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更新日:2024年1月4日

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第37回神奈川県地方税制等研究会 審議結果

このページでは、第37回神奈川県地方税制等研究会の審議結果を掲載しています。

審議結果

次の審議会等を下記のとおり開催した。

審議会等名称

第37回神奈川県地方税制等研究会

開催日時

平成19年5月28日(月曜日)10時00分~12時00分

開催場所

都道府県会館9階神奈川県東京事務所会議室

出席者

(座長)神野直彦、堀場勇夫、金澤史男、中里実、青木宗明、沼尾波子

次回開催予定日

未定

問い合わせ先

政策局財政部税制企画課調査グループ
電話番号045(210)2308

下欄に掲載するもの

  • 議事録全文

審議経過

(議題)

  • 地方法人課税の論点整理について
  • 神奈川県地方税制等研究会・ワーキンググループ報告書(案)について
  • 最近における税制論議について

1.開会

(座長) それでは、第37回になりますか、神奈川県地方税制等研究会を開催したいと思います。お手元に議事次第がいっているかと思いますが、きょうは報告事項議事が3点、その他を含めれば4点ですが、議事の方ご協力いただければと思います。

2.報告事項

(座長) まず初めに、報告事項として、神奈川県地方税制等研究会ワーキンググループ委員の変更について、ご報告いただければと思います。

(事務局) それでは、地方税制等研究会ワーキンググループの委員の変更ということで委員の名簿をご提示させていただいておりますけれども、平成18年度のところで、○○先生を委員長といたしまして、7名の委員の方の中の、下から2番目○○委員についてですが、○○先生のご推薦をいただいておりましたが、業務の関係上、委員の継続が難しいということがございまして、今回また改めまして○○先生にご推薦をいただいたところで、○○大学の○○先生に新たにワーキングの方に加わっていただくことになりましたので、委員の選任の変更ということでよろしくお願いしたいと思います。

(座長) 報告事項でございますので、委員の変更があったということをご承知置きいただければと思います。

それでは、2番目の報告事項ですが、水源環境保全・再生に係る取組について、これも事務局からお願いいたします。

(事務局) 引き続きまして、水源環境保全・再生の取組の関係でございます。

資料1の方で、ご説明をさせていただきます。

研究会の方でいろいろな形で議論いただきました水源環境保全対策ということにつきましては、この19年度からようやく事業の方に入っていくことになりました。その中で、事業のご説明ということではないのですが、簡単に水源環境保全・再生の取組の基本的な考え方が書いてございますけれども、5年間で取り組む「かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画」、こちらに基づきまして、平成19年度から12本の事業を着実に進めていくという形になっております。

予算の内訳としましては、その記載のとおりでございますが、一番下、最下段のところでございます。水源の森づくり事業における既存分の計というのがございまして、これは、今まで水源の森事業、平成9年度から神奈川県の方は携わってきたわけですが、こちらの事業は一応現行の枠組みをそのまま残すことになります。そちらの水源の方の事業というのは、その拡充・スピードアップ分ということで加わってくるということになりますので、こちらは参考ということで載せさせていただいております。

その1つ上のところの今回の予算額でございますが、35億2,750万円ということでございまして、説明の中では年間約38億ということでお話をさせていただいたのですが、特別徴収分の年度内に入らない分を除きまして、35億円を今回予算計上しているというところでございます。

参考までに、一番下のところに先ほどの13億、一番下の既存分の計の13億ということでご説明をさせていただきましたが、今までの18年度までの水源の森づくり事業は、18億をかけて毎年やっておりまして、基本的にはこの規模は毎年やっていくということになっておりますが、この中で企業会計の負担分というのが5億円入っておりまして、これは水道料金の今回の改定等で、この部分については戻りということになりまして、水源の森林づくり事業における既存分が、18億から13億に減少しているというのが事業の状況でございます。

それで、1枚おめくりいただきまして、これに合わせまして、施策の内容を県民参加で議論していくという枠組み、これが事業に取り込まれておりますが、県民会議の設置要綱ということで載せさせていただいております。

こちらの、もう1枚おめくりいただきまして、3ページの方でございますが、水源環境保全・再生かながわ県民会議委員名簿ということで、有識者の方、関係団体、公募の委員を含めまして全体で30名です。こちらの中に当研究会の金澤先生と沼尾先生も中に入っていただいて、一応今後は、施策を中心としていろいろな形で見直しをしていくことになります。

今回、第1回目が開かれまして、その中で金澤先生がこちらの座長ということで選任されましたので、ご報告申し上げるとともに、こちらの6ページをちょっと補足してまいりますが、6ページは全体の取組のスケジュールが書かれている中で、下から3つ目のところが県民会議のスケジュールということになっております。この中で施策の調査専門委員会、市民事業等審査専門委員会ということで、2つの委員会を設置しますが、この中で市民事業の委員会の方では、沼尾先生が担当の委員をされているところでございます。一応、この県民会議を中心に、施策の評価とか今後の進め方等をいろいろ県民と議論しながらチェック、それと考え方を整理していくという予定になっております。一応その中に細かいことがついておりますが、それは後程ご覧いただければと思います。

報告事項は以上でございます。(座長) はい、どうもありがとうございました。

ご質問があれば承っておいて。なければ、報告事項でございますので、ご承知置きいただければと思います。

3.議事

(座長) それでは、議題の方に移りたいと思いますが、最初の議題でございますけれども、地方法人課税の論点整理について、これはまず事務局の方から資料をご説明いただきたいと思います。

(事務局) では、私の方から資料2に基づいてご説明申し上げたいと思います。

まず、地方の法人課税の論点整理という資料でございますが、これにつきましては、この1年間、ワーキンググループでさまざまな議論をしていただきまして、その中の1つとして、地方の法人課税のあり方について議論していただいた内容につきまして、論点整理をしていこうということで、ワーキンググループの中で議論した結果を論点整理という形でおまとめいただいた内容になってございます。

また、議事の(2)にございますけれども、一応ワーキングの成果として、各委員がワーキングの中で幾つかのテーマについてそれぞれご報告をいただいた内容につきまして、それぞれの先生が文書に落として、論文にしていただいたという報告書もございまして、一応この1年間のワーキンググループの成果として、この2つについて、今後の研究会でご報告という形になります。

それでまず、地方の法人課税の論点整理でございますが、まず1点目、1ページの1でございます。まず、地方法人課税の意義ということで、地方の法人課税の意義について簡単に整理したものでございます。最初の丸にございますとおり、まず、法人二税の税収規模につきまして触れた内容でございまして、2行目でございますけれども、道府県税収の37.2%、これは17年度決算でございますが、占めていると。また、法人市町村税については、市町村税収の12.6%ということでございまして、自主財源として地方税収の中の重要な位置を占めていると。

また、神奈川県でございますけれども、神奈川県におきましては、17年度決算ベースでは34.2%を占めてございます。

また、19年度当初予算でございますが、税源移譲により、県民税の割合が高まっていますけれども、法人税収につきましては29.3%ということで、まだ3割を占めているということで、神奈川県においても基幹税となっております。

また、次の3番目と4番目の内容につきましては、法人住民税と法人事業税の性格等を整理したものでございまして、法人住民税につきましては、負担分任の精神を顕現せしめるものです。また、法人事業税につきましては、事業活動の規模や収益に応じて、その費用を負担せしめるものとして受益者負担的な性格ではないかということで整理してございます。最後の丸でございますけれども、そういう意味では、地方の法人関係税は、地方財政を運営する上で貴重な財源であることは言うまでもないということで、また、法人企業が税負担し、地方財政に直接貢献しているからこそ、地域経済の活性化のためさまざまな行政サービスを積極的に提供していくのであって、仮にこうした法人企業からの地方団体の直接的な税負担がないのであれば、法人活動に対する行政サービスが大幅に低下せざるを得ないと考えられるということで整理してございます。

次に、2の地方の法人課税の偏在性というテーマでございまして、これは昨今、非常に問題になっていますけれども、6ページをお開きいただきたいのでございますが、まず2番目の丸にございますとおり、偏在性の問題が指摘されているということでございまして、特に税収の東京一極集中や税源移譲の議論などが主にされているということでございます。

具体的にということで、次の丸でございますが、人口1人当たりの税収で比較されてございまして、全国平均を100とした場合、最大が東京都の266.8で、最低が長崎県で40.9。これは17年度決算ベースでございます。16年度決算ベースですと、沖縄が最低となっていますけれども、直近の17年度ですと長崎県が一番小さいということで、東京と長崎の格差が6.5倍になっているということで、この差は地方税収全体が3.2倍でございまして、ほかの点に比べても大きなものになっております。

また、次の丸でございますが、これは研究会でも私どもが報告した内容でございますけれども、東京都における法人税の税収は、全国の法人税収の26.2%を占めておりまして、後ろの方にデータとして付いてございますが、例えば従業員数であれば14.89%、県内総生産ですと17.62%、県民所得ですと14.84%ということで、東京都が大体15%から20%台になっていますので、法人税収が26.2というのは、こういった指標に比較してやはり高いものではないかということをこの丸で指摘してございます。

最後の丸の結論の部分でございますが、法人二税の課税標準分割基準が、それぞれの税の理念や税源帰属を的確に反映しているか否かの検証はもちろん必要です。しかし、こうしたデータを見ると、税収は本社のある東京都に集中的に帰属しており、企業の経済活動が地域の生産要素、自然環境、諸資源を利用して成立していることからすると、こうした要素を反映させる適切な調整システムが必要であるということでして、具体策をここでは明確に述べていないのですが、一応こういった整理をしていただいたところでございます。

次に、3番目の外形標準課税の課題ということで、税制改正において法人事業税の外形標準課税が導入されているわけでございますが、その割合が資本金1億円を超える法人に限って、4分の1が外形標準課税ということでございます。ここで、今の内容につきまして、2番目の丸に記載してございます。3ページの一番上の丸でございますが、現行の法人事業税の外形標準課税は、資本金1億円以下の法人を対象にしていなくて、また課税標準と同じ、相当分しか導入されていないことから、不十分であるということを言わざるを得ないとここでは整理してございます。

次の丸で、したがって、今後、外形標準課税を拡大する方向で見直しをすべきであり、基本的には事業活動の規模を最も適切にあらわすと考えられる付加価値割を拡大すべきであると指摘してございます。恐縮ですが、ちょっと表の方をご覧いただきたいのでございますが、真ん中の表でございます。太枠で右の方に法人事業税で囲ってございますが、これにつきましては、神奈川県で全国に照会させていただきまして、直近の年間の都道府県ごとの法人の所得割、付加価値割、資本割のデータを整理したものでございます。こういったデータというのは、全国的にはまだ整理をされていないという形の段階の表でございます。

