知事議会提案説明(提案説明 平成23年第3回定例会)[9月提案]

掲載日:2011年9月12日

知事提案説明 【平成23年 第3回定例会】[9月提案]

 

 提案説明に入ります前に、一言申し上げます。

 9月3日に高知県に上陸した台風12号は、紀伊半島など広範囲にわたり記録的な大雨をもたらし、甚大な被害が生じました。お亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げるとともに、被災された方々に対し心からお見舞い申し上げます。

 東日本大震災に続くこの度の台風の被害により、防災対策の重要性を改めて認識したところであり、今後とも、国や市町村、関係団体との連携のもと、効果的な防災対策の推進に一層力を注いでまいります。

 それでは、県議会第3回定例会の開会にあたり、提案いたしました平成23年度補正予算案並びにその他の諸議案について、その概要をご説明申し上げるとともに、併せて当面の県政に対する所信の一端を申し述べたいと思います。

 まず、総合計画についてであります。総合計画につきましては、先の第2回定例会におきまして、県議会からもご意見をいただき、「基本構想」については、東日本大震災などによる社会環境の変化を受けて、必要な見直しを行うことといたしました。また、喫緊の課題に早急に対応するとともに、県の重点政策を県民の皆様に分かりやすくお示ししていくため、プロジェクト中心の新たな「実施計画」を策定してまいります。

 なお、明日13日に、神奈川県総合計画審議会が開催されますので、こうした「基本構想」等を諮問し策定作業をスタートさせてまいりたいと考えております。

 次に、新たなエネルギー政策についてです。

 私は、選挙期間中、「夏の冷房需要に間に合わせるために5万戸から15万戸分のソーラーパネルをつけたい」、「4年間で200万戸分のソーラーパネルをつけたい」と言ってきました。県内経済は、東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故による電力不足で、まさに崩壊の危機にあり、強い危機感を抱いたからです。

 選挙期間中は、太陽光発電と言っても、街を歩く皆さんにはなかなか理解していただけず、ソーラーパネルそのものを持って歩きました。しかし、今ではテレビや新聞、雑誌でも毎日のように取り上げられるようになり、パネルメーカー等のコマーシャルも大幅に増えました。

 また、8月26日には、早期成立を要請してきた電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法が成立いたしました。再生可能エネルギーを普及させていこうという国民的コンセンサスは固まったと受け止めております。私は「神奈川からエネルギー革命を起こそう」と訴えてきましたが、あっという間に「エネルギー革命」の火は点いたと自負しており、これまで高い目標を掲げ続けた、その意義はあったと思っております。

 今年の夏の冷房需要をにらんだ目標については、計画停電を二度と実施させてはならない、再び計画停電が実施されたら大変な事態になる、こうした思いで掲げたものです。

 今年の夏については、太陽光発電の導入にスピード感を持って取り組んだ甲斐あって、8月末までの累計ですが、約4万8千戸分が設置されました。併せて、県民や事業者の皆さんと行政が一体となって節電に努めた結果、9月9日には大口需要家に対する電気の使用制限が前倒しで解除され、計画停電を回避することができました。ほっと胸をなで下ろし、安堵しているところです。

 しかしながら、現在、停止中の原子力発電所の再稼動は不透明なままであり、来年の夏の需給見通しは依然立たない状況にあります。根本的な課題は、未だ解決しておりません。

 今、求められているのは、中長期的なエネルギー政策です。そこで、私は、新たに2020年を目標とした、「かながわスマートエネルギー構想」を提示いたします。

 原子力発電所事故で失われた電力を補い、さらに、将来にわたり安全・安心なエネルギーを安定的に確保していくため、「かながわスマートエネルギー構想」では、3つの原則を掲げます。まず第1に「原子力発電に過度に依存しない」、第2に「環境に配慮する」、第3に「地産地消を推進する」の3つです。電力会社を中心とした集中型のエネルギー体系をより環境に配慮したものとするとともに、地域が中心となった分散型の新たなエネルギー体系を構築していきたいと考えております。

