平成27年仕事始め式 知事メッセージ

掲載日:2015年1月6日

日時: 平成27年1月5日(月曜) 9時30分~9時50分
場所: 県庁本庁舎 大会議場


 あけましておめでとうございます。

 皆さん、どんな新年を迎えられたことでしょうか。

 この年末から年始にかけて、大きな災害も事故も事件もなく、非常に穏やかな形で新しい年を迎えられました。本当に良かったなと思います。

 私が知事になって、いよいよ任期の最終年になりました。この3年8ヶ月を振り返ってみて、皆さんの仕事ぶりに私は大変満足をしています。素晴らしい働きぶりだと心から誇りに思っています。

 最初、私が県庁に来た時に、正直言って、違和感を持つところがいくつかありました。廊下を歩いてすれ違っても誰も挨拶をしないという、不思議な環境だなということがありました。そこで、廊下をすれ違う人全員に私の方から「おはようございます」「お疲れ様でした」と声をかけ続けていましたら、最近になって、ようやく半分ぐらいの人は挨拶をしてくれることになりました。未だに「うっ」と言って通り過ぎていく人もまだいますけれども、随分変わったものです。何とか100パーセントにしていきたいなと思います。

 それから、何よりもこの政策のスピード感というものが、圧倒的に増したなというのが正直なところです。昨年を振り返ってみても、例えば、女子高生から手紙が来た。病院の中でも授業を受けられるようにしてほしいという声が届いた瞬間に、もう、それを実現する体制ができた。それから、AEDを適切に使用できなかったことで亡くなられた生徒のご遺族との裁判は、年末に和解することができたが、正に和解したその日に、県立高校の全教職員12,800人全員にAEDの講習を終えたという報告もできた。このスピード感は良かったと思います。また、「県民との対話の広場」で出てきた意見、この大会議場を使って劇をしたい、芝居をしたいという意見に対し、すぐに実現したというふうなこともありました。さらに、性犯罪被害に遭った女性たちの相談窓口、24時間体制にしようと決めれば、すぐにその体制を実現することができた。こういったスピード感というのは、私は本当に素晴らしい、ここまで変わるものだなということをつくづく感じて、誇らしく思っているところであります。

 去年、私はこの場で、組織の再生、本当に元気になっていくために何が大事かという話をした時に、3つの要素が必要だと言われている、と言いました。それは、「若者」「よそ者」「ばか者」だと言いましたが、昨年を見てもこの3つが見事に絡み合っているという感じがします。若い人たちからの新しい提案が、どんどん私の耳に届くようになりました。

 それが次々と、スピード感をもって実現できている。例えば、鳥獣被害の対策が大変だという中で、現場の職員から様々な形の提案があり、ワイルドフォーラムみたいなものをやって、県民の皆さんに幅広く知らせていきたいという声が、すぐに実現した。若い人がこの県庁本庁舎の公開について、様々な企画・アイデアを持ち込み、様々に頑張って下さっている。「結婚式場にしようじゃないか」といったこともすぐに実現した。こういったことも素晴らしいことだと思います。

 「よそ者」。この県庁の外から来ている人材も本当に良く頑張ってくれていると思います。県庁の中の人たちとうまい形で 融合しながら新しい風を吹き込んでくれている。そんなことで大変、大きな活力をもたらしていると思います。それと共に、外部の様々な企業との連携協定といったもの。県独自でどんなに頑張ってもなかなか県民一人ひとりに届かないから、様々な形で幅広くネットワークを張り、民間のアイデアも入れながら、政策をぐいぐい前に進めていく。こんな体制もできあがってきている。これも素晴らしいことだなと思います。