東京と神奈川のところが網でわかりやすくしておりますが、東京都の割合をご覧いただきますと、所得割の(1)の段でございますが、東京都が全国27.84%になってございます。その横で付加価値割が27.09ということで、若干所得割よりはレベルが低くなっていると。資本割が33.17ということで、これはかなり高くなっています。外形標準課税、これは付加価値割と資本割を合わせたものでございますが、29.19ということで、所得割より高いというのは、資本割の高さが影響しているということでございます。

これは初年度の初めて年間を通じたデータでございまして、これが今後どのように推移していくか、分からない部分もございますが、一般的には付加価値割の方が偏在性がないということが言われておりますが、付加価値割につきまして、所得割との比較において余り差が出ていないのが今の実態でございます。ただ、若干低いということはもう間違いないということでございますので、ちょっとこの辺りはもう少しデータを追っていかなければいけないということになろうかと思いますが、少なくとも資本割はかなり東京都に集中しているというのが全体的な話かと思います。

一応このようなことをワーキングの中で追究させていただいたところでございます。

恐縮ですが、3ページに戻っていただきまして、このようなデータを見ながら、やはり付加価値割の拡大を今後していくべきだなというところでございます。そうすると、結果として実効税率の引き下げはもとより、事業税の偏在性の緩和にも貢献すると考えられるという形で整理してございます。

最後の丸でございますが、これは資本金の額が1億円を超える法人に外形標準課税を限定いたしましたので、これは税調などでも取り上げられたかと思いますが、減資をすることによって、外形標準課税の対象外とする事例が多く見られていると。これは全国もそうですし、神奈川県にもかなり事例がございました。神奈川の事例をワーキングの中で分析をしていただいたところ、まだ現在、資本金の額が代表となっていますけれども、資本金の額を資本積立金の額にシフトしている例がかなり見受けられるということでございますので、少なくとも資本金の額に資本積立金の額を加えるという解決策が一つあり得るのかなということで、ワーキングの中で議論がございました。

あと、ほかにも方法はあるのでしょうけれども、一応それが一番いい案かと考えておりまして、ほかの案につきましても今後検討していくということで整理をしてございます。

次に、4番目の実効税率の引き下げの論議ということでございます。これにつきましては、ここ数カ月は余り表面化していませんが、少し前に実効税率の引き下げの議論がかなり出ていまして、政府税調でもそれを検討しておられるということだと思います。

最初の丸でございまして、状況を簡単に触れてございます。まず、ドイツなども実効税率の引き下げをする方向での税制改正の動きも出ているということでございまして、次の行でございますが、こういった実効税率の国際比較に関する議論を行うに当たっては、各国の地方の法人課税や事業主が負担する社会保険料を含めて企業の負担全体について比較分析する必要があると、分析をしてございます。

次の丸につきましては、今言われた実効税率の比較をしたものでございまして、日本はドイツ、アメリカと並んで最高水準であって、その他の国より高くなっていると指摘されているということでございます。

次に、一般に実効税率の国際比較においては、所得課税の方式でございますので、所得課税以外のものについてはその中に入っていないということで、具体的には、フランスの職業税、これは我が国の事業税と近似した性格であるにもかかわらず、課税標準につきましては、事業用固定資産、償却資産の賃貸価格となっていることから、実効税率の計算上対象とされていないということでございます。

また、次の丸でございますが、これは地方の法人課税、実効税率の計算の対象になっている税についても、実際は課税ベースが国によって異なっているということでございます。

まず、ここではドイツとイタリアを整理してございますが、ドイツの営業税については、利潤にもちろん含まれていますが、それ以外に長期債務の支払い利子と支払い賃借料の支払利子が対象となっておりますし、またイタリアの生産活動税につきましても、利潤が含まれますけれども、それ以外にも支払賃金と支払利子も課税対象となっているということで、課税ベースが非常に広いということがございます。

さらに、次の丸でございますが、イギリスは実効税率がかなり低くなっているのですが、イギリスにおいてはビジネスレート、ノンドメスティックレートということで、法人に対する、これは事業所等の不動産に対して課税される税もございます。

こういったものに、さらに社会保険料の事業主負担があります。これはイタリア、フランスが非常に高いわけです。さらにアメリカにつきましては、民間医療保険料というものが、これは統計上出てきていないわけですが、これを義務的な負担として加味した場合に、アメリカの負担というものもかなり重くなるということで、その結果が表4でございます。

表3と表4が7ページに上下でございますが、通常の実効税率の比較、国と地方の分を比較したものが、表3でございまして、日本が、アメリカ、ドイツと同レベルぐらいに高くなってございますが、今の要素を加えたものが表4でございます。この表4では、一応、下に注がございますが、GDPに占める税負担の割合で出したものでございまして、OECDが出して発表している資料をもとに積み上げたものでございます。

見ていただきますと、まずイタリアとフランスが右側にございますが、社会保険料の負担が非常に高いということでございます。またアメリカは、黒くなっているところがございますけれども、民間医療保険負担に相当するものだと思いますが、この負担がやはりかなりあるということでございます。ドイツにつきましては、大体、日本と同じようなやり方でございますが、イギリスにつきましては、不動産課税の負担も入れていますけれども、不動産課税の負担も含めて若干日本よりは低いというのが統計の結果でございました。

一応このような結果を踏まえまして、4ページにございますが、下から2番目のところでございますけれども、実効税率の議論においては、こういった地方の事業課税とか、不動産課税、社会保険料の事業主負担、従業員の加入医療保険の事業主負担、こうした要素を加味してみますと、逆に我が国の法人の租税負担はむしろ低いというのが状況ではないかという整理をしてございます。実効税率の国際比較を議論する場合は、こうした状況を十分踏まえまして、国際比較に基づいた法人税や地方の法人課税の税率を早急に引き下げるべきであるという議論には根拠がないと考えるというのが結論でございます。

この論点整理につきましては、ワーキングでの論点整理でございますので、この報告をして、研究会で承認ということであれば、これにつきまして一応神奈川県地方税制等研究会のワーキンググループの整理ということで、私どもが全国にこういった整理をしたということで発信をしていきたいなというふうに考えてございます。

私からは以上でございます。

(座長) どうもありがとうございました。

適切にまとめていただいていると思いますので、ご質問とかありますか。

(委員) 今の表4ですけれども、GDPに対する比を採るとこうなりますよね。だって、日本はGDPに対する租税収入の比率がここ10年かそこらで随分減っているでしょう。だから国際的な競争力というときに、GDPに対する比率と考えるのか、それとも、企業の収益に対してどうのこうのという比率で考えるのか、私は全体が低いと思っていますから、これはこれでいいと思いますけれども、説得力がどこまであるのかは。

(座長) 企業の収益でやるべきだというのが僕の意見だけれども、これでやると日本はもっと低くなるのです。なぜかというと、つまり国民総所得の中における利潤のウエートが非常に高いという、異常の国なのね。だから、いつもGDPでやっているんだけれども、あれ利潤で出してよ。あれはめちゃめちゃ低いんだからさ。国民所得で利潤とかが分配されてきますよね。そのうちの利潤の分配が日本は異常なんですよ。

(委員) 税調でやるべきだと、政府税調でね。

(座長) いや、本当ですよ。しかも最近、ものすごい分配になっているのはご存じのとおりですよね、利潤がね。だから、国民所得、GDPで出さずに、僕はちゃんと出した論文はあるよ、昔。最近は、統計をいじっていないから、昔出したのでいくと、えらく利潤が高い。その問題は非常に重要で、これはこれでいいんですが、例えば不動産課税の比率が高いといっても、税率とか何とかの仕組みが高いのではなくて、土地の価格が高いんだよ。ものすごく低いんだよ、税率とか何とかはね。土地の価格が高いから。僕は出したことがあるんだよ。日本にアメリカの不動産課税を適用するとか、フランスを適用したら、ほとんどないんだよ。ところが、土地の価格がめちゃめちゃというのが国際的にあって、課税標準の問題を入れてくると、今のご指摘からいうと、中里さんがどっちで言っているのかわからないんだが、課税標準のベースを考えて、したがって、だから本来相殺されるはずですよね。つまり利潤とこれとで、GDPに占める利潤の割合、利潤の割合に対する税の割合となると、ここは消去されて出てきているわけですよね。分母が国民所得ないしはGDP、分子が利潤になりますよね。そして、利潤に対する税負担の割合というのを掛けたことになっているわけですよ。つまり利潤が消えているわけだね。両方相殺されて、GDPに対して出しているので、もう一回これをばらして要素別にやると、全く違った風景が出てくるということですよね。意図に沿っているかどうか分からないんだけれども、計算上はそういうことになるわけですよね。課税標準という中間要素を入れて考えてみると。

(委員) だから経済産業省が言うように、競争条件がどうこうというときに、何の意味があるのか僕には分かりませんが、その反論に備えられるようにやっておけば、僕はこれで十分だと思いますね。だって、こんな低いのは……。

(委員) 表4の意味は、今言った不動産課税のことも含めて言うと、まずはっきりしているのが、社会保険料負担を入れてどうなのかですね。社会保険料負担は政府税調でもやられているんだけれども、一つアメリカですね、これは少しミスリーディングかもしれないんだけれども、民間医療保険負担というのは何かというと、アメリカの企業というのは、特に、大企業は、日本の公的保険と同じように、企業が丸ごといろいろ、NPOも含めた保険会社と契約を結んでいるわけですね。日本の民間医療保険というと、保険料を個人だけが払っているというイメージなんだけれども、その契約を結んだときに、アメリカはそんなばかなことはしないで、公的な医療保険と同じように、むしろ日本よりも事業主負担が多い形で、労使折半の原則で、企業も負担をしているということなのです。それはしかも州政府と政府が非常に厳しいガイドラインを設けて運営しているので、実質的にこれは準公的医療保険と言える。ただ、企業に入っていない自営業者とか、そういう人たちが大体4,000万人ぐらいが、そこからはじかれるということです。あと65歳以上の医療保険は、これはまさに公的な強制加入保険になっています。圧倒的多くの生産労働人口のところは、今言ったような形で入っているというので、アメリカもこの上に積み上げている黒の部分がありますので、これを入れると日本よりもずっと多くなるのです。

それから、委員の皆さんにそれぞれ頑張っていただいて、各国のものを見ていただいたのですが、地方の個人営業、これを含んだ事業課税を考えていくと、この表の右の3つ、フランス、イタリア、ドイツ、これが多くなるんですね。したがって、通常のものよりも上に伸びて負担が多くなるのです。

