平成30年仕事始め式 知事メッセージ

掲載日:2018年1月4日

日時: 平成30年1月4日(木曜) 9時30分から9時50分
場所: 県庁本庁舎 大会議場


 明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。

 

  とてもいいお正月でしたね。年末から年始にかけて非常に天気も良くて、清々しい気持ちで新しい年を迎えられたと思います。この調子で、この1年続いてくれることを心から期待したいなと思うところです。

 さて、私の知事としての任期も2期目の最終局面に入ってまいりました。これまでやってきたことを総仕上げ、そのような形で進めていきたいと思っているところです。

 そのような中で、もともと私が言っていた「いのち輝く神奈川」、「マグネット神奈川」、この意味をもう1回噛みしめていただきたいなと思います。

 「いのち輝く」ためには何が必要なのか。今、国連で「SDGs」、持続可能な開発目標、17の目標ということが掲げられております。持続可能な社会をつくっていくためには何が大事なのかといった時に、17の目標が掲げられています。

 これはまさに、私たちが言っている「いのち輝く」といったコンセプトときわめて類似していると思っていただきたいと思います。そのために、それぞれのお仕事の中で、皆さんの知恵を絞りながら、「いのち輝く」、県民のいのちが輝くための仕事をしているのだという自覚と誇りを持って、全力をあげていただきたいと思う次第であります。

 そのような中で、私もいろいろと考えました。仕事がうまくいく時と、なかなかうまくいかない時があります。何によってその差が出てくるのだろうか、同じ思いを持たれた方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 私は一つの結論に今、たどり着いた気がしています。それは、「コミュニケーション」だと思います。

 コミュニケーションがうまくいっている仕事は、うまくいきます。コミュニケーションがうまくいかない時は、なかなか思うとおりにならない。そのようなことを実感された方も多いのではないでしょうか。

 そういう意味からして、私は去年1年間で、県庁職員の皆さんからコミュニケーションの大事さを教えていただいた気がしています。

 去年、私の中で一番大きな出来事だったのは、津久井やまゆり園の再生基本構想を取りまとめたという、あの大きな作業でありました。本当に困難を極めた仕事だったと思います。

 真っ向から分かれた意見。現地でそのまま大規模施設を建て替えるのか、それとも時代の流れに合わせて小規模で地域分散型にしていくのか。この2つの意見が、真っ向からぶつかったまま最後の最後までやってまいりました。どうやって取りまとめればいいのかな。

 そのようなプロセスの中で、私は「忖度」というのはあるのだなということを感じました。私がそう思っていないにもかかわらず、「忖度」をしてある方向にいこうとしている。

 それをみた時に「ドキッ」としました。「そうじゃないんだ。」ということを言って、「えっ、そうじゃなかったのですか。」と言われて、このギャップはなんだったのかと思いました。

 それは、コミュニケーションがしっかり取れていなかったのだなと途中で気付きました。そこから軌道修正も行われ、最終的に案がまとまりました。私にとっては苦渋の決断。最初に掲げた地元での大規模施設全面建て替えという方針を撤回して、地域移行、小規模施設。方針が変わったわけであります。

 知事として、皆さんの前で、しかも家族会の大きな希望を受けてそれを表明していながら、それを撤回するということは、苦渋の決断でありました。その時に、家族会の皆さんがどのような思いをされるのか。

 ところが、見事にその大きな仕事は成し遂げられました。それは、家族会の皆さんに対して、県の職員がコミュニケーションをしっかりと取っていたから、自分たちの熱い思いをしっかり届けていたから。家族会の皆さんも県庁に対する信頼感を抱いてくださっていたから。だからこそ、あの非常に難しい仕事がきれいな形でまとまった。

 これは、県政史上に残る素晴らしい大事業だというふうに私は思っているところであります。

 県の職員は、コミュニケーションのこれだけの達人だったのかと、私は、驚いたと同時に学ばせていただきました。私は、7年近く前に初めてここに来たときに、皆さんの前で「スピード感が大事だ」と言った。県庁の仕事の進め方は、遅くないですか。われわれ民間から来た、しかも、ジャーナリズムという世界から来た私にとっては、なんでこんなに遅いのか。もっともっとスピード感を上げていきましょうよ、ということでやってきたつもりでありました。

 ですが、スピード感も大事なこともあります。しかし、そうではなくて、じっくり時間をかけてでも、コミュニケーションをしっかりととって、みんなが納得する形に仕上げていく。それも、本当に大事なことなのだということを皆さんから教わりました。心から感謝したいと思っています。

