キラリと光る☆就職氷河期世代を採用しよう! 第1回

いま、就職氷河期世代がアツい!!

約20年前から、就職氷河期世代のための就労支援や職業訓練に関わってきた著者の実感です。 昨年から国も自治体もいよいよ本腰になって、就職氷河期世代支援に取り組み始めています。新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受けて、従業員の雇用維持や、新たな就職氷河期世代を生み出してはならないと新卒等の若年者の雇用対策に力を入れた施策展開がなされているところではありますが、現在、多少落ち着きを取り戻しつつあり、就職氷河期世代を対象とした支援プランが、まさに再始動しようとしています。

そもそも就職氷河期世代とは?

就職氷河期世代。最近、よく聞く言葉だと思います。コラムをご覧の皆様はすでにご存知のことかと思いますので、さらっと触れる程度にしますが、おおむね1993年(平成5年)から2004年(平成16年)に学校卒業期を迎えた世代、2020年4月1日時点において大卒者ならおおむね38歳から49歳、高卒者なら34歳から45歳に相当する世代のことを言います。(雇用労働政策上、55歳未満までを支援対象として就職氷河期世代と定義する場合もあります。)

厚生労働省「第7回 若者の雇用動向に関する研究会配布資料」

著者は1978年(昭和53年)生まれ、2001年(平成13年)大学卒の就職氷河期世代にあたり、当時の社会経済環境や就職氷河期世代の感情なども肌感覚として理解しています。就職氷河期世代の方も、そうでない方も、耳目にふれることが多いかと思いますが、日本においてはバブル経済の崩壊、そして山一証券などの大手金融機関の経営破綻による金融危機、国外においてはアジア金融危機などが立て続けに発生しました。このような劇的なビジネス環境の変化によって、企業にとっては中長期的な展望が立てづらくなったことから、大企業も中小企業も採用を縮小するようになりました。そうした雇用環境が厳しい時期が、1993年から2004年頃まで続いたとされ、その後、2000年代終盤にはいわゆる「リーマン・ショック」が日本にも波及し、雇用環境に大きな影響を与えました。

この間、就職氷河期世代への支援がなされてこなかったのかといえば、そのようなことはなく、若年フリーターが社会問題化した2003年(平成15年)には「若者自立・挑戦プラン」が動き出し、全国にキャリアカウンセリングから職業相談、職業紹介、就職セミナーなどの若年者の就職支援をワンストップで提供する「ジョブカフェ」が設置されたり、リーマン・ショック後には、緊急人材育成支援事業として、求職者が生活資金を得ながら職業訓練を受けられる事業が始められたりしてきました。2010年代後半には、「正社員転換・待遇改善自立プラン」が始まり、不本意に非正規労働を継続してきた方々を対象に、正社員転換や処遇改善が図られるように新たな助成金制度が創設されるなどしてきました。

しかし、就職氷河期世代には今なお、仕事や生活に困っている人が多くいます。 国としても、本来ならば社会保障やビジネスの中心層として活躍が期待される就職氷河期世代への支援が重要な課題であると考え、2019年(令和元年)の夏に、2020年度から3年間を集中的な支援期間とする「就職氷河期世代支援プログラム」が決定されました。就職氷河期世代の当事者にとっても、自身のキャリアを築き、残りの仕事人生や老後も展望する中で、最後のチャンスと捉える向きもあり、注目されてきています。

資料:厚生労働省ウェブサイト「就職氷河期世代活躍支援プランSTART!ページ」

就職氷河期世代を採用するメリットとは

就職氷河期世代は、就職活動から大変な経験をされてきた方が多くいます。他の世代と比較して、非正規労働で働く人が多いとも言われていますが、そうした経験をプラスと評価するか、マイナスと評価するかは、企業次第でもありますし、本人の考え方次第のところもあります。私は一貫して、この就職氷河期世代が積んできた多様な経験に対して、プラスの評価をしてきました。本コラムでは、全3回を通じて、会社の成長にとって欠かせない存在となり得る就職氷河期世代の人材の採用・活かし方をどのように進めていけば良いのかを、企業の人事担当者向けにお伝えしていければと考えています。
もし、本コラムを読んで、少しでも、就職氷河期世代の就職を考えて下さったり、一人でも支援対象者を採用・活用して頂けるとすれば望外の喜びです。

さて。実際のところ、企業の皆さんにとって一番知りたいのは、「就職氷河期世代って、採用するのはいいけど、本当に活躍してくれるの?」という疑問や不安のはずです。20歳代なら、個々人の成長のポテンシャルも残されていて、新卒とあまり変わらないという認識で採用される企業もあるかと思います。でも30代・40代の就職氷河期世代は・・・うーむ、と。その気持ち、よく分かります。私も会社経営者ですし、かつてはそれなりに社員を抱えていましたので、採用してから「しまったな」と思うことも確かにありました。

果たして就職氷河期世代の人材は会社で活躍してくれるのか、否か。
結論から言うと、活躍してくれるはずです。しかし、いくつか取り組むことや、考えねばならないことがあります。
1つ目は、自社にとって就職氷河期世代を採用・活用するメリットは何かを考えること(次回コラムで取り上げます)。2つ目と3つ目は、採用しようとする就職氷河期世代の本人の自覚・責任感をどのように醸成するのか、そして就職氷河期世代に特徴的な配慮すべき事柄を知るということです(第3回目コラムで取り上げます)。それ以外の部分は、ある意味、テクニック論と言えるでしょうか。

次回は就職氷河期世代を採用するメリットについて取り上げ、就職氷河期世代の人材の活用について深掘りをしていきます。

藤井 哲也(ふじい・てつや)

株式会社パブリックX代表取締役。1978年生まれ。大学卒業後、規制緩和により市場が急拡大していた人材派遣会社に就職。問題意識を覚えて2年間で辞め、2003年に当時の若年者(現在の就職氷河期世代に相当)の就労支援会社を設立。国・自治体の事業の受託のほか、求人サイト運営、人材紹介、職業訓練校の運営、人事組織コンサルティングなどに従事。2019年度の1年間は、東京永田町で就職氷河期世代支援プランの企画立案に関わる。2020年から現職。しがジョブパーク就職氷河期世代支援担当も兼ねる。日本労務学会所属。