(座長) これはすいません、例のあれは入っているのかしら。つまり無限責任会社というか、ドイツなんかでも。つまり無限責任会社は、法人税に入っていないわけですよね。

(座長) 営業税じゃなくて、つまり法人税の対象になっていないわけですよね。

(委員) 個人所得税ですね。

(座長) 個人所得税の方に入っているの。そっちは入れてないでしょう。つまりパートナーですよね。ドイツの場合には、株式会社形式をとらないで。

(委員) 事業営業税といわれる地方税があるわけですね。

(座長) 国保税の方も、だから個人企業とされて、所得税に落ちている分も、これにさらに乗せているの、ドイツは。フランスもそうですよね。

(委員) だからそれを入れた方がいいですね。それからもう1つは、不動産勘定を入れたのは、アングロサクソン系のアメリカ、イギリスに関しては、法人のレートで、昔、地方にあった企業負担分の住宅に係る以外の部分については国が取り上げましたけれども、それが大きいわけですね。だから下から2つ目の白いところはアメリカとイギリスは多いわけです。だから、かつて地方の企業課税でアングロサクソン系は不動産課税というような形で企業が負担している場合が多いし、それから大陸諸国は地方の営業税という外形標準でかけている場合が多いので、その辺が今までの議論で抜け落ちているので、それも足していってみると、こういう風景になってくると。その辺を少しきめ細かく出したということです。

(座長) それから、これは○○さんにお聞きしなくてはいけない件なんですが、僕の感じでは、ドイツの11月3日案という、例の法人税の改正のときには、営業税の支払い賃料とこちらの方を入れてずっとやるという案でしたが、何かこの間の報告を聞いていると、最終的にはそれをやめたというようなことを書いてあったでしょう。

(委員) 何だか難しいことを言っていましたね。

(座長) あれは○○さん、調べてないの。

(委員) 私は調べてません。

(座長) おそらく、11月3日案までは、この営業税に近い形で支払利子を加えてやるということでしたが、今度大きく改正するんですよ、ずっとやるときに、支払利子を加えてやるという理解をしていたんだけれども、この間の報告ではそれをやめたというようなことを聞いています。

(委員) 確か、半分がどうのこうのとか言っていましたね。

(座長) そう。では、だれもわからないな。

(委員) 配当部分について、要するに個人企業の配当と見なされるものについて、税率をグッと落としてという方向が一つ大きいのと、それとやはり社会保険料のところをガツンと落として、消費税に持っていき、だから企業が払っていないというのがどこまで正しいか知りませんが、この見栄えだけをちょっと落とすというところですね。そこがポイントだと思います。

(座長) いやいや、だから、別に現状としては問題ないんだけれども、一応、今、営業税と統合するような形でドイツの法人税改革が進んでいて、それがどういう形で決着するのかというのが見えていないので、僕が見ているのは、○○さんもそちらで発表してもらっていると思うのですけれども、○○さんの知識だけなので、あの人、11月3日のはまだ調べていないんだよ。

(委員) 聞いたんですよ。

(座長) 聞いた。知っている。

(委員) そのときに、○○先生と同じ時期に○○さんも調査に行ったそうで、それを何か調べてきたのですが、まだまとめていないところがあると。

(座長) まとめてないって、まとめてもらわないと困るよ。

(委員) 中身も少しできないんですよ。

(委員) 営業税については、本来一緒ですよ。とてもではないが、連邦政府ごときが手は出せない。

(座長) そうそう、おっしゃるとおり。

(委員) 本当にもう歴史的に一切手出しできないという印象なので、いろいろなのをぶち上げても全く意味がないと。結局、昔のままになっていくという感じでしたね。

(座長) ええ。もうインタビューした感じで全然違うんですよ。連邦政府は国際競争力や何かに、税を引き下げたりすることが影響すると考えているのだが、地方自治体は逆なんだよ。税のときは全然、立地に影響しないと。上げて構わないと。

(委員) 全く無視ですよね。

(座長) そう。むしろ、例えば交通の要地で立地しているとか、企業が来やすい環境を、税の負担を高くしてでもやっていた方が立地するという考え方なので、インタビューすると、連邦と地方と全く反対のことを言っているから、訳が分からないんですよ。

(委員) ドイツ連邦の大蔵省の人は、営業税のことは本当に嫌いみたいでしたよ。嫌そうに、これは癌だとか、ひどいことを言っていましたよ。それだけ強固ということなんでしょうね。ほとんど手出しできないという。

(座長) それと、やはり深刻になっているのは、営業税の外形みたいな部分については、東ドイツに適用していないということについて、ブラッセルが違反だと言っているものだから、どんどん外形部門、つまり例外規定で東ドイツには適用していなかったんだが、適用しろと言われているものだから、全体として意に反して緩めざるを得ないというところがあるんですよね。だからそれは特殊な事情なので、それを考えていかなくてはいけないということですね。まとめていただいたのは勉強になるし。

(委員) もともとこの法人課税の論点の整理で、これでよければなんですが、少しもんでいただきたいのは、何でこんなことをやったのかというもともとの問題意識です。今言ったように、国際競争力論から法人課税が日本の場合は高いと。特に地方が高く上乗せされているので、国際競争力を削いでいると。地方の法人課税の減税というのは、どうも企業課税減税論者のターゲットになりつつあるんです。それが、もちろんやたら高い税負担をする必要はないのですが、応分の負担ということか、そういうのは必要だろうから、事実はどうなっているのか見てみようというのが一つです。

それから、地方の法人課税批判の一つの論拠として、偏在性の問題が出てくるのです。それも同時に地方から企業負担を取り上げることによって解決してしまえという、一方的な取り上げによってです。その問題はどのように解決していくべきかというと、ここでは外形標準の増加と、それからもともと企業課税というのは、もちろん受益と負担を地方レベルでははっきりさせるということがあるわけだけれども、分割基準をどうするかとか、いろいろな仕組みでそれを調整していくことになるのですが、それでも調整し切れない部分は、別途交付税とかそういう制度でやるべきなのです。それから今言ったように、外形標準課税で対応していくとか。全体として、特に事業税ですよね、事業税の負担というものがターゲッティングされて、それを減らしてしまえという乱暴な議論に対して、事実をきっちり見ていこうということで、そういう議論を1年間、させていただいたところであります。

(座長) あと、税収の偏在ということについて言うと。

(委員) ちょっといいですか、今の点で確認したいんですけれども、税金も含めて。国際競争力とは何ぞやということは重要ですよね。要するに、国際競争力の問題が起きるという論点は何なんですか。

(座長) 税調は、そういう議論をやっているわけではなく、利害代表者の国際競争力にかかわると主張している人々がかなり多いので、何とはなしに言っていて、今、トーンが落ちているのは、海外に調べに行ったら、実はあれですよね。みんなこういう状態だから、どこへ行ったって、国際競争力で問題なのは支払い賃金に対する負担だと言っているものだから、今、税調は社会保障負担を引き下げろというような論調に変わっているんだけれども、日本は低いんだけれどもさ。社会保障負担、世界も社会保障負担を引き下げるのだから、日本も社会保障負担を引き下げましょうというような雰囲気に少しなってきているよね、利潤よりもね。

(委員) 一度同じ水準まで上げてから考えても。

(座長) だから、逆に僕は○○さんにお聞きしたいんだけれども、競争力というのは何なのか。

(委員) まず法人税が財の価格に、一つの考え方は、法人税が財の価格に全面的に転嫁されて、財の価格が上がるから輸出競争力が落ちているという議論なのか、あるいは転嫁されないで法人の株式、株主の要するに所得部分、すなわち利潤部分が転嫁できない。したがって、資本流入が競争上不利になるということか。どっちなのか。

(座長) だから、結局、支払賃金に対する負担とか、コストを引き上げていくという部分であれば、価格に決定を与えてやるということであるとすれば、利潤課税が本当に国際競争力に影響を及ぼすのかという議論が出てくるが、そちらの議論よりも、今ヨーロッパのように、通貨統合されているようなところでは、資本をどこに投資するかという意思決定の際に、利潤課税が極めて重要な影響力を及ぼしていると。したがって、これほど高いと日本に対する投資ないしは国内資本も日本に投資をしなくなるという理屈ですよね。それしかないと。

(委員) そっちの方が主なんですね。

(座長) そういうことでいいんだよね。財の価格の輸出、完全競争市場なのかとか。

(委員) そんな難しいことを言っているのではなくて。

(座長) いや、だから価格が転嫁するか、しないかということでしょう。

(委員) だから2種類あるわけですよ。要するに財と価格は競争力がなくなるから、輸出が伸びなくなりますよという、こういう原理なのか。あるいは、そうすると資本流入をもっとさせた方がいいと、こういう話なのか。

(委員) それから空洞化の話も一応はありますよね。輸出ができなくなるんじゃなくて、国内からほかの世界に出ていってしまう。

(座長) 投資が出ていくという。流出も含めて。だからいずれにしても、資本移動の話を言っているということですよね。

(委員) より収益率の高いところに投資がいってしまうという。要するにもっともうけたいということだよね。

(委員) もし後者の話ならば、先生がおっしゃっている利潤分のという議論ですよね。

(座長) そうなんですよ。

(委員) 違うわけですよ、そこ。

(座長) ただ、もう一つちょっと、最後に言おうかなと思ったんだけれども、今、重要な点は、後で少し僕も資料を見たんだけれども、資料をどこで作ったのかわからないが、地域間の税収格差の件なんですが、投資が今、東京に集中しているんですよ。ほかに行っていないんですよね。もちろん工場が出ているというのと、中枢管理機能というか、管理機能や企画機能だけになっているので、支店とか支社とかというのは、撤退して東京に集めていたり、あるいは逆に東京支社機能を強めているというようなことがあって、東京に投資が集中している。これは資本投資の何か見たんだけれども、東京都がつくったんじゃないかと思って、東京都に聞いたら、いや、つくっていないと言うし、どこかでつくったはずなんだけれどもね。

東京に集中しているんだけれども、最大の原因は国内資本じゃないんだよ。100%外資が、ほかに一切投資しないんだよ。まだ国内企業というのは、どうにか地方にも投資しているんだけれども、もう外資は100%東京。神奈川にはしていたかな。していても、つまり統計上ゼロというような。この、地域間格差を激しくしているのは外資なんだよ。だからさっきのご指摘からすると課税標準の問題ですよね、課税客体の話と言ったらいいのかもしれない。今や高度成長期の一極集中の話とは全然違うんだよ。ということですよね、多分。違いますか。だから、それがつまり東京のグローバル化で、日本に資本を集めなくてはいけないという議論は、今のままでいけば、東京に一極集中させろという議論と同じになるので、地域間格差も急速に拡大させるんだよね。

(委員) 外資が東京というのは、本当にそうですね。

(座長) ええ、ちょっと調べてもらえばわかる。

(委員) 不動産投資なんかは極端にそうですよね。

(座長) ええ、外資はほかの地方に投資していないよ。

(事務局) 本日、この研究会をやるということは、知事に事前にご報告していましたので、ふるさと納税について是非……

(知事) すいません。ちょっとこちらの方に来ていましたので、一言だけ。

(座長) 知事、いいんですか。

(知事) どうも先生方、お忙しいところ、ありがとうございます。

今日は地方税制等研究会でさまざまな議論をお願いしているわけですが、ちょっと最近、国との地方分権改革の中で、地方税制の中で格差是正をやれみたいな議論が出てきていまして、いわゆるふるさと納税という形で新聞でも相当騒ぎになっています。これを私たち地方の側から、地方の側といってもいろいろ意見があるのですが、しっかりと理論武装して、これは税の理論をめちゃくちゃにしてしまう可能性がありますので、私は絶対反対の立場でこれから戦おうと思っているんです。