 そして、今後は、太陽光を中心に再生可能エネルギーの導入を進め、電力供給量の拡大を図る「創エネ」、電力のピークダウンを図る「省エネ」、電力のピークシフトを図る「蓄エネ」の取組みを総合的に推進します。2020年に県内の消費電力量に対する、「創エネ」と「省エネ」の割合を、「蓄エネ」と組み合わせることにより20%以上の水準まで高めていきたいと考えています。

 太陽光発電の「 200万戸分」については、「かながわスマートエネルギー構想」を推進する中で、できる限り早期に達成できるよう引き続き全力で取り組んでまいります。

 4月25日の初登庁以来、県政に様々な課題がある中で、こうした電力不足対策に最優先に取り組んできました。

 これからは、次のステップとして、「いのち」の大切さを訴えてきた私の、「いのち輝くマグネット神奈川」をテーマとした様々な取組みについても本格的にスタートしていきたいと考えており、今回、骨格予算に対する肉付け予算としての補正予算案を編成したところです。

 医療については、「地域に根ざした医療」、「開かれた医療と透明性の確保」、「病気にならない取組みの推進」、こうした視点から、「医療のグランドデザイン」の策定に向けて取り組んでいきます。

 また、「マグネット神奈川」を具体的に実現するため、各地で次々と「対話の広場 地域版」を開催し、県民の皆さんと直接対話しながら、それぞれの地域でのマグネット力、魅力を再発見し、地域の活性化につなげる取組みを進めていきます。

 更に、地震、津波等の災害から「いのち」を守ることも欠かすことのできない取組みです。東日本大震災の教訓を活かし、地震防災対策の抜本的見直しを進めるほか、放射能対策についても、安心して県民生活を送れるよう全力をあげて対応してまいります。

 次に、ここで、本県の財政状況等についてご報告申し上げます。

 はじめに、最近の我が国の経済情勢であります。

 東日本大震災によるサプライチェーンの寸断や消費マインドの悪化などにより、4月から6月期の実質経済成長率は年率換算 2.1%減と3期連続のマイナス成長となりました。

 その後、サプライチェーンの復旧が順調に進み、生産や輸出が増加するなど、景気に持ち直しの動きが見え始めているものの、円高や電力不足、海外経済の減速懸念など、景気を下押しするリスクも存在しており、景気の先行きは極めて不透明な状況にあります。

 こうした中、本県の財政状況に目を転じますと、まず、本年度は、平成22年度の決算黒字による繰越金67億円と地方交付税の増額交付による10億円の財源の確保ができたものの、県税収入については、東日本大震災による影響などにより、現時点では当初予算額の確保が厳しい状況となっております。一方、歳出面では、年度後半に向けて、介護・措置・医療関係費の増加が見込まれることに加えて、平成23年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法による追加負担を行う必要もあります。

 次に、24年度についてでありますが、国の概算要求が9月末まで延期されるなど、国家予算の動向やそれに合わせて示される地方財政のフレームが見定められていないことに加え、震災や円高などの影響により、経済情勢が不透明な状況にあります。こうしたことから、今後とも、慎重な財政運営を行っていく必要があると考えております。

 それでは、この度提案いたしました補正予算案につきまして、ご説明申し上げます。

 今回の9月補正予算案は、東日本大震災の発生に伴う社会環境の変化や、県民生活を取り巻く喫緊の課題などを踏まえ、「いのち輝くマグネット神奈川」の実現に向けた施策をスタートさせるための予算として編成いたしました。

 具体には、マンションやアパートなどの共同住宅や、中小企業者の太陽光発電設備の導入に対する支援制度の創設などの新たなエネルギー対策、早急に取り組む必要がある身近な地震防災対策、「知恵袋会議」や「対話の広場」の意見を踏まえた自殺対策の充実や、首都圏初のパトカーへのAED搭載等の保健・医療・福祉施策など、取組みが求められている課題に、スピード感を持って的確に対応する予算を措置いたしました。

