知事議会提案説明(提案説明 平成28年第3回定例会)〔9月提案〕

掲載日:2016年12月1日

知事提案説明 【平成28年 第3回定例会】〔9月提案〕

 提案説明に入ります前に、一言申し上げます。

 8月以降、日本列島に上陸した一連の台風により、各地で記録的な大雨となり、大勢の方が亡くなられたほか、住居が失われるなど、甚大な被害が生じています。

 県内でも一人の方が亡くなられたところであり、お亡くなりになられた方々に対して衷心より哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた多くの方々に心からお見舞い申し上げます。

 また、現在、一部地区の孤立も伝えられており、救援を待たれている方々の一刻も早い救助をお祈り申し上げます。

 それでは、本日、提案しました平成28年度補正予算案並びにその他の諸議案について、その概要をご説明申し上げるとともに、併せて当面の県政に対する所信の一端を申し述べたいと思います。

 はじめに、去る7月26日に、県立の指定管理施設である障害者支援施設の「津久井やまゆり園」において発生した事件の対応についてです。

 この事件は、同園の元職員の男が、施設の利用者など、男女19人を殺害、27人を負傷させるという、きわめて凄惨なものでした。

 事件当日の午後に、私は現地へ赴き、家族会の会長にお会いして弔意をお示しするとともに、指定管理者である「社会福祉法人かながわ共同会」の理事長や幹部から、状況の説明を受けました。

 今も強い怒りと憤り、そして、悲しみの気持ちを禁じえません。

 あらためて、亡くなられた方々へ謹んで哀悼の意を表しますとともに、ご遺族や被害にあわれた方々に心からお見舞い申し上げます。

 県では、事件当日に私が現地で伺ったお話しも踏まえて、7月29日に庁内に「再発防止等対策本部」を設置し、直ちに入所者・ご家族や職員のこころのケアを行う体制を整備するとともに、直面する様々な課題への取組みを開始しました。

 その後再び園を訪問し、家族会やかながわ共同会の方々とお会いした際には、一日も早く園を再生したいという切なる思いをお聞きしましたので、8月15日には、対策本部の名称を「再発防止対策・再生本部」に改めました。

 現在、園の機能回復に向けた方向性の確定、入所者の生活環境の改善、入所者・ご家族や職員のこころのケアなどについて、早急な対応を進めているところですが、県として、事件の再発防止と園の再生のために、できる限りのことをしていく決意をもって、この問題に対処してまいります。

 次に、8月15日から20日まで、リオデジャネイロオリンピックを視察するためブラジルを訪問しましたので、その概要を報告いたします。

 リオのセーリング競技会場においては、競技艇などの船置場や大会施設の配置状況などを視察したほか、ビーチの観覧エリアから実際のレースを観戦し、メダルを獲得した選手と観客が一体となった様子や、大型ビジョンなどを活用した盛り上げの工夫などもこの目で確かめることができました。また、周辺の道路状況についても、オリンピックレーンや交通渋滞の状況などを視察しました。

 これらの視察により、江の島での競技開催に向けた検討課題を確認し、対応に向けた示唆を得ることができたと実感しています。

 また、現地では、国際セーリング連盟のクローチェ会長とお会いし、江の島での開催におけるレースエリアの設定方法などについて、意見交換の時間を持つことができました。

 クローチェ会長には、江の島周辺で漁業が盛んに行われている実情をお伝えし、コスト削減の観点も踏まえたレースエリアの設定を考えていきたいことなどを説明しました。

 さらに、各国セーリング連盟の方にお集まりいただいて、江の島の魅力をお伝えする機会を持ったほか、東京2020大会組織委員会が主催した国際競技連盟の方々が出席するレセプションに出席して、参加者の方々へ神奈川の魅力をお伝えすることもできました。

 このように、オリンピックのセーリング競技の運営について、実際に自分自身の目で確かめられたこと、また、セーリング競技の責任者に直接会って、江の島での競技運営に関する意見交換ができたこと、そして、各国の関係者へ神奈川のアピールができたことは、今回の視察の大きな成果と捉えています。今後は、この視察の結果を踏まえ、江の島での開催に向けて万全の準備を進めていきます。

