農産物の上手な利用法(ウメジャム/作り方のアドバイス)

掲載日:2018年3月9日
作り方のアドバイス

★ウメの加熱・水煮

ステンレス鍋でウメの果実を加熱・水煮する目安は果肉が柔らかくなり、簡単に果肉が潰れる程度ですが、品種や熟度によって果肉の柔らかくなり易さが違います。果肉の硬いウメでは水に入れたら、果肉の柔らかさを確かめながら加熱を続けて下さい。果肉の柔らかいウメは沸騰してきたら直ぐに水から出さなければなりません、果肉の柔らかくなりにくいウメでも5分くらい、穏やかに沸騰させれば十分です。
また、過熟なウメは果肉が柔らかくなっていますから水が沸騰してくると、直ぐに皮にひびが入り、はじけるように剥け始めます。果皮にひびが入ってきたら直ぐに引き上げて下さい。加熱が過ぎると果肉が水に溶けてしまいます。
ウメは水煮することで、ウメの表面の細かい毛や汚れが除ける他に酸味が除けます。
  写真:加熱により皮にひび割れができたウメ

★凍結ウメの加熱

凍結ウメも水煮して、解凍と酸味抜きをします。凍結ウメは温湯に投入して、加熱すると加熱時間が短縮できます。冷たい水に入れたのでは、氷が融けるまでに時間がかかり、果皮に近い部分は酸味抜けが大きいのに、種子に近い部分はほとんど抜けてこない状態になります。場合によっては凍結ウメが水の中でブロックになり、ブロック周辺部のウメ果実は水煮できても、ブロック中央にあるウメは水煮されないということになります。
凍結ウメは解凍すると生のウメよりも果汁がよく出ます。そのため、酸味もよく抜けますが、裏ごしした果肉が少しになります。

★ウメの裏ごし

ウメが少量ならば、1mm目の金網(ザル・ストレーナー)で種・皮と果肉を分けましょう。目が細かすぎると裏ごしが大変になります。裏ごしで得られるウメ果肉ペーストは原料ウメの75から80%程度になります。しかし、凍結したウメの場合は65から70%程度になります。
ウメが大量ならばパルパーという加工機械を使わないと大変な苦労をします。
  写真:ストレーナー   写真:小型パルパーフィニシャー
 
裏ごししたウメはピューレ状となりますが、ウメピューレで保存することもできます。ウメピューレを容器に入れ凍結保存すると長期間保存、利用できます。また、容器に入れ、加熱殺菌すると常温でも保存できます。

★ウメピューレの加熱

焦がさないように鍋底や鍋のフチをヘラで擦るように攪拌して下さい。火が強いと鍋のフチに付いたウメの果肉がこびりつき、焦げてきます。焦げそうになったら濡れ布巾で拭き取って下さい。でも、焦げるのが心配だからといって、弱火でトロトロと加熱すると、加熱時間が長くなり、ジャムの色が暗くなり、きれいに仕上がりません。焦がさないよう、可能な限り強い火で加熱して下さい。
表面に浮いてくる泡・アクはレードルなどですくい取ってください。

★砂糖の添加

裏ごし果肉が沸騰したら、分量の砂糖を全部加えますが、一気にザッと加えると鍋底に砂糖がたまり、こびりつき、焦げる原因ともなります。沸騰したウメピューレを攪拌しながら加え、砂糖が鍋底に溜まらないようにサーッと加えて下さい。
砂糖が入ると鍋底が焦げやすくなるので、焦がさないように鍋底をヘラで擦るように攪拌して下さい。鍋のフチに付いた果肉も焦げやすいので注意して下さい。
沸騰すると泡・アクが表面に浮くのでこまめにすくい取りましよう。
  写真:グラニュー糖   写真:グラニュー糖をサーッと加える

★煮詰め具合の確認

煮詰め具合いの確認は攪拌しているしゃもじにつく果肉の状態、スプーンですくい取った時の流れる状態、冷水を入れたコップに滴下したときの果肉の状態、冷えた皿・プレートに薄くつけて斜めにしたときの流れる状態など、いろいろな方法で煮詰め具合(ゲル化状況)が確認できます。
しゃもじについた果肉がサッと流れるなら煮詰め不足、モッタリとしてくればOK。スプーンに採った果肉をちょっと冷まして傾けたときサッと落ちずにポッタリとしているならOK。冷水に果肉を滴下したとき花火にの様にパーッと散るなら煮詰め不足、コップの底までミズクラゲの様にプヨプヨと沈んでいけばOK。皿・プレートにつけた場合、立てたらスーッと流れたら煮詰め不足、ちょっと流れてスッと止まればOK。その他、温度で濃縮度合を確認することができます。何度かジャムを作って、頃合を確認して下さい。
糖度60%程度の場合、出来上がり量は1300から1400g程度になります。
  写真:コップ法でゼリー化程度を確かめる

★アク取りの隠し技

加熱を終了し、レンジからおろすと表面にアワ・アクが浮いて来ます。このアワ・アクがジャムビンに入ると見た目が非常に悪くなってしまいます。このアワ・アクを取るため、ジャムの表面にラップフィルムまたはアルミホイルをのせるとアワ・アクがついてしまい、アワのない、きれいなジャムとなります。

