説明がありましたけれども、昭和63年の要綱にスタートして、いろいろ進化した中でこの条例ができているということで、やはり、それなりの効果といいますか、施設整備については進んでいると思っています。

先ほどの整備基準の話にもありましたが、それが仔細に渡って細かく出ているので、それらに基づいて整備ができていると思っておりますが、不適合というのは、1項目で落ちると駄目だということで、この辺も課題ではないかと思っております。

旅館等から言わせていただきますと、整備はしたいけれども、物理的にできないという旅館、ホテルもございます。建築物等で文化財の指定を受けているとか、登録文化財であるとか、そういったことがあってできないのですが、先ほど坂本委員からお話がありましたが、施設側として、お客さんに満足していただく、楽しく過ごしていただくためには、当然やらなければいけないということがありますが、物理的にできないこともありますので、その辺を御理解していただきたいということと、どうしても施設側におんぶに抱っこと言われると困るので、今後の課題として、もう少しソフト面でこの条例をさらに向上させるようなことが盛り込めないかということを感じた次第です。

 

(磯嶋委員)

JR東日本横浜支社の磯嶋と申します。私どもJR東日本は、公共鉄道事業者という立場で今日は参加をさせていただきました。

横浜支社管内は、一部東京都エリアもございますが、全部で108の駅がございます。そのうち、3000人以上の乗降がある駅のバリアフリー設備の設置状況でございますけれども、108の駅のうち、バリアフリー未整備駅は11駅ございます。この11駅の中でも、大規模な改修工事に着手いたしまして、逐次整備を進めております。整備状況は9割を超えている状況でございます。

秋山先生を中心に、公共交通機関の移動等円滑化ガイドラインも改訂をさせていただきまして、設備基準については、一定のものを有していると思っております。

ただ、実際に御利用いただく方の視点で考えますと、必ずしも満足度の高いものにはなっていないというふうにも認識しておりますし、2ルート目のバリアフリーの整備についても、弊社として関係行政機関と調整をしながら整備を進めている状況でございます。

今日いろいろお話をお聞きしている中で、先ほどの宮川委員からも御発言がありましたように、目指すべき方向性といいますか、ビジョンをもう少し詳しく示していただいた方が、取組みやすいのかなという気がいたしました。

どちらかというと、ハードの設備基準が中心になってくるきらいはありますが、やはり全国に先駆けて、神奈川県のバリアフリーの条例をいいものにしていく意味では、もう少し、目指すべき方向性を詳しく示してもいいのかなという感じがいたしました。

それから、課題といたしましては、神奈川県は政令指定都市が3つございます。横浜支社は東京都内も一部管轄をしておりますが、自治体によって若干の整備基準の違いがあるというところも、整備をしていく立場からすると、是非統一化を図ってほしい点ではございます。

また、エレベーターの耐用年数は17年ですが、駅という性格上17年に満たずに老朽更新をしていかなければいけない状況もございます。また、御利用状況から当初設置した11人乗りのエレベーターを15人乗りとか場合によっては20人乗り以上に整備したほうが良い駅もあると感じております。そういった中で、この検討委員会の方向性とは違うのかもしれませんが、例えば、老朽更新や設備増強の時にも補助していただけるスキームを是非御議論をいただければ、より良い設備を今後も更新していけるのかなと思っております。

確かに、世の中の状況も日々変わってまいりますので、時代の要求に応じた設備を設置していかなければいけないという認識もございますので、そういった議論も併せてしていただければと思います。

 

(斉藤副会長)

それでは、私の方から意見をさせていただきたいと思います。

今回、条例改正に向けてということで、事前にいろいろ資料を拝見させていただき、また、この場で皆さんの意見を聞きながら、大きな視点が二点あると思っています。

一点目は、条例そのものは、技術的、運用上の課題といいますか、運用する中で、それが非常に大きく問題となってきている。基準的な対応というものを今後どう考えていけばいいのか。

それから、社会的な進展、あるいは人の意識の変化、そういったものから新たな対応、視点を強化しないといけない。

この二つの課題を全て条例で賄うというのはなかなか難しいと思います。

最初の、技術的な対応ということで言えば、皆さんの御指摘のように、現在の遵守率の状況からして、運用上の問題ということが非常に大きく取り上げられます。そういう意味では、現状の整備基準を上げたり拡大したり、あるいは深めたりということがあると思いますが、やはり、義務的にどこまで強化すべきなのか。社会的な状況を踏まえ、誘導あるいはそれを強化する部分はどこなのか。そういったものを仕分ける必要があると思います。

