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更新日:2024年1月19日

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農産物の上手な利用法(青ウメジャム/作り方のアドバイス)

「農産物の上手な利用法」のページでは、オープンラボで実験された農産加工実験や神奈川県農業技術センターの過去の研究成果を紹介しています。

作り方のアドバイス

★水の添加量

青ウメピューレはペクチンが強いので、ピューレと同量程度の水を加えないとジャムが固くなり、泡を抱きこんでしまいます。
青ウメピューレと水、砂糖の添加量はちょっと面倒くさいようですが、少量テストを行って、適正量を決めるのが一番手っ取り早いです。方法は実際にジャムを作る時の配合割合を再現するだけですが、試作する量は1~2ビン分で十分です。
青ウメピューレ100g、水50ml又は100ml、砂糖は150g又は200gの配合でステンレス容器に入れ、加熱します。鍋の中が沸騰し、糖度が55%になったらビンに詰めて、冷やせば、ゼリー化の良否が判断できます。ピューレに加える水と砂糖の量を変えて、何回か試作すれば、最適配合割合がわかります。
ウメの品種、熟度が異なっても、上記のようなテストを繰り返すと大体同じようなゼリー状態のジャムが製造できます。味は糖度を一定にできますが、酸度は品種、熟度で異なること、また、青ウメピューレを調整するときの水の割合などで異なるので、一定になるとは言えません。
  写真:青ウメピューレに水を加える

★青ウメピューレの加熱

焦がさないように鍋底や鍋のフチをヘラで擦るように攪拌して下さい。攪拌が悪いと鍋底が焦げやすいのはもちろんですが、ガスの火が強いと鍋の側面部分の温度が上がってきます。側面部分に付いた青ウメピューレがこびりつき、焦げてきます。
  写真:鍋底を擦るように攪拌する
焦げそうになったら濡れ布巾で拭き取って下さい。でも、焦げるのが心配だからといって、弱火でトロトロと加熱すると、加熱時間が長くなり、青ウメジャムの色が暗くなり、きれいに仕上がりません。また、ペクチンが熱で分解してくるのでゼリー化が悪くなってきます。焦がさないよう、可能な限り強い火で加熱して下さい。
表面に浮いてくる泡・アクが多くて気になるなら、レードルなどですくい取ってください。泡を寄せるようにしてすくい取ると効率よく泡がすくい取れます。
  写真:泡・アクが多くて気になるなら、レードルなどですくい取る   写真:泡を寄せるようにしてすくい取る

★砂糖の添加

青ウメピューレが沸騰したら、分量の砂糖を全部加えます。砂糖の量は青ウメピューレと水添加量を合わせた量となります。青ウメピューレ100gに同量の水100mlを加えると砂糖の量は200gとなります。加熱して糖度を55%にすると重量は365gくらいになります。
  写真:ボウルに取り分けた分量の砂糖
青ウメピューレはペクチンが強いので、ピューレと同量くらいの水を加えないとジャムが固くなり、泡を抱きこんでしまいます。砂糖を一気にザッと加えると鍋底に砂糖がたまり、こびりつき、焦げる原因ともなります。沸騰した青ウメピューレを攪拌しながら砂糖を加え、鍋底に砂糖が溜まらないように攪拌し続けて下さい。   写真:砂糖はサーッと加える   写真:鍋底に砂糖が溜まらないように攪拌し続ける
砂糖が入ると鍋底が焦げやすくなるので、焦がさないように鍋底をヘラで擦るように攪拌して下さい。鍋のフチに付いた果肉も焦げやすいので注意して下さい。鍋底を攪拌しているとき、鍋底の滑らかさがなくなり、こそこそとしたざらつきを感じたら焦げつき始めている証拠です。火から下ろして、鍋底の状態を確認し、ぼた餅の様に焦げているが全体に焦げ臭が回っていないなら、鍋を取り替えて加熱を続けてください。気になる様な焦げ臭がついているときは完全に失敗です。ジャムづくりを中止して廃棄することになります。