 以下、補正予算案の項目に沿って、その概要をご説明申し上げます。

 はじめに「新たなエネルギー対策の積極的な推進」についてであります。

 これまでの戸建住宅に加え、マンションやアパートなどへの太陽光発電設備の設置を促進するため、共同住宅への太陽光発電設備の設置に対する補助制度を創設いたします。

 加えて、中小企業者の工場や、店舗などへの太陽光発電設備の導入を支援するため、中小企業制度融資に、低利率の「ソーラー発電等促進融資」を7億5,000万円の融資規模で創設することといたしました。

 また、県有施設の使用電力を削減するとともに、民間事業者・家庭へのLED照明の導入促進を図るため、県が率先して県有施設のLED化を計画的に推進することとし、今回は県庁本庁舎等の蛍光灯をLED化してまいります。

 さらに、メガソーラーの県内誘致を促進するための候補地の基礎調査や、エネルギーとしての温泉熱利活用の具体化に向けた検討などを行ってまいります。

 次に、「身近な地震防災対策の充実と被災者支援の着実な展開」についてであります。

 まず、気象庁の津波警報を、地域住民や観光客等に迅速・的確に伝達するため、NTTドコモのエリアメールを利用して指定地域内の携帯電話機に自動的に一斉配信するためのシステムを構築してまいります。

 また、放射能測定調査体制を強化し、県民の安全を守るため、県内に偏りなくモニタリングポスト5基を増設するとともに、衛生研究所にゲルマニウム半導体検出器1台を追加整備いたします。

 さらに、大規模災害等の発生時に、警察本部庁舎に設置される災害警備本部及び通信指令室が被災した場合に備え、相模原市にある県警由野台研修センター内に代替施設を整備することといたしました。

 次に、「いのちを守り、輝かせる保健・医療・福祉施策の推進」についてでございます。

 まず、「知恵袋会議」や「対話の広場」でいただいた意見を踏まえ、自殺対策を強化するため、精神保健福祉センターで実施している「こころの電話相談」について、電話回線を拡充し、フリーダイヤル化により電話料金を無料にするとともに、相談時間を延長いたします。

 また、「いのち輝くマグネット神奈川」を具体化する本県の医療施策の根本理念や課題解決の方向性を示す「医療のグランドデザイン」を策定するため、有識者による検討を進めるとともに、医療機能等の実態調査を行ってまいります。

 さらに、ひとりでも多くのいのちを救うため、首都圏初の取組みとして、パトカー20台にパイロット的にAEDを搭載いたします。

 加えて、自治会等における地域支え合い活動や元気な高齢者による介護ボランティアポイント制度の調査研究事業に取り組むとともに、高齢者や障害のある方が地域で安心して歯科診療を受診できるよう、歯科医療関係団体等と連携して体制を整備してまいります。

 次に、「魅力ある元気な学校づくりをめざす教育施策の充実」についてであります。

 まず、本県の学校における暴力行為発生件数やいじめ認知件数、不登校児童・生徒数が依然として高い水準で推移している状況を改善するため、新たに専門的な職員を配置し、教育相談体制の充実・強化を図ってまいります。

 加えて、子どもたちの主体的な取組みである全県生徒代表総会を新たに開催することなどにより、大人や地域と学校との関わりを深めながら、いじめ・暴力行為等のない、魅力ある元気な学校づくりを進めてまいります。

 次に、「地域のマグネット力を高める雇用・経済対策の推進」についてであります。

 まず、産業技術センターに、新たに設置するオープンラボにおいて、中小企業と大企業等の共同研究開発の可能性を評価するとともに、その過程で得た実験データ等を公開し、多くの県内中小企業の成長産業への参入を促進してまいります。

 また、リニア中央新幹線の県内駅について、地元相模原市による広域交流拠点構想やまちづくり計画との整合を図りながら、マグネット力を持つ都市の将来展望など、総合的な見地から地域の魅力を最大限に活かせる駅位置等を検討してまいります。