 なお、県内では、セーリングとサッカー予選が決定していることに加え、野球・ソフトボールが主会場予定地として位置づけられました。この神奈川からオリパラムードを大いに盛り上げ、関係機関と連携しながら、大会の大成功に向けて全力で取り組んでまいります。

 次に、国際観光の推進についてです。

 去る7月26日に、夏休み本番前というタイミングで、大涌谷園地の開放と箱根ロープウエイ全線の運行再開を果たすことができました。

 再開に向けては、箱根山火山防災協議会のもと、火山ガスの監視や救護体制など、安全対策に万全を期してきたところであり、地元の箱根町をはじめ、事業者や火山ガスの専門家など、多くの方々のご努力がありました。この場をお借りして、あらためて関係者の皆様に感謝を申し上げたいと思います。

 このたびの箱根ロープウエイ全線の運行再開により、箱根湯本から強羅、芦ノ湖を周遊する「ゴールデンルート」が復活することになりました。県としては、引き続き、増加傾向にある外国人観光客をターゲットにしたプロモーションも積極的に展開し、箱根観光さらには神奈川県全体の観光振興を図ってまいります。

 また、県では、6月に、旅行業団体や交通事業者、経済団体などの観光関係者からなる「神奈川県観光魅力創造協議会」を設置し、県内の多彩な観光資源の発掘・磨き上げや、魅力的な周遊ルートの開発に取り組んでいるところです。

 こうした取組みを一つひとつ着実に進め、ラグビーワールドカップ2019と東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会というビッグイベントへとつなげていくことで、「観光立県かながわ」を実現していきたいと考えています。

 次に、「人生100歳時代の設計図」に関する取組みについてです。

 今年度は、このテーマについて、様々な機会を通じて広く議論を巻き起こしていく年と位置づけています。

 そのスタートとして、7月にキックオフシンポジウムを開催しました。当日は、会場が満席となり、このテーマに寄せる関心の強さを実感したところです。

 当日の基調講演では、プロスキーヤーの三浦雄一郎さんから、高齢になっても、あきらめずに挑戦し続けることの大切さを語っていただくとともに、パネルディスカッションでは、学識者や介護等の専門家の方々と、これからの高齢者の社会参加のあり方などについて、熱のこもった意見交換を行うことができ、議論のキックオフにふさわしいイベントとなりました。

 また、県民との対話については、「人生100歳時代の設計図」を今年度の「対話の広場」の共通テーマとしながら、各地域で参加者の方々との対話を進めています。  

 7月に開催した県西会場を皮切りに、今後、横須賀三浦、川崎、湘南、県央の各地域でも、私が出向いて、できるだけ多くの県民の皆様と対話を重ねてまいります。

 さらに、横浜では、「社会参加」「スポーツ」「地域づくり」といった角度から議論する「対話の広場」を計3回開催し、その様子をインターネットで生中継いたします。

 こうした機会を通じて、県民一人ひとりが、「人生100歳時代の設計図」を自分自身のこととして捉え、考えを深めていくための始まりの年にしたいと考えています。

 それでは、この度提案いたしました補正予算案につきまして、ご説明申し上げます。

 今回の9月補正予算案では、5月補正予算編成後の状況の変化により、政策課題に早急に対応する必要があるものについて措置することといたしました。

 はじめに、オリンピック・セーリング競技江の島開催に向けた取組みについてです。

 東京2020オリンピック競技大会のセーリング競技実施に伴い、湘南港にある艇の移動先の一部を確保するとともに、オリンピック後もセーリングを広く県民の皆さんに普及していくため、葉山港にある船舶保管地の改修に向けた設計等を行うほか、セーリング競技の成功と、湘南港の機能強化や江の島地域の活性化を図るため、江の島大橋を含む臨港道路の拡幅整備に向けた設計等を行います。

