ブレーキのかけかた
車椅子によってブレーキのかけかたは若干違いますが、構造は単純です。少しの間の停止でも、ハンド・グリップを離す場合は、必ず両方のブレーキをかけましょう。特に勾配のある所では、大きな事故につながりますので、注意が必要です。
- 車椅子の横に立ち、片手はハンドグリップをしっかり握る。
- もう一方の手でブレーキをかける。
- 反対側のブレーキをかける。
車椅子のたたみ方、広げ方は…。
車いすのたたみ方
- ブレーキをかけ、フットレスト(足置き)を手で上に上げる。
- シートの中央(座面のシート)を両手で引き上げるようにすると、自然に折りたためる。
- アームレスト(ひじかけ)を引き寄せると完全に折りたためる。
フットレストを手で上に上げる
シートの中央を手で引き上げ、折りたたむ
アームレストを引き寄せて完全にたたむ
車いすの広げ方
- ブレーキをかけ、両手でアームレストを持って、左右同時に外側に少し広げる。
- 両手の手のひらでシートを押し下げるようにして完全に広げる。このとき、シートの両端をつかむと、スカートガイドやパイプで手をはさんでしまいますので、ご注意を!
- 使用者が座ってからフットレストを下げ、足にマヒのある人の場合は、一声かけて必要に応じて足を乗せるサポートを。
両手でアームレストを持って、外側に少し広げる
両手でシートを押し下げて完全に広げる
押し方は……
- 車椅子の後ろに立ち、両手でハンドグリップをしっかり握る。
- 前後左右、特に前方のフットレストに注意して、はじめはゆっくり押す。
- 歩く速度は、ゆっくりめに。道路のでこぼこや傾斜に気を付けて。
車両進入用にスロープ状になっている歩道では、車道側に車椅子が傾くので注意してください。
車いすの押し方
キャスターの上げ下ろしは……
「キャスター上げ」とは、キャスター(前輪)を浮かして後輪だけでバランスを保つ方法で、色々なサポート(段差越え、隙間越え、砂利道など)において大変、役に立つ方法です。
- キャスターを上げることを知らせる。
- ステッピングバーを踏む。
- ハンドグリップを手前に引きながら、押し下げて、キャスターを上げる。
この方法で、キャスターが上に上がらない場合には、ステッピングバーに乗せた足全体に体重をかけ、後方に体重を移動させるような感じで行います。このとき、勢い余ってひっくり返らないように、充分注意してください。 - 下ろすときは、ステッピングバーを踏みながらそっと下ろす。
キャスターを上げることを知らせる
ステッピングバーの踏み方
段差があるときは……
段差を上がるには
- 段差の手前で一声かけてキャスターを上げる。
- バランスを保ちながら車椅子を前に進める。
- キャスターを段にのせる。
- 後輪を押し上げる。
段差を降りるには
上がるときの逆の動作になります。つまり、後ろ向きになって、下がります。(前向きだと、段差によっては、乗っている人が前のめりになって落ちかねません。)
- まず、後ろ向きになって、一声かけて後輪をおろす。
- キャスターを上げ、後ろに引く。
- キャスターを静かにおろす。
バランスに十分に注意しながら段差を上がる
溝を越えるには……
- 溝の手前で、一声かけてキャスターを上げる。
- バランスを保ちながら車椅子を前に進め、キャスターを溝越えさせる。
- キャスターを下ろす。
- 後輪を浮かし気味にして溝を越える。
道路では……
- 歩く速度は、道路のでこぼこに気を付けてゆっくり…
- 人混みでは、通行人に車椅子(特にフットレスト)をぶつけないように注意を!
車両進入用にスロープ状になっている歩道では、車道側に車椅子が傾きますので、注意してください。 - 砂利道などでは、キャスターを上げた状態で、静かに押していきます。なお、安定が悪い人の場合は、後ろ向きで引っ張って行く方法もあります。
U字溝などの格子状のふたを通過する場合は、キャスターが挟まらないように、斜めに通過します。
スロープ(坂道)では……
上りは、後ろから少しからだを前傾して一歩一歩しっかりと押す。押し戻されないように。歩く速度は、道路のでこぼこに気を付けてゆっくり…
スロープの上がり方
下りは、ゆるやかなスロープは普通の押し方で引くようにして下る。急な坂では、後ろ向きになって下りる方法が安全です。この場合は、身体を前傾させ、一歩ずつゆっくりと下ります。ブレーキを軽くかけてもよいでしょう。
スロープの下り方
階段の昇り下りは……
4人でサポートする方法が安全です。また、階段に対して車椅子は、昇りの時は前向きに、下りの時は後ろ向きになります。
- 両方のブレーキを完全にかける。
- サポートする4人は車椅子を囲むように左右前後に立つ。
- 前の2人はアームレストとレッグレストのパイプを、後ろの2人はハンドグリップとハンドリムをそれぞれ、しっかり握る。
アームレストなど、取り外し式のものもありますので、接続部分に注意してください。 - 声を掛け合い、車椅子がなるべく斜めにならないように、注意して一歩一歩ゆっくりと進む。
脳性マヒの人のサポート
まず、知っておきたいこと
- 全身性の障がいですが、車椅子の使用を必要とする人もいれば、そうでない人もいます。
- 筋肉の力を使うコントロールがうまくいかないため、主に、言語障がいと不随意運動(自分の意志と関係なく、身体が動いてしまう)を伴います。
- また、筋肉が硬直したりすることもありますが、本人は特に苦痛を感じている訳ではありませんので、驚かないでください。
サポートの方法
- 何が必要かを聞いて、これまで述べたサポートを応用してください。
- 言葉が聞き取れなかった場合は、いいかげんに返事をせずに、繰り返してくれるように頼みましょう。
- なお、せかすとなおさら緊張が高まり、言葉がでにくくなる場合もありますので、お互いにリラックスして会話しましょう。
- 相手の意志を確かめるためには、「はい」「いいえ」で答えられるように、質問する言葉を選ぶのも一つの方法です。