★ジャムビンとフタ

ジャムビンは広口の140から250ccのビンが手頃です。
空きビンも利用できますが、ビンの口が欠けたり、ヒビのあるものは絶対に使わないで下さい。ジャムを入れてフタをしてもきちんと閉まらないため、長く保存することができません。また、加工中や保存中にビンが割れることもあります。ジャムを無駄にするばかりでなく、思わぬところでケガをすることにもなります。
フタは一度使ったものはパッキンが凹んで、緩くなるので、長く保存するためには、新しいフタを使って下さい。
  写真:いろいろなジャムビン
ビンとフタはきれいに洗い、蒸気の上がった蒸し器に口を下向きにして入れ、内部に水が溜まらないようにして加熱して下さい。ビンとフタはジャムを詰めるまで蒸し器に入れて、熱くしておきましょう。   写真:殺菌前のビンは口を下向き   写真:殺菌前のビンフタは口を下向き

★ジャムのビン充填

ジャムは熱いうちに、熱いビンに詰めなければなりません。ジャムやビンの温度が低いと脱気加熱の時間を長くしなければなりません。きれいで、おいしいジャムは手早く作って、手早くビンに詰め、殺菌しなければなりません。
ジャムはビンの口の上端から6から8mmくらいまで入れて下さい。140mlのビンなら155から160g、200mlのビンなら215から220gくらい入ります。
  写真:ジャムはビンの口の上端から6から8mmくらいまで入れる

★ビン充填の隠し技

ジャムビンの口を汚さないため片口レードル、片口、太口のロートなどを用いることは有効です。でも、たこ焼きに使う種おとしは優れもの。
種おとしにジャムを入れて、ちょっと時間をおくとアワが上に浮いてきます。それからおもむろにビンに注ぎ込むと、種おとしの下部からジャムが出るため、アワの入らないきれいなジャムがビンに入ります。
  写真:種おとし

★脱気加熱

脱気はジャムとフタの間に残る空気・酸素を減らすために行います。ビンの大きさ、ビンに入っているジャムの温度によって異なることは言うまでもありません。加熱によりビンの中に残った空気を膨張させ、希薄にした状態でフタをキュッと締め、減圧状態にします。軽くフタをしたジャムビンを蒸気の上がった蒸し器に入れ、ジャムの中心温度を90℃以上なるまで加熱します。140gから200gビンに熱いジャムを入れた場合では15から20分程度加熱します。

★倒立放冷

脱気加熱が終了したら、フタをキュッと閉め、ビンを逆さにします。熱いジャムが下になったフタにもまんべんなく触れます。30分間、ビンを逆さにしておくことで、ビンの中に残っている耐熱性の微生物も生育することができなくなります。また、フタの締めかたが緩かったり、ビンの口に傷があったりして、すき間があると、ビンを逆さにしたときにジャムが吹き出してきます。このジャムの長期保存はあきらめて下さい。すぐに食べてしまいましょう。

★流水冷却

倒立放冷の終了したジャムに高温は不要です。ビンを水に浸けてジャムの温度を下げるとともに、ビンについた汚れを洗い流します。ジャムがわずかな温もりを持つ程度になったら、ビンの外側やフタが清浄かどうか、確認しながら水から取り出し、きれいな布巾でビンやフタの水気を拭き取って下さい。完全に冷えているより、少しの温もりがあった方がふき取れなかった水分が早く乾きます。   写真:チョロチョロ流し水で冷やす

★ラベル

製造に係わる情報(ジャムの名前・材料の種類・材料の配合・作った年月日など)を付けたラベルを貼りましょう。
商品として必要な一括表示項目は名称、原材料名、内容量、賞味期限、保存方法、製造者(販売者)の6項目ですが、自分で食べるためなら賞味期限よりも製造年月日ですし、製造にかかわるいろいろなデータです。次に作るときの参考になるようなデータを記載しましょう。

★保存

ジャムは冷暗所に保存して下さい。こうやって作ったジャムはフタを開けない限り、微生物の繁殖が原因となる変質・腐敗はありません。しかし、温度の高いところ、明るいところに長くおくと、ジャムの糖、酸、ペクチン、色素などが化学反応をおこし、色が変わったり、柔らかくなったり、水分が分離してきます。また、香りも悪くなってきます。
右の写真は作ったばかりのウメジャム(写真左)と作ってから数ヶ月たったウメジャム(写真右)です。ウメジャムは作ってから時間がたつと色が少しずつ暗色化し、暗色化が進むと真っ黒くなってしまいます。   写真:作ったばかりのウメジャム(写真左)と作ってから数ヶ月たったウメジャム(写真右)
 
ビンに詰めたままのジャムは長く保存できますが、フタを開けたジャムは糖分が多くても、少なくてもカビが生えたり、味や香りの変化が進み、長く保存することは難しくなります。フタを開けたジャムは冷蔵庫に入れて保管し、なるべく早く食べましょう。

本文ここまで
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