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更新日:2023年11月27日

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障害者雇用優良企業インタビュー(有限会社川田製作所)[No.35]

かながわ障害者雇用優良企業である有限会社川田製作所の障害者雇用取り組み事例です。

障害者雇用のきっかけ・目的

  • 昭和50年頃、役所からの紹介で1名の聴覚障害者を採用したことがきっかけ。
  • 仕事に対し非常に熱心に取り組む姿勢があることや、初めに丁寧に説明すれば作業上大きな問題はないことがわかり、以後、定常的に障害者雇用に取り組んでいる。 

障害者雇用に対する取組み

  • 「人に優しい職場作り」をキーワードに、安全性や作業性向上のための改善を積極的に推進している。
  • 5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)活動を他の社員とともに取り組むことで、職場の一体感を高め、助け合う職場作りに取り組んでいる。

障害者が従事している業務について

弊社は自動車や電機関係、産業用機械などの金属部品を製造している金属プレス加工業者です。社員14人のうち聴覚障害者と知的障害者が1人ずついます。障害のある社員も健常者と同様に金属プレス加工や検査業務、洗浄作業を行っています。

プレスした製品の検査作業加工後に製品を洗浄します

プレスした製品の検査作業 加工後に製品を洗浄します

川田副社長に伺いました!

障害者も健常者と同じ内容の仕事をしているとのことですが、実際に障害者を雇用してみてどう感じましたか?

聴覚障害の人は最初に雇用した時からの人で、一旦身体を悪くして辞めたのですが、3年半ほど前に復帰してまた一緒に働いています。周りの雑音が入ってこないからか、集中力に優れていて、プレス作業の動作が全社員の中で1番早いなど、生産性がとても高い社員です。また明るい性格の持ち主で、会社のムードメーカー的な存在でもあります。

知的障害者の人は勤めて8年位経ちます。個人差もあるかと思いますが、集中力にやや厳しいところがありますが、真面目で仕事に一生懸命取り組むといった良い面を持っています。勤務態度も良く、気持ちが正直で、挨拶もしっかりとするので会社のみんなから可愛がられています。仕事はゆっくりとした作業になりますが、確実にやってくれています。

雇用して困ったことはありましたか?

私も4年前に中途入社したもので、雇用当初のことはあまり把握できていないのですが、私個人としてはあまり感じたことがありません。

プレス加工機を使った作業では機械に付いているセンサーで事故を防げるようになっていますから、事故を起こす確率としては障害者も健常者も差がありません。

聴覚障害者にはプレス機から発生する異音に気づくことが出来ないという、品質管理上の不利な点はありますが、それは周りの健常者が気づけば良いだけのことですから特に困ったことでもありません。

知的障害者もグループホームから通勤していますが、そこでの指導がしっかりしているので、私生活も含め特に問題となることはありませんでした。

今グループホームの話が出てきましたが、支援機関などとはどのような連携をされているのでしょうか?

グループホームの人は大体半年に1度ぐらいの頻度で、弊社に訪問に来てくれます。会社での本人の様子を確認することは勿論、「仕事の様子はどうか?」などといった話をしています。また会社の方からも「生活の方はどうですか?」など逆に質問することもあります。そういったやり取りの中から本人の生活の改善に繋がったと思われる事例も少し生まれました。

例えばホームの方から「部屋の掃除が苦手なので指導しているのですが、なかなか出来るようにならない」という話がありました。工場でも整理整頓は必要で、5S活動を通じて力を入れているところでもありますから、その情報をいただいた後、会社から本人に「自分の部屋でも5S活動をしっかりやろうね」と話しました。その効果もあったのか、ホームの方から「少しずつ必要のないものを捨てるなど、出来るようになってきた」という言葉をいただきました。

支援機関が障害者に指導するよりも、会社が言ってあげた方が本人の生活改善に繋がるとその時に感じました。何故かと言うと、ホームなど支援者が行う指導だと、本人もついつい甘えてしまいがちになってしまうからです。あまりいい例ではありませんが、支援者から注意されると「うるさいなあ」といった感じで受け取ってしまうようなこともあるようです。それが会社から指導されると、さすがにそういった甘えは出来ませんし、いい意味でのプレッシャーにもなるようです。

会社としてはこれからも「いいと思うこと」は本人の生活のことでも指導していきたいと思っています。

今、5S活動のお話が出てきましたが、この活動は具体的にどういったことをされているのでしょう?

5S活動は2年位前から始めました。会社で整理、整頓、清掃、清潔、しつけの5つのSに取り組もうというものです。朝の10分間を使い、清掃班やパトロール班など4つのグループに別れて、それぞれ目標を掲げて活動をしています。3ヶ月を1クールにして成果を競い合い、社員全員で投票した結果、1位になったグループを会社が表彰しています。この活動は健常者も障害者も関係なく全員で取り組んでいます。知的障害の人はグループのサブリーダーになって、リーダー不在時の発表やグループメンバーへの指示出しなどに活躍しています。障害者も自分の役割や使命感があると非常に頑張ってくれるようです。

障害者のやる気を上手く引き出されているのですね。最後に障害者と一緒に働く上で、何か心掛けていることがあればお伺いしたいのですが。

弊社は20人規模の小さな会社ですが、小さな会社だからこそ出来ることがあるのではないかと思っています。それは何かと言いますと、「社員一人ひとりの個性を見ること」です。朝礼やラジオ体操など毎日全員と顔を付き合わせる中で、一人ひとりの個性を見つけようとすると、自然とその社員の「いい所」に目が行くようになります。そして見つけたその「いい所」を褒めてあげると、今度はもっと頑張ってくれます。

弊社の知的障害者は、全員で使用する例えば「休日届」のような用紙が残り少なくなると、自分から「もうすぐなくなるよ」と教えてくれます。自分の仕事でもないのに、そういったことに気がついて知らせてくれるのです。こういった良いことをしてくれた時は「気がついてくれてありがとう。また、よろしくね。」と言って必ず感謝の言葉や褒め言葉をかけるようにしています。

障害者と働くということに限った話ではないかもしれませんが、「いい所を褒めて伸ばす」ということは弊社のような小さな会社だからこそ出来ることなのではないでしょうか。

   川田副社長

(川田 俊介 副社長)

訪問を終えて

川田さんは、小さな会社だからできることは、社員全員とのコミュニケーションが密にできるということだという趣旨のことを話してくださいました。

事務所でのインタビューが終了し、階下の工場を見学させていただくと、障害者や従業員の人たちがプレス機の「カンカン」という音が響く中、真剣に働いていらっしゃいました。

このように1人1人が集中して粘り強く仕事を継続できるのは、その背景に直接社員の指導にあたる人が、障害者も含めた全社員が気持ちよく働けるようこまめに褒めたり、お礼を言うなどしてコミュニケーションを密にしているからなのだと感じました。

(平成26年1月27日取材)

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