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更新日:2024年9月30日

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障害者雇用優良企業インタビュー(株式会社丸井電設)〔No.20〕

かながわ障害者雇用優良企業である株式会社丸井電設の障害者雇用取り組み事例です。

障害者雇用のきっかけ・目的

  • 職務中の事故などによって障害が残ってしまった従業員を継続して雇用。
  • 企業の社会的責任を果たすとともに従業員の間に「助け合い」の意識を浸透させたい。

障害者雇用に対する取組み

  • 危険が伴う現場作業は回避し、基本的には内勤として働いてもらっている。
  • 必要に応じて家族と連絡を取り、障害者の悩み事などの相談を受けている。

障害者が従事している業務について

当社では重度身体障害の人と精神障害(高次脳機能障害)の人が1名ずつ働いています。身体障害の人は事務所で総務事務関係の仕事に携わっています。精神障害の人は事務所構内にある大量の防管(電線を保護するための管)の整理などをしています。手を怪我するような危険なこともあるので、「危ないな」と感じた時には注意するよう、普段から気を配っています。

出来るだけ身体や頭を使ってもらい回復の一助になればいいと思っています。その為にも本人に支障のない範囲内で仕事をしてもらっています。

井上総務部長に聞く!

事故後の対応は大変だったのではありませんか?

平成6年に最初の社員が作業中の事故で高次脳機能障害となり精神障害者手帳を取得しました。当時私はまだ会社にいなかったので直接詳しいことは分からないのですが、事故後数年間は家の近くまで社員が送り迎えをするなどの対応をしたそうです。今は症状が落ち着いているのと本人から申し出があったことにより送迎は止めています。

事故後は本人も「仕事が覚えにくい」「記憶が悪い」と言っていたそうですが、人を付け時間をかけて徐々に仕事を教えていきました。基本的には覚えるまで何度でもしつこく教えました。同じ会社で働いていたと言っても今までは現場作業しかしていませんから、一から仕事を覚えなくてはいけません。教える側も大変だったでしょういが、なにより本人が一番きつかったと思います。

事故前と事故後では障害者社員の環境が大きく変わってしまったわけですが、接し方などに特別な注意を払ったりしたのでしょうか?

障害者と言ってもそれまで一緒に働いてきた仲間です。2人とも特別扱いされることを嫌がり望んでいません。当社としては職場の人間関係が既に出来ていたこともあって、健常者・障害者をあまり区別しないように気をつけました。ただそうは言っても、社員の前で「障害者を区別するな」と積極的に指導することは、本人たちにとっても可哀想なところがありますから出来ませんでした。幸い、そこまでしなくとも同じ社員としてみんな普通に接してくれましたね。

障害者が負い目を感じないように気をつけたのですね。

障害者としてではなく一人の人格として扱うことが大切です。そうすれば障害者も意欲をなくすことなくしっかり働いてくれます。仕事内容が現場作業から内勤に変わってしまったにもかかわらず、2人とも休まずに会社に来てくれていますから、会社や今の仕事が嫌いではないのだと思っています。嫌だと会社に来なくなりますからね。

障害者の体調管理はどのようにされていますか?

身体障害の人は通院していませんが、精神障害の人は今も定期的に通院していますので、通院後には会社にその内容を報告してもらうようにしています。また身体障害の人には、事務所の掃除などのきつい仕事に対しては無理してやらなくてもいいように言ってあります。

障害者の体調管理については本人をよく見ることが重要だと思っています。日ごろから気にかけて見ていれば、障害者のちょっとした変化にも気づくことが出来るからです。同時に仕事のチェックも出来ますし、障害者とのコミュニケーションのきっかけにもなります。

これから障害者雇用をしようと考えている企業へ何かメッセージをいただけますか?

当社は障害者を新規に募集するなどの積極的な取り組みをして来たわけではありません。ですからあまり大きなことは言えませんが、一つだけ伝えられることがあるとすればそれは、「障害者の人格を最大限に尊重して一人ひとりの能力を発揮させていくことが大事である」と言うことでしょう。当社の2名の障害者が辞めることなく長く勤務出来ているのは、おそらく障害者としてではなく一人の人間として接してきたことが良かったと思うからです。

井上雄一 総務部長

(井上 雄一 総務部長)

訪問を終えて

今回は障害者の雇用の継続について何かお話を伺えればと思い訪問させていただきました。井上総務部長は終始控えめにお話されていましたが、障害者の人格を尊重して接することの大切さについてのお話は、十分にそのヒントとなったのではないでしょうか。

様々な会社のお話を淡々と静かに話されたその語り口からは、一歩引いて会社全体を俯瞰して見ようとする総務部長ならではの広い視野と誠実さを感じることができました。

(平成25年10月4日取材)

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