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更新日:2024年1月19日

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農産物の上手な利用法(ナツミカンジャム・作り方のアドバイス)

「農産物の上手な利用法」のページでは、オープンラボで実験された農産加工実験や神奈川県農業技術センターの過去の研究成果を紹介しています。

作り方のアドバイス

★ナツミカンの水洗

ナツミカンは表面についている汚れを水で、サッと洗ってください。今回は皮は使わないので、ゴシゴシと擦る必要はありません。洗い桶に入れ、水を流しながらサッと洗うだけで十分です。
写真:サッと洗う写真:水を流しながらサッと洗う
皮を砂糖煮などに使うときはよく洗ってください。今回のジャムに使うナツミカンは皮がキズだらけで、砂糖煮用にも適さないものを原料としています。

★ナツミカンの湯煎

ナツミカンのは皮は硬く、切れ込みを入れれば手で剥くことができますが、沸騰水で湯煎した方が皮が浮いて、剥きやすくなります。少量の加工の場合は湯煎をしなくても問題は少ないのですが、大量になると皮を浮かせた方が簡単に、そしてきれいに剥くことができます。一手間かけても労力的に楽になるので、湯煎をするようにしてください。たっぷりの沸騰水を準備して、湯煎してください。
写真:沸騰水写真:湯煎
湯煎する時間は3~5分でよいのですが、多少長くなっても問題はありません。湯煎した後は速やかに冷水に入れて、冷やしてください。
写真:湯煎する時間は3~5分写真:冷やす

★ナツミカンの半切り

ナツミカンは横半分に切り、種を取り除きます。種をミキサーで砕くと種の苦味が混じりこんで、ジャムが苦くなってしまいます。半割りにして種の存在を確認するのです。
写真1:ナツミカンは横半分に切る写真2:ナツミカンは横半分

★ナツミカンの種除き

ナツミカンは種を除かないと苦くなってしまいます。また、種がジャムの中にコロン、コロンとするのは異物ではないのですが、ジャムを食べたり、利用するときには邪魔になります。
写真:写真:ナツミカン種除去後
加熱中にもナツミカンの種子や種子の破片が見つかることがあります。そのときには直ぐに取り除いてください。取り除かずにジャムにすると異物が入っているように見えてしまいます。
写真:ナツミカン加熱写真:異物除去

★ナツミカンの剥皮

湯煎したナツミカンは皮が浮きぎみなり、皮と袋が離れやすくなっています。袋の上にへばり付いている筋は無理にはがし取る必要はないのですが、湯煎すると皮の方に付いて、袋から外れてしまいます。
写真:ナツミカンは皮むき写真:ナツミカンは皮むき後

★ミキサーでの破砕

ミキサーを使って、加熱前と加熱後の二回、ナツミカンを破砕をします。ナツミカンの袋は硬くしっかりしているので、加熱前の破砕ではナツミカンの袋はしっかりと残っています。
写真:ミキサー撹拌写真:ミキサー撹拌後
加熱後の破砕ではナツミカンの袋は完全に破砕され、滑らかなペーストになります。
写真:ミキサー撹拌後写真:ペースト

★レモン果汁

ナツミカンは時期によっては酸味が抜けて、甘く、食べやすくなっています。しかし、酸味が抜けてしまうと、袋を加熱してもペクチンが溶け出してきません。ナツミカンに酸味があるかどうか確認し、酸味がなければ、レモン果汁あるいはクエン酸を加えてください。
袋ごと破砕したナツミカンのpH、酸っぱさは口に含んでも分かるのですが、試験紙で調べると経験がなくてもどのくらいの酸っぱさか分かります。
写真:ナツミカンのpHチェック写真:ピーエイチ試験紙

★ナツミカンの加熱

30~45分間の加熱で袋は柔らかくなり、鍋の縁に袋を押しつけ、軽く叩くと簡単に砕けるようになります。このような状態になったら、もう一度ミキサーに入れて、破砕してください。二回のは再処理で全体がクリーム状になります。
写真1:ナツミカンの加熱する写真2:ナツミカンの加熱
加熱時間が短いと袋が硬く、ミキサーで砕いても硬い繊維として残るので、必要で十分な時間の加熱をしてください。
30~45分間の加熱の間、アルミフォイルでフタをしてしまうのですが、時々は状態の確認を兼ねて撹拌しなければなりません。そのとき、種子の取り残しがあったら、必ず取り除いてください。
写真1:種子除去する写真2:種子除去
クリーム状になったナツミカンのパルプは冷凍保存ができます。ここまではある程度の量を処理した方が面倒ないのですが、ジャムを大量に作る必要がないときは小分けして冷凍保存してください。

