令和7年度 神奈川県感染症発生動向調査解析委員会報告
令和8年3月6日(金)開催
| [出席委員] | |
| 委員長 | 森 雅亮(東京科学大学生涯免疫医療実装講座教授、聖マリアンナ医科大学リウマチ・膠原病・アレルギー内科教授) |
| 副委員長 | 清水 博之(藤沢市民病院臨床検査科診療科部長・感染対策室長) |
| 委員 | 今川 智之(神奈川県立こども医療センター感染免疫科部長) |
| 委員 | 片山 文彦(小児科内科落合医院院長) |
| 委員 | 笹生 正人(公益財団法人神奈川県医師会副会長、笹生循環器クリニック院長) |
| 委員 | 永瀬 剛司(永瀬医院院長) 欠席 |
| 委員 | 三﨑 貴子(川崎市健康福祉局健康安全研究所所長) |
| 委員 | 三森 倫(相模原市健康福祉局保健衛生部部長(兼)保健所所長) 欠席 |
| 委員 | 横山 涼子 (横浜市医療局衛生研究所感染症・疫学情報課課長) |
| [オブザーバー] | |
| 西海 昇(神奈川県健康医療局厚木保健福祉事務所大和センター所長) | |
| 多屋 馨子(神奈川県健康医療局衛生研究所所長) | |
| 横浜市医療局健康安全部、横浜市医療局健康安全部健康安全課、横浜市医療局衛生研究所、横浜市医療局衛生研究所感染症・疫学情報課、川崎市健康福祉局、川崎市健康福祉局保健医療政策部感染症対策課、川崎市健康福祉局健康安全研究所企画調整担当、川崎市健康福祉局健康安全研究所感染症情報センター担当、相模原市健康福祉局保健衛生部疾病対策課、相模原市健康福祉局保健衛生部衛生研究所、横須賀市保健所保健予防課、横須賀市保健所健康安全科学センター、藤沢市保健所保健予防課、茅ヶ崎市保健所保健予防課 | |
議題
1 2025年の感染症発生動向調査及び病原体検出状況について
- 全数把握対象疾患報告数(資料1-1
、1-2
) - 定点把握対象疾患週別報告数推移(資料2)

- 神奈川県衛生研究所における病原体検出状況と注目感染症(百日咳、急性呼吸器感染症(ARI)、新型コロナウイルス感染症、季節性インフルエンザ、重症熱性血小板減少症候群(SFTS))について(2025年1月~12月)(資料3-1)

2 2025年に話題となった感染症について
- 麻しんの県内発生動向等について(資料4-1)

- 麻しんワクチン緊急接種事業について(資料4-2)

- 百日咳の県内発生動向について(資料5)

- 急性呼吸器感染症(ARI)の県内発生動向等について(資料6)

- 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の県内発生動向等について(資料7)