実は、きょう朝一番で、尾身財務大臣にお会いしてきて、ちょっと骨太の改革の前の要望に行ったんですね。そうしたらこの議論になりまして、尾身さんは、地方同士でけんかしてくれるなら、財務省は高みの見物だと、こういう立場なんですが、ただ、基本的なところで、これはもう全くかみ合っていないなと思うのは、要するに5対5なんかにする必要は全然ないんだということなわけですね。それで、小泉さんがやろうとした三位一体改革も間違えなんだと。地方に税源を移せば移すほど格差がどんどん広がるんだから、こんなことをやったらまた都会と地方の格差が広がって、日本列島はめちゃくちゃになっちゃうという議論なんですよ。だから、5対5なんかにする必要はない。今のままの税源でいいのだから、税源交換なら認めてやろうと、こういうことなんですね。地方が消費税の方が格差が少ないと。法人関係税は不況になったりしたらもう大変だと。この格差が大きいのは困るから、例えば消費税と法人関係税を同じ額で交換してやるなら、私は議論してやろうと思うけれども、税源移譲をやって地方消費税を増やしてくれなんていうのはとんでもない議論だと言うのです。私が来るのを待っていて、相当な激論になったんですけれども、財務省はそんな考えですよね。

それで、格差是正論も、本来であれば、地方交付税という格差を是正するための税制があるのに、その財源はどんどん引き揚げて削っておいて、今度は一番地方の独自の課税権のある、自主的な財政を運営できるこの住民税で、その格差是正をやらせようなんていうのはめちゃくちゃな議論でありまして、ここはしっかりと全国知事会の方でも意見をまとめて戦っていかないと思うんです。ただ、地方の知事さんはもう完全に金をもらえるんだったらこれでもいいやという感じになっていますので、これは相当難しいところに楔を打ち込まれて、これからの戦いが難しいなという状況なのかなと思っています。是非とも、今日は先生方に、それぞれプロフェッショナルでいらっしゃいますので、このふるさと納税について、それぞれの先生方のお考えをぜひともお聞かせいただきたいなと思っておりまして、また、今後の税源交換論みたいなところも、私たちはまず税源移譲が先だと、税源移譲が全然実現できないうちに、税源交換だとか、あるいはふるさと納税の議論に乗っかっていったら、これは国にいいようにやられちゃうというふうに思っていますので、そのあたりの、私の考えがいいかどうかも含めて、先生方に少し理論武装のご指導をいただきたいなというように思っているところであります。これは税の公平性から見ても、あるいは課税自主権という問題から見ても、あるいは代表権なきところに課税なしという税の原則から見ても、特に皆さんにご議論いただいている神奈川の場合は、水源環境税は県民税の超過課税でやっているんですね。これは県の課税自主権があるから、こういうやり方をしているわけですね。それをまたぶっ壊されちゃうわけでして、ですからこのあたりもしっかりと神奈川県として意見も言っていかなきゃいけないと思っていますので、そのあたりについても、きょうのテーマの中に入っていることなので、ひとつよろしくご指導いただきたいと思っています。また、事務方が今日の先生方の議論を私に報告いただいくことになっています。今後、年末に向けてこれは厳しい戦いになってくることですので、ひとつよろしくご指導いただきたいと思います。どうもすいません、飛び入りで。よろしくお願いします。

(座長) ありがとうございます。

(座長) 知事の意見と私の意見とほとんど変わらないのと、神奈川は一番ひどい目に遭うんです。東京都は住民がいませんから。それからもう一つは、東京都なんかは、高度成長期に移住しているんですよ。神奈川県はその後移住していますから。

(知事) そうですね。ふるさとって、まだ持っている人が多いんですね。

(座長) ええ、逆に、東京都にはもうふるさとはないです。

(知事) そうです。持っている人にはね。新興住宅地を抱えているところが一番……

(座長) そうです。

(知事) ふるさとをどう定義するかなんですよね。まだ何にも議論していないんですし、これはやり方によっては、何か夕張のような、ふるさとじゃなくても、自分が出したいところに出せるようにせいというのでしょう。

(座長) あと、財政需要を見ていないので、むしろ大都市部の方が地域間の格差が激しいので、豊かな人が多くて税収が増えるんですが、貧しい人が多くて、これ、知事、横浜の中区の寿町だったかな、僕は見に行ったら、めちゃめちゃですからね。あそこに全部出さなくちゃいけなくなりますよね。需要を見ていませんので。

(知事) その辺の話もおもしろいですね。

(座長) 大阪府の知事は怒り狂いますよ。今は、労働市場で、地方に働き口がないので、東京に出てきたいという人はいません。下宿で10万かかるのにね。昔は住み込みなんですよ。今はそれがもう全くありませんので。

(知事) 菅大臣が交付税、これは減らさないなんて、きのうの新聞に載っていましたけれども、そうしたら、また交付税制度もめちゃくちゃ国の裁量でいじるわけですよ。交付税こそ決まった基準で割り振らなければいけないのに、もうめちゃくちゃな議論で、今度は減る自治体は交付税措置でまた交付税をもらえるのかと言ったら、それも当然ないですよね。それって、逆なんですね。

(座長) ちょっと余計なことを申し上げましたけれども。

(知事) ひとついろいろな意味でお知恵をいただきたいと思っていますので、よろしくお願いします。

(座長) 大阪府なんて経常収支比率が100いっているから、税源が減ったら、減らない前にパンクしているんです。

(委員) 分権の議論をしているはずであり、しているとすれば、今、自主税源の柱である税金、地方税をどうするかということを、なぜ、いきなり中央がそういう制度を提案できるか、そのこと自身、僕は違法だと思うんだよね。そう思いませんか。

(座長) ○○さん、前に言っていたよね。僕はもうこれであきらめて死んでいくからと。

(座長) 基本的なところがもう嫌になってきて、僕が今説明していることというのは、いつも考えたことがないですかと。人間は一人一人の力は弱くても、みんなで一緒にやれば大きなことができるというのを考えたことはないかとか、そういうことから説明しなくてはいけなくなるので、もうだめだと、これは。

(委員) でも、何かもやもやとしてきて、何か話は政治主導で、地方のために考えているとか、ちょっとやはり地方に血を流せというみたいな議論がちょっと行き過ぎたという反動で出てきていると思うんですよ、頑張る地方応援プログラム、頑張りの成果を地方交付税の算定に反映とか。それで、そういう風潮の中で、今まで何を議論してきたのだろうかというのをもう一度すぱっと言えば、意外とすっと入ると思うのです。交付税というのは、だから恣意的にやってはだめという議論をしてきたでしょうと。それから自主税源というのはどうするかというのは、ふるさと納税が出てきてもいいが、国が言うべきではなくて、地方が出してきたら検討しましょうというのが分権であって、一番国が触ってはいけない部分ですよね、そこの部分というのは。だから、それを、そんなのは青臭い議論だからみたいなことを言わないで、青臭いことを、やはりもう一度正気に戻らせるというのか、そういうことを学者はやるべきなんじゃないかな。余り政治の中に入り込み過ぎないで。

(委員) ふるさと何とかというのはもっともなんですけれども、この新聞記事の一番最初の記事なんですが、今のワーキンググループの議論ですと、地方法人課税をこれ以上引き下げてはならない、日本はそうではなくても低いんだからという議論ですよね。だけれども、総務省の考えは、地方法人課税はもう国に渡して、消費税をもらえばいいということでしょう。そのギャップはどうなるんですか。

(委員) それは、それもまた政治力学の話だから、今私が一番心配するのは、知事もおっしゃっていたけれども、サバをよむということなんですよ。だから、三位一体改革もそうでしょう。やはり3兆円をもらうために、私の計算では10.3兆円を削られているわけですよ。一番最初に、夢を見ていたときというのは、3兆円だったら3兆円の削減だと。だから交換にしたって、どうなるかわからないのですが、やはり1対1にするためには、こういうことをきっちり言っておかないといけないんです。つまり高いんだから、交換するときに一緒にそれと合わせて減らそうと。やはり、そういうズルをさせない基礎を今つくることが重要じゃないかと。

(委員) 地方法人税が下げられた後で、それを国に差し出してもらえる地方消費税はしょぼいけれども、でかいままとっておけば、それを差し出すとそれなりの地方消費税がいただけるということですよね。

(委員) そうですね。

(委員) なかなか奥が深いですね。わかりました。

(委員) だまされないようにするという、そういうことですよ。

(座長) これちょっと、僕は初めて自分のコメントを見たけれども、正確に伝えてないな。寄附金控除ならいいと言ったんではなくて、寄附金控除で税額控除にするとなると、これは下手をすると、その地域に納めないと100%減っちゃう可能性がありますよね。だから問題だろうと言ったんだけれども、「いいだろう」と言っているじゃない。何なんだ、これは。

それはいいんだけれども、ただ、今おっしゃっているように、総務省も、菅大臣は基本的に交付税を減らすという方なんだよね。心の中は交付税は要らないと。だから話がややこしくなっちゃっていて。

(委員) だから、もちろん今までの政治の流れからすれば、散々、交付税の財源保障機能は削減すべきだということで突っ走ってきているから、今さら交付税はできないわけだよね。だからそこが誤りであって、そこから直せば、別にこんな姑息なことをやらなくたっていいわけですよ。だから、学者はそれをもっと正気に戻ろうよということを言うべきであって、そのラインの中で叫んでいても、やはりだめだと思うんだよね、今は。根っこのところからやはりさ。

(座長) 今、ふるさと納税の一つの根拠は、教育で地方が育てて、都会が利用しているというのが一つの根拠でしょう。別の県で市町村長が集まったときに話題になったのですが、この間、23区の区長が集まりで、私たちは地方が育ててくれるから交付税をやれと言われてやってきたと。あれは教育に回っていたんじゃないかと怒り狂っているんだよ。回したくもないのに、私たちを育ててくれたのだから交付税を飲みなさいと説得されてきたと。あれはどうなったんでしょうかと、みんな言っているよ。

(委員) だから○○さん、もう少し頑張ってもらって、格差是正というのが一つの旗印になっているわけだ、今、社会全体で。それは企業とか民間とかもそうなんだけれども、国と地方の財政関係でもそういうふうになっているから、そこのところをもう一度原点に立ち戻って、どういうシステム設計をするかと。初めて松沢さんと意見が合ったよ、今日ぴったりと。だからちょっと頑張ろうかと思って。

