「パラテコンドー阿渡健太選手がやって来た!」
「パラテコンドー阿渡健太選手がやって来た!」
県立体育センターでは、県内の大学等と連携し、神奈川ゆかりのパラアスリートに継続的な支援を行う「神奈川パラアスリートサポート事業」の一環として、県内の学校で「パラアスリート講演会」を実施しています。この講演会は、障がいのある方への理解を深め、パラスポーツの普及推進を図ることを目的としています。今年度3回目となる講演会が、11月26日(火曜日)に座間市立旭小学校で、実施されました。講師は、パラテコンドーの日本代表候補である阿渡健太選手です。パラリンピックやパラテコンドーについてはもちろん、阿渡選手自身が小学校6年生であった頃の話など、盛りだくさんの内容でした。旭小学校6年生の児童は「総合的な学習の時間」の授業として講演を聞きました。阿渡選手の蹴り技の実演に、会場は大変盛り上がりました。児童からの質問もたくさん出て「障がい」や「パラスポーツ」についての理解が深まりました。以下、その様子を紹介します。
〇パラアスリート講演会
担任の先生から阿渡選手の紹介がありました。
〇自己紹介
生まれつきの障がいで、左手は手首から先がなく、右手は肘から先がないという話から始まり、小、中、高と健常者と同じ学校に通っていたことやサッカー、水泳など子どものころに行っていたスポーツの話などがありました。
サッカーでは横須賀市の選抜チームに選ばれたこともあるそうです。
水泳ではクロール、平泳ぎ、背泳ぎ等、何でもできるそうです。バタフライは、「おぼれているように見えるからあまりやらない」と笑って話していました。
自己紹介の中で、阿渡選手が6年生であった頃のエピソードを話してくれました。体育の時間に、縄が握れないという理由で縄跳びの授業を見学していた阿渡選手に担任の先生が「縄跳びをやらせたい」という思いから、縄跳びに細工を施して阿渡選手が一人で縄を回せるようにしてくれたそうです。それから、自分で練習ができるようになり、縄跳びが上達していったということです。この時の「できなかったことが工夫と努力次第でできるようになる」という経験から、阿渡選手は「できないことをあきらめる」のではなく「どのようにやったらできるか」と前向きに考える習慣が身についたそうです。
〇パラリンピックとは
パラリンピックはオリンピックと同じように、「障がい者にとって夢の舞台である」と話してくれました。
〇クイズです。
さてここでクイズです。パラリンピックが始まったきっかけは、次の3つのうちどれでしょうか。
1 リハビリトレーニングの一環として
2 差別を無くすため
3 子どもの遊びから
正解は1のリハビリトレーニングだそうです。昔、戦争で負傷した兵士のリハビリとして行ったものがパラリンピックの始まりだそうです。
〇パラテコンドーについて
パラテコンドーは上肢に障がいのある人が行う競技で、蹴りの難易度によってポイントが違い、そのポイントを競い合います。腕でのガードが難しいため頭部への攻撃は禁止となっており、華麗な蹴り技が特徴の迫力のある競技です。また、パラスポーツでは珍しくフルコンタクト競技(体が激しく接触する競技)であることもパラテコンドーの大きな魅力です。
〇実演・体験
「パーンッ!!」と音が響きます。
コツはつま先を伸ばすこと、そして「気合い」つまり声を出すことです。さあ、やってみましょう!
鋭いですねぇ!いい音してます!
「ヤァー!」いい声で……先生っ!? ありがとうございます。
〇またまた、クイズです。
東京2020パラリンピック競技大会のパラテコンドー会場は次の3つのうちどこでしょう。
1 新国立競技場
2 幕張メッセ(千葉)
3 座間市立旭小学校体育館
正解は旭小学校体育館……。とプロジェクターに映されました。えっ!!??
訂正画面で、2 幕張メッセ(千葉)でした。
〇質問コーナー
児童の質問に対して丁寧に答える阿渡選手。
事前に質問を考えてきた児童もいたようです。素晴らしい!
阿渡選手は児童が興味を持って聞けるように、一つひとつの質問に分かり易く、時にはちょっと笑える話も交えながら答えていました。
和やかな会場の雰囲気に後押しされ、たくさんの児童が質問することができました。
以下、質問と答えを少しだけ紹介します。
Q.両腕があったら何をしてみたいですか。
A.手でジャンケンがしてみたい。
Q.障がいで今まで苦労したことはありますか。
A.高校生の時アルバイトの面接で「できるの?」と見た目で判断され、多くの場所で断られたこと。
でも、「どうやったらできるか」を考え「お金はいらないから、一ヵ月働かせてください。」と頼み、一ヵ月働いた後、採用してもらえた。
Q.今までで言われてうれしかった言葉はありますか。
A.友達に「そういえば、健太って手がなかったんだっけ。」と、障がい者であることを忘れられていた一言。
〇記念撮影
最後にみんなで記念撮影です。「3・2・1・ワッショーイ!!」
はじめは緊張していた児童も最後はこの表情。とても楽しい時間を過ごすことができたようです。また、この授業をきっかけに児童の中で障がいのある方への理解が深まり、パラスポーツの普及がより一層進むことを期待しています。
たくさんの児童は阿渡選手が東京2020パラリンピック競技大会に出場できるよう期待していることと思います。頑張ってください。