平成29年仕事始め式 知事メッセージ

掲載日:2017年1月4日

日時: 平成29年1月4日(水曜) 9時30分から9時50分
場所: 県庁本庁舎 大会議場


 明けましておめでとうございます。本年もまたよろしくお願いしたいと思います。

 今年のお正月、三が日は非常に良い天気に恵まれまして、温かくてあまり大きな災害、事件もなかったという中で、非常に穏やかな新年のスタートとなりました。そのような中でわれわれ、本当に気を引き締めてやっていかなければならない。去年は本当につらい事件がありました。今年はぜひそれを乗り越えて、明るい年にしたい。これはみんなの共通の思いではないかと思う次第であります。

 私もおかげさまで、今年の正月はゆっくりと家族と水入らずの時間を過ごさせていただきました。年賀状をいただきながら、いろいろ見てみますと、たくさんの方が最近、よくテレビで見るようになったと書いてありました。大抵、怒っていますねと書かれていました。これはオリンピックの費用負担や役割分担のこと、これがかなりテレビで注目されたということ、多くの方が受け止めてくださっているということだと思います。この問題に関してはわれわれ、きぜんとして向き合っていきたいと思っているところであります。

 東京オリンピック・パラリンピック、それからその前の年の2019年のラグビーワールドカップ、いよいよ近づいてまいりました。われわれ、そこに向けてこれまで培ってきた、準備してきたいろいろなものを、完全に準備して整えていかなければいけない。そのために気持ちを一つにして頑張っていきたい。そう思う次第であります。

 やらなければいけない政策テーマを、いちいちここでご説明するまでもないと思います。オリンピック・パラリンピック、ラグビーワールドカップへの準備、観光やマグカルを含めて、全部準備していくということ。これが一つの大きな柱であります。

 また、昨年は人生100歳時代の設計図を書いていこうということで、県民の皆さんとの対話を重視しながら、みんなでいろいろと考えてまいりました。それもこれから一つ一つ形にしていきたいと思っているところであります。

 未病を改善するのだというこのコンセプト、これもだんだん浸透してきたのではないかと思っています。やっと政府の健康・医療戦略の案の中にしっかりと組み込まれまして、たぶん今月中に行われる閣議で、日本の今の健康・医療戦略の中に未病という言葉が位置付けられるというところまでやってきた次第でありまして、われわれは意を強くして、こういった概念を広めていきたいと考えているところであります。

 こういった、これまでずっとやってきたことを大きく伸ばしていくこと、これはもう言うまでもないことですが、きょうは新年の冒頭にあたって、皆さんに一つ訴えかけたいことがあります。それは、働き方を変えようということであります。

 これは、政府の大きな方針の一つでもあります。そして昨年は、電通事件といったものが大変大きな話題となりました。働き方、これまでは当たり前だろうと思っていた働き方、これをやはり根本から見直さなければいけない、そのような時代になってきたとつくづく思う次第であります。

 私自身を振り返ってみますと、テレビ業界などにいましたもので、今まで恥ずかしながら、そういうことはあまり考えていませんでした。今回話題になったような、電通のその悪しき体質といったものと同じような中にいたと思っております。徹夜するのも当たり前、何日も連続して徹夜するのも当たり前、でも良い仕事ができればそれで良いではないかと、それに耐えられないような奴はだめだ、みたいな中でずっと育ってきたわけでありますが、もう時代は大きく変わったと言わざるを得ません。

 そのような中で、あらためて県庁全体の仕事ぶりというのを見直していくときに、われわれ自身が根本的に働き方の発想を転換する必要があるのではないかと、そう思わざるを得ません。この行政改革といった言葉は、長年言われてまいりました。私の前の知事までは、ずっとこの行政改革のために、人を減らすのだという大変な努力をされてきたわけであります。しかし、1万4千人もいた職員が8千人を切るという、そこまで減らされてきた中で、減らされただけで本当にそれが仕事の改革につながったのかといったこと、これは大きな課題として残っているのではないかと思っているところであります。

 その中でわれわれは、あらためて行政改革とは要するに何なのだ、減らすことが行政改革ではない。行政改革とは、読んで字のごとく、行政を改革すること。行政のあり方、行政の進め方、これを改革するといったことが一番の目的であります。

 そのために、これまでは量の改革だった、それを質の改革に変えていこうということで、行政改革大綱というものをまとめて、皆さんと共に進めてきたはずであります。しかし、それが本当に全職員に浸透しているのかどうかといったことであります。私は大変気掛かりでありました。

 そこで、昨年末、グループリーダーの皆さんが鍵を握っているということで、ではグループリーダーの皆さんと直接話をしてみようと。課長以上の方とはいろいろお話しする機会もあるんですが、グループリーダーの方とお話しできる機会というのはなかなかない。だから、そういう機会を持ってみようということで、全グループリーダーとの対談、対話ということを行いました。