(座長) 神奈川県は、もらっているか、もらっていないかは別として、財政需要を見ていないということを言っておかないと、財政調整として見れば水平的財政調整で、財政力というのは課税力とそれから財政需要か何かを足すわけですけれども、財政需要を全く見ていないと。まだ、神奈川県とか横浜市は余り危機感がないんだけれども、大阪府は経常収支が収入を超えて、やり様がない。だって財政需要も、生活保護率がだって50‰近くなってるって、知っていますか。大阪府なんてもう約40‰よ。全国平均が約10‰。いずれにしても、神奈川県でも、横浜市というのは頑張って、全国平均以上に生活保護率を上げているんだよ、伸び率で。刻々と迫っているんだよ。それは後で議論するとして。

(委員) 最低賃金が下がっているから、8時間、週5日働いてもらう賃金よりも、生活保護費の方が高いわけだから、そんなの決まっているわけですよ。そこまで賃金が下がった。

(委員) 昨日、自分が65歳まで勤めた年金を計算したら、生活保護費より下でしたね。嫌になりました。働く期間が短いでしょう。

(委員) だって、資産を持っているでしょう。

(委員) 資産持っていないですよ。

(委員) 所得だけで見てはだめというのは、もう一つの議論なんです。

(委員) 働き続けなきゃいけない。75歳まで働けという。

(座長) ○○先生は大丈夫にしても、まじめな話、若い人たちは、合理的に考えれば加入しない方がいいわけだよね。いざとなったら、生活保護費を考えた方がいいわけだから。

(委員) それで、○○さん、国際競争力のことでちょっと一点。国際競争力と財政の関係を考えると、世界のいろいろ、国際競争力はフィンランドが一位というんです。いろいろなランキングがあるではないですか。

(座長) フィンランドだったっけ。

(委員) フィンランドが一番ですね。大体、日本が四十何位とか。グローバルスタンダードで国際競争力がどういう要素で構成されているのかというのを見ると、さっきから○○さんがおっしゃっているように、法人税収の高さとかは、本当に100とか1,000のうちの一つなんですよね。それで日本の場合は技術力とか、インフラ整備とかは高いんだけれども。

(座長) 全然機能していないということか。

(委員) それもあるし、公的部門の赤字がこんなに多いというのが最大の引き下げ要因なんですよ。だからフィンランドが1番というのは、公的部門がしっかりしているということが国際競争力を高くしているんですよね。だから、世界の標準でいうとそういう議論なわけですよ。

日本の場合は、経産省が、昔から産構審なんかを通じて、例えば企業の負担を下げたいということを言っていて、昔は、また通産省が言っているみたいな話で、また企業の利害だけを言っているみたいな感じで言われていたんだけれども、最近、それが個別利害というよりは、日本経済全体の浮沈を握るかのような議論に何か変わってしまっているというところが、世界的に言えば非常に特殊な日本の学問状況というか、公的部門の状況だと思うんですよね。

だから、もう少し世界ランキングとは何で構成されているかとか、そういうことをしっかりと見ないと、全然日本人だけ世界の標準と違うところを見て、違うことをする。例えばオリンピックの招致なんかしたときに、日本が今大きなイベントを招致しようとすると、負け続けているでしょう。サッカーだけですよね、金がたくさんあるから誘致できるのは。オリンピックとかだめなのは、最後は公的部門がしっかりしていないからというので負けていくんですよ、競争に。だから、自治体だけではこれは大変な状況で、何かあったときに国がサポートできるという体制があるかどうかというのは大きいわけですよ。そうしたら、日本はもう赤字まみれだから、これはだめでしょうというので、外れていくわけですよ。

(委員) 国際競争力について、さっきのヨーロッパで立地の問題の方をもう少し補足して、半年ぐらい前だったか、フランス企業の合計300社か何かにアンケート調査をしたのがあるんですけれども、ここでいうと、やはり税負担がそのアベレージで言うと圧倒的に低いんですね。やはり公共サービスと環境とエネルギーとかが重要なんです。国内だろうが国外だろうが、あまり税金が、例えば東ヨーロッパに行ってしまうという話にはならないですし、それと同時に、フランスの中で誘致のために減税しているということもないんですね。ですから、この島国の日本の議論が余りにちょっと、あれだけ移動できるヨーロッパの国々で言われている議論と、何かまるっきり逆転しちゃっているみたいな。

(座長) それは、いずれにしても議論の前提が、ここでの議論の前提もそうなんだけれども、先進国だという前提になっているわけです。発展途上国なんですよ。税を低めるしかほかに手段がないと。パナマを見なさいと。そういう発想方法だからね。

(座長) 地域間の格差が激しくなって、大都市に一極集中して、大都市の内部で非常に深刻な貧困の問題が起きるのは発展途上国なんですね。それは自殺もなんです。先進国型というのは高齢者が自殺するんだけれども、スリランカが一番ひどいんですが、子供が自殺するんですよ。日本は子供の自殺が多くを占めているでしょう。発展途上国として考えないと、もう治安も悪いし、国際競争力なんかも低いわけですね。政治的な中立性が経済界によって脅かされているなんていうのは、国際競争力が低いんだよね、日本は。脅かされないということが、政治が中立的であるということが重要な国際競争力のポイントなんですけれども、それもだめになっているわけで、発展途上国と同じようにやっていると。第一、北朝鮮以上に世襲になっているわけですね、政治が。全部二世でやっているわけだから。

(座長) それで、3番になっているけれども、法人課税の論点整理はかなり議論したので問題はないと思うんだけれども、何か問題があったら指摘して。

(委員) もう1点、すいません。忘れないうちになんですが。柱のもう一つの外形標準なんですけれども、報告書には表立って書いてはいないんですが、多分私がきちんと原稿は早く出さなきゃいけないんですが、フランスの場合、職業税が不動産課税なんですけれども、付加価値税で上限を決めていますから、ここでは付加価値税で考えています。要は、税額は不動産で計算するけれども、大企業のかなりの部分は上限が付加価値税の3.5%で打ち切られるんですね。ですから、計算すると、税額はもう付加価値の一定割合だということなんです。

(座長) もともと収益税的な発想方法だから、資本に侵食してはいけないからということだろうね、多分ね。

(委員) 本当は付加価値税にしたいんだけれども、税を変えるということが、自治体間の財政変動につながるのでやらないと。ただし、その代替策としても抑えるということなんですね。これは自治体側と企業側の両方をとったような判断なんですけれども、妥協なんですね。

(座長) どうやって決めるの、その上限は。

(委員) フランスの場合は付加価値額です。積み上げて付加価値額を出していますから。

(座長) その付加価値額というのは、ちょっと細かいことを聞くけれども、消費型付加価値じゃないんでしょう。

(委員) 消費型じゃないです。

(座長) 所得の付加価値ですか。

(委員) ええ。それが3.5%です。

(座長) だけれども、付加価値税の方は消費型になっていますよね。

(委員) そうですが、昔からフランスは消費型と所得型は違うものだという考えをだれもが言っていますので。

(座長) いずれにしても、付加価値の3.5%で上限が決められているわけね。

(委員) ですから、不動産税という性格がそこのところで全くなくなってしまっているのです。

(委員) よほど不動産の価値が高いところじゃないと、だめか。

(委員) もともとどうしても大企業に偏っていますね、ドイツも同じですけれども。一部の大企業が払っている税なので。

(座長) それは自主課税でやっても。交通機関税というか、何ていうのかわかりませんけれども。

(委員) 交通機関税はまた別途の税です。

(座長) 別途の税だから、これは付加価値の3.5%を超えてもいいのですか。別な税金でやった場合、同じようにかけているわけですよね、支払い賃金だから。

(委員) でも、あれは交通機関での場合は支払い賃金のみなんです。

(座長) だといいのね。

(委員) 全然問題ないです。だから、ばらばらに、いろいろなものに同じところにはいっぱいかかっています。別に給与税というのもありますし、交付税で。いろいろな税金があります。企業関係、それぞれ業界税もありますし。

(座長) 総税で3.5ということではなくて、地方の職業税について3.5と。

(委員) これは余り表で言われていないんですが、つまり付加価値税化しているんですね。イタリアとフランスは。

(委員) それで、今は、実態は上限に張りついているんですか。

(委員) やはり、大企業の格差がありますから、納めているところはごく一部。これはきちんと統計をとって、今度出しますけれども、一部のところで払っているところがかなりは引っかかっていますので、上限に張りついています。

(委員) その割合が重要ですよね。要するに、そこの付加価値に張りついていないのか。

(委員) そうです。これが多ければ付加価値税と言っていいし、少なければまだ不動産税だと。その判断です。ちゃんとやってみます。

(座長) すいません、では、ひとまずこれは○○さんのグループもあって、勉強するというか、自分たちできちっと整理されていて、論点もこんなことでいいですよね。あと何かあれば、新しいドイツの動きとか、今のフランスの補足などを詰めて、何か振られないようにしておく─振られるというのは変だけれども、いや、そんなことと否定されないように、こういう場合にこうなっていると言えるように、準備しておくぐらいでいいですかね。

(座長) すいません、一番のところは、いずれにしても中身についてはいいですよねこんなところで。少し注意するところはあるかもしれないというぐらいで。

次の議題の(2)神奈川県地方税制等研究会・ワーキンググループ報告書(案)について、これもどっちで報告書(案)を出すの。

(事務局) 資料3でございます。

まだ目次の段階でございまして、一応各委員からこういったテーマで論文をいただいて、それをまとめるという形になってございますけれども、今、法人課税という議論がございましたけれども、2から5までが地方税の、特に法人課税が中心になっていますけれども、それについての論文。6と7は環境税の論文ということで、8については、ちょっと私の名前になってございますが、今、地方法人課税の論点整理のバックデータとか、そういったものを一応論文形式で取りまとめたのが私の名前の論文でございまして、今回、まだ各先生方で、最終の詰めをしてございますので、各先生方の論文はここについていないのですが、一応私の整理したもの、地方法人課税の国際比較のデータは全部ここにつけさせていただいてございますので、後ほど見ていただきたいと思います。これにつきましては、○○先生に最終的にはご調整いただいて、近いうちに論文集としてまとめて、ワーキンググループに配付していきたいというように考えています。

(座長) いいのではないでしょうか。何か上紙がつくの。

(事務局) ちゃんと印刷本にして、製本したいと思います。

(座長) つまり報告書というよりも、この研究会で勉強したことについてやっているので、何もアピールとか何かがついているわけではないですよね。

(事務局) アピールという形ではないです。

(委員) 若干今の議論について、先程も少し発言しましたけれども、どういう意味があるのかということがわかるように、少し慎重には書きましたけれども。

(座長) これもよろしいでしょうか。

それでは、次の(3)最近における税制論議についてというのが、これが、先程、知事かおっしゃったことと関連することですか。

(事務局) 資料4につきまして、ご説明いたします。

だいぶ今まで議論で出てきているんですが、最近の情勢ということで、まず1ページの新聞記事でございます。これは4月18日の段階ですが、菅総務相が、地方法人二税が東京に集中しているということで、偏在の小さい地方消費税を地方税の主とすることを骨太の方針で打ち出したいと表明されたということで、基本的にこの時期に、要するに地方消費税の割合を高めるということなんですが、あわせて法人との税源交換論というのが議論になって、国においても研究をしていくというのが、まずここで報道されているところでございます。こういったような動きが一つ。