3 その他
議題1 2025年の感染症発生動向調査及び病原体検出状況について
〇 全数把握対象疾患報告数 (資料1-1
、1-2
)
- 累積報告数は2024年の3,331例に比べ2025年は7,021例と大幅に増加した。疾患別でみると腸管出血性大腸菌感染症、麻しん、百日咳の増加が目立った。
〇 定点把握対象疾患週別報告数推移(資料2)
- 急性呼吸器感染症(Acute Respiratory Infection:ARI)が2025年第15週から5類定点把握対象疾患に追加された。43週から増加し、47週(定点当たり報告数128.21)をピークに減少した。
- インフルエンザは39週に定点当たり報告数が1を上回り、前シーズンより1か月ほど早い流行の開始となった。また、43週に定点当たり報告数が10を超えて注意報レベルとなり、45週には30を超えて警報レベルとなった。47週には66.25となった。
- 新型コロナウイルス感染症は5週と34週をピークとした増減がみられた。
- RSウイルス感染症は37週をピークとして9月~10月ごろに流行がみられた。
- 感染性胃腸炎は2024年比べ定点当たり報告数が多く、8週から11週にかけて定点当たり報告数10前後まで増加した。
- 細菌性髄膜炎と無菌性髄膜炎は2024年に比べ2025年に定点当たり報告数が増加した。また全国に比べ定点当たり報告数が多かった。
〇 神奈川県衛生研究所における病原体検出状況と注目感染症(百日咳、急性呼吸器感染症(ARI)、新型コロナウイルス感染症、季節性インフルエンザ、重症熱性血小板減少症候群(SFTS))について(2025年1月~12月)(資料3-1)
- 百日咳について、3月から12月に採取され遺伝子検出された検体のうち85.7%は第一選択薬剤であるマクロライド系抗菌薬に耐性を持つ百日咳菌(macrolide-resistant B. pertussis:MRBP)であった。
- 急性呼吸器感染症(ARI)について、4月に採取した検体からはライノウイルス/エンテロウイルスが最も多く検出され、6月になるとヒトパラインフルエンザウイルス3型の割合が増加、7-9月には新型コロナウイルス、8,12月にはRSウイルス、8-12月にはインフルエンザウイルスA型の割合の増加が認められた。
- 新型コロナウイルスについて、2023年4月から2025年12月に県域で222種のオミクロン変異系統が検出された。2025年4月にNB.1.8.1系統、通称ニンバスが初めて検出され、5月以降急増し、10月以降は検出株のすべてがNB1.8.1系統となったが、12月から2026年1月はARIサーベイランスでのSARS-CoV-2陽性数の減少が見られており、市中流行は低規模と考えられる。
- 季節性インフルエンザについて、2024/2025シーズンは、AH1が主流行株で、検出内訳は、AH1が216件、AH3が39件、Bが8件であった。2025/2026シーズンは、AH1が12件、AH3が75件、Bが5件であった。
- 重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome : SFTS)は、神奈川県の報告数が1、症例数が7、検出数1で、遺伝子型はJ1であった。
議題2 2025年に話題となった感染症について
〇 麻しんの県内発生動向等について(資料4-1)
- 2020年以降は全国と神奈川県ともに少ない報告数で推移していたが、2025年に全国と神奈川県ともに報告数の急増がみられた。
- 2025年は9から13週、23から27週に集積した報告があった。
- 推定感染地域は神奈川県が23例で最も多かった。
- 2025年の県内流行を受けて、麻しんワクチン緊急接種事業が開始となった。
〇 麻しんワクチン緊急接種事業について(資料4-2)
- 発症予防及びまん延防止の観点から、麻しん患者との接触者のうち希望者が、県が指定する10か所の拠点医療機関において、無料でワクチンの緊急接種を受けられる体制が整備された。
〇 百日咳の県内発生動向について(資料5)
- 2025年の届出数は3,879例で2024年の264例を大きく上回った。
- 12週頃から届出数が増加し29週でピークを迎えて、その後は減少した。
- 年齢別届出数の状況については、0歳と6から16歳にピークがみられた。
〇 急性呼吸器感染症(ARI)の県内発生動向等について(資料6)
- ARI病原体サーベイランスの年齢群別検出病原体の割合について、0から4歳の年齢群では、ライノウイルス/エンテロウイルスの検出割合が高く、22.4%を占めていた。5から9歳及び10から19歳の年齢群では、インフルエンザウイルスの検出割合が高く、それぞれ18.0%、20.8%を占めていた。20から59歳および60歳以上の年齢群では、新型コロナウイルスの検出割合が高く、それぞれ23.1%、32.1%を占めていた。
〇 急重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の県内発生動向等について(資料7)
- 2025年7月に、神奈川県内を推定感染地域とする初めての症例が確認された。
- SFTS診断ネットワーク調査のデータにおいて、2025年に神奈川県内でネコ症例が確認された。
議題3 その他
- 次年度以降の解析委員会開催日程について協議が行われた。
以上