★ミキサーの水洗い

ミキサーで2回の処理しますが、その都度水を使って、洗い込んでください。
写真:ミキサーの水洗い
このナツミカンジャムではペクチン液を煮詰める必要はありません。ナツミカンはペクチンが多いので、煮詰める必要はなく、濃いペクチンを水を加えて薄めないと、ジャムに空気の泡がたくさん入ってしまいます。

★砂糖の添加

ミカンの下煮が終了したら、分量の砂糖を全部加えますが、一気にザッと加えると鍋底に砂糖がたまり、こびりつき、焦げる原因ともなります。沸騰したナツミカンペクチン液を攪拌しながら砂糖を加え、砂糖が鍋底に溜まらないようにサーッと加えて下さい。
写真:砂糖の添加写真:撹拌

★ジャムの加熱

皮を剥いたナツミカンに同量の水と2倍量の砂糖を加えて加熱します。水分を飛ばして、濃縮する必要はないので、砂糖が完全に溶け、全体が沸騰してきたら、ジャムの固まり具合を確認して、加熱を終了してください。
写真:ジャムの加熱写真:ジャムの固まり具合
ナツミカンジャムを色よく、香り良く仕上げるには、強火で加熱しますが、鍋のふちに付いたナツミカンが焦げ付くことがあります。鍋のふちに付いたナツミカンが焦げてきたら、濡れたタオルでふき取ってください。こげたナツミカンがジャムに入るとほんの少しの時はわずかなカラメル臭でそれなりの香りとして特長にもなりますが、カラメル臭は強くなるとミカン本来の香りの邪魔になります。焦がさないよう、気をつけた加熱してください。

★煮詰め具合の確認

煮詰め具合いの確認は攪拌しているしゃもじにつく果肉の状態、スプーンですくい取った時の流れる状態、冷水を入れたコップに滴下したときの果肉の状態、冷えた皿・プレートに薄くつけて斜めにしたときの流れる状態など、いろいろな方法で煮詰め具合(ゲル化状況)が確認できます。
冷水に滴下する場合、いつも同じ温度の冷水が使えれば、ゼリー化の判断が楽になります。水道水を使うと元の水道水の温度が一定でないことや加熱調理している近くに水を入れたコップを置くため、温度がだんだんと上がってくるので、ゼリーの状態が微妙に違ってきます。それを防ぐため、氷塊を入れた冷水にしておくと、いつも0℃の水で、温度が安定しているため、ゼリー化の程度がいつも同じように判断できます。
写真:煮詰め具合の確認
しゃもじについた果肉がサッと流れるなら煮詰め不足、モッタリとしてくればOK。
写真:ジャムの固まり具合
スプーンに採った果肉をちょっと冷まして傾けたときサッと落ちずにポッリとしているならOK。冷水に果肉を滴下したとき花火にの様にパーッと散るなら煮詰め不足、コップの底までミズクラゲの様にプヨプヨと沈んでいけばOK。皿・プレートにつけた場合、立てたらスーッと流れたら煮詰め不足、ちょっと流れてスッと止まればOK。その他、温度で濃縮度合を確認することができます。何度かジャムを作って、頃合を確認して下さい。
1kgのナツミカンを原料とすると、750gくらいの中身がとれ、糖度60%程度の場合、出来上がり量は3kg程度になります。

★アク取りの隠し技

加熱を終了し、レンジからおろすと表面にアワ・アクが浮いて来ます。このアワ・アクがジャムビンに入ると見た目が非常に悪くなってしまいます。このアワ・アクを取るため、ジャムの表面にラップフィルムまたはアルミホイルをのせるとアワ・アクがついてしまい、アワのない、きれいなジャムとなります。
写真:アク取り
アワがとりきれず、ビンに入れてしまうとビンに入れたジャムの表面にアワの塊が浮いてきます。スプーンでチョコッと手早くすくい取るときれいなジャムになります。

