取組事例
太陽光発電で電力購入量20%削減
SBT※1認定に向けて、
より一層の取組推進へ
株式会社瀬戸水産
総務部 瀬戸 雄馬様
伊勢原市の工場で鮮魚加工や活魚運送を行う株式会社瀬戸水産。関東圏のスーパーマーケットや複合大型施設・回転寿司店などに、安全でおいしい魚の提供を行っています。長距離の冷蔵・冷凍輸送、温度管理を徹底した冷蔵庫・冷凍庫など、電力消費の大きい設備が求められる水産加工業において、脱炭素への取組はどのように行われているのでしょうか。
総務部の瀬戸雄馬様にお話を伺いました。
※1 SBT:パリ協定が求める水準と整合した、5年から15年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標
太陽光発電を設置したきっかけを教えてください。
BCP対策として補助金を活用して太陽光発電を設置
BCP※2対策として2021年に太陽光発電設置の検討をはじめ、2022年に関東営業所第一工場に設置しました。設置にあたり、神奈川県の「令和3年度自家消費型太陽光発電等導入費補助金※3」を活用し、導入費用の1/3を助成していただきました。
※2 BCP:企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画
※3 自家消費型太陽光発電等導入費補助金:令和6年度は、「神奈川県自家消費型再生可能エネルギー導入費補助金」に名称が変更されております。
その他の脱炭素に向けた取組を教えてください。
設備に積極的に投資。
情報収集には助成金サイトも有効
2018年頃から電力の見える化に、2019年頃から照明のLED化に取り組んでいます。また、香川県の本社、2023年に新設した第二工場にも太陽光発電を設置しています。第二工場は、建物全体が省エネ設計であり、BCP対策の蓄電池も設置し、現在は壁面に遮熱効果のあるペンキの塗装を検討中です。
第二工場では、エアコンの温度を一定以下に変えられない設定や、節電を促す掲示なども行っており、一人ひとりの節電意識はもちろん大切ですが、それよりもシステムや設備に投資して、回収すべきだと私は考えています。
では、どのようなシステムや設備があるのか。それを知るためには、まめな情報収集が必要です。例えば展示会に行ってメーカーと話をしたり、メーカーの営業からのアプローチに耳を傾けたり。
また、助成金検索サイトもよく利用しており、助成金がきっかけで最近のトレンドや新しい技術、例えば「ソーラーカーポート」などの設備を知ることもあります。
取組の効果を教えてください。
コスト削減・企業イメージの向上
電気代が高騰している今、太陽光発電で電力購入量を約20%削減できているコスト削減の効果は大きいです。
試算時は5年で初期投資を回収できる見込みでしたが、設置した直後のタイミングで原油価格が高騰し、電気代も上がったため、今の電気代だと3年で初期投資を回収できる見込みです。
また、弊社の取引先である大手スーパーからは、サプライチェーンもカーボンニュートラルであることが求められます。我々の業界では、脱炭素の取組がスタンダードになってきつつありますので、それに対応することは必要不可欠です。
そして、企業イメージの向上にもつながっていますね。特に採用において、カーボンニュートラルに取り組んでいる企業であることはアドバンテージになります。Z世代は特に、SDGsやカーボンニュートラルに関心が高い傾向です。
今後の取組について教えてください。
助成金をきっかけに知った「自然冷媒」に興味。SBT認定に向けても準備中
2024年に神奈川県の「令和5年度スマートファクトリー促進事業」による助成を受け、EMS※4を導入しました。現在はデータを集めているところですが、データが出揃った後、電力消費量と冷蔵庫・冷凍庫の温度管理を連動させ、より効率的な運用方法はできないか検討する予定です。
また、環境省が推進している「自然冷媒※5」について、自社に取り入れられるかどうか、調査をしています。この自然冷媒も、助成金を調べる中で見つけたキーワードです。
他にも現在、SBT認定を受けるための準備として長期的な目標策定を行い、目標達成に向けた計画を練っています。SBT認定を受けることで、弊社の脱炭素についての姿勢を、広くPRできると考えています。
※4 EMS:工場等の施設における、様々なエネルギーの使用状況の「見える化」を図り、設備の管理・分析・制御等により、最適なエネルギー利用を支援するシステム
※5 自然冷媒:フロン類に代わる、アンモニア(NH3)、二酸化炭素(CO2)、水(H2O)、空気、炭化水素(HC)といった、より環境負荷の少ない物質を使用した冷媒 (参考:自然冷媒普及促進SITE )
今後、脱炭素に取り組む企業へのアドバイスをお願いします。
楽しみながらコスト削減。助成金が豊富な今こそやるべき
太陽光発電やLEDは、ダイレクトにコスト削減につながります。脱炭素に関する取組は国をあげて推進しているので、設備投資に関しての助成金もあります。コストを削減して利益をあげ、かつそれが脱炭素に貢献するのであれば、今のタイミングでやらない理由はありません。
具体的な数字で結果が出ることは、モチベーションにつながります。私は、ある意味「ゲーム感覚」で、楽しみながら電力消費量の削減に取り組んでいます。
良質なシステムを導入・構築することで、成果が出ます。まずは助成金を調べるところから始めてみてはいかがでしょうか。
企業プロフィール
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- 称号
- 株式会社 瀬戸水産
- 所在地
- 関東営業所 第一工場 神奈川県伊勢原市歌川2丁目3-1
関東営業所 第二工場 神奈川県伊勢原市歌川2丁目3-9
- 設立
- 1987年1月26日