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更新日:2024年9月30日

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障害者雇用優良企業インタビュー(株式会社小保木製作所)[No.17]

かながわ障害者雇用優良企業である株式会社小保木製作所の障害者雇用取り組み事例です。

  • 所在地 足柄上郡山北町川西1248-27 (諸渕工場)

障害者雇用のきっかけ・目的

  • 18年前にハローワーク小田原の所長から障害者雇用を頼まれたことが始まり。
  • 同じ頃に養護学校の校長先生から「障害のある子供たちは皆、好きで障害者になった訳ではない。この子達をちゃんと一人前にしてやるのが我々の仕事ではないか?」と言われ、深く心に響いた。
  • 少しでも彼らのお手伝いが出来ればと思い、養護学校から紹介された生徒を1ヶ月の研修の後、受け入れることにした。

障害者雇用に対する取組み

  • 社員の行動に関心を持ち、障害を持つ社員が金銭トラブル等に巻き込まれないよう、コミュニケーションをとるようにしている。
  • 養護学校から職場実習の受け入れを行っている。

障害者が従事している業務について

プレス機に金型を取り付けて加工するのが当社の仕事ですが、特に高度な仕事という訳ではないので障害を持つ社員の人達にも、ひとつの仕事だけでなく色々な仕事をやってもらっています。もちろん健常者と比べたら作業時間は長くてじれったくなることも多いですが、彼らは彼らなりに一生懸命仕事に取り組んでくれているので、それはそれとして認めています。

現場の責任者が仕事を教えますが、現在は障害を持つ社員も社歴が長くなり、かなり仕事を任されています。

障害者も仕事を任されています各種プレス機で様々な部品を製造

障害者も仕事を任されています 各種プレス機で様々な部品を製造

渡辺会長に伺いました!

障害者の能力を引き出すための秘訣はありますか?

障害を持っているからといってその人の能力をこれだけと決めつけないことです。また、障害者は家庭や学校、職場で特別扱いされがちですが、過保護にし過ぎることは本人のためにはならないと思っています。ですから当社では障害者の社員を特別扱いしていません。健常者と同様に工場の色々な仕事をやってもらっています。当社の仕事なら何でもできるという状態になって初めて、当社以外の会社で働く時のスキルとなると思います。それが、ひいては障害を持っていても経済的に自立できることにつながると考えています。

職場では障害者にどのような配慮をなさっているのでしょうか?

当社の障害者は4人で、自閉症の人が多く勤務しています。手順がパターン化されるとわかりやすいという特性がある人や狭い範囲の知識について驚くほど深く掘り下げている人など、それぞれ皆個性があります。

ただ、その人の特性に応じた指導・配慮といった特別なことはしていません。集団での会話を苦手とする人が多いことは確かですが、困ったことがある場合には個別にジョブコーチ的な立場にいる社員へ相談しているようです。

例えば、職場で言われたちょっとした一言がずっと気になるなど、心配な気持ちをうまく処理できずにひきずってしまう人もいます。そういう時にはジョブコーチ的な立場にいる社員がやはりうまく対応しているようです。

これから障害者雇用に取り組む企業にメッセージを。

障害を持っている人は、家庭では親が身の回りの全てのことを世話していたり、特別支援学校でも過保護にされているケースが多いようです。その続きで会社でも特別扱いしてくれるだろうという期待があるのかもしれませんが、当社ではそうした特別扱いはしません。その人の特性に合わせた仕事に限定してしまうのではなく、あえて幅広く経験させることが自立につながると考えるからです。

格好をつけて言うのではありませんが、とにかく障害者を特別扱いせず、まずは1人雇用してみてください。そしてしばらくの間様子を見てください。会社の仕事の中には、社内の掃除や工場内の道具の整理整頓など障害者が取り組みやすい仕事もあるはずです。

まずは、障害者雇用に挑戦してもらって、障害者に様々な経験をするチャンスを与えてください。それがきっと障害者の経済的自立につながっていくと思います。

渡辺好一会長

(渡辺 好一 会長)

訪問を終えて

株式会社小保木製作所は丹沢の美しい山々と川に囲まれた、自然豊かな地にありました。新しく完成した諸渕工場は屋根に100KWの太陽光パネルを乗せていて環境への意識も非常に高く、子育て支援や障害者雇用にも積極的に取り組んでいるなど、時代感覚の鋭い会社だと感じました。

インタビューの間中、「自分はもう引退しているから」とお話しされながらも、非常に熱く障害者雇用への思いを語られていた渡辺好一会長は、真剣に障害者の経済的自立、とりわけ障害者の保護者が亡くなられた後でも障害者が自立して生活できるようにするにはどうすればよいかを考えておられました。

きっと社員全員が自分の子供のようなものなんだろうと思い、その大きな人柄と大きな声がとても印象に残りました。

(平成25年7月11日取材)

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