 4つのグループに分けて、私が冒頭に話をして問題意識だけしゃべり、後はグループに分けて議論していただいて、そしてまた私が最後にやってきて、そのグループの話を聞いて総括をするといったことを連続してやったわけであります。そのような中で、私は皆さんの生の話を聞いて、がくぜんといたしました。

 仕事のやり方の中で、やらされ感というものが非常に強い、そして、あきらめ感といったものも漂っていると。どうせ言ったって変えてくれない、変わらない、どうせこれだけ人が減ったんだから、いくら何かやったってもうしようがないではないか。そういうようなあきらめ感がある、というのを聞いて、がくぜんとした次第でありました。

 そのような中でそもそも、この行政改革、質の行政改革を始めるときに、どういう立ち位置から話をしたかということをあらためて振り返っていただきたいと思います。

 私のように、外からポンといきなりやって来た、そのときには皆さんにとっては宇宙人のような存在であったかと思いますけれども、今まで全くしがらみがない、皆さんの仕事ぶりを全く知らない私が、突然外からふっとやって来て、そして皆さんの姿がなかなか見えない。これだけ大きなところはなかなか見えない。だから皆さんの抱えている問題がどういうものか、一生懸命私は対話をしてきたつもりであります。話をいっぱい聞いてきました。そのような中で、私にとって非常に大きなショックだったのは、皆さんの中の職員が、1年、2年、外部の行政機関なり役所、民間企業なりに行って、戻ってきた人たち、その発言が一番印象的でありました。

 神奈川県庁と行った先でどこが違いましたかと聞いたときに、神奈川県庁の仕事ぶりは、議論をしないと言いました。私はびっくりいたしました。議論をしないって、ではどのようにして仕事ができるのか。県庁の場合には、「これをやっとけ」と言われて、「どうしてこれをやるのですか」と聞いたら、「そのような事は考えないでとにかくやっていろ」と言う。「これは仕事の全体の中でどういう位置付けになるものなのですか」と聞いても、「それはいいからとにかくやっていろ」と、こういう文化があった、と。

 ところが派遣先に行ってみると、民間企業であろうが国の役所であろうが、どんな下っ端であっても、この仕事はなぜやるのか、どういう意味があるのか、大きな絵の中の一体どの部分を担っているのか、その説明もあったし議論もあった。その部品は実はそれよりもこっちの部品の方が良いのではないですか、というようなさまざまな議論があって、そしてまとまってから作業に入ったら、時間が圧倒的に短く済んだ、と。

 県庁の場合には、議論がなく、やっていろと言われてやって、上に上がっていったら違うと言われ、また下りてくる。また一からやり直しだと。この内部調整に大変時間がかかる、そこが外部の組織と県庁の大きな違いですと、これは私が言ったのではなくて、皆さんの仲間が行って、帰ってきたほとんどの方が、同じようなことを口にしたということがありました。

 これではあまりにも無駄が多いのではないかと思って、それが質の行政改革ですということで、お話をしてきたつもりであります。

 ですから、現場で議論をしてくださいということを言ってきた中で、先月末、グループリーダーの皆さんと話をした。その前にアンケート調査も行いました。その中で、やらされ感がある、あきらめ感があるということを多くの方が口にしたということは、一体どういうことなのか。目指している質の行政改革は、進んでいないと言わざるを得ないのではないかと私は思った次第です。

 そこで、これから大きく変えなければいけない、われわれの使命があります。行政改革の中で、これまで人を減らしてきた。何を減らしていくか。今減らさなければいけないのは、労働時間であります。今までは、もう人は減ったのだから、仕方がない。だから残業をいっぱいして、とにかくやらなければ仕方がないのだから、これは当たり前のこと、仕方がないことと済ませてきたわけであります。

 しかし、もう時代は変わった。そのように労働時間をどんどん延ばして、こなせば良いということを許される時代ではなくなったということであります。そうするとどうするのでしょうか。人は減った。今まで一生懸命長く働いて補ってきたものを働くなと言われたら、どうするのですか。これがわれわれ全体に課せられた大きな課題だと思います。

 だからこそ言っているのは、働き方そのものを根本的に変えなければだめだということ。これはもう待ったなしに迫られているということだと思う次第であります。

 ですから、これを実現するために私は、三つのことを申し上げたいと思います。まずは、今何回も言っている、議論するということ。そして、自分の頭で考えるということ。そして、納得するということ。議論する、考える、納得する。この三つを皆さんにお伝えしたいと思います。議論する、逆に言えば外からポンとやって来た私にとってみれば、議論しないといったことが不思議に見えてなりません。

