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更新日:2023年12月21日

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令和5年度精神障がい者雇用・職場定着支援セミナー(第1回)【終了しました】

神奈川県が主催する企業向けの精神障がい者雇用・職場定着支援セミナーのお知らせです。

精神障がい者雇用と職場定着を考えてみませんか

県内では、すでに多くの精神障がい者が企業の戦力として働いていますが、少しだけ配慮や工夫を行うことで、まだまだ活躍できる場面が増えます。また、就職後、長く働き続けることができる環境づくりも大切です。

そこでこのたび、県では、精神障がい者の雇用と職場定着に特化した企業向けセミナーを開催します。

第1回では、「はじめの一歩」ということで精神障がい者雇用の経験が浅い企業向けに、「担当者、組織としてどんなことから始めたらいいのか?」「重視するポイントや経験から見えてきた障がい者雇用のメリット」などを取り上げます。

なお、第1回セミナープログラムは、神奈川県が作成した「企業のための障がい者雇用ガイドブック(以下「ガイドブック」という)」で紹介している障がい者雇用のプロセスをベースとしています。ライブ配信の開催前にガイドブックをご一読ください。概要を理解した上でご参加いただけますと、よりセミナーの理解が深まります。

企業のための障がい者雇用ガイドブック(PDF:3,591KB)

本セミナーは終了しました。ご参加いただきありがとうございました。
セミナーの概要を掲載しました。

開催日時

ライブ配信(Zoom)~「はじめの一歩」~ 

  • 2023年8月2日(水曜日)14時00分から16時30分まで

オンデマンド配信(YouTube 第1回、第2回共通の内容です)

  • 2023年7月19日(水曜日)から2023年9月29日(金曜日

プログラム

ライブ配信 ~「はじめの一歩」~ 

<講義>精神障がい者の雇用、職場定着のポイントについて

県障害者雇用促進センターから、障がい者雇用の動向や、企業が精神障がい者雇用を行うにあたりおさえるべき職場定着のポイントなどについてお話しました。

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<雇用事例紹介>

株式会社ビックカメラ様、株式会社多摩川電子様に御登壇いただき、各社における障がい者雇用の事例についてご紹介いただきました。

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<精神障がい者雇用に取り組む企業と支援者のパネルディスカッション>

【登壇者】株式会社ビックカメラ 山内真志氏、株式会社多摩川電子 淺野宗一郎氏 NPO法人かながわ精神障害者就労支援事業所の会 宮木孝幸氏

【コーディネーター】NPO法人かながわ精神障害者就労支援事業所の会 吉野敏博氏

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アジェンダ「採用前の環境整備」

  • (吉野氏)今回のセミナーには、これから障がい者雇用に取り組む企業も多数参加しています。取組を進めていく中で、まずは社内の理解促進が重要ですが、各社の具体的な活動について伺います。
     
  • (淺野氏)まずは採用した方を受け入れる予定のチームに対して働きかけを行いました。その方の仕事に対する熱意、障がい者雇用がチームや会社にとってプラスになることから説明をしました。障がいのある方を受け入れることを通じて、他の社員の刺激になってほしいと感じています。
     
  • (吉野氏)どんなタイミングで行いましたか?
     
  • (淺野氏)休み時間や、廊下ですれ違った時など、ちょっとした雑談をするタイミングなどですね。
     
  • (吉野氏)経営者からの理解はどのように得ましたか?
     
  • (淺野氏)会社として何がメリットなのかを説明することがポイントだと思います。経営者が求めているのは、即戦力や優秀な中途・新卒採用であったりするので、障がい者雇用への取組(例:SDGsの視点、誰もが働きやすい職場環境のPRなど)は、そういった人材獲得に繋がるものといった切り口で説明していました。
     
  • (吉野氏)障がい者雇用を進めることで経営者にとっては、会社全体の付加価値が上がり、優秀な人材が得られる可能性があるということですね。次に、障がい者雇用に対して身構えてしまう企業に対する助言などを山内さんからいただきたいと思います。
     
  • (山内氏)障がいに関する様々な情報がインターネットを始め、溢れかえっているため、身構える気持ちは理解できます。ビックカメラでは、現場の社員(指導者など)も面接会に参加しています。現場の社員が面接会で、実際に話をして、受け入れの際の配慮点などを確認(実感)していくことで現場の雇用に対するハードルが下がってきていると感じています。
     
  • (吉野氏)実際に求職者と会うことが重要ですか?
     
