2023年6月29日更新

レジオネラ症

レジオネラ属菌(代表としてLegionella pneumophilia)が原因の感染症です。レジオネラ属菌は、もともと土壌や湖沼などの自然環境に生息していますが、循環式の浴槽や噴水などの人工環境に存在する宿主アメーバの中で増殖し、人に感染します。レジオネラ症は呼吸器症状を起こす肺炎型と、一過性のかぜ様症状で自然に軽快するポンティアック熱型があり、感染症法では全数把握対象疾患4類感染症に分類されています。


(左)宿主アメーバの中で増殖するレジオネラ属菌
(右)宿主アメーバの中から出てくるレジオネラ属菌
(ギムザ染色:神奈川県衛生研究所「衛研ニュース」より)

目次

感染経路

レジオネラ属菌は、土壌や湖沼等の自然環境で生息していますが、一般的にその数は少ないと考えられます。レジオネラ属菌は、宿主になるアメーバに寄生して増殖します。循環式の浴槽や配管、ビル屋上の冷却塔、噴水などの人工的な水循環設備の中には宿主アメーバがいます。この宿主アメーバの中で、レジオネラ属菌が大量に増殖します。レジオネラ属菌を含んだ微小な水滴や固体の粒子を吸入することで感染します。人から人への感染は確認されていません。

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症状

肺炎型は、レジオネラ属菌に感染してから2~14日後に症状が現れます。高い熱、頭痛、筋肉痛に加えて、咳や息切れといった呼吸器の症状が現れます。また幻覚や昏睡といった、神経系の症状が早い時期に現れることも一つの特徴です。肺炎を起こした場合、致死率が比較的高く(5~30%)、早期の診断、適切な抗菌薬による早期治療が大切です。

ポンティアック熱型は、レジオネラ属菌に感染してから1~3日後に症状が現れます。発熱、頭痛、筋肉痛などの症状が出現しますが、咳などの呼吸器症状は見られません。こちらは2~5日程度で自然に軽快するため、レジオネラ症としては見逃されていることが多いです。

診断について

レジオネラ症の主な診断方法として尿中抗原検査があります。これは、検査キットを用いて尿中にあるレジオネラ抗原を検出する簡便な方法です。従来の検査キットはLegionella pneumophiliaの血清群1という種類の菌のみを検出するものでした。近年、その他の血清群のLegionella pneumophiliaでも検出可能な検査キットが開発され、徐々に普及しています。

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治療について

レジオネラ属菌に対する適切な抗菌薬の投与を行います。レジオネラ属菌は、体内の異物を取り入れ分解する働きをもつ、食細胞という細胞の中で増えるため、細胞の中で薬剤の効果がでる種類の抗菌薬でなければ、効果がありません。エリスロマイシンやリファンピシン、ニューキノロンといった抗菌薬が使用されます。

届出基準

届出基準・用紙(厚生労働省)

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行政対応

予防のために

レジオネラ属菌が生息しやすい、微小な水滴や固体の粒子の発生源(浴槽など)を適切に管理(点検、清掃、消毒、細菌検査)し、レジオネラ属菌の増殖を防ぐことが最も大切です。高齢者、喫煙者、慢性肺疾患のある方、免疫の低下する疾患(がん、糖尿病、腎臓病など)のある方は、レジオネラ属菌に感染しやすいため、特に注意が必要です。レジオネラ属菌の感染予防のためのワクチンはありません。

遺伝子型別検査

Legionella pneumophiliaの遺伝子型別にはSequence-Based Typing(SBT)法が広く用いられています。SBT法は、L. pneumophilaの特定の7つの遺伝子領域(flaA、pilE、asd、mip、mompS、proA、neuA)の塩基配列の一部を解読し、その塩基配列を決定します。各遺伝子の塩基配列には、番号が付与されており、7つの遺伝子の番号の組み合わせでsequence type (ST)を決定します。STはデジタル化された情報のため、容易に菌株間の比較ができます。

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神奈川県の発生状況

神奈川県でのレジオネラ症の発生状況をみると、2019年に報告数が152件と最多となり、以降、報告数は減少しています。しかし、2014年以降の報告数が、いずれの年も100件を超えており、神奈川県で発生している感染症の中でも報告数が多い疾患となっています。

血清群別の患者数をみると、検出したレジオネラ属菌の中で最も多かったのは、レジオネラ・ニューモフィラ血清群1(SG1)でした。その他にも下図に記載した血清群が検出されましたが、約8割の患者が起因菌不明であることが分かりました。

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参考リンク

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