★ジャムビンとフタ

ジャムビンは広口の140~250mlのビンがお手頃です。大きなビンにいれると豪華、豪快なものですが、一度に使い切ることができず、長く冷蔵庫に入れて利用することになります。チョッと小さ目のほうが手軽に利用でき、いろいろな意味で省エネ、省資源になります。
空きビンも利用できますが、ビンの口が欠けたり、ヒビのあるものは絶対に使わないで下さい。ジャムを入れてフタをしてもきちんと閉まらないため、長く保存することができません。また、加工中や保存中にビンが割れることもあります。ジャムを無駄にするばかりでなく、思わぬところでケガをすることにもなります。
フタは一度使ったものはパッキンが凹んで、緩くなるので、長く保存するためには、新しいフタを使って下さい。
ビンとフタはきれいに洗い、蒸気の上がった蒸し器に口を下向きにして入れ、内部に水が溜まらないようにして加熱して下さい。ビンとフタはジャムを詰めるまで蒸し器に入れて、熱くしておきましょう。
写真1:ジャムビンとフタ写真2:ジャムビンとフタなどの容器

★ジャムのビン充填

ジャムは熱いうちに、熱いビンに詰めなければなりません。ジャムやビンの温度が低いと脱気殺菌の時間を長くしなければなりません。きれいで、おいしいジャムは手早く作って、手早くビンに詰め、殺菌するのが肝要です。
ジャムはビンの口の上端から6~8mmくらいまで入れて下さい。140mlのビンなら155g、200mlのビンなら215gくらい入ります。
写真:ジャムビン充填
ジャムビンの口を汚さないため片口レードル、片口、太口のロートなどを用いることは有効です。たこ焼きに使うタネオトシを利用するとビンの口を汚すことなく、手早く作業ができます。
写真1:ジャム充填写真2:ジャム充填
ビンの口辺上部やネジ部分にジャムを付けたときは濡れ布巾できれいに拭い取ってください。ジャム付いたままにするとジャムの変質やカビ発生の原因となります。

★脱気殺菌

脱気はジャムとフタの間に残る空気・酸素を減らすために行います。ビンの大きさ、ビンに入っているジャムの温度によって異なることは言うまでもありません。加熱によりビンの中に残った空気を膨張させ、希薄にした状態でフタをキュッと締め、減圧状態にします。軽くフタをしたジャムビンを蒸気の上がった蒸し器に入れ、ジャムの中心温度を90℃以上なるまで加熱します。140g~200gビンに熱いジャムを入れた場合では10~15分程度加熱します。
写真1:ジャム脱気殺菌写真2:ジャム脱気殺菌する

★倒立放冷

脱気殺菌が終了したら、フタをキュッと閉め、ビンを逆さにします。熱いジャムが下になったフタにもまんべんなく触れます。30分間、ビンを逆さにしておくことで、ビンの中に残っている耐熱性の微生物も生育することができなくなります。また、フタの締めかたが緩かったり、ビンの口に傷があったりして、すき間があると、ビンを逆さにしたときにジャムが吹き出してきます。このジャムの長期保存はあきらめて下さい。すぐに食べてしまいましょう。
写真:ジャムビン蓋閉め写真:ジャム倒立冷却

★流水冷却

倒立放冷の終了したジャムに高温は不要です。ビンを水に浸けてジャムの温度を下げるとともに、ビンの外側についた汚れを洗い流します。ジャムがわずかな温もりを持つ程度になったら、ビンの外側やフタが清浄かどうか、確認しながら水から取り出し、きれいな布巾でビンやフタの水気を拭き取って下さい。完全に冷えているより、少しの温もりがあった方がふき取れなかった水分が早く乾きます。
写真1:ジャム流水冷却写真2:ジャム流水冷却する

★ラベル

製造に係わる情報(ジャムの名前・材料の種類・材料の配合・作った年月日など)を付けたラベルを貼りましょう。
販売する場合は賞味期限を表示しなければなりませんが、自家用であるならば製造年月日を書いたほうが品質管理の上では良いと思います。何時作ったが一目で分かり、問題が起きたときの反省もしやすいと思います。
写真:ジャムラベル

★保存

ジャムは冷暗所に保存して下さい。こうやって作ったジャムはフタを開けない限り、腐敗することはありません。しかし、温度の高いところ、明るいところに長くおくと、ジャムの糖、酸、ペクチン、色素などが化学反応をおこし、色が変わったり、柔らかくなったり、水分が分離してきます。また、香りも悪くなってきます。
ビンに詰めたままのジャムは色の変化やゼリーの硬化などがありますが、長く保存できます。しかし、フタを開けたジャムは糖分が多くても、少なくてもカビが生えたり、味や香りが急激に変化し、長く保存することは難しくなります。フタを開けたジャムは冷蔵庫に入れて保管し、なるべく早く食べてしまいましょう。
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生産環境部(品質機能研究課)
電話 0463-58-0333 内線344から345

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