次に、2ページでございますが、知事にも申し上げましたが、ふるさと納税というのが、これは菅総務大臣がフランスに行かれたときに、記者に対して表明したのが最初のようでございますけれども、それは5月の初めでございます。菅総務大臣はふるさと納税というのを検討されて、議論されて、急にそれが上がって、参院選の争点にもというような形になってございますけれども、その内容はご承知だと思いますけれども、一応3ページに、これは新聞記事でございますけれども、ふるさと納税のイメージということで、菅総務大臣が言っているのは、基本的に税を、最大1割を故郷である自治体に納めていただいて、残りを納めていただくということで、あくまでも税を割り振るような形の案でおっしゃっているということだと思います。また、中川幹事長が、税制としては寄附金の税額控除という方式を唱えられ、この2つの内容が今発表されているのかなということでございます。5月10日の朝日新聞で、下の方に神野先生のコメントも記載されて、先程おっしゃったのはどこかちょっと違うような気もしましたけれども、一応こういったようなことでございます。

これにつきましては、4ページ以降、実は全国知事会で、これは5月18日に全国知事会がございました。それの報道で、実はかなり議論が確執したということで、これは6ページにございますけれども、実は全国知事会の中で地方税制小委員会というのがございまして、地方税制小委員会の報告が全国知事会に出されて議論がされたということでございまして、地方税制小委員会の中での取りまとめが6ページからございますけれども、ここの取りまとめた、例えば7ページ、8ページにございますけれども、非常に、地方の意見が強く出てございまして、東京都がこの内容には反対し、実はこの意見に対して、東京、大阪、愛知、神奈川も加わって、これとは別の案を出して、全国知事会に出しているというような状況でございます。要はこの取りまとめですと、例えば7ページの1の三位一体改革後の状況でございますけれども、その最後に、「特に近年、大都市圏を中心とした景気回復に伴う法人二税等の増収を背景に、地域間の税収の差が広がり、大都市圏と地方圏の財政力格差は拡大傾向にある」と。同じ7ページの今後の制度改革の基本方向ということで、(1)の地域偏在性の小さい地方消費税の充実ということはよろしいのですが、(2)として、偏在性の少ない地方税体系を構築するための手法の検討ということで、偏在性を前提としてその改革が必要でないかということで、右の方に具体的なものとして、(1)から(5)で、特に(1)の国税と地方税の税源交換ということで、地方法人関係税について消費税と交換すべきことについて検討すべきことだとか、(2)から(4)まではよろしいんですけれども、(5)として、ふるさと納税制度の検討ということで挙げられてございますので、これに対して、先程申し上げましたように、全国知事会の議論の場で、4つの大都市圏の都道府県で、ちょっとこの取りまとめはどうかというような意見が出ました。最終的に、これは一つの委員会の報告でございますので、これ自体はいじらないで、9ページに経済財政諮問会議、構造改革の基本方針2007に盛り込むべき事項ということで、これは知事会で提案して、これが取りまとめた最終案でございますけれども、10ページ、11ページをお開きいただきますと、アンダーラインが引いているところがございます。アンダーラインは、結局全国知事会の中でいろいろ議論した結果、調整して加わった、もしくは変更された内容でございまして、例えば10ページの(2)の(1)税源移譲などへの地方税源の充実強化とございますが、2番目の丸で、アンダーラインが引いてある「税源移譲などによる偏在性の少ない地方税体系の構築」とございますが、原案ですと、単に「偏在性の少ない地方税体系の構築」というふうにございまして、税源移譲と切り離して偏在性の少ない地方税体系を構築していくべきだというような形になっていましたので、これは、税源移譲を行うことが前提で、その際にあわせて偏在性の少ない地方税体系を構築していくべきだという議論が出まして、このような含みに変わってございます。

また、11ページの地方税源の充実強化の偏在是正ということで、あくまでも税源配分を5対5とするよう、地方税源の充実強化というのを前提として、見直しの6行目にございますけれども、その一番最後に「その際においては、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系を構築していくことが必要である」と。これはあくまでも税源配分をやるときに、こういった偏在性が少ないこういう体系を構築していくべきだということで、もともとの案は、「その際」ではなくて、とにかく偏在性を是正すべきだという案だったのをこういった形で変えてございます。

あと具体案につきましては、この中で(1)から(4)まで、国税・地方税の税体系のあり方、これも実は税源交換のところの部分をこういった表現に変えているということでございまして、要は各都道府県間の意見を調整した結果、こういった形で取りまとめたものということで、見方によってわかりにくいという言い方もあるのですが、神奈川県としても、単純な法人課税と地方消費税の税源交換についてはやはりおかしいのではないかと、また、ふるさと納税制度については、税源偏在の是正という形での議論ではないだろうというようなことも、松沢知事も全国知事会の中で発言されまして、このような情勢に変わっているという状況でございます。

先ほど知事が申し上げましたふるさと納税制度につきましては、知事も先生方のご意見をお伺いしたいということですので、議論いただければと考えてございます。

(座長) 先程、僕も自信がないので、税法上どうかというご議論を○○さんにお聞きしたのですが、まず、税法上OKかどうかという話と、それから問題点は何かという話と、それから政策上とか何とかの問題もまた別にありますからね。

(委員) だから、応益原則がどうかというのは、それは政策上の話でしょうから、そこでいろいろ問題が出てくるのは当然だと思いますけれども、それも法律論にはなり得るのですが、技術論として、自分で納税できるところを選ぶ、すなわち、納税者の方で選んで、そのときに、じゃ払わなかったときにどうするのか、手続的に成り立たないだろうという、極めてせこい議論ですが、実務をする人は大変ですよね。神奈川県では払いませんと言って、あっちで払いますと言って、本当に払っているのかどうか、どう確認するのかとか、そのやりとりとかというのがどうしようもないことになってしまいますから。だから寄附金で税額控除というのはあり得ると思いますけれども、これだったら、きちんとそちらの証明を出せばいいわけですから。

(事務局) あと一点は課税部分で、あるいは寄付金の税額控除をしていく場合にも、当然これは徴収しなくてはなりませんよね。それは最低でも2つの地方団体が条例で措置をして、徴収責任を果たすようなことは、法律的にはあり得るのですか。

(座長) いいえ、そんなことできないですよ。それから、双方向というのは、向こうも私のふるさとは東京ですというようなこともOKであるとすれば、どこで線引きするのか難しいけれども、固定資産税がめちゃめちゃに上がっているところは、あれですよね。住民税が未納だといったって、追っていかないよね。そんなの……

(委員) 細かいことを言うとそういうことになりますよね。

(座長) なりますよね。今、そういう問題を含めて、とりあえず知事のご要望でいけば、○○さん、ほかにご意見があれば、つまりそれぞれの意見をお聞きしたいということのようなので、ここで一致するというよりも、それぞれの委員の発言を要約してもらった方がいいと思う。

(委員) だから、最初の案でいくと実務担当者がひっくり返るし、第一、私はあなたのところに払いますといって、何かおかしいですよね。先程おっしゃったような、法律の書きようがないから、これは無理でしょうと。僕は寄附金の税額控除だったら個人的には賛成ですね。やるなら、それでどうなろうと、どこが損しようと、得しようと、それは関係ないと、そういうことを言うべきではないと、そういうことではないでしょうか。

(委員) 寄附金の控除の場合は、寄附、今、国税であるわけですよね。それで公益法人とか、国立大学とか、団体が幾つもありますよね。地方団体に限られていないわけです。それはどうするのですか。

(委員) よくわかりませんが、地方団体だけでやるのだったら、国の方で税額控除はすべきでないと。地方団体だけの話としてやればいいのではないですか。

(委員) 地方団体以外の団体はどうなるのでしょうか。

(委員) それは普通の所得控除の方で、それとは別枠でつくる。

(座長) すいません、趣旨は、財政力の格差是正ではないよね、それは。つまりやっている趣旨を明らかにしないと。

(委員) 結果としてどうなるか知りませんと。

(座長) ということですよね。それは、ふるさとを愛する心ということなの。

(委員) よく知りませんけれども、好きなようにやればいいのではないですか。

(委員) 一つお伺いしたいんですが、課税権をどう管理するか。ふるさと納税の場合、まず課税権をだれにするのでしょうか。

(座長) 仕組みの仕方がまだ明らかでないから。

(委員) いえいえ、そうではなくて、結局10%を、私なら私がA県にやるということか。

(座長) ○○さんの意見は、課税権は住民の住んでいるところ、もちろん家屋敷を持っている場合は別として、基本的には今の住民税で課税権を持っているところがやって、そこの住民が自分のふるさとに寄附したいと言えば、税額控除なり、所得控除が含まれているのかどうかわかりませんが、寄附金控除でいくというのだったらありでしょうと。

(委員) 課税権は移転しないと。

(座長) 課税権は移転しないというのでしないと、無理じゃないですか。

(委員) 二つあるのですが、まず、ふるさと納税の場合の課税権というのはだれが持っているのですかというのが一つ。

(座長) だから、最初の課税権は問題でしょうと。ただ、僕が解説するのもあれかな、解説してください。

(委員) それから、次に、寄附金を税額控除するときに、税額控除してよろしいという課税権、税額控除自体に課税する中に権利があるわけですね。例えば神奈川なら神奈川は税額控除してよろしいと、それはだれが持つのですか。

(委員) 神奈川県が持つんですよね。

(座長) これはあれですよね、地方税法で決めたからといって、条例つくらなきゃいけないということになりますか。

(委員) それはつくらざるを得ない。

(座長) つくらざるを得ないの。条例でつくらなかったらどうなるの。

(委員) どうなりますでしょうね。全体で一律で動かさないとおかしいと思いますが。

(委員) だから、そこのところ、僕が聞いているんですよ。

(座長) うちはやりませんよと言ったら。

(委員) それ、いいですね。どうせならそれもいいかな。

(委員) そもそも、税額控除を決められる権限は神奈川県でしょう。それが税額控除は嫌ですという話はあり得えますよね。

(委員) だから地方税法で強制できますよ。

(座長) 強制出来ちゃうの、あれ。

(委員) だから、それはできるでしょうが、そのときの課税権はどうなるの。

(委員) 憲法論は別として、できると思います。

(委員) 地方交付税はどうなの。交付税の算定は。

(委員) 知りません。

(委員) その分、交付税が増えちゃったらね。

(座長) 一人一人言ってください。もう僕は少ししゃべり過ぎなので。

(委員) ちょうど、明日の産経新聞の神奈川版に月一回コラムを書いているのですが、まさにこの問題を書いているんですね。そのときにやはり私が問題にしたのは、寄附なのか何なのかというのもありますし、まず○○先生がおっしゃった大前提の話もあるのですが、全部は1,300字で書けなかったんですけれども、税で考えたときの問題として、やはり三つ挙げておきました。一つは課税権の問題で、だれも持っていないではないか。二番目が地方税負担分について、一部分の負担分をみずから抜けた場合に、これは草加に住んでいて、全額納税した人との間でこれは公平な分担なのだろうか。それでない場合は、地方税としての性格が失われることをどう考えるのだろうかと。