 それとともに「ばか者」、これは単なるバカというわけではないです。まあ、随分と頼もしい「ばか者」がたくさんいるなと思います。商店街に徹底的にこだわり続ける「ばか者」。これが大きなうねりとなってきていて、こういったことがやはり、私は非常にうれしいと思います。マグカル構想といった中で、とにかく徹底的に、ミュージカルだ、ショーだ、演劇だ、ここから発信していくのだということにこだわり続ける「ばか者」が出てきているということもあるし、エネルギーの専門家になっているような人も出てきている。ヘルスケアだ、ロボットだ、自分の取り組むことに対して、本当の「ばか者」になって、一生懸命やって下さっている。そんな活力、これが相まって大きな神奈川県政の推進力になっているということ、これは、本当に私は評価したいと思っているところです。

 これだけ評価ばかり最初にしていると、この後にきっと、違う話が出てくるだろうなと、皆さん構えていると思いますが、そのとおりであります。まあ、そんな大きな不満というわけではありませんが、「当事者意識」というものを、私はもう一歩、踏み込んでもらいたいなと思うところがあります。我々は当事者だ、という意識です。

 今、日本の最大の課題は何か。年末に慌しい解散総選挙も行われました。アベノミクス、この真価が問われた選挙だったと言うことでした。そんな中で、皆が、政党の支持云々は別にして、日本最大の課題だと思っていることが、このアベノミクス第三の矢と言われている成長戦略を、どうやって回していくのかということです。そんな中で、「この成長戦略が回っていくんでしょうかねえ」なんてことを言っている人は山ほどいます。

 しかし、神奈川県の職員の皆さんに期待していることは、そういう言い方は絶対にしないで欲しい。我々が、成長戦略のエンジンを回していくのだ、その当事者であるという、この意識、是非しっかりと持っていただいきたいと思います。それぞれの部局、仕事の中で、どうすればこの経済のエンジンが本当に回っていくのかということを真剣に考えてもらいたい、そう思います。

 そんな中で、これだけの皆さんの中で、どれだけの方がご存知かよく分かりませんが、年末、私は大変な危機感を持った件がありました。さあ、選挙も終わった。地方創生だ、と言われました。確かにそうですね。地方をどんどん元気にしていくということによって、この経済のエンジンを回していこうという政権の大きな方策、これが信任されたということでありますから、当然のごとく政府は、地方創生だ、となりました。

 さて、神奈川県はその地方創生の「地方」に入っているのかどうなのかということです。これは大変、気になりました。その中で、こんな話も同時に出てきました。「東京圏」から企業を地方に移転させなければならない、そのために特別な優遇税制を行おうという話が出てきました。「東京」という言葉、「東京一極集中」という言葉があります。我々がよく注意しなければいけないのは、「東京一極集中」とはどういうことかということです。我々の認識では、「東京都」一極集中です。誰がどう考えても、東京都という、その地方自治体は、ほかの道府県に比べて全く別格であります。地方交付税の不交付団体です。それ以外全部の道府県が地方交付税をもらっている地方公共団体であるにもかかわらず、東京都だけは全く別格であります。東京都に一極集中している。ところが、「東京一極集中」と言っていると、いつの間にか、「東京圏」一極集中という言葉に変わります。「東京圏」というのはどこのことなのか、地方から見れば、この神奈川県全体も東京圏というふうに見られている。では、地方創生という中で、神奈川は地方創生の「地方」なのか、「東京圏」なのか、私は非常に気になっていました。

 そんな中で、新しい税制改正で、「東京圏」から企業を地方に移転するためには、優遇税制をするのだという話が、何と全国知事会からの意見として要望されていました。これはとんでもないことだと。下手をしたら、この神奈川県から企業をどんどん地方に移転させられてしまう、そんなことを我々が許してしまうことにもなりかねない、そして、この「東京圏」とはいったい何なのかと思っていると、途中で報道がでました。「東京圏」とは「東京23区など」となっていました。この「など」とは何か。この「など」の中に、神奈川県が含まれる可能性は十分にある。

 先ほど申し上げたとおり、神奈川が成長戦略、経済のエンジンを回していく当事者なのだ、だからこそ、政府から神奈川県全域が国家戦略特区として認定された。何のためかというと、経済のエンジンを回すために、特区という権利を与えられているわけです。ところが、同時に地方創生という枠の中で、東京圏から企業をどんどん地方にもっていこうという、全く相反する政策が同時に行われようとしている。これは、神奈川県にとって最大の危機だと思いましたので、年末、非常に慌しい状況になりました。

