(参考資料別冊)3 公共交通機関の移動等円滑化整備ガイドラインの改訂について 平成25年6月12日 安心生活政策課 公共交通機関の移動等円滑化整備ガイドラインの改訂について 1.改訂の経緯 ○バリアフリー法では、旅客施設、車両等に求められる整備基準(義務)が省令で定められているが、義務ではない望ましい整備内容も含め具体的に示したものが「公共交通機関の移動等円滑化整備ガイドライン(旅客施設編・車両等編)」(前回改訂は、平成19年7月)。 ○今回の改訂は、前回改訂から5年が経過し新たに課題として把握されたもの、調査研究等を経て概ね対応の方向性が見えたもの、多様化する旅客ニーズの変化等を踏まえ、当該ガイドラインのスパイラルアップを図るため、平成24年1月に「公共交通機関の移動等円滑化整備ガイドライン検討委員会」(委員長:秋山哲男北星学園大学客員教授)を設置して、高齢者、障害者等の公共交通利用当事者、公共交通事業者、学識経験者等の意見を聞きながら、幅広く検討。 ○上記委員会でとりまとめた改訂案に対するパブリックコメント(平成25年2月15日〜3月14日)の実施結果を踏まえ、平成25年6月改訂版を策定・公表するもの。 2.改訂の概要 ○旅客施設編・車両等編共通 (1)整備内容区分の変更(現行ガイドラインにおいて義務基準とそれ以外の整備内容が混在していたものについて、位置付けを明確化) (2)「移動等円滑化整備の基本的な考え方」、「ガイドライン整備の経路・施設配置・情報提供等の具体的な考え方」 の追加 ○旅客施設編:鉄道駅、バスターミナル、 航空旅客ターミナル等が対象 (1)複数の主要出入口からのバリアフリー経路確保に関する記載の充実 (2)バリアフリーの連続性確保に関する記載の充実 (3)エレベーターに関する記載の充実 (4)視覚障害者誘導用ブロックに関する記載の充実 (5)音声・音響案内に関する記載の充実 (6)トイレに関する記載の充実 (7)車椅子等とともにベビーカーでの利用にも配慮したエレベーター設置が望ましいこと等の明確化 ○車両等編:鉄道、バス、タクシー車両、航空機等が対象 (1)鉄道:乗降口扉位置の統一に関する記載の追加、ホームと車両床面との段差低減事例の記載の追加、車いすスペースの増設が望ましい旨の記載の追加 (2)バス:都市内路線バスの車いすスペースの記載の充実、都市間路線バスの乗降用リフトの標準的な整備内容の記載の追加 (3)タクシー:UDタクシーを中心とした記載の見直しと乗合タクシーの記載の追加 (4)航空:トイレに関する記載の充実 (5)車椅子等とともにベビーカーの利用にも配慮した車両内のスペース確保が望ましいこと等の明確化 改訂の要点 【旅客施設・車両等編共通】 (1)整備内容区分の変更 現行ガイドラインでは、省令である移動等円滑化基準の内容を含めた「標準的な内容」と「望ましい内容」の2区分であるが、整備内容を明確化するため、「移動等円滑化基準に基づく整備内容」の区分を設けて、3区分に整理。 (2)「移動等円滑化整備の基本的な考え方」、「ガイドライン整備の経路・施設配置・情報提供等の具体的な考え方」の追記 ガイドラインが個別の施設や設備の整備する際の目安を示すものであることを前提として、整備を行うにあたっての全体的な考え方について提示。 「移動等円滑化整備の基本的な考え方」 ・移動等円滑化の目的 ・移動可能な施設、車両等づくり ・一体的、統合的な整備の方針−利用者を統合的に、施設・車両等を一体的にとらえる 「ガイドライン整備の経路・施設配置・情報提供等の具体的な考え方」 ○移動経路確保の考え方 ・自立的な移動経路の確保 ・自立的移動環境 ・わかりやすさ ・大規模施設での対応 ・施設設置管理者間の連携 ○旅客施設と車両等における施設・ 設備配置の考え方 ・トイレ(アクセスのしやすさ、多機能トイレ機能の分散、複数個所配置) ・休憩施設等 ○情報提供の考え方 ・分かりやすい空間整備 ・接近退出双方の情報提供 ・手段の役割分担 ・異常時対応 ・技術的アプローチ ・表示の方法 ・音案内 ○人的支援の必要性と国・地方公共団体・事業者・利用者との相互の協力体制 【旅客施設編】 (1)複数の主要出入口からのバリアフリー経路確保の記載の充実 離れた位置に主要出入口が複数存在する場合に、その全ての主要出入口においてバリアフリー経路を確保する必要がある旨の記載を追加。 (2)バリアフリーの連続性確保の記載の充実 公共用通路等との出入口をバリアフリー化する際や他の事業者・公共交通機関の乗り換えルートにおいて、施設管理者間や事業者間で調整の上、バリアフリーの連続性を確保する必要がある旨の記載を追加。 (3)エレベーターの記載の充実 15人乗り程度を標準的な整備内容とするとともに、利用実態等に応じて20人乗り以上のエレベーターの導入が望ましい旨の記載を追加。 (4)視覚障害者誘導用ブロックの記載の充実 国土交通省のこれまでの調査 ・ 検討結果等を踏まえ、可動式ホーム柵及び固定式ホーム柵開口部、階段の踊り場、傾斜路等における視覚障害者誘導用ブロックの敷設方法に関する記載を追加。 (5)音声・音響案内に関する記載の充実 音案内の必要性についての基本的な考え方、音案内を整備する上での留意事項と着眼点に関する記載を追加。 (6)トイレに関する記載の充実 複数の方面からバリアフリー経路が確保されている場合に、利用実態等に応じてバリアフリー経路の方面ごとに多機能トイレを整備する必要がある旨の記載を追加。国土交通省のこれまでの調査・検討結果等を踏まえ、多機能トイレの利用の集中に対して分散化を図る観点から、多機能トイレの他に、乳幼児連れ、車いす使用者、オストメイト等に配慮した簡易多機能便房や簡易型機能を備えた一般便房の整備についての記載を追加 (7)ベビーカー利用に関する記載の明確化 近年のベビーカー利用の増加を踏まえ、円滑な利用促進を図るためベビーカーでの利用にも配慮したエレベーター設置が望ましいなど、特に配慮の必要な整備内容について明確に記述。 【車両等編】 (1)各章の前書きの追加 現行ガイドラインでは第2章バスと第3章タクシーにのみ記載のあった前書きの文章を各章に置き、各章における近年の動向や改訂のポイント等を簡潔に記載。 (2) 鉄道:乗降口扉位置の統一に関する記載の追加 ホーム転落防止等に効果的なホーム ドア設置促進のため、車両側における乗降口扉位置の統一が望ましい旨の記載を追加。 (3) 鉄道:ホームと車両床面との段差低減事例の記載 プラットホームと車両の乗降口との段差縮小について、施設側でのホームかさ上げの対応だけでなく、車両側の床面を下げることで段差縮小を図った事例を記載。 (4)鉄道:車いすスペースの増設が望ましい旨の記載 車いす使用者だけでなく、ベビーカー利用者等の増加も考慮し、利用実態等に応じて車いすスペースを増設することが望ましい旨の記載を追加。 (5)鉄道:案内表示の表示内容・表示方法の記載の見直し あらゆる利用者に分かりやすい情報提供を行うため、かな表記の必要性や状況に応じた表示内容の選択等の表示方法の記載を見直し。 (6)鉄道:その他の鉄道の記載の追加 現行ガイドラインの区分に該当しない、鉄道車両の設備のデザインは「通勤型(短距離)鉄道・地下鉄」に準ずることを「その他の鉄道」の項目を追加。 (7)バス:都市内路線バスの車いすスペースの記載の充実 国土交通省のこれまでの調査・検討結果等を踏まえ、都市内路線バスの車いすスペースにおける、車いす固定装置や、車いすスペースに設置する跳ね上げ式座席、車いすスペースの表示に関する記述を充実。 (8)バス:都市間路線バスの乗降用リフトの標準的な整備内容の記載 都市間路線バスで床の高いタイプの車両におけるバリアフリー化を図るべく、乗降用リフトの標準的な整備内容の記載を追加。 (9)タクシー:UDタクシーを中心とした記載の見直し 国土交通省のこれまでの調査・検討結果を踏まえ、ガイドラインの内容を見直し。 (10)タクシー:乗合タクシーの記載の追加 国土交通省のこれまでの調査・検討結果を踏まえ、乗合タクシー車両の基本的な標準仕様を新たに追加。 (11)航空:トイレの記載の充実 現行ガイドラインでは、通路が2以上の航空機のみを対象としていたトイレの記載について、通路が1かつ客席数60以上の航空機を対象として、車いす使用者が利用可能なトイレに関する記載を追加。 (12)ベビーカー利用に関する記載の明確化 近年のベビーカー利用の増加を踏まえ、円滑な利用促進を図るためベビーカーでの利用にも配慮した車内のスペース確保が望ましいなど、特に配慮の必要な整備内容について明確に記述。