 私もサラリーマン生活を30年やっていました。新人のときから「これをやれ」と言われたら、「どうしてですか」と聞きました。すると、「とにかくやれ」と。でも分からないから、「分かりません」と。「おまえよく口ごたえするやつだな」と言われても、やはり話をしてきました。そうしたら、「本当にうるさいやつだな」と言いながらも、ちゃんと先輩は説明をしてくれました。私なんか生意気だったものだから、そのようなことはあまり意味ないのではないですか、こういうことやりましょうよと言ったりしたら、何を言っているのだと言いながらも、議論するという雰囲気というのはありました。

 特に私のいたテレビ業界というのは、若いやつは生意気の方が良い、こういう文化があったのです。というのは、ものづくりの世界でずっと生きてきた。そうすると、ベテランになっていく。ベテランのディレクター、ベテランのプロデューサーになっていく。これはつくり手としては、ある種非常な危機感を覚える。なぜか。歳を重ねていくと、若い人間の感性に勝てない、ソフト戦略の中で若い感性に勝てない。どこか負い目がある。若い人間はどんどん生意気なことを言う。言いたいことを言ってもベテランの有能な素晴らしいプロデューサーであればあるほど、なんだかんだと言っていながら、しっかりそれを聞きとめている。これはやはり組織の活性化であり、大事だと思うのです。

 県庁の仕事というのは、そのようなテレビのやくざな世界ではなくて、きっちりかっちりしたものなのだから、とは言いながら、若い人の感性といったもの、これはやはり、そのソフトの戦略といったものもわれわれの大きな仕事でありますから、若い感性は大事にしなければいけない。若い感性をどうやってくみ取っていくのかといったときには、若いやつとも一生懸命になって、真剣になって議論する。そういうことが何よりも大事だと私はあらためて思う次第であります。

 これとともに、自分の頭で考えるということ。何を言っているのですか、県庁の仕事はみんな考えてやっていますよ、考えないで仕事ができるわけがないではないですかと、みんなが思うと思います。ところが、本当に突き詰めて考えているのかということです。つまり、こういう議論はないでしょうか。「これやっておけ」「どうしてこれをやるのですか」「知事が、または局長がやれって言ってるからだ」。こういう会話はないでしょうか。

 そうすると、自然とその言っている本人は考えていない。上から来たものを実際に下に投げているだけです。上がってきたものも、そのまま上に上げているだけで、考えてない。正直、私のところに上がってくるものでも、本当に考えた内容なのかと言ったものもたくさんあります。私が言ったことがそのまま上がってくる。何でこれやるの、と聞くと、知事がおっしゃったからだ、と。私が言ったことでも、考えて、それは違いますよと、それよりもこちらでしょうということを期待する面もあります。言ったまま返ってくる、それは仕事の大きな発展にはつながらない。

 私はかつて、「報道2001」という番組を担当していました。私がその番組を始めたときは、37歳でした。スタジオにやってくるゲストは超大物政治家ばかり。非常に難しい最先端の政策課題をスタジオで議論しなければいけない。そのときのスタジオに至るまでの打ち合わせでは議論をし尽くしました。徹底的に考えました。毎日同じことをやるとしても、この角度はないのか、こう聞いたらどうなのだ、これは本当にみんなに分かるか、要するにこの本質は何なのだ、ということを何度も何度も議論して考え考え、繰り返しました。そのとき毎週、私が経験したのは「脳が凝る」という感覚でした。肩が凝るという感覚はあると思いますけれども、脳みそが凝るという感覚は、そのとき初めて味わいました。

 そして、その脳みそが凝るくらい考えた後に、ふっと水平が開けるように、私はよく言っていましたが、すとんと落ちるという感覚。すとんと落ちたときに、自分がその考えにどういうところから攻めていけば良いのか、要するに何なのかということが、自分の中で納得できるということでした。

 納得感というのは、非常に重要なポイントだと思います。生煮えの感覚だけで、たぶんこれはこうなのだなとやったらば、考えないでもの思うことはどんどんできます。でも、本当に考えたら、苦しくてしようがないです。でも、そこまでいったときに初めて、なるほどそうだという確信が生まれてきます。すとんと落ちて自分の意志が納得したときに初めて確信が生まれる。そこから、本当の新しいものを生み出すエネルギーが出てきます。人に伝えるときの説得力も出てきます。物事を実現するための大きなパワーも出てきます。納得できる、これを皆さん、仕事の大きな目標にしていただきたい。そのように思う次第であります。

 議論する、考える、納得するという中で仕事をすれば、今、まだまだ県庁の中に残っているやらされ感、あきらめ感、こういったものを排除し、そして効率良くみんなの力を結集して大きな仕事ができるに違いない、そう思う次第であります。

 こういった働き方改革といったものを、皆さんとともに今年は進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 今年一年また頑張りましょう。ありがとうございました。

神奈川県

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