 昨年、県土整備局の用地を担当している職員の皆さんと、お話をする機会がありました。私は驚きました。知事として、ある道路が完成した際に、開通式に呼ばれて必ずセレモニーが行われます。それが次々に続いてまいります。

 しかし、その裏にどのようなことがあったのかと思いを致すときに、その用地を確保しなければ道路ができない。しかし、その用地は人が住んでいる誰かの土地だと。それをどうするのかといった中で、しっかりとその用地を引き渡していただいて、道路をつくる。そのような作業をやってきている職員たちがいる。

 私は勘違いをしていました。用地を買収するときに、「嫌だ」「反対だ」と言う人に対して、金額がどんどん上がっていくのかなと。これだったらどうですか、これだったらどうですか、と金額が上がっていくのかなと思っていたら、そうではない。

 金額を上げることができなくて、交渉カードを次々と切れなくて、どうやってその用地を提供してもらうのか。それは、粘り強い説得、コミュニケーション。それしかないという話を聞いて、感動した次第でありました。よくぞ、そういうことができますねと。

 最初は、「帰れ」というところから始まり、何度も通いながらその相手の心の中に飛び込んでいって、そして、「皆さんのための仕事だったら協力しましょう」というところまで持っていく。そのような素晴らしいコミュニケーション能力を持って頑張っている職員たちがいるということ。本当に誇らしいことだと思います。

 私は、最初にここに来たときに、逆のことを考えていました。公務員の皆さんというのは、一生懸命仕事をするけれども、そのアピールを世の中にしない。だから、皆さん大きく誤解されていますよと、私はジャーナリズムの世界にいたから、よく分かる。

 公務員バッシングしていれば、皆さんはそうだと言う。テレビの場合は、公務員はおかしいのだと言ったならば、視聴者はそうだそうだと言う。なぜか。公務員がどのような仕事をしているかということのアピールが足りないからだ。

 そして、何か起きた、ちょっとした出来事、ネガティブな出来事だけが大きく報道される。そのことによって印象付けられる。そういうことを積み重ねていった結果、公務員のイメージがよくない。それを私は変えたいと思いました。

 その時に、職員の皆さんは、世の中とのコミュニケーション能力が劣っているのだと実は思ったのです。コミュニケーションというのは、アピールをして、そして反応を見て、やりとりがあってこそのコミュニケーション。

 でも、自分はこんなに立派なことをやっているのだけれども、黙っていよう、静かにしていようと、あまり自分がこんなことやったあんなことやったとアピールしない。言わないのがその美徳とされてきた文化、伝統がもしかしたらあったのかもしれない。

 しかし、私は、今はそのような時代じゃないと思っている。だから、皆さんの仕事をどんどんアピールしよう、そのために私の力を出したい。そして、顔の見える公務員になってもいいじゃないかと、われわれはこんなことやっているのだと、その延長線上にやっていることが戦略的広報と言っていることでもあります。

 そのような中で、やはりこれやってよかったと思ったのは、遊水地。遊水地というのはどこにあって、どうなっているか、ほとんどの県民は知らない。

 ニュースでいうと、大きな雨が降りました、洪水が起きました、これだけの床上浸水がこうなりました、大きな被害が起きました、こういうニュースがあります。ところが、大きな雨が降りました、大雨が降りました。でも、洪水が起きませんでした、被害がありませんでしたというのは、ニュースにはなりません。

 でも、ニュースにならない裏側に、実は公務員の皆さんの非常な努力があった。それが具体的にいうと遊水地だったということです。つまり、あの日産スタジアムのところにある遊水地。この話を聞いて、これは、ぜひ県民の皆さんに伝えるべきだなと思いました。

 そして、当時、大被害をもたらした時の写真がありました。一面水浸し。大変な大被害が起きた。そして、同じような大雨が降ったつい最近の台風。その時の写真はないか。その2枚の写真を比べてみた。一目瞭然であります。

 なぜ、これだけ被害がなかったのか。実は、遊水地というものをちゃんと造っていたのです。それをしっかり造るという仕事に全力を注いだ職員たちがいたということを「かなチャンTV」で紹介もいたしました。