 また、いつまでも地域で安心して生活できる医療体制を整備するため、地域医療介護総合確保基金を活用し、訪問看護師の人材育成を支援する教育支援ステーションを設置するほか、歯科衛生士の復職支援に対する補助等を実施します。

 さらに、県立保健福祉大学について、急速に進む少子・高齢化など社会状況の変化を踏まえ、教育・研究の充実や自主的・自律的な大学運営ができるよう公立大学法人に移行するための準備を行います。

 また、県立高等学校入学者選抜学力検査の採点誤りの再発を防止するため、平成28年度実施の学力検査からマークシート方式を導入するために必要なシステム等を整備するほか、県立横浜国際高等学校における国際バカロレアコースの設置に向けた新棟整備の設計について、債務負担行為を設定いたします。

 このほか、高収益な作物・栽培方法へ転換を図るため、農業者等が行う施設整備に対して支援するとともに、再生可能エネルギー等導入推進基金を活用し、災害時の避難所に指定されている、かながわ農業アカデミーに太陽光発電設備等を設置します。

 以上が、補正予算案の概要でありますが、補正予算の総額は、一般会計で1億7,800余万円となり、財源につきましては、繰入金、繰越金及び県債などを充当し、収支の均衡を図っています。

 なお、冒頭でも触れました、津久井やまゆり園において発生した事件への対応ですが、体育館等での生活を余儀なくされていた利用者の方々については、8月31日までに、他施設に移転していただくなど、予備費等の活用により、緊急的に対応させていただいたところです。

 その他早急に対応が必要な経費につきましては、現在準備を進めていますので、改めて今定例会中に補正予算案を追加提案させていただきたいと考えています。

 次に、予算以外の案件ですが、今回は条例の改正13件、工事請負契約の締結2件、不動産の取得1件など、全体で20件のご審議をお願いしています。

 まず、条例の改正ですが、主なものについてご説明します。

 神奈川県県税条例の一部を改正する条例は、第3期の「かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画」の財源に充てるため、個人県民税の超過課税、いわゆる水源環境保全税の適用期間を5年間延長することについて、所要の改正を行うものです。

 また、神奈川県立の高等学校等の設置に関する条例の一部を改正する条例は、県立高校改革実施計画による学科改編に伴い、高等学校の名称について、所要の改正を行うものであり、神奈川県立の博物館条例等の一部を改正する条例は、県立の博物館等の観覧料の納付等について、所要の改正を行うものです。

 条例については、このほか事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例など、10件の改正をお願いしています。

 次に、条例以外の主な案件ですが、工事請負契約の締結は、県立海洋科学高等学校の実習船建造工事や県立歴史博物館の空調設備の改修工事をお願いするものであり、不動産の取得は、県立相原高等学校の移転先用地として、職業能力開発総合大学校旧相模原校跡地の取得をお願いするものです。

 このほか、平成27年度神奈川県公営企業決算及び神奈川県病院事業決算の認定につきましては、監査委員の審査が終了しましたので、ご審議をお願いするものです。

 さて、米国の公民権運動の指導者として有名なキング牧師の言葉に、次のようなものがあります。「人は兄弟姉妹として、共に生きていく術を学ばなければならない。それができなければ、私たちは愚か者として共に滅びることになる。」

 このたびの「津久井やまゆり園」における事件を受けて、障害者への差別が助長されかねない、との懸念が多くの方々から寄せられています。障害者やそのご家族が生活の中で不安を感じられるようなことは何としても避けなければならない。そうしなければ私たちは共に滅びることになる、との思いを強くしています。

 県では、いのちとは何かをあらためて考え、一人ひとりを大切にすることを基本理念として、皆のいのちが輝く「ともに生きる社会かながわ」の実現に向けて、さらに力強い歩みを進めてまいります。

 以上をもちまして、私の説明を終わります。

 細部につきましては、議事の進行に伴い、私もしくは副知事以下関係局長等からご説明させていただきたいと存じます。

 よろしくご審議のうえ、ご議決くださいますようお願い申し上げます。

※ 本会議場で配布した資料をそのまま掲載しています。

神奈川県

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