その時に大事なのは、バリアフリーには、様々な対象施設があるわけで、その中で条例では公共的施設というふうに言っているわけです。この公共的施設ということに対する認識強化を社会的にもっと高めなければいけないのではないか。公共的施設ですから、当然、遵守するあるいは適合に向けて努力していく、そういった共通認識が極めて重要で、公共的施設という位置付けをどう再認識し、考えてもらうのか。

そのためには次の視点の導入につながっていくのですが、皆さん方が言っているように、心のバリアフリーを考えなければいけない。しかし、条例の中にそれを入れるというのは難しいと思うのですが、先ほどからの議論で、ハードとソフトをいかにして融合していくのか。街づくりとの連携をどういうふうに取っていくのか。要は、新しい視点というのは、条例でできる部分と条例以外のハードとソフトの連携、例えば心のバリアフリーと街づくりの連携が必要な部分もあるので、今後は、条例もこうした範囲や分野も関連付けて考えないといけない。

それから、心のバリアフリーも含めてですが、社会的事情として災害時対応や差別解消法の関係からも、こういった流れをどう組み込むか。こう考えると、いかにして条例を機能強化するのかといった課題と、一方で、街づくりに関わる部分との連携をどう強化していくのか。そこが非常に重要と思います。

遵守率の低下のところで思うのですが、事前協議というのが形骸化しているところもある。事前協議の形骸化というのは、そういった公共的施設に対する思いとか位置付けが弱まっていたり、あるいは、事前協議そのものが、協議はするが、施設整備にはつながらなくてもいいのだという流れができていないか。

そういった根のところをもう一度、この条例の改正に合わせ、公共的施設であるという意識、つまり社会的な共通認識を条例改正と合わせて高めていく。そういった議論も必要と思います。

条例そのものの見直しと同時に、周辺の社会的意識、そういったことも踏まえ、義務的な内容の強化と誘導の在り方を検討していくべきではないかなと思います。

 

(大原会長)

時間が超過していますので、まだ話し足りない方もたくさんいらっしゃると思いますが、この後、メールや何らかの方法で事務局の方に、こういうことを言い忘れたと、こんなことも大事なのではないかというようなことは、どうぞお知らせください。

斉藤先生のまとめで大体まとまったと思いますが、作業を進める上で、まず、基本的な問題意識として、今までの条例が実態に即していないところを確認することが必要と思います。それにはまず、今までの条例で扱っていなかった外の部分というのがまず一つですね。それが条例に取り込めるかどうか、あるいは、他の様々な計画や事業と連携してやっていけるのかという、まずは、今までの条例の外の部分の検討。

それから、今までの条例の中には、規則や何かで書いてあるけれども、実は運用上、プロセスの問題でそれがきちんと実現していない、つまり、目的と実際の基準とがうまく整合していないという運用の問題という辺りですね、それが二点目。

それから、三点目は、条例にも書かれていて、かつ、いろいろと細かく規定されているけれども、それが不十分だという、建物の用途だとか、規模の問題とか、様々な問題があると思います。

その三つに区分して整理して、事務局の方で、今日出されたいろいろな問題をどう対応できるのかということを整理していくということが当面の課題だと思います。

ということで、作業をするのは事務局ということですが、数か月先に、次回その辺りの対応の案を考えていただいた結果を皆さんにまた御議論いただいくということになるかと思います。

 

(坂本委員)

適用除外について、横浜市と川崎市になっていますが、相模原市も政令市になってバリアフリーの条例がありますので、適用除外に相模原市も入るのではないかと思うのですが、その点を相模原市に確認していただいて、聞いていただければと思います。

 

(大原会長)

大分時間を超過してしまいまして、次回はもう少し効率よく運営する方法を考えたいと思います。今日は長時間どうもありがとうございました。それでは、後は事務局の方から何かあればお願いします。

 

(事務局)

ありがとうございました。最後に、福祉部長の石黒から御挨拶申し上げます。

 

(石黒福祉部長)

福祉部長の石黒でございます。本日は遅れて申し訳ありませんでした。

皆様方におかれましては、快く委員をお受けいただき、また、お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございました。

今日、非常に活発な意見交換をいただきました。皆様方からいただいた意見を踏まえまして、本条例の見直しの検討を進めてまいりたいと考えております。

本日は誠にありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

(事務局)

以上を持ちまして、第1回神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例見直し検討会議を閉会させていただきます。

次回の会議の日程や場所等につきましては、今後調整を行ったうえで、決まり次第皆様方にお示ししたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

本日は御多忙中御出席いただきまして、ありがとうございました。

(以上)

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