梅毒は病原微生物の梅毒トレポネーマが感染して起こる病気です。感染後約3週間で感染部位のしこり、鼠径部のリンパ節腫脹(I期梅毒)、感染後3か月以後に手のひら、足の裏や体全体に赤い発疹が出ることがあります(Ⅱ期梅毒)。治療をしなくても症状は消える場合がありますが、適切な治療をしないと病原菌は消えません。
気になる症状がある時には、症状が改善した場合でも早めに医療機関(泌尿器科、婦人科、皮膚科など)を受診しましょう。また予防のためには、性交渉の際(オーラルセックスを含む)、適切にコンドームを使用することが重要です。詳しくは疾患別情報 梅毒をご参照ください。
神奈川県では、2024年第27週から第39週(7月1日から9月29日)までに222人が梅毒と診断されました。これは[2]に示すように年間報告数が過去最多であった2023年を超えるペースとなっています。(2024年11月15日時点の感染症発生動向調査より)
[1] 週別報告数の状況
[2]年別報告数の推移
[3]男女別・年齢階級別の感染者の状況
男性は20歳代から50歳代が中心で、全体の約9割を占めています。一方女性は20歳代が中心で全体の半数を占めており、40歳代、30歳代、50歳代が続いています。
(1)男性(n=142)
(2)女性(n=80)
[4]男女別・病型別の状況
男性は早期顕症梅毒Ⅰ期が最も多く、全体の約半数を占めています。一方女性は早期顕症梅毒Ⅱ期が最も多く、全体の約半数を占めています。第3四半期(2024年第27週~第39週)の届出症例のうち、妊娠中に梅毒と診断されたのは6人です。
また、先天梅毒1人の届出がありました。
(1)男性(n=142)
(2)女性(n=80)
[5] 推定感染経路(n=222)
推定感染経路は不明5人と記載なし17人、母子感染1人以外すべて性的接触です。針刺し事故や、輸血、静注薬物の使用や常用の報告はありませんでした。
[6]推定感染地域(n=222)
神奈川県が最多で、全体の5割以上を占めています。また東京都が全体の約1割を占めています。
神奈川県 | 130人 |
東京都 | 22人 |
千葉県 | 1人 |
富山県 | 1人 |
大阪府 | 1人 |
福岡県 | 1人 |
国外(モンゴル) | 1人 |
日本国内都道府県不明 | 32人 |
日本国内都道府県不明または国外(渡航先不明) | 2人 |
不明 | 31人 |
[7]性風俗の利用歴、従事歴
(1)男性の6か月以内の性風俗利用歴(n=142)
6か月以内の性風俗利用歴有が全体の4割を占めています。また6ヵ月以内の性風俗従事歴有は1人でした。
(2)女性の6か月以内の性風俗従事歴(n=80)
6か月以内の性風俗従事歴有、無が同程度となっています。また6か月以内の性風俗利用歴有は1人でした。