★煮詰め具合の確認

煮詰め具合いの確認は攪拌しているしゃもじにつく果肉の状態、スプーンですくい取った時の流れる状態、冷水を入れたコップに滴下したときの果肉の状態、冷えた皿・プレートに薄くつけて斜めにしたときの流れる状態など、いろいろな方法で煮詰め具合(ゲル化状況)が確認できます。
しゃもじについた果肉がサッと流れるなら煮詰め不足、モッタリとしてくればOK。
  写真:しゃもじにつく果肉の状態で煮詰め具合を判定
スプーンに採った果肉をちょっと冷まして傾けたときサッと落ちずにポッリとしているならOK。冷水に果肉を滴下したとき花火にの様にパーッと散るなら煮詰め不足、コップの底までミズクラゲの様にプヨプヨと沈んでいけばOK。   写真1:泡・アクが多くて気になるなら、レードルなどですくい取る   写真2:泡・アクが多い場合、気になるならレードルなどですくい取る
皿・プレートにつけた場合、立てたらスーッと流れたら煮詰め不足、ちょっと流れてスッと止まればOK。その他、温度で濃縮度合を確認することができます。何度かジャムを作って、頃合を確認して下さい。

★アク取りの隠し技

加熱を終了し、レンジからおろすと表面にアワ・アクが浮いて来ます。このアワ・アクがジャムビンに入るとゼリーの中に抱き込まれ、見た目が非常に悪くなってしまいます。このアワ・アクを取るため、ジャムの表面にラップフィルムまたはアルミホイルをのせるとアワ・アクがついてしまい、アワのない、きれいなジャムとなります。
  写真:ジャムの表面にラップフィルムをのせて泡を取る

★ジャムビンとフタ

ジャムビンは広口の140~250ccのビンがお手頃です。ジャムビンを購入するなら、ビンの容量やデザインが違っても、口の大きさとねじ山の形状が同じものを購入した方が良いでしょう。ジャムビンは何回も使えますが、ビンのフタは消耗品と考えた方が良いでしょう。大量ならばビンのフタだけ購入することもできます。その時にビンの口の大きさが違ったり、ねじ山の形状が違うとそれらに合ったビンフタも用意しなければならなくなります。
  写真:いろいろなジャムビン
空きビンも利用できますが、ビンの口が欠けたり、ヒビのあるものは絶対に使わないで下さい。ジャムを入れてフタをしてもきちんと閉まらないため、長く保存することができません。また、加工中や保存中にビンが割れることもあります。ジャムを無駄にするばかりでなく、思わぬところでケガをすることにもなります。
フタは一度使ったものはパッキンが凹んで、緩くなるので、長く保存するためには、新しいフタを使って下さい。
ビンとフタはきれいに洗い、蒸気の上がった蒸し器に口を下向きにして入れ、内部に水が溜まらないようにして加熱して下さい。ビンとフタはジャムを詰めるまで蒸し器に入れて、熱くしておきましょう。
  写真:蒸し器に入れるジャムビンは口を下向きにする   写真:ジャムビンとフタは蒸し器に入れて熱くする

★ジャムのビン充填

ジャムは熱いうちに、熱いビンに詰めなければなりません。ジャムやビンの温度が低いと脱気殺菌の時間を長くしなければなりません。きれいで、おいしいジャムは手早く作って、手早くビンに詰め、殺菌するのが肝要です。
ジャムはビンの口の上端から6~8mmくらいまで入れて下さい。140mlのビンなら155~160g、200mlのビンなら215~220gくらい入ります。
用意するビンは原料の使用量から出来上がり量が予想できますので、不足しないよう、1~2本分の余裕をもって準備してください。1~2本の余分を作るのはジャムを入れる前にガラスビンを汚したり、キズをつけてしまったときなど、作業を中断してジャムビンの用意をしないようにするためです。フタも同じように1~2枚の余裕を持って準備してください。
  写真:ジャムをビンに詰める

★ビン充填の隠し技

ジャムビンの口を汚さないため片口レードル、片口、太口のロートなどを用いることは有効です。でも、たこ焼きに使う種おとしは優れもの。
種おとしに青ウメジャムを入れて、ちょっと時間をおくとアワが上に浮いてきます。それからおもむろにビンに注ぎ込むと、種おとしの下部からジャムが出るため、アワの入らないきれいなジャムがビンに入ります。
  写真:たねおとし   写真:種おとしに青ウメジャムを入れ時間をおくとアワが上に浮く   写真:アワのないきれいなジャムをビンに入れる