 最後に、「県民を守る安全・安心対策の拡充」についてであります。

 まず、配偶者等からの暴力、いわゆるDVを防止し、被害者の立場に立った切れ目のない支援を行うため、被害者への支援を行う民間団体に対する支援等を強化するとともに、メッセージ力のある広報により、DVに係る啓発の充実を図ってまいります。

 また、急増するひったくり犯罪から県民を守るため、事件の早期解決及び被疑者の検挙等を目的とした資機材を整備し、ひったくり件数全国ワースト1からの脱却を目指します。

 以上が、補正予算案の概要でありますが、補正予算の総額は、一般会計 150億 9,000余万円、特別会計は、水源環境保全・再生事業会計及び中小企業資金会計の2会計で4億1,500余万円、全会計合計では、155億 500余万円となっております。

 このほか、県営住宅管理事業会計において、債務負担行為を新たに設定いたします。

 また、一般会計補正予算の財源につきましては、地方交付税  54億1,200余万円のほか、各種基金等からの繰入金、県債、繰越金などを充当し、収支の均衡を図っております。

 なお、先ほども申し上げましたように、県税については、肉付け予算対応のために一部計上を留保しておりましたが、東日本大震災の影響などにより、現時点では当初予算額の確保が厳しいことから、今回は計上を見送ることといたしました。

 次に、予算以外の案件でありますが、今回は条例の廃止1件、条例の改正5件、工事請負契約の締結3件など、全体で14件のご審議をお願いしております。

 まず、条例の廃止であります。

 神奈川県スポーツ振興審議会条例を廃止する条例は、スポーツ振興法の全部改正により、法令に基づき設置されていた附属機関であるスポーツ振興審議会が廃止されたことから、神奈川県スポーツ振興審議会条例を廃止するものであります。

 次に、条例の改正であります。

 神奈川県県税条例等の一部を改正する条例は、第2期の「かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画」の財源に充てるため、個人県民税の超過課税、いわゆる水源環境保全税の適用期間を5年間延長するなど、所要の改正を行うものであり、事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例は、パスポートの発給等の事務について、藤沢市、茅ケ崎市及び寒川町と権限移譲の協議が整ったことから、対象事務及び対象市町を追加するものであります。

 次の、附属機関の設置に関する条例の一部を改正する条例は、スポーツ基本法の施行に伴い、新たに条例に基づく任意設置の附属機関として神奈川県スポーツ推進審議会を設置するものであり、魚介類行商等に関する条例の一部を改正する条例は、魚介類行商を営む者の許可証の携帯について、営業形態を踏まえた対応を図るため、個人営業者と法人営業者を区分して規定するものであります。

 次の、神奈川県屋外広告物条例の一部を改正する条例は、寄附を受けた物件等に寄附者名等を表示する場合は、景観を阻害せず過大な商業広告とならないように一定の基準を定め、それらに適合するものに限り、許可手続、禁止区域等の規定を適用除外とするものであります。

 次に、条例以外の案件でありますが、工事請負契約の締結は、西部方面職業技術校新築工事に係るもの3件をお願いするものであります。

 また、指定管理者の指定は、県営住宅等に係るもの3件を提案しております。

 このほか、専決処分について承認を求めることは、租税特別措置法等の一部改正に伴い、特定の資産の買換えの場合の課税の特例が適用除外となり、関連する手数料、移譲事務の削除等について、急施を要しましたので専決処分したものであります。

 また、平成22年度神奈川県公営企業決算及び神奈川県病院事業決算の認定につきましては、監査委員の審査が終了いたしましたのでご審議をお願いするものであります。

 以上をもちまして、私の説明を終わります。

 細部につきましては、議事の進行に伴い、私もしくは副知事以下関係局長等からご説明させていただきたいと存じます。

 よろしくご審議のうえ、ご議決くださいますようお願い申し上げます。

※ 平成23年9月12日(月曜)に本会議場で配布した資料をそのまま掲載しています。

神奈川県

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