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サクセス ストーリー

藤沢市

多様なプレイヤーが集う、オープンイノベーション拠点「湘南アイパーク」が共創でつなぐ、ライフサイエンスの未来

今回は、ライフサイエンス関連の企業が集積する、湘南ヘルスイノベーションパーク(通称「湘南アイパーク」)についてご紹介します。
 

湘南ヘルスイノベーションパーク

2018年に武田薬品が自社研究所を外部に開放して誕生した、日本初の製薬企業発サイエンスパーク。次世代医療やAI、細胞農業(注)など約220社、約3500人が入居・参画し、エコシステムを形成。ライフサイエンスビジネスに精通した人材が揃うアイパークインスティチュートが運営し、「革新的なアイディアの社会実装」をビジョンに、研究の加速と実用化への橋渡しを支援している。

藤本利夫様

代表取締役社長
藤本利夫様

(注)細胞農業:本来は動物や植物から収穫される産物を、特定の細胞を培養することにより生産する方法のこと。

独立・中立性ある拠点と環境が生む信頼

湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)は、2018年に武田薬品が自社研究所を外部に開放することにより設立したサイエンスパークです。製薬業界の研究開発が多様化するなか、単一企業では解決が難しい課題に挑むため、「共創」を軸としたオープンイノベーション拠点をつくりたいという想いから誕生しました。

運営を担うアイパークインスティチュート株式会社は、当初は武田薬品の一部門として発足しましたが、製薬業界における中立性を保つため、2023年に完全独立を果たしました。現在はどの企業にも属さない立場で施設運営を行い、製薬や研究機器メーカー・大学・スタートアップ企業など、さまざまな組織が垣根なく参加できる環境を整えています。

当施設は神奈川県藤沢市の丘陵地に位置し、海と緑に囲まれた穏やかな環境が特徴です。東京都内や横浜市内から電車で通勤可能な距離にありながら、先端研究に集中できる設備を備えています。現在、約3,500名が活動しており、実験を中心とした研究拠点として機能しています。

共創を生み出す仕組みづくり

私たちが考える「共創」とは、単なる共同研究にとどまらず、異なる分野や立場の人々が交わることで新たな発想を生み出すことを意味します。現在、約220の企業・団体が入居しており、研究者のバックグラウンドも実に多様です。中でも入居企業の約4割を占めるスタートアップにとっては、製薬企業並みの研究設備を備えた賃貸ラボを利用できることは、大きな利点となっています。

当施設では、研究者同士の交流を促すため、定期的にセミナーやイベントを企画・開催しています。また、施設内の各所に“ちょっと座って語り合える”スペースを設け、自然なコミュニケーションが生まれる仕掛けを整えています。こうした環境が、異分野や異業種の研究者がつながるきっかけとなり、“偶発的な出会い”から共同研究や新たなプロジェクトが生まれることも少なくありません。

私たちは、設備の充実だけでなく、人と人が自然に交わる仕組みを整えることこそが共創を実現する鍵であり、施設運営側の重要な役割だと考えています。

国を越えて共創を育む「アジアのハブ」を目指して

設立当初、私たちは米国ボストン地域のライフサイエンス・エコシステムをモデルに、ボストン地域との連携も視野に入れつつ施設運営の方向性を模索していました。しかし、互いの成熟度の違いもあり、試行錯誤を重ねる中で現在はアジア地域との連携に注力しています。

近年では、韓国の行政機関である中小ベンチャー企業部などとのつながりをきっかけに、韓国のバイオ系スタートアップが当施設に入居しました。これらの関係は、ボストン視察時に形成した現地ネットワークから発展したもので、視察を通じて築いた国際的なネットワークが、今、湘南での共創へとつながり始めています。また、韓国の行政機関は意思決定が非常に迅速で、すでに複数のスタートアップ企業の入居が完了し、今後も新たな企業の参画が予定されています。

こうした国際的な連携を通じて、私たちはアジアにおける共創型ライフサイエンス拠点としての役割をさらに強化していきたいと考えています。さらに、物理的な入居にとどまらず、オンラインによる連携も推進しており、世界中の研究者や企業が距離を越えて共創できる環境づくりを進めています。

共創を通じて湘南から世界の医療を変える

私たちのミッションは、「世界に開かれたライフサイエンスエコシステムを構築する」ことです。開所から7年を迎えた今、国内外の企業や研究者、大学、行政など、さまざまなプレイヤーがこの場に集い、日常的に研究や事業の連携が行われるようになりました。

研究者からは「ここに来ると刺激を受ける」「異分野の話を聞くことで発想が広がる」といった声も多く寄せられています。研究者が安心して挑戦し、互いに高め合える場へと成長しつつあることを、日々実感しています。

今後は、リアルとオンラインを組み合わせた共創の仕組みをさらに発展させ、より多様な主体が参加できる環境づくりを進めていきます。湘南という地域の特性を活かしながら、世界とつながる研究と事業の拠点として、共創の輪を広げていくことが私たちの使命です。

(インタビュー記事はここまでです)

編集後記

神奈川県には研究開発機関が集積しており、県内で働く学術・開発研究機関の従業者数は2021年時点で全国1位となっています。また、世界的に知名度の高いグローバル企業や優れた技術力を有する企業がR&D拠点を県内に設けています。

県内には、今回の湘南アイパークのほか、ライフイノベーションセンター(川崎市川崎区)やかながわサイエンスパーク(川崎市高津区)など、ライフサイエンス関連のエコシステムが形成されており、企業がオープンイノベーションを図りながら事業展開しやすい環境があります。

こうしたビジネス環境を生かして、国内外から企業を呼び込み、地域経済の活性化を図っていくことが期待されます。

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