知事の発言集(初登庁に伴うあいさつ)

掲載日:2015年4月13日

黒岩知事初登庁に伴うあいさつ

日時: 平成27年4月13日(月曜) 10時30分から10時50分

場所: 大会議場


就任あいさつ

 おはようございます。おかげさまで、再び神奈川県知事の重責を担えというご判断をいただきました。しかも219万5,764票という、私自身も驚くような多くの県民の皆様からのご支持をいただきました。4年間、皆さんと力を合わせ、様々な政策を実行し、また、成長戦略の基盤もしっかりと作ってきました。そして、今後はこれを具体化させていくと県民の皆様に訴えてきました。それを評価していただき、本当にありがたいことだと思います。ただ、これは単なる評価ではない、つまり、よくやったということではないと私は思っています。それだけの基盤ができたということは、準備ができたに過ぎない。それをしっかりとカタチにしてくださいよという期待感で、皆様が投票してくださったと受け止めています。

 今回、選挙戦を通じて、私は普段できないことをするように心がけました。それは何か。県民の皆様のところに飛び込んでいくということです。「県民との対話の広場」などを重ねながら、できるだけ県民の皆様との直接対話により行政を進めていこうとしてきました。しかし、わざわざ「県民との対話の広場」に足を運んでくださる方は限られています。街を歩いて、どんな人なのかも分からない中に飛び込み、多くの人と握手しながら様々な声を聞いてきました。その中で感じたことは、いくつもありました。私が驚いたのは、「生活の困窮」といったことについて、切実に訴えられる方が大勢居られたということでした。「3万円しか年金がありません。どうしたら生活ができますか。」と突然聞かれ、言葉に詰まる。そんな経験もしました。我々が掲げている成長戦略、「経済のエンジンを回す」ということを、県民の皆様の隅々まで浸透させていくことは、何よりも大事なことなのだということを身にしみて感じてきました。この成長戦略の歩みを止める必要はありません。どんどん経済のエンジンを回していくことにより、血液がどんどん流れていく。ただ、それをさらに県民の皆様に届けるためには、もうひと工夫、ふた工夫が必要だなと思いました。そのようなことについても、職員の皆さんとともに、あらためて知恵を絞りながら邁進していきたいと思います。

 さて、2期目が始まりますので、あらためて、皆さんへのメッセージというものをお伝えしたいと思います。4年前は、右も左も分からない中で、よくぞ皆さんに支えていただいたと心から感謝しています。そして、外部の者の目で皆さんの仕事ぶりを見ていて、2期目に当たっては、こんなことを提案したいと思っていたことに触れたいと思います。

 それは、「脱・役人体質」、「燃やせ、役人魂」ということです。就任あいさつ

 「役人体質」。これは皆さん、どのように受け止められるでしょうか。「役人」という言葉は、よく揶揄するような形で使われることがありますね。「役人体質」という言葉が、一般の方にどのように受け止められるのかということを考えていただきたいと思います。それは、「前例にないからやらない」、「こんなことやろうとすると、こんな危険性があるからやらない」、「危ないことはやらない」、「ややこしいこと、問題が起きることは、なるべくやらない」、「正確に、正確に、正確に」と、そのような感じではないでしょうか。

 この神奈川県は、910万人もの人口がいます。スウェーデンと同じ規模ということは、もう1つの国です。それだけ大きな国を支えている、その最前線に皆さんがいる、その中では、「間違ってはいけない」という思いが働くことは、これは否定するべき話ではありません。しかし、「間違ったことをしないように、しないように、しないように」ということの中で、何か忘れてはいないか。我々は何のために仕事をしているのだろうか。それは、県民の皆様のために仕事をしているという、一番の原点を忘れてはいけない。

 時代は、常に変わり続けています。特にこの時代の変化は、激しく大きく早い。その中で、「守る」と思っていると、実は守っていないかもしれない。時代の流れを止めてしまっていることになるかもしれない。それでは、県民の皆様のためにならない。あらためて、「県民目線」といったことを大事にしてほしい。県民の目からどう見えるか。県民の目には何が映っているのか。そこを第一の起点にして考える。県庁職員の目で考えるのではなく、県民の目になって考える。これをやっていかなければならない。

 私自身が今回、県民の皆様のところに飛び込み、あらためて感じたことは、そういうことでした。私も、県民の目になろう、なろうとしていたけれども、やはり、まだまだなりきれていない。もっと徹底的に県民目線でやっていかなくてはいけないと思いました。

 そして、この「役人体質」という中で、私がこれまで強く感じていたことは、「プロセスがとても重視される」ということ。民間からきた私にしてみれば、より大事なことは「結果」です。「プロセスよりも結果を重視する」ということが民間的な発想だと思います。「プロセスを踏んでやりました」と言っても、結果が出なければ誰も評価しません。プロセスがどうでもいいと言うつもりではありません。しかし、この「役人体質」、あえてそういう言い方をしたのは、プロセスに対するこだわりがあまりにも強すぎて、結果にたどり着いたときには気力が果ててしまっている。だから、結果を聞くときに皆さんの反応が実に薄いということを何度も経験してきました。これは変えて行かなければいけないのではないかなと思います。

 「どんな結果が出るのか」「どんな結果が出ているのか」。それを重視するような形にしていきたい。そのためには、組織のあり方そのものを変えていかないと、中々個人の思いだけではできないところがあると思います。この政策決定プロセスを見直し、どこに皆さんの力がかかり過ぎているのかということについて、皆さんと気持ちを合わせて改革していく。そして、プロセスよりも結果のほうに皆さんの気持ちが向くようにしていく。そのような県庁のあり方を、ぜひ、ともに考え作り上げていきたいと思っています。

