知事の発言集(黒岩知事就任あいさつ)

掲載日:2011年4月27日

黒岩知事就任あいさつ

日時: 平成23年4月25日(月曜) 10時15分~10時30分

場所: 大会議場


知事写真 おはようございます。黒岩祐治です。テレビでおなじみの顔でしょうか。皆さんどんな気持ちで私を迎えてらっしゃるのかなと思いますけれど、期待と不安、どっちが大きいんでしょうか。しかし、いよいよ始まりました。全力を尽くしていきたいと考えています。

 ところでこうした席で何ですが、きのう、女優の田中好子さんのお通夜に行ってきました。スーちゃんの愛称で親しまれたキャンディーズの田中好子さん。20年以上の大変親しい友人でもありました。その彼女が、どうしてあの美しさ、あの若さ、そして、あの才能を持って、必死に生きながらも、こんなに早く逝かなければいけなかったのか。それを思うと本当に胸が痛むような思いでした。

 考えてみれば、東日本大震災で、たくさんの命が失われました。みんな、もっともっと生きたかったんだな、そういう思いを改めて胸にしました。そんなときに生かされている私たちの「いのち」というものを、やはりもっともっと大切にしなければいけないと、私は改めて思いました。そして自分の「いのち」を大切にするだけではなくて、そのせっかく頂いた「いのち」を、より多くの人のために使っていく、それが何よりも、何よりも大事なことだ、そう痛感した次第でありました。

 ところで、私は、このように県庁にやってまいりました。私の耳に届く、さまざまな声、その中でも皆さんに対する風当たりは、強いものがあります。減らせ、削れ、もっと給料を下げろ、そういった県民の声もたくさんあることは事実です。しかし、私は、あえてこの選挙戦でそういうことには、一切触れませんでした。それは、皆さんと妙な感じで仲良くしたいからではありません。皆さんに心から期待しているからです。今、国難と見える状況にあります。この時に、公務員ここにありき、その姿を見せてほしい。

 どうして公務員がそうやってたたかれるのか、皆さんの気持ちの中には、メディアがいけないんだろう、マスコミがいけないんだろうと、黒岩、おまえが一番いけなかったんじゃないか、そういった思いがきっとおありになると思います。確かに、そういう面があることは否定できないでしょう。しかし、皆さん側にも問題はなかったでしょうか。

 私は、メディアの立場でずっと公務員というものを見てきながら、感じてきたことがありました。どうしてその仕事が、正しく一般の人に理解されていないのか。それは、メッセージ力の欠如であります。私は、「メッセージ力を高める黒岩の法則」という本を書きました。こんなところで自分の本を宣伝するというのは、おかしなことでありますけれども、大学院でそういう授業をやっていました。早稲田大学大学院公共経営研究科、そこでは全国の公務員の皆さんも学んでいました。メッセージ力、それは何か、私はキャスターとして20年以上何をしていたのか、それは、さまざまな政治家に向き合って、「要するに!」、その質問を投げ掛けてきました。「要するにあなたはこの国をどうしたいのか」「要するに、何をしようとしているんだ」そこで聞き出そうとしていたのはメッセージでありました。

 国民が求めているのはメッセージです。しかし、多くの政治家の中で、そのメッセージをずばりと言ってくれる人は、そんなに多くはありませんでした。しかし、それなりに努力されている方はたくさんいました。しかし、私の長いお付き合いの中で、公務員の皆さんは、とても優秀で、とっても一生懸命働いてらっしゃる。その姿を私はずっと見てきました。しかし、なぜ世論にはたたかれるのか。つまり、「自分たちが要するに何をしているのか」ということを伝えるということに対しては、あまり多くの労力を割いてこられなかったのではないか。

 公務員の皆さんの言葉遣いは、極めて正確性を求められます。正確な言葉、間違えない言葉、それはとても大事なことではありますが、しかし、伝わりにくいという側面もあります。伝わる言葉、メッセージ力のある言葉、これをぜひ使っていっていただきたいと思います。メッセージ力とは何なのか。それは、要するに言葉であります。言葉に対するデリカシーを徹底的に磨いてほしいなと、私は思っています。

知事写真 今回掲げた「いのち輝くマグネット神奈川。」、短いフレーズではありますが、ここには、私が言葉にこだわってきたそのすべてが実は凝縮されているんです。「いのち」というのも漢字で書くのではない。平仮名で「いのち」と書くんだ。それは何でか。それは、私はもともと平成元年から2年間、救急医療のキャンペーンをやって、救急救命士という制度がなければ駄目だ、とやってきたジャーナリストとしての原点がありましたが、その後、「いのち」にずっとこだわってきている中で、この平仮名で書いた「いのち」というものの意味というものを痛切に感じました。

 それを教えてくれたのは、ミュージカル「葉っぱのフレディ」でありました。これは今から11年前、聖路加国際病院理事長・日野原重明先生、もう今年100歳になられますけど、企画・原案をされまして、私自身がプロデューサーを務めました。そして毎年毎年上演してきて、去年の夏には念願のニューヨーク公演まで行った「葉っぱのフレディ」。これが私に、平仮名で書いた「いのち」という意味を教えてくれました。とってもシンプルな物語です。春に葉っぱが生まれ、夏には木陰をつくり、秋に紅葉し、冬に散っていく。ただそれだけの物語です。しかし冬に散った葉っぱは死んだのか。死んだのではなくて、溶けて地面に流れて、そして春にはまた新しい「いのち」を芽吹くエネルギーになる。「いのち」は巡っているんだというメッセージであります。このミュージカルをずっとプロデューサーとして見続けていながら、いろんなことを考えました。