  • (山内氏)はい。病気や症状名だけではなく、その人自身を見ることが重要だと考えています。
     
  • (吉野氏)精神障がいがある方は、どうしても症状が先行してしまいます。その方の精神障がいを持つまでの人生を点ではなく、線で見ることが重要だと感じています。障がい者雇用が企業にもたらすメリットについて、宮木さんに伺います。
     
  • (宮木氏)ある企業で、障がいのある社員の上司がコミュニケーションスキルの見直しのため、自発的にアンガーマネジメント研修を受講したことがありました。このように、職場全体の風通しが良くなった事例は少なくありません。

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アジェンダ「職務の選定」

  • (吉野氏)参加企業から、障がい者雇用を進めたいが、現場からは専門職以外に任せられる仕事がないと断られる・・といった質問がきていますが、淺野さんに仕事の切り出しのポイントについて伺います。
     
  • (淺野氏)「専門職の現場だから任せる仕事はないよ」というのは、どこの会社にもあると考えています。聞き方を工夫すると良いのではないでしょうか。弊社の現場業務も専門性が高いため、当然質問者と同じ反応をする方もいました。私は「あなたの仕事の中で、誰かがやってくれたら助かるんだけど、結局自分でやっている仕事はありますか?」といった聞き方を心掛けています。こんな聞き方をすると、不思議と愚痴は沢山話してくれるので、愚痴ベースでもいいから、情報収集をしました。
    聞くタイミングも重要で、人事から「今から障がい者雇用のヒアリングをします」というと現場も身構えてしまうので、まずは雑談ベースから始めてみてはいかがでしょうか。
     
  • (吉野氏)山内さんは「行ってほしい業務が明確になっていれば、必要な能力がわかる。必要な能力を満たしていれば障がいの有無は関係ない。」と先ほどの発表でお話されていましたが、どうですか?
     
  • (山内氏)業務の効率化と属人化した業務の見える化を目指しました。例えば、属人化した業務の見える化を進める中で、業務マニュアルの作成を進めた結果、障がいのある方であったり、パートタイマーの方にお願いできる仕事が見えてきたと感じています。
     
  • (吉野氏)お二人の話から、現場へのアプローチの仕方や業務の見直しといった点が仕事の切り出しのヒントになるということが分かりました。


アジェンダ「採用活動」

  • (吉野氏)採用面接のポイントについて伺っていきます。
     
  • (淺野氏)ハローワークの合同就職面接会を活用しています。まずは、求職者に我々がお願いしたい業務を理解していただき、そこから業務に興味がありますか?といったコミュニケーションをとっています。その中で、その方の(障がい特性ゆえに)不安に感じている点、勤務時間などのヒアリングを行っています。
     
  • (山内氏)求職者の障がいの内容について聞いています。具体的には、通院状況や服薬の状況等を聞いていますが、これは会社側が合理的配慮を行っていくために必要な情報ということで詳しく聞いています。もし支援機関の方も面接に同席されていれば、支援機関で実施していることも含めて助言をいただいています。
     
  • (吉野氏)企業側として合理的配慮に落とし込めるかどうか含めて聞いているということですか?
     
  • (山内氏)はい。先ほど面接には現場の社員も同席すると話をしましたが、例えば求職者の方がトイレの回数が多いとか、毎週水曜日は通院のため休みたいといった情報が分かっていれば、現場レベルでも、「うちの部署で大丈夫だ」というところまで落とし込めるため、必要なことだと思って聞いています。
    求職者に質問する時のポイントですが、同意を得た上で、質問の意図を説明し、丁寧に聞いていくことがポイントではないかと感じています。
     
  • (吉野氏)実習も受け入れているということですが、実習での着目点はどこですか?
     
  • (山内氏)実習では業務能力も見ますが、それ以上に面接時に行った配慮が正しく運用できているかや、本人が思っていた職場環境とのミスマッチを無くすという点を特に重要視しています。
     
  • (吉野氏)業務能力よりも、面接でお互いに交わした内容の確認を行っていくことが重要ということでしょうか?
     
  • (山内氏)はい。業務の習熟には時間がかかり、短期間の実習では見極めが困難です。よって弊社では、職場に入れるかという点も重要としています。
     
  • (宮木氏)面接では、何を聞くかよりも、どう聞くかが重要だと感じています。特に精神障がいのある方は、不安が強い傾向があるので、その不安を和らげてあげる聞き方を意識することは重要です。
    先ほど、山内さんから話がありましたが、質問の意図を明かした上で、通院や服薬の状況を聞くという取組はとても良いと思います。面接で、ストレスへの耐久を見るよりも、不安を取り払った時に、その人が本来持っている能力を見てあげることが重要だと考えます。

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アジェンダ「定着支援・キャリアアップ・キャリア形成」

  • (吉野氏)採用した後の職場定着などの視点で伺っていきます。セミナー参加者から、採用後の(本人の)モチベーション維持が難しい、といった質問も来ています。最初はやりやすい仕事ということで、単調な作業をお願いしていたが、本人が飽きてしまったり、将来のキャリアに不安を感じたり、といったことが考えられるのではないでしょうか。
    企業支援をしていて、強く感じるのが企業側も、例えば、短時間雇用の中で本人のモチベーション維持とキャリアップの両立に悩んでいるという点です。
     