 それとともに、若手の職員とも話をしてきた中で、こういうことを言われたことがありました。「今の評価システムというのは「減点主義」です。失敗するとネガティブな評価を受ける一方で、特段すばらしいことをしても、それは特に評価されない」。そういうことを言っていました。なるほど、「減点主義」よりも「加点主義」。よい仕事をしたらそれを評価する。すばらしいアイデアを出した、工夫して新しいことをしたという仕事に対して、しっかりと評価する、こういう人事評価のあり方を同時に作っていかないと、皆さんの気持ちだけに訴えても、中々たどり着かないのかなと思います。

 せっかくの皆さんの潜在力、これをもっと私は活かしていきたいし、もっと活かしていけると信じています。今年も優秀な新規採用の方が入庁してくれましたが、これだけ多くの皆さんが大きな志を持ち、県民のために何かやりたいという気持ちで入庁しながら、いつの間にか、そのパワーがなんとなく落ちてくる。それよりも言われたことをキチンとやるほうがいいのかなと思って組織に埋没していくと、県政は前に進んでいかない。

就任あいさつ

 私は、「行政改革」という言葉について、以前から「量の改革」ではなく「質の改革」だと言っているのはそういうことです。「量の改革」ならば、これまでたくさんしています。「公務員の数減らしますよ」「公務員の給料半分にしますよ」と言えば、組織にメスを入れてすごいなと拍手を浴びるかもしれない。でも、それで県民の視点に立った組織になるでしょうか。私はぜんぜんそうは思わない。これまで「削る」ことに関しては、徹底的に実施してきていますね。仕事の量が増える中、これ以上、職員を減らして県民の声に応えられるのか疑問です。だから、量を変えることを私は大きく言いません。本当に無駄があるのであれば、それは別ですけれども。

 「質の改革」というのは、先ほどから私が申し上げてきたことです。「役人体質」を脱してください。この「役人体質」を脱して、そのかわり、「役人魂」を燃やしてください。もう一度、お一人お一人胸に手を当てて考えてみてください。思い出してください。自分がこの神奈川県庁で仕事をしようと思ったときに、燃えていた思いがあるはずです。公務員という自分の身を犠牲にしながら公に奉仕し、県民の幸せのために仕事をしたい。そんな大きな志を持っていたからこそ、この神奈川県庁における人生を歩んで来られたのではないのかな。その「役人魂」、これを思い出して発揮して欲しい。若い人でも、尖がった人がいても、それを抑えつけるな。どんどん伸ばしていけ。魂の火を燃やしている人は、もっと火をつける。そして、顔の見える公務員であってもいいじゃないか。

 県庁職員がしている仕事について、世の中は知らないと思うようなことがたくさんあります。例えば、箱根駅伝で往路を走る人も応援する人も盛り上がった。その夜、雪が降った。翌朝、何事もなかったように復路が始まっている。誰も何の疑問にも思わない、当たり前のことだと思っていますが、よく考えてみれば、誰かがあの雪を早朝、必死になって除いたわけですね。そういったことについて誰も知らない。例えば、ニュースで、大雨でどこかの崖が崩れ、県道がストップしました。復旧はいつごろになりそうです。次のニュースでは、県道が復旧しました。一体、誰がどうやってそこを復旧させたのかというような話は、全然見えてきません。また、税収が足りないと言われる中、どうやって税収を確保しているのか。様々な所に徴収に行き、税収確保のために必死で頑張っている職員が大勢いるわけですね。でも、おそらく、そういう人達の仕事ぶりというものは、多くの県民は知らない。知られないと、モチベーションも下がってくるのではないでしょうか。評価されていないが仕方のないことだ、なんて思う必要はない。これからは、自分はこういう仕事をしているということも、どんどん発信していく。そんな時代だと思います。

 今回の選挙で、ネット選挙というものを初めて体験しました。フェイスブック、ツイッターを使いながら、どんどん選挙戦のライブの情報を伝えていきました。街に出ると、様々な人が写真を撮ってくれます。その人が、またそれをネットに載せます。どんどん拡散していきます。それとともに様々な要望を聞く。そういったことも拡散していくし、皆様が何に対して興味を持っているのか、その政策の優先順位が刻々と変わってくるというような、そういう時代に来ています。

 公務員の皆さんは、自分が発信するという事について、それは上司の許可がなければだめだとか、手続きを踏まなければだめだということで、自分の顔や個性を消すことが、公務員としてあるべき道だというようなことを、おそらく教えられてきたと思います。もちろん、勝手なこと、方針とまったく違うことを勝手に発信する。それは、間違っているとは思います。しかし、県庁職員が「役人魂」を燃やして、様々なことをしっかり裏方でやっているということを発信して何が悪いんでしょうか。どんどん発信してください。そして、「役人魂」を県民の皆様に見せてください。

 そして、尊敬される神奈川県庁職員になってほしい。なれるだけのものは持っているし、普段からそういう仕事をしている。だからこそ、そういうような流れを、ぜひ、皆さん作っていただきたいと思います。私は、県庁職員の皆さんとしっかりとタッグを組んで、この大きな課題に立ち向かっていきたい。そのように思っています。最後にもう一度、繰り返します。2期目の私の皆さんに対するメッセージ。「脱・役人体質」「燃やせ、役人魂」。共にがんばりましょう。ありがとうございました。

神奈川県

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