★脱気殺菌

脱気はジャムとフタの間に残る空気・酸素を減らすために行います。ビンの大きさ、ビンに入っているジャムの温度によって異なることは言うまでもありません。加熱によりビンの中に残った空気を膨張させ、希薄にした状態でフタをキュッと締め、減圧状態にします。軽くフタをしたジャムビンを蒸気の上がった蒸し器に入れ、ジャムの中心温度を90℃以上なるまで加熱します。140g~200gビンにジャムを入れた場合、ビンに入れたジャムの温度によって、5~20分程度加熱します。
  写真:ジャムビンに軽くフタをする   写真:ジャムビンを蒸気の上がった蒸し器に入れる

★倒立放冷

脱気殺菌が終了したら、フタをキュッと閉め、ビンを逆さにします。熱いジャムが下になったフタにもまんべんなく触れます。30分間、ビンを逆さにしておくことで、ビンの中に残っている耐熱性の微生物も生育することができなくなります。また、フタの締めかたが緩かったり、ビンの口に傷があったりして、すき間があると、ビンを逆さにしたときにジャムが吹き出してきます。このジャムの長期保存はあきらめて下さい。すぐに食べてしまいましょう。
  写真:脱気殺菌が終了したら、フタをキュッと閉め、ビンを逆さにする   写真:タイマーで30分計測

★流水冷却

倒立放冷の終了したジャムに高温は不要です。ビンを水に浸けてジャムの温度を下げるとともに、ビンについた汚れを洗い流します。
ジャムがわずかな温もりを持つ程度になったら、ビンの外側やフタが清浄かどうか、確認しながら水から取り出し、きれいな布巾でビンやフタの水気を拭き取って下さい。完全に冷えているより、少しの温もりがあった方がふき取れなかった水分が早く乾きます。
  写真:流水で冷却   写真:ビンの水気を拭き取る

★ジャムのゼリー化

流水冷却しても、青ウメジャムは完全にゼリー化してない場合もあります。ゼリー化していてもゼリー化が弱い場合、ビンを振ったり、揺すったり乱暴に扱うとゼリー化しているジャムのネットワーク構造が壊れ、ビンの中全体がゼリー状の固まりにならなくなります。ゼリー化する前のジャムの取り扱いは優しく、丁寧に行ってください。また、ゼリー化が弱いと作って直ぐにはゼリー化せず、1日後にゆるくゼリー化することもあります。コップテストでゼリー化することが確認できていればゼリー化してきます。ゼリー化しないときはコップテストの時の状態を思い起してください。

★ラベル・表示

製造に係わる情報(ジャムの名前・材料の種類・材料の配合・作った年月日など)を付けたラベルを貼りましょう。自家用であっても記憶に頼るだけでは時間が経過すると作った時のいろいろな情報を忘れてしまいます。また、保存している間にいろいろな品質変化が認められますが、その原因究明と対策確立にも製造時の記録は必要です。次回にも良いジャムを作るため、わずかの手間を惜しんではなりません。
  写真:製造に関わる情報を記したラベルを貼る

★保存

ジャムは冷暗所に保存して下さい。こうやって作ったジャムはフタを開けない限り、腐敗することはありません。しかし、温度の高いところ、明るいところに長くおくと、ジャムの糖、酸、ペクチン、色素などが化学反応をおこし、色が変わったり、柔らかくなったり、水分が分離してきます。また、香りも悪くなってきます。
ビンに詰めたままのジャムは長く保存できますが、フタを開けたジャムは糖分が多くても、少なくてもカビが生えたり、味や香りが悪くなり、長く保存することは難しくなります。一度フタを開けたジャムは冷蔵庫に入れて保管し、なるべく早く食べましょう。

このページに関するお問い合わせ先

生産環境部(品質機能研究課)
電話 0463-58-0333 内線344から345

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