更新日:2023年4月27日

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家庭用除湿剤の商品テスト

家庭用除湿剤の容器に関して安定性や強度について商品テストを実施しました。

 除湿剤を置いていた押し入れに水が溜まりびしょ濡れになった。配管からの水漏れかと思っていたら、除湿剤からの液漏れが原因のようだ、という相談が寄せられたことから、家庭用除湿剤の容器等の安定性、強度などを調べて、その結果を消費者へ情報提供します。

1 調査の概要

 
調査対象品

家庭用除湿剤 6種類

調査内容

日本工業規格JIS S 3106:1994に基づき、

(1)安定性(使用開始状態及び使用終了状態)

水平に置いた平滑な試験板の上に設置し、1°ずつ上げて10秒ずつ静止する。前、後、左右で15°の角度で転倒してはならない。

(2)容器の強度

ア 圧縮試験(使用前状態及び使用開始状態)(正常状態及び転倒状態)

 検体上部に10kgの重りを載せて1分間静止。

イ 落下衝撃試験(使用開始状態及び使用終了状態)

 堅い試験台の上に底面を下にして1mの高さから1回落下。

ア、イとも内容物の漏れ、内容物の漏れにつながる破損、内部に使用上支障がある変形などがあってはならない。

(3)取扱上の注意

 使用にあたって注意しなければいけない事項などが適切に記載されているか。

調査期間 平成31年1月から平成31年2月
検査機関 暮らしの科学研究所株式会社

 

2 調査結果

(1)検体

表1 検体
検体 容量(ml) 使用期間(月) 価格帯(円)
1 420 3-6 50~100
2

550

3-6 50~100
3 800 4-8 100~150
4 400 2-5 50以下
5 400 2-5 50~100
6 800 3-4 100~150
  • 使用期間は目安です。同じ使用場所であっても季節や湿気の状態により異なります。
  • 価格は1個あたりのもの

(2)安定性(使用開始状態及び使用終了状態)

表2 安定性
検体   転倒した時の角度(°)
前面 背面 臆面
1 使用開始状態 37 36 33
使用終了状態 42 42 43
2 使用開始状態 28 23 36
使用終了状態 34 30 37
3 使用開始状態 18 18 33
使用終了状態 27 26 37
4 使用開始状態 37 37 37
使用終了状態 36 36 35
5 使用開始状態 35 36 38
使用終了状態 40 46 43
6 使用開始状態 14 18 30
使用終了状態 20 24 39
  • 検体6については、使用開始状態の時に前面で15°未満で転倒しました。
  • 除湿剤の上面にある透湿膜は水を通さないので、転倒してもすぐに内部の潮解液※が漏れることはありませんが、放置していると浸み出てしまうことがあります。

※潮解液:除湿剤の容器内うに溜まった水分。水のように見えますが、塩化カルシウムなどの水溶液です。

 

(3)圧縮試験(使用前状態及び使用開始状態)(正常状態及び転倒状態

表3 圧縮試験

検体   正常状態 転倒状態
1 使用前状態 特に変化は見られなかった 特に変化は見られなかった
使用開始状態 特に変化は見られなかった

透湿膜にしわが寄ったが、容器に損傷は見られなかった

2 使用前状態 特に変化は見られなかった 特に変化は見られなかった
使用開始状態 特に変化は見られなかった 透湿膜にしわが寄ったが、容器に損傷は見られなかった
3 使用前状態 特に変化は見られなかった 特に変化は見られなかった
使用開始状態 特に変化は見られなかった 特に変化は見られなかった
4 使用前状態 特に変化は見られなかった 特に変化は見られなかった
使用開始状態 特に変化は見られなかった 透湿膜にしわが寄ったが、容器に損傷は見られなかった
5 使用前状態 特に変化は見られなかった 特に変化は見られなかった
使用開始状態 特に変化は見られなかった 透湿膜にしわが寄ったが、容器に損傷は見られなかった
6 使用前状態 特に変化は見られなかった 特に変化は見られなかった
使用開始状態 特に変化は見られんかった 特に変化は見られなかった
  • 使用開始状態においては、転倒状態での圧縮試験で透湿膜にしわが寄りましたが、使用上支障はないと思われます。

 

(4)落下衝撃試験(使用開始状態及び使用終了状態)

表4 落下衝撃試験
検体   結果
1 使用開始状態 特に変化は見られなかった
使用終了状態 特に変化は見られなかった
2 使用開始状態 内側の仕切り板が外れ、内部の薬剤が少量下に落ちた 
容器に変化は見られなかった
使用終了状態 底面に亀裂が入り、水※が浸み出してきた
3 使用開始状態 容器の上部が膨張した
それ以外は容器に変化は見られなかった
使用終了状態 透湿膜の端が破れた
容器に損傷は見られなかった
4 使用開始状態 容器の背面が膨張した
それ以外は容器に変化は見られなかった
使用終了状態 容器が破損した
透湿膜が破れた
5 使用開始状態 内側の仕切り板が外れ、内部の薬剤が少量下部に落ちた
前面と背面に膨張が見られた
使用終了状態 特に変化は見られなかった
6 使用開始状態 特に変化は見られなかった
使用終了状態 特に変化は見られなかった

※水:使用終了状態の再現のため水を入れて試験していますが、実際に内部に溜まるのは潮解液です

  • 使用開始状態において、検体2と5で内部の仕切り板が外れて薬剤が落ちましたが、少量であれば使用上問題はありません。
  • 使用終了状態で検体2と4で容器が損傷しました。検体3と4では透湿膜が破れました。

 

(5)使用上の注意

表5 使用上の注意事項

透湿膜をはがしたり破らないこと
吸湿剤を取り出さないこと
表示されている用途以外に使用しないこと
液が漏れることがあるので倒れたまま使用しないこと
物を載せたり吸湿口をふさがないこと
容器を落とすなど乱暴に扱わないこと
目に入ると危険なので注意すること
口に入れないこと
子供がいたずらしないように気を付けること
吸湿剤や潮解液を皮膚や衣類につけないこと
吸湿剤や潮解液を金属につけないこと
  • 概ね表示されていた

 

3 まとめ

  • 容器の安定性については、一部JIS規格を満たしていないと認められますが、ほかの検体では問題ありません。
  • 容器の強度については、圧縮試験では特に問題はありませんでしたが、落下衝撃試験では使用終了状態で容器の損傷や透湿膜が破れた検体がありました。

4 消費者へのアドバイス

  • 使用開始状態では安定性において一宇規格を満たさなかったものもありました。平らな場所に置き、設置してある状態を時々確認するようにしてください。容器が転倒しても透湿膜に傷がなければすぐに潮解液※が出ることはありませんが、放置していると漏れ出ることはあります。
  • 容器は落とすと亀裂の入るものもありました。丁寧に扱い、落下させたり、衝撃を与えたりしないように使用してください。
  • 「使用上の注意」「取扱説明」などをよく読んで使いましょう。

※潮解液:除湿剤の中に溜まるのは水ではなく潮解液という薬剤です。塩化カルシウムなどの水溶液で、身近に使われるものですが、皮膚につくと皮膚炎を起こすこともあります。口に入ってしまった場合、目に入った場合などは直ちに医師に相談してください。また潮解液が木製品につくとその成分が空気中の水分を吸っていつまでも乾かずべたつきが残ることがあります。水拭きとから拭きを繰り返してください。使用時期や環境によって使用できる期間は異なりますので、目安の水量まで潮解液が溜まったら必ず交換してください。

消費生活相談は、消費者ホットライン188番をご利用ください

188

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