それと同時に、あまり私は受益者負担を言いたくないので、公共サービスを同じに受けていいですかとか、そういう議論はしたくなかったのですが、ちらっとは書いておきましたけれども、それが二番目で、三番目が、これは寄附金でも同じなのですが、財政の安定をどう考えるのか。これはかなり動きますよね。はやるか、はやらないかによりますが、やった場合には、交付税の清算もできませんし、それ以上に、税収予測が一切つかないので、年によって、夕張に行ったり、あるいは何かまたどこかの自治体の人気が出ればそちらに行きますし、そもそもこれは人気取りになりますから、東京で何かパフォーマンスすれば税収が集まるみたいな。そういう問題をどう考えるのか。このようなことを一応書いた上で、最後の方では、やはりこれは単なる税収調整で、税収だけの調整に目を向けていると、本当の意味での分権社会の税源をどうするとか、財源をどうするという話にならない。つまり財政需要が抜けているわけですよね。そういうものをどう考えるのか。これを引っくり返すと、もともとは交付税の問題ですよということを明日出る版では書いておきました。

大体以上です。

(座長) ○○先生。

(委員) 私は全く知事が言ったことは正しいと思いますね。先程も申し上げたように、格差是正というのは、本来、交付税制度でやるべきであり、それから分権改革の要である自主税源のさらに要である住民税、これをどうするかということではないか。

(座長) 住民が本当に意思決定して上げ下げする税金を予測不可能にするわけですよね、という意味よね。

(委員) それもあるし、コアになる部分の制度設計というのは、地方が提起すべきであって、そこに政治が手を突っ込むというのは最も分権的ではないと思うんですよね。だから、今起こっていることは、分権改革の中では、地方交付税の量的な問題があるけれども、これは一般財源で補助金化してはいけないと、そういう形で改革を進めようというときに、地方税の方では、住民がそれをどの水準にしていくのかという方向で分権改革の要になっているのに、それを中央の政治がこうしろ、ああしろと言っているという、非常に分権改革自身を解体させるような話になっている。だから、人気取り政策の政治手法というのは、こうまで分権を壊していくのかという典型ではないかと。

(座長) でも、○○さんの研究によると、民主的な地方分権運動というのは、いつも地域間の税収格差をあおられて、都市と地方との対立が収斂していくという話になるのでは。過去の経験で。

(委員) そんなことないですよ。それを通じて、基礎的な土俵は改善してきているんですよ。だけれども、今回は本当にあからさまな逆転であって、さっき申し上げたように、地域間格差の是正が必要であれば、基本に立ち返ってやるべきであって、人気取りで、財政原則を政治がいじくり回すというのは、やはり大きく言えば国家の安泰にかかわることではないのかと。

(座長) どういうふうに。○○先生は。

(委員) 大体先生たちと同じような考え方で、私もそもそも租税原則論からいけば、このような形で、最大1割を故郷の自治体に納税するということはまずできないだろうと。次に、寄附金ならどうかということですが、私、これ、こういうふるさと納税みたいな仕組みを寄附金で入れれば、田舎の方にお金が行くというのは、おじさんたちの幻想だと思う。例えば、東京に寄附してくれれば、六本木ヒルズ展望台の入館をただにするとか、やった瞬間に、若い人たちはバーッと東京に寄附すると思うんですよね。そうすると、やはり競争力があって、そのぐらいサービスを提供できるメニューがある地域ほど競争に勝つわけだから、こんな寄附金みたいな仕組みを入れるということは、逆にさらなる格差を拡大させるだけで、市場競争的に金を集めるということを自治体間でやらせるという仕組み以外の何物でもないのではないかと思うわけですよね。だから、逆に神奈川なんかは、何かそれで、横浜とか何かを売りにすると、結構寄附金が集まるかもしれないわけで、そういう意味からすると、何で田舎にお金が行くとみんな思っているのかというところが全くわからない。

(座長) だって、この前提は、山間地に住んでいる人が都会に出てきて、成功を納めているということですよね。豊かなふるさとに住んでいる人が失敗してホームレスになっているというのか、現実に山間地に住んでいる人は、都会に出てきて、ホームレスになって、貧しい生活をしているのか、それはだれが見ても明らかだよ。

(委員) だから、大企業とか中央官庁の人たちが地方に3年、5年いるというときに、じゃ東京にまた戻るから、東京にやりましょうということになるでしょう。そちらの方の人たちの方が所得は高いわけじゃない。だから、大体地方では、高齢者でもほとんど年金生活者みたいになっているわけだから、起こり得ますよね、○○さんが言ったようなことは。別に六本木ヒルズの人参をぶら下げなくても。だからロットとしては、相当東京、神奈川は集まるでしょう。

(委員) 逆に勝ち組になっちゃう。

(座長) さっきも言ったけれども、神奈川が危ないのは、ふるさとが東京の人が多いんだよ。東京は高くて住めないから、しようがない、神奈川、横浜に住もうか、周辺に住もうかというのが多いから、危ないよ。だから埼玉も危ないですよね。ふるさとは東京で、ふるさとの足立区が大変だと思えばそっちに行っちゃうものね。

(委員) 私の田舎の家の隣は東京の人ですね。年中恨みつらみを言っていますよ。

(座長) ○○先生。

(委員) そのとおり。実際にやったら、わからないですよね。恐らく若い人たちの感覚というのは、過剰な地方への移転があるという感覚じゃないかな。いや、実態は別ですよ。

(座長) だから逆になるということですよ。さっき、みんな周りの地方自治体が言っているのはそういうことなんですよ。交付税はそのために取られているのではないか。教育や、納得させられて……

(委員) でも、僕はやはり田舎に少し払いますよ。何か東京はもう要らないだろうという気はしますけれどもね。たとえ数万でも気持ちがね。

(座長) 僕は、原則論を皆さんがおっしゃっているようなことで、これは地方税の課税の原則や何かに引っかかって、これをやると、例えば予算が立たなくなる、予測もできない、受け入れる方もわからないというようなことや、様々なそういう問題が起きてくるだろうと。

それから、確かに今、地域間の財政力格差が問題になっているが、もしもこれを財政力格差の是正の制度だというように見立てると、水平的財政調整、つまり地方自治体間だけでやれと。僕の地方共有税というのは、地方自治体間ではなくて、一応吸い上げますからね、国が。地方自治体間の税金だけでやれということと、もう一つポイントは、財政力が2つの構成から成り立っているのに、課税力しか見ないで、財政需要を見ないと、こういう財政調整になっている。これは地方分権推進改革会議のときに、水口試案と全く同じなんだよ。財務省が入ることになったのかは知らないけれども、基本的には財政調整を地域間でやれと。課税力しか見ないで財政需要を見ないというやり方に反抗したのと同じなんですよね。

(委員) 地方共同税の話ですよね。

(座長) そうです。課税力の格差是正にもなっていないではないか。逆に拡大するのではないかということですよね。

(委員) ちょっと1点、まともなことをきちっと。ばかばかしくて余り聞きたくないのですけれどもね。水平的財政調整制度というのは、本来、日本にはないんですね。垂直的財政調整制度を加味しながら、水平的なものをやっているというのが大原則ですね。それをまず根本的に崩す。それを交付税でやるべきだという議論ですよね。

(座長) うん。悪かったら、交付税を変えればいいわけだよね。

(委員) その次は、水平的財政調整制度に仮にしましょうと、それを個人が決定するということはあり得ませんと。それは共同税型で。抜本的に直したとしても、地方公共団体間の調整で処理すると。それを個人の意思決定でやるということはあり得ないということですから、ばかばかしくて議論の対象にならないという感じがします。

(座長) そうですね。それからもう一つ、実態問題だけちょっと解説しておくと、市町村別の所得というのがわからないんですよね、今格差がどんなに広がっているか。それで仕方がないので、僕、個人住民税の今の地域間格差がどうなっているかというのを、自分でできないから若い人たちにやらせているのだけれども、それから明らかになってきたことは何かというと、高度成長期に、首都圏、東京圏に人口が大量に流出してきますよね。このときの流出の仕方と全く違うんですよ。このときには、東京に重化学工業が発達して、労働市場が増えて、働きに出て行きましょうということで、地方の貧しい人、所得のない人が、地方から東京に出て行くというパターンなんですね。ところが、今はそういうパターンになっているかというと、貧しい人は出てきていない、基本的にね。それは本当に貧しい人は出てきているかもしれない。今、住民税の課税最低限以下は見ていないから。住民税を払っている人しか見ていないので、何かホームレスか何かは出てきているかもしれないけれども、それは納めていない人が出てきているだけの話で、出てきていないと。 今、一極集中とか高度成長期ほどではないですが、どういう人々が東京圏に出てきているのかといえば、先程も言ったように、地方で納税をしている人が出てきているの。それも、多額の。これはどうしてかといえば、一つは、東京の本社機能、つまり地域にあった工場を撤退して、支社や出張所や支店を閉鎖しているんですね。東京に全部集めている。もうグローバル化した時代なので、首都の東京に集まるんです。

もう一つ逆なのは、まともな地方の企業、富山化学とか、これが東京の支社機能を強めて、大阪はそうなんだ、大阪は典型的に。東京の支社機能を強めて、地方にいた従業員を全部東京へ出しているんです。だから豊かな人が動いている。簡単に言ってしまえば、高度成長期には貧しい人が動いたので、地域間の所得間格差が余り広がることなく、過疎過密の問題だけが起きた。日本の場合、今起きているのは、過疎過密ほどではないかもしれないが、東京一極集中が起きながら、地域間の所得間格差が起きている。それからもう一つ、そのときには、「三丁目の夕日」を見てもわかるとおり、住み込みとか、飯場とかね。これは労働住宅というので、寿町を調査してもわかるのだけれども、今ホームレスの6割は労働住宅、住み込みとか、飯場から、倒産したり何かして追い出された人なんですね。住宅に住めない、東京で家賃が払えるわけない。無理ですよ。しかも、家族の機能が小さくなり、神奈川県はまだいいのだけれども、東京都の都民の半分が単身者なんだ。これは一たび、リスクがあったときにだめになって、地域内の格差が広がっていくんですよ。東京が今ものすごい勢いで生活保護率を上げているんだよね。とにかく、ジニ係数は東京が圧倒的に高いんですよ、地域内の。全国平均で比べるとね。だから、地域内の所得間格差が広がっているので、財政需要を見ないと、東京はともかく、大阪市はパンクね。豊かな人もいるかもしれないけれども、豊かな人というか、企業とか固定資産税を取れても、出している人々が多いから。大阪市はもう全国一で、40‰ですから、全国平均と比べたらものすごい高さになって、4倍とかになってね。