 もともと、私も日野原先生も「医療」という側面でこの物語を見てきました。しかし、「いのち」がぐるぐる、ぐるぐる回っているというその姿を見ていて、これは「医療」の問題だけではない、「いのち」がぐるぐる回っているというのは、循環型社会という言い方もできる。循環型社会というのは何だ、環境問題だ。ぐるぐる回っていると考えてみると、これは例えば「農業」にもつながる話ではないのか。「食」というのもそれにつながる話じゃないのか。「いのち」を考えてみると、例えば「経済」、何のために「経済」があるんだ、「いのち」を輝かせるためにあるんだ。「外交安全保障」、これも「いのち」を守るためにあるんだ。「哲学」、「教育」みんな「いのち」という言葉の中に含まれている。これをトータルのイメージで考えるということが、実はとても大事なことなんだろうということに気が付きました。

 ということは、皆さんの政策課題に落としていくと、では、病気になったらどうするんだ。「医療」が出てくる。でも、「医療」と「環境」、「食」、「農業」、別々に考えてませんでしょうか。その別々に考えているということが、実は違うんだ。一緒に考えなければいけないんだ。それを教えてくれている。この別々に考えている、この別々というのは一体何なのか。実はそれは、中央で言うと省庁の縦割りであります。皆さんの部局の縦割りではないでしょうか。縦割りで物を考える、この発想法にわれわれは、慣れ親しんでしまっているのではないでしょうか。

 私は、「いのち」というキーワードで、根本から皆さんの発想を変えていってほしいと思います。皆さんの政策テーマ、自分の部局はこういうことを担当してるんだという発想ではなくて、改めて、平仮名で書いた「いのち」、これを輝かせるということは一体どういうことなのかという発想で取り組んでほしい。私は、「“いのち”プロジェクト」というものをつくりたいと思っています。そして、職員の皆さんすべてから、さまざまなアイデアを募集したいと思います。私にとっていのち輝く神奈川にするためには、こんなことをすればいいんじゃないか、あんなことをすればいいんじゃないか、そういったアイデアをどんどん求めたいと考えています。

知事写真 もう一つマグネット。これは、もともとは病院の言葉でした。私が、平成3年からナースの問題に取り組んだ時に、当時はナースの不足が社会問題になっていました。ナースの労働条件が厳しいといって、みんな辞めていき、各病院はナースを集めるのに大変苦労していました。その時に、そんな人集めの苦労をしないにもかかわらず、とびきり優秀なナースが「あの病院で働きたい」と言ってご指名で集まってくる病院がありました。この病院のことを「マグネット病院」と呼びました。引き付ける力を持った病院なんですね。魅力ある病院です。そうすると、人集めの苦労をしないけれども、いいナースが集まってくる。すると、当然のごとくいい医療が実現できる。そうすると、評判になって、またいい医療スタッフが集まってくる。いい循環が巡っている病院のことを「マグネット病院」と呼びました。

 この言葉、病院じゃなくてもいいんじゃないか。いろんな言葉で置き換えていったならば、いろんなイメージが膨らんできます。日本はマグネット国家でしょうか、神奈川はマグネット神奈川でしょうか、人間を育てるために、マグネット人間を育てているでしょうか、マグネットという言葉は引き付ける力を持ったという、そういう意味でありまして、このマグネットの力を持つということが、私は地域を活性化させていく、地方を再生していくためにはものすごく大事なことだと思っています。この「“マグネット”プロジェクト」もつくりたいと思っています。こうすればもっともっと引き付ける力が出るんだ、それを皆さんからどんどん提案してもらいたい、それを生かしていきたいと考えています。

 部局横断的に進める「いのち」プロジェクトと「マグネット」プロジェクトについては、今までと全然違う発想で、皆さんどんどん提案してください。そして、これはと思ったものは、私が全国に向けてアピールしてまいります。私のメッセージ力をもって、神奈川県は、神奈川県庁からこんなアイデアがでてきたんだということをどんどんアピールしていきたいと考えています。ここではくどくど申しませんが、この電気不足の中で、太陽光発電をどんどん普及させていこうと、この選挙戦で私は集中的に訴えてまいりました。もう、このことは、全国から注目されています。神奈川から太陽経済が始まるんだ、太陽光がどんどん、どんどん広がっていく、キラキラ、キラキラした神奈川、それが、神奈川から始まっていくんだと。脱原子力発電、そして、太陽光のエネルギーの時代に変わっていく、エネルギー革命が神奈川から起きてくるんだ。これをずっと言い続けたことによって、今、全国の注目が集まっています。私は、圧倒的なスピード感をもって、この問題を成し遂げていきたいと考えています。それは、皆様の総力を結集しなければ、絶対にできないことです。それを、圧倒的な勢いで、皆さんとともに実現していきたいと考えています。

 そういう中で、神奈川県庁から、こんな素晴らしいアイデアが出てきたんだ、これが日本をどんどん変えていく、大きな素晴らしいメッセージになっているだろう、それを、私は全国に向けて発信していきたい。そのために、皆さんに本当の力を見せてほしいのです。公務員の意地を見せてほしい。それができなければ、大なたを振るわざるを得ない時が来るかもしれない。そういう覚悟で、真剣勝負で、これから、この危機に陥った日本を再生するために、神奈川から、日本再生のモデル、神奈川モデルを共につくっていきたいと思います。一緒に頑張りましょう。ありがとうございました。

神奈川県

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