 これは止めておいた方がいい仕事だったでしょうか。堂々と胸を張って、われわれはこういうことやったのだと言うべきだと私は思っていた。
箱根駅伝、今回は行きも帰りも本当に素晴らしい天気の中で粛々と行われました。富士山も本当に綺麗なところ、ランナーが一生懸命走っている感動的なシーンが展開されました。

 しかし、その裏側で、万が一、大雪が一夜にして降ったらどうしたのか。次の日の朝には何事もなかったようにランナーがスタートするようなこともかつてはありました。その中に皆が一生懸命こうやっている、そういった県庁職員の素晴らしい仕事ぶりがあった。

 こういったこともやはり伝えるべきだ、これはコミュニケーションということからすれば、やはり県民の皆さんに対する、世の中の皆さんに対するコミュニケーションだと思います。

 私は今、この時代に、自分たちだけでいいことやっているのだという、そういう満足感の中だけで仕事を進めていくというのは、なかなか無理があると思います。多くの皆さんを巻き込んでいく、理解していただく、そして県庁職員がんばれ、皆さんに言っていただく。そのような流れを作ってこそ初めて仕事は前へと進んでいくのではないでしょうか。

 昨年の暮れに、仕事納めの日、113箇所の職員の皆さんの部屋に回って、いろいろ話をさせていただきました。全ての部屋で申し上げたのが仕事改革、「働き方改革」といったことであります。

 今、この働き方改革というのは、これまで以上に真剣に取り組まなければならない国家的な課題にもなっています。

 私自身、自分が30年間サラリーマン生活をやってきて、振り返ってみると、ただの1日も有給休暇といったものを取ったことがありませんでした。そして、特に報道の現場ですから、番組制作の現場ですから、何日も徹夜して、へろへろになって作り上げる。それが当たり前のこと。そうしなければいけないものだとずっと思い込んできました。

 しかし、同じような業界であった電通で起きた事件。それが裁かれたということによって、世の中の空気は一変をいたしました。そういうことではだめだ、新しい働き方改革をしなければだめだ。こういう話になりました。

 しかし、当初この県庁の中にあっても、「そうはいうけど、無理なことは無理なのです」、「そのような時期もあるのですよ。予算の時期、それはしょうがないじゃないですか」、「人事の時期、しょうがないですか」と。しかし、こういった難題にも果敢に今挑んでいただいています。

 予算の編成の仕方そのものを変えていこうじゃないかということで、昨年中から査定が始まりました。そのことによって、絶対できないと思われた仕事も、この働き方改革の中で乗り越えていこうということが、本気で始まっている。

 これは本当に素晴らしいことだと思います。全体を見渡してみると、今、言っていることは、有給休暇も全部消化してください。もう残業もできるだけ辞めてください。早く帰れ、休めと。こんなことを言っている時代がくるとは、私も夢にも思いませんでしたけれども、今はそういう時代。

 でも、仕事は増えているのだ。人は減っているのだ。そんな中で、そのようなことできるわけがないではないですかと。でも、やらなきゃいけない。じゃあ、どうするのか。これは本当の意味での働き方改革をしなければいけないといったことであります。

 そのために一番大事なことは、コミュニケーションではないでしょうか。県庁の中でこの問題についてずっとやってまいりましたけれども、皆さん、やはり自分たちのところでしっかり完成形を作りあげた上で持っていったらば、「そんなんじゃダメだ」といって落されて、修正してまた上にあげて、さらに上にあげてくると、また、上から「ダメだ」といって下りて来る。もっとみんなで最初から議論しましょう。

 「議論しよう、考えよう、納得しよう」そのような働き方を進めようということを、ずっと言ってまいりました。これは、コミュニケーションさえしっかり取れていれば、最初から形ではなくて、最初からコミュニケーションを取るというコンセプトの中でいろいろやろうと率直に話合っていけば、働き方というのは大きく変わってくるに違いない。

 逆に言えば、それしか乗り越えていく道はないのではないかと、私は思っているところであります。

 それとともに、去年私は、「スマイルかながわ」と言いました。人と人とがいいコミュニケーションをとれるときというのは、「笑顔、笑い」というのがとても大事な要素だと思います。

 笑顔があると、相手も自然と笑顔になってくる。その中で自然な会話が生まれ、コミュニケーションが進んでくる。それが最も大事なことではないかと思う次第であります。

 その中で今年一年、この「コミュニケーション」。これを重要なキーワードとして、皆さん「働き方改革」に挑んで、そして、「いのち輝くマグネット神奈川」を共につくっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 今年一年も頑張りましょう。

神奈川県

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