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更新日:2024年1月24日

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農産物の上手な利用法(アンズジャム/作り方のアドバイス)

「農産物の上手な利用法」のページでは、オープンラボで実験された農産加工実験や神奈川県農業技術センターの過去の研究成果を紹介しています。

 
作り方のアドバイス

★アンズの加熱

鍋で煮る目安は果肉に熱が入り、ヘラで押すと簡単に潰れる程度で、完全に煮崩す必要はありません。品種や熟度によって果肉の柔らかくなり易さが非常に違います。果肉の硬いものは加熱してもなかなか柔らかくなりません。
アンズを焦がさないよう、木ベラで攪拌し、果肉の柔らかさを確かめながら加熱を続けて下さい。果肉の柔らかくなりやすいものは直ぐに柔らかくなりますが、果肉の柔らかくなりにくいものは15分くらい加熱しても十分な柔らかさになりません。加熱時間が長くなると水分が蒸発して全体がもったりとし、焦げやすくなるので、適宜お湯を入れて加熱を続けて下さい。 写真:果肉の柔らかさを確かめながら加熱を続ける   写真:適宜お湯を入れて加熱を続ける
過熟なアンズは果肉が柔らかくなっていますから加熱を始めると、直ぐに皮がはじけるように剥け、全体が溶けるようになってきますから、すぐに裏ごしすることができます。 写真:過熟なアンズは加熱するとすぐに皮がはじける  

★凍結アンズの加熱

凍結したアンズは完全に解凍するとたくさんの果汁(解凍ドリップ)がでてきます。このドリップもジャム作りには必要なので、捨ててはいけません。凍結したアンズを原料にするときは、少量の水を沸騰させた鍋に入れて、解凍しながら煮崩すほうが手早く加工することができます。

★アンズの裏ごし

1mm目の金網(ザル)で種・皮と果肉を分けましょう。目が細かすぎると裏ごしが大変になります。裏ごしで得られるアンズ果肉ペーストは原料アンズの70~80%程度になります。
写真:取っ手付き網ザル   写真:ゴムベラを使って裏ごしする

★アンズ果肉ペーストの加熱

焦がさないように鍋底や鍋のフチをヘラで擦るように攪拌して下さい。火が強いと鍋のフチに付いたアンズの果肉がこびりつき、焦げてきます。焦げそうになったら濡れ布巾で拭き取って下さい。でも、焦げるのが心配だからといって、弱火でトロトロと加熱すると、加熱時間が長くなり、ジャムの色が暗くなり、きれいに仕上がりません。焦がさないよう、可能な限り強い火で加熱して下さい。
表面に浮いてくる泡・アクはレードルなどですくい取ってください。

★砂糖の添加

裏ごし果肉が沸騰したら、分量の砂糖を全部加えますが、一気にザッと加えると鍋底に砂糖がたまり、こびりつき、焦げる原因ともなります。沸騰したアンズ果肉ペーストを攪拌しながら、砂糖が鍋底に溜まらないようにサーッと加えて下さい。
砂糖が入ると鍋底が焦げやすくなるので、焦がさないように鍋底をヘラで擦るように攪拌して下さい。鍋のフチに付いた果肉も焦げやすいので注意して下さい。
写真:砂糖はサーッと全量を加える  

★煮詰め具合の確認

煮詰め具合いの確認は攪拌しているヘラにつく果肉の状態、スプーンですくい取った時の流れる状態、冷水を入れたコップに滴下したときの果肉の状態、冷えた皿・プレートに薄くつけて立てたときの流れる状態など、いろいろな方法で煮詰め具合(ゲル化状況)が確認できます。
ヘラについた果肉がサッと流れるなら煮詰め不足、モッタリとしてくればOK。スプーンに採った果肉をちょっと冷まして傾けたときサッと落ちずにポッタリとしているならOK。冷水に果肉を滴下したとき花火にの様にパーッと散るなら煮詰め不足、コップの底までミズクラゲの様にプヨプヨと沈んでいけばOK。
写真:コップ法で粘りぐあいを調べる   写真:糖度計で調べる
皿・プレートにつけた場合、立てたらスーッと流れたら煮詰め不足、ちょっと流れてスッと止まればOK。その他、温度で濃縮度合を確認することができます。何度かジャムを作って、頃合を確認して下さい。
糖度65%程度の場合、出来上がり量は1.7~1.8kg程度になります。
写真:皿にジャムをのせる   写真:皿を立ててジャムの流れぐあいをみる

★アク取りの隠し技

加熱を終了し、レンジからおろすと表面にアワ・アクが浮いて来ます。このアワ・アクがジャムビンに入ると見た目が非常に悪くなってしまいます。このアワ・アクを取るため、ジャムの表面にラップフィルムまたはアルミホイルをのせるとアワ・アクがついてしまい、アワのない、きれいなジャムとなります。