だから、大都市の需要というと、いつも何かくだらない公共事業をやっているから、土地の値段が高いから需要があるとかと言っているのだけれども、今はそうではないよ。もう本当に生活保護とか、そういう福祉関係を含めて、財政需要は大きくなっているということを言っていかないと、地域内格差が深刻になって、しかも、地域間格差が深刻になっているという状況を私たちはどうやってクリアするのかと。僕の議論はいつも言っていますように、地方で家族の機能や何かをきちっと代替するような育児とか、それから医療とか、教育とかというサービスをきちんとしていかなきゃいけないから財源が必要になって、地域内格差と地域間格差をやるには、そうした自主財源を増やすと同時に、課税力と財政需要との差によって生じる財政力格差をきちっと財政調整制度で、今こそ手当てしないと大変なことになる。大阪市なんかもらっているんだからね。政令指定都市なんてもうめちゃめちゃもらっているんですよ、額からいうと、交付税。それはなぜかということを。これをやられたら交付税は余り出なくて、大都市は困っちゃうという感じになるのではないか。家族の機能が非常に小さくなっているね。もうリスクに陥ったら、家族をなしている人もだめですよ。今、働き盛りの男性が病気になったといったら、昔と違いますからね。奥さんが、ご苦労さまでしたと、あなたもこれまで一生懸命生きてきたでしょうと、しかし私にも人生があり、子供にも人生があるからというように言われるんだよ。地方自治体が出ていかないで、だれが出ていくんだという状態になっているわけでしょう。それはやはり本質的なところで少しおかしいですよ。

それから、ふるさと納税というのがどうして受けるのかということを考えてもらわなくてはいけないんだが、今ヨーロッパでも、ふるさと存続への闘いというのを展開しているんだよね。これはふるさとがやはりだめになっているということなんです。しかし、ヨーロッパは移動しないからね。日本みたいにこんなにめちゃめちゃに、お盆と正月に、ワッと移動していくことがないので、向こうはふるさとが大事で、ふるさとの緑を取り返し、ふるさとで行われている人間の絆を取り戻そうというときには、出さないよ。日本はこれからも出すつもりなんだよね、福井県なんかも。私たちが教育をして、東京都や何かに人を出すからやってくださいというのだけれども、向こうのふるさとというのは、そう いう戦略ではないんだよ。つまり、日本の場合にはお盆と正月で移動するから、「ふるさとは遠きにありて思うもの」という戦略なんですよね。ところがヨーロッパの戦略は、「ふるさとは近くにありて、守るもの」という戦略なんだよ。これが全然違うんだよね。これはグローバル化に対応するときの決定的なポイントになるので、グローバリゼーションが展開していくときに、地域をどうやって守るのかということにかかわってくるんです。ふるさとについて対応の仕方をどうするの。これからも福井県は出し続けるのかね。出し続けて、そのかわりその費用を見てくださいと、そういう話なのかと。

(委員) いろいろな点でずれていますよね。

(座長) ずれているんだよ、根本的に。

(委員) だから僕は、さっき○○さんが言ったように、六本木ヒルズを出さなくても、私が東京都知事だったら、東京都に納税してくれれば、ホテル税を免除しますと。納税証明を持ってくれば、ホテルに泊まったときに、ホテル税を免除しますとかと言ったら、みんな東京都に地方の人たちが納税し始めるよ。だって、それはモラルハザードが起きるもの。自分たちの地方の公共サービスは変わらないと。神奈川県の戦略としては、ホテル税を導入して、神奈川県に納税してくれたらホテル税を免除する。そういう戦略をすれば、その何倍ものお金がどんどん入ってきますよね。政策目的と実際の効果の違いとか、そういうのが出てくるんです。今、○○さんがおっしゃったように、人はもう出ないんですよね。ほとんど地方からは出てきていない。みんなそのままふるさとに戻らないわけですよ。だから、自分たちの高齢化のときに、都市にみんな、田畑じゃないけれども、庭付きの自宅を売って、都会のマンションにみんな住んで、そこで一生を終えるという行動パターンがものすごく増えているわけだから、結局ふるさとの観念自身がもう通用しない。だから、それだったら東京都とか神奈川県に、老後、雨に濡れないで買い物ができるようなマンションにみんな住むわけだから、地方にいたとして、きちんと東京都なり神奈川県に1割ずつ納めていれば固定資産税を免除しますよとか、そういう制度をつくれば、みんなどんどん都会の便利なところに納税し始めますよ。

(座長) それからあと、○○さんに聞くけれども、このような現象が起きたときって、一つは昭和恐慌期なんだよね。不在地主がコストを嫌って動くじゃない。あのときもそうなんだけれども、割と農村が疲弊したときに、豊かなやつは集まってくるという現象が起きたんですよ、昭和恐慌のときに。そのときしようがなしに、財政調整制度というか交付税を導入したんで、今こそ交付税ではないと、地域間格差と地域内格差というのは、少し調整できないのではないかと。これをやり始めたら、石原さんはそういうふうに言うんだけれども、東国原知事は、私のところに納税してくれたら、この納税してきたお金でうちの特産物をお送りしますと。あるいは、宮崎県の周遊券をその額だけお送りしますと言うでしょう。観光振興になるんだから。特産物の産業振興になるんだから。

(委員) それが全国でバーッと出回って、要するに受益者負担の関係というのはめちゃめちゃになるという話ですよね。

(座長) 普通に言われても、今集まると言われているのは、軽井沢と夕張だよね。寄附でやるとだよ。不交付団体である軽井沢とか、どんどん集まるだろうし、話題があるところは集まりますよね。同情を集めてね、夕張とか。だから、お金を集めようとすれば、ある村が100人ぐらいて、村民が50人ぐらい自殺しちゃったと。貧しさに耐えかねて。それなら同情してお金が集まるよね。わけわからないことになってくるのではないかと思いますよね。というようなことぐらいでいいですか。○○さんがまとめていただいたことを含めて、基本的に、いずれにしても、地方税の原則と財政調整の原則があって、税収格差が増えたって、本来は問題ないんですよ。財政調整があるんだから。

(委員) そうですね。

(委員) 戦略的に考えると、恐らくこういう方向でいいですよ。今、○○さんがおっしゃったように、自分のところの固定資産税から税額控除をすればいい。すると、減税になるわけですからね。

(座長) それからあと、○○さんがおっしゃった、何で地方税でやらなくてはいけないのかわからないんだけれども、本当に日本の国土やふるさとが荒れているというのだったら、国民全体の問題だから、これは国が考えなくてはいけない話だよね。むしろそれだったら国税でやった方がいいのではないかと思うんだが、どうなの、それは。だって個々にそんな……

(委員) だから国税が足りないわけですよね、端的に言って。

(座長) だから、水平的財政調整に持っていきたいんだよね。

(委員) この前、テレビのNHKの「視点論点」とかで、また改めて気がついたんだけれども、銀行がまだ一銭も払っていないんですよ、税金を。まだ、いまだに、法人税を。

(座長) だって2,000億か何か利益が出ているじゃない、あれは。

(委員) だから免除されているって。

(委員) もう、どこか始めませんか。

(委員) 今度始まるの。みずほとどこかが始まるんだけれども。だから今まで十何年税金を払っていない。それで本当になけなしの勤労者の金でふるさとを何とかしようとする。姑息過ぎるじゃない、○○さん。あの銀行があれだけもうけていて、一銭も払っていないんだよ。それがだから交付税の原資とかかわっているのではないですか。ひどいよね。どこか狂っているよ、日本社会。

(座長) だから、もともとそれは説得するのは無理ではないかと言っているんだよ。

(委員) どこか狂っているよな。

(座長) ということでいいですか。

そうすると、(4)その他というか、これのスケジュール。

(事務局) では、別紙に委員限りということで、簡単なスケジュール表を作成していまして、今後とも研究会を引き続きお願いしたいわけでございますけれども、特に今年は11月の政府税調答申に向けて、いろいろと税制の議論が展開されるだろうということで、ワーキングは○○先生の方に第2期の税源移譲のあり方の検討を引き続き整理のお願いをいたしまして、秋口にもう一度この研究会で議論をしていただくような場面をちょっと設けていきたいなということを考えてございます。そういったことで少し整理させていただいております。ですので、ワーキングはこれ以降、昨年と同じように、第二次税源移譲のあり方の方をメインテーマにして、あと加えて、課税自主権の活用の検討ということで、議論をお願いしたいというふうに考えてございますので、ということで、ワーキングの方も決めさせていただきたいと思っております。

(座長) すいません、さっき少し解説しておくと、だから法人税だけの分配基準をいじっただけだと財政調整にならないんですよ。もともと、もうなくなっているから、地方に。あればいいよ、企業が。ないから、やはり交付税で出て行かないと、筋からいっても、東京、神奈川に金が集まっているといったって、本社の問題だから。なくなって、分配基準といったって、だめですよ。無理だよ。

(委員) 法人税を人口で割ろうという考えもありますね。

(事務局) 人口と面積で割ろうとするものですね。

(座長) だからそのようになっちゃうよ。

(事務局) なっちゃいますよね。めちゃくちゃです。

(座長) だから、地方税ではないから、もう譲与税とか。

(委員) 工場がなくても、人口で割りますね。

(座長) 国税でなければだめだよね。

(事務局) しかも、丸ごと全部法人税を引き払って、それで人口と面積ですから、北海道なんかはどうするんでしょうか。

(座長) 北方領土が入っているし。ということですよね。

(事務局) ありがとうございました。

(座長) 北方領土を含めてますね。人口は加味していない。

(事務局) 外国人ですものね。

(座長) 交付税上でしょう、交付税上は面積だけだから。

(事務局) ロシア人を数えて……

(座長) しかもあれだったら、もう外国も認めてもらわないと困るよね。外国生まれの人はふるさとはもっとたくさんある。

(委員) だからパリに納税できたらいわけですよ。

(座長) そうです。僕もストックホルムに、あとはスウェーデンに面倒を見てもらった方が。それから、これからのことを考えれば、中国に貢献した方が、いずれ中国の支配下になったりすると、そのとき、うちの家計だけは例外にしてくれよと言って、中国に納めた方がいいのではないかと。

(事務局) どうもありがとうございました。

-以上-

 

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