  • (淺野氏)他の社員と同じく、どうやってキャリアアップさせていくのか意識していくとお互い良い関係性が築けると考えています。
     
  • (山内氏)モチベーション維持という点だと、複数の仕事を用意しているので、その方の障がいの症状に合わせて、飽きが出ないように複数の業務をお願いしてスキルアップを図ってもらっています。中には、固定の業務が良いという方もいます。
    雇用の形態はアルバイトからスタートし、正社員にキャリアアップすることも可能ですが、まだ少数です。正社員の場合、全国転勤の可能性もあり、そうなった場合、その方の、かかりつけの病院に通院できないといった課題もあります。現在、様々な登用の選択肢について模索しています。
     
  • (宮木氏)キャリア形成やキャリアアップは、その方の主体性を引き出すということです。これまでの経験で、当事者の要求を全てのみこんだ結果、主体性を伸ばす支援をしなければならないのに、当事者の方の主体性を置き去りにしたことがありました。
    また、精神障がいの方で働き始めて3年経過し、本人も仕事に慣れ、周囲の期待も高まる中で、頑張りすぎてしまい体調を崩すケースもありました。支援者側としては、キャリアについて様々な選択肢がある中で本人の主体性との突合せを丁寧に行いたいと考えています。


アジェンダ「支援機関との連携」

  • (吉野氏)支援機関に頼って助かったことや、企業側として支援機関に求めるものについて伺います。
     
  • (淺野氏)企業の担当者が、全てを見ることは難しいです。担当者が気付かない部分(例えば、会社に言えない本人の悩みなど)についてフォローいただいて助かっています。
    そのほか、本人の職場定着や働きやすい環境作りなど、様々なところで協力していただき助かっています。
     
  • (山内氏)雇用がスタートしたばかりのタイミングでの面談に同席していただき助かっています。このタイミングでは、まだ人間関係が構築できていない部分もあるため、雑談に近い形式で、支援機関の人にも同席していただくことで場が和らいでいます。
    そのほかは、本人の体調(メンタル面)が崩れた時に、相談の窓口が会社だけだと苦しいと感じるので、弱音などをはける場所がもう一つあるというのは、本人にとっても良いことだと思います。支援機関側から(本人の)SOSをいただき、本人の困りごとに気付いたこともありました。


アジェンダ「担当者としてのやりがい」

  • (吉野氏)お二人とも、やりがいを持って障がい者雇用に取り組んでいるように感じています。モチベーションの保ち方や、障がい者雇用に携わって良かった点・やりがいについて聞かせてください。
     
  • (淺野氏)私が所属する人事総務部門は、利益を生み出す部門ではありませんが、障がい者雇用は自社の社会的評価の向上に貢献できる仕事なので、やりがいを感じています。私自身もメリットがないとなかなかやりたくない、というのが本心です。私がメリットだと感じているのは、障がい者雇用を通じて社員のコミュニケーションが非常に活発になりますし、取組を通じて自身の成長も実感できる点です。今では社内の関係性も構築できているので、様々な場面で頼られることもモチベーションに繋がっています。
     
  • (山内氏)最近は、コロナ禍でメンタル不調を訴える社員が様々な部署で発生し、ポイントサービスセンターの取組などを参考にしていただいたり、メンタル不調から復職する社員の一時的な受け入れなど、これまでの取組が、会社や今まで頑張ってきた社員の手助けになったことが嬉しかったです。


最後に出演者から障がい者雇用のメリットについて

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  • (宮木氏)2点あると思います。1つは、精神障がいのある方の雇用は、会社全体のメンタルヘルスの底上げにつながるということ。2つ目は、会社全体に安心感が広がっていくということ。
     
  • (淺野氏)大きく2点あります。1つは自身のキャリアやスキルアップに繋がるということ。障がい者雇用を進めると社員の声にならない声に気付けるようになったと実感しており、普段と違う違和感に気付けることでメンタル不調を未然に防ぐことができることも、スキルアップだと感じています。
    2つ目は、1つ目のメリットと似ているのですが、採用活動を行う際に、求職者の本音に気付けるようになってくるので、会社と求職者のミスマッチが徐々に減ってきますし、採用後もどういった分野で活躍してもらえるか具体的にイメージもできるようになります。
     
  • (山内氏)メリットとしては、ダイバーシティな職場環境だからこそ、多種多様なお客様が楽しめるお店作り、売り場づくりができる点です。
    そういった意味では、私たちは販売店ですので、どんな方も楽しめるお店にするためには、どんな方でも働ける職場でなくてはならない、と思います。(以上)

過去の開催の様子

令和4年度第1回「経営の視点から考える」(令和4年8月4日開催)

令和4年度第2回「仲間・同僚の視点から考える」(令和4年8月25日開催)


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