★ジャムビンとフタ

ジャムビンは広口の140~250mlのビンがお手頃。空きビンも利用できますが、ビンの口が欠けたり、ヒビのあるものは絶対に使わないで下さい。ジャムを入れてフタをしてもきちんと閉まらないため、長く保存することができません。また、加工中や保存中にビンが割れることもあります。ジャムを無駄にするばかりでなく、思わぬところでケガをすることにもなります。
フタは一度使ったものはパッキンが凹んで、緩くなるので、長く保存するためには、新しいフタを使って下さい。
ビンとフタはきれいに洗い、蒸気の上がった蒸し器に口を下向きにして入れ、内部に水が溜まらないようにして加熱して下さい。ビンとフタはジャムを詰めるまで蒸し器に入れて、熱くしておきましょう。
写真:ビンとフタは口を下にして蒸し器に入れる  

★ジャムのビン充填

ジャムは熱いうちに、熱いビンに詰めなければなりません。ジャムやビンの温度が低いと脱気加熱の時間を長くしなければなりません。きれいで、おいしいジャムは手早く炊き上げ、手早くビンに詰め、きちんと脱気加熱するのがポイントです。
ジャムはビンの口の上端から6~8mmくらいまで入れて下さい。140mlのビンなら155g、200mlのビンなら215gくらい入ります。
写真:ジャムはビンの口の上端から6~8mmくらいまで入れる  

★ビン充填の隠し技

ジャムビンの口を汚さないため片口レードル、片口、太口のロートなどを用いることは有効です。でも、たこ焼きに使う種おとしは優れもの。種おとしにジャムを入れて、ちょっと時間をおくとアワが上に浮いてきます。それからおもむろにビンに注ぎ込むと、種おとしの下部からジャムが出るため、アワの入らないきれいなジャムがビンに入ります。
写真:種おとしを使ってジャムをビンに詰める   写真:種おとしと取って付きジョッキ

★脱気加熱

脱気はジャムとフタの間に残る空気・酸素を減らすために行います。加熱の時間はビンの大きさ、ビンに入っているジャムの温度によって異なります。加熱によりビンの中に残った空気を膨張させ、希薄にした状態でフタをキュッと締め、減圧状態にします。軽くフタをしたジャムビンを蒸気の上がった蒸し器に入れ、ジャムの中心温度を80℃以上なるまで加熱します。140~200gビンに熱いジャムを入れた場合では15~20分程度加熱します。家庭なら蒸し器を使いますが、スチーマーがあるなら非常に簡便、確実にできます。
写真:蒸し器で脱気加熱   写真:スチーマー

★倒立放冷

脱気加熱が終了したら、フタをキュッと閉め、ビンを逆さにします。熱いジャムが下になったフタにもまんべんなく触れます。30分間、ビンを逆さにしておくことで、ビンの中に残っている耐熱性の微生物も生育することができなくなります。また、フタの締めかたが緩かったり、ビンの口に傷があったりして、すき間があると、ビンを逆さにしたときにジャムが吹き出してきます。このジャムの長期保存はあきらめて下さい。すぐに食べてしまいましょう。
写真:フタをキュッと閉め、ビンを逆さにする  

★流水冷却

倒立放冷の終了したジャムに高温は不要です。ビンを水に浸けてジャムの温度を下げるとともに、ビンについた汚れを洗い流します。ジャムがわずかな温もりを持つ程度になったら、ビンの外側やフタが清浄かどうか、確認しながら水から取り出し、きれいな布巾でビンやフタの水気を拭き取って下さい。完全に冷えているより、少しの温もりがあった方がふき取れなかった水分が早く乾きます。
写真:倒立放冷の終了したジャムは流水で冷やす   写真:温もりのあるときに水からあげ、水気を拭き取る

★ラベル

製造に係わる情報を付けたラベルを貼りましょう。
販売するなら名称、原材料名、内容量、賞味期限、保存方法、製造者あるいは販売者の氏名又は名称及び住所の6項目をまとめて順番に表示することが義務付けられています。
でも、自家用に作るジャムならばジャムの名前・材料の種類・材料の配合・作った年月日などの記録が簡単に分かることが大切です。これにより、品質の良否、保存条件や期間の良否も判断できます。また、記録から次ぎに作るときの改善すべきことも分かってきます。
写真:製造に係わる情報を付けたラベルを貼る  

★保存

ジャムは冷暗所に保存して下さい。ここに記した方法で作ったジャムはフタを開けない限り、腐敗することはありません。しかし、温度の高いところ、明るいところに長くおくと、ジャムの糖、酸、ペクチン、色素などが化学反応をおこし、色が変わったり、柔らかくなったり、水分が分離してきます。また、香りも悪くなってきます。
ビンに詰めたままのジャムは長く保存できますが、フタを開けたジャムは糖分が多くても、少なくてもカビが生えたり、味や香りが悪くなり、長く保存することは難しくなります。フタを開けたジャムは冷蔵庫に入れて保管し、なるべく早く食べてしまいましょう。
写真:ジャムは美味しく食べる  

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生産環境部(品質機能研究課)
電話 0463-58-0333 内線344から345

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