 大臣に訴えようといっても、大臣は、留任とは言いながらも新しい内閣になることから一応、新しく交代する。その最後の大臣に訴えに行くというのもなかなか難しいということで、与党の野田税制調査会会長に年末のギリギリになって話に行ってきました。そこで、野田会長からは、「なるほど、確かにそうですね」と理解してもらえた。その上、嬉しかったのは「神奈川は、よくやっていますね。確かに神奈川は頑張っていますね」という言葉がありました。これによって我々は救われた。県議会の皆さんも機を同じくして、働きかけてくれました。

 結果的にどうなったか。「東京圏」とは何か。「東京23区」だけになりました。「など」が取れました。「など」が取れたということの意味の大きさ、つまり、横浜、川崎等から企業をその地方に移転させるという方策は、消えたということです。私は、ほっとしました。

 つまり、神奈川から経済のエンジンを回すのだという、当事者意識というのはしっかり持ってないと、経済のエンジンを回そうと思ったら部品が全部もぎ取られていた。こんなことにもなりかねなかったということです。この当事者意識を持つということは、実は非常に難しい。日本の民主主義のことをよく、「観客民主主義」という言い方をします。日本人そのものがだいたい気質として、当事者意識を持ちにくい。「観客民主主義」とは何か、観客席にいて、プレーしている人たちに対して、わいわい言っている。言うことは自由。しかし、本当の民主主義には観客席はない。全員がグランドにいる。グランドに出て自分自身がプレーヤー。それを忘れて、ああでもないこうでもないという評論家ばかりいて、何の力にもならない。我々、神奈川県庁で一緒に働くメンバーは、全員がプレーヤーだということを、決して忘れてはならないと申し上げます。

 そんな中で、今、県庁から様々なことを発信しています。発信していく中で、まだまだ県庁職員の一体感が足りない。私は、神奈川県庁のCHOです。チーフ・ヘルス・オフィサー。健康管理最高責任者。このCHO構想によってそれぞれの企業、団体ごとに、未病を治す取組みを進めていく。それを神奈川県庁が率先してやっているわけであります。これを、神奈川県庁職員全員は、身をもって見せなければいけない当事者です。そのために皆さんに歩数計をお配りしました。その歩数計のデータを、みんなで競い合っていこう。頑張っている人にはインセンティブを与えていこうということを始めました。私は毎日登録をしています。そんな中で12月までに登録した人の数をさっき見てきました。1,300人余りです。1,300人余りしかいないのはなぜでしょうか。そういったことではなかったはずです。県庁職員全員がこれに参加するということによって、リストを見せていこうとして始めているにも関わらず、知らない顔をしている人がたくさんいる。これを是非、変えてほしいと思います。

 それとともに、例えば今、戦略的広報というものをどんどん進めています。様々な動画も作っています。議会でも言われてしまいました。ヒット数が少ないじゃないかと。私もそう思います。あのヒット数を見れば県庁職員全員が見てないということがよくわかります。県庁職員が全員見る、そこに例えば県立高校の教職員もみんな見る、県警察本部もみんな見る、それだけでどれだけヒットするでしょうか。そういったことを自分の友達に勧める、自分の家族にも勧めるだけで、どれだけ母数が増えてくることか。皆、全くそれをしていないということが、あの数字を見れば良くわかります。つまり、当事者意識が無い、どこかよそ事、そんなところがまだまだあるのではないか。

 そういう意味で、皆さん一人ひとりが神奈川県庁であり、自分が県庁を背負っているのだ、だから今、県はこんなことをやっているのだという、県庁の広報マンであるといった思いを胸に、しっかりと当事者意識を持って、この神奈川県庁を3歩先行く神奈川県庁にし、そして、ここから日本の経済が本当に回り始めたら後世に名を残す、それだけの仕事を皆さんと共にしていきたいと思います。

 今年も頑張りましょう。

神奈川県

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