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更新日:2022年2月25日
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神奈川県の公共事業評価委員会
審議(会議)結果
次の審議会等を下記のとおり開催した。
審議会等名称 |
令和3年度第2回神奈川県県土整備局公共事業評価委員会 |
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開催日時 | 令和3年8月19日(木曜日)13時30分から16時45分まで | ||
開催場所 |
神奈川県庁新庁舎12階 県土整備局大会議室 (各委員はWeb会議にて参加) |
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出席者 |
家田 仁(委員長) 中村 英夫(副委員長) 稲垣 景子 真田 純子 高橋 陽子 田邉 勝巳 中村 幸人 |
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次回開催予定日 | 令和3年11月8日(月曜日) | ||
所属名、担当者名 |
県土整備局総務室 山本、吉岡 |
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掲載形式 | 審議経過 |
議事概要とした理由 |
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会議資料 |
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審議経過 |
(委:委員発言内容、事:事務局・事業実施課発言内容)
<事業実施課から概要の説明> [6番 二級河川 境川(下流) 河川改修事業] <事業実施課から事業内容の説明>
委:まず5ページ目で、「本事業により得られたレッスン」で、部分的に暫定供用したことで効果があったと述べられたが、3ページ目の経緯のところで供用開始してからも台風で浸水被害があったと書かれていて、もし部分供用を開始していなかったらもっと被害は大きくなったのかということがまず1点目の質問。 2点目の質問は、5ページ目左側の令和元年の台風の時に遊水地がなかったら水位が5.1mで氾濫危険水位を超えてしまうところ、今回は4.86mで効果があったということだが、もう少し大きい台風が来たら氾濫してしまうのではないか。費用対効果は非常に大きいので、もっと遊水地を造るということが検討されなかったのかという2点を質問させていただく。 委:1つは5ページ目、最後の考察の第2段落で、今後ハード・ソフト両面で頑張っていくという3行があるが、これは対応方針の最後に持っていったほうがいいという感じがするので、ご検討いただきたい。 もう一つは、4ページ目の左側、総合的な効果のところに、計画対象規模の洪水が発生した場合、352ha云々や地域住民の避難の負担が軽減したということが書かれているが、時間雨量50mmという話と計画対象規模の洪水の関係が分からない。ここで軽減したと書くところを、定量的に、352haとあったのがもっと減った、など書けるのであれば書き込んだほうがいいと思うので、ご検討いただきたい。 委:「本事業により得られたレッスン」のところで、地元関係者と綿密な協議により地元から望まれる施設を設置できたとあるが、ビオトープは利用するものではないし、そのほかのグラウンドとかテニスコートというのは勝手に利用できるものではなくて予約した人が一時的に利用できるもので、民家が連坦しているような場所では、例えば散歩に資するとか、日常の生活環境が良くなるように利用できたほうがいいと思った。地元からの要望がどのようなものなのか教えていただきたい。 委:全体的に流域全体の治水能力が上がるという点で評価したいと思うが、4ページに、費用対効果の分析の中で、世帯数等が増加したことによって分析結果が変わったという表記がある。この世帯数が増加したタイミングというのがどのあたりなのか。具体的に言うと、遊水地の計画があるということで安心してその周辺に転入してきた人が増えたのか。もしそうだとすると、ハード整備を推進することで周辺に住む人が増えるというのをどう考えていくのかバランスが難しいと思った。 委:5ページの「考察」のハード・ソフト面両面で取り組んでいくという特にソフト面に関して、今後の重要性というのを非常に感じている。特に情報伝達の課題、実際に市民に自分事として届けるやり方、また、川崎市においても台風のときの災害においては、例えば人が動くようなタイミングなどで非常に課題があったことから災害の広がりというのがあったという整理もされているので、実際に災害が起きたときに動けるような練習とか、事前の訓練とか、具体的に今後どうやっていただけるかということが、重要だと思っているのでぜひ教えていただきたい。 委:環境の面からして非常に面白い取組と思っている。この遊水地の能力を高めるために、先ほどヨシやガマの草刈りという話があったが、水湿地ではこのままビオトープを維持していくと最終的にハンノキ林かヤナギ林になってしまう、そうすると遊水地としての効果が薄れてくる。そのためには、写真にあったように、ヨシやガマの定期的な草刈りというのが必要である。つまり、河岸清掃後の群落で抑えていくことが遊水地としての能力も高めることになる。そして、ヨシ、ガマの草原であれば水質浄化とかいろいろな機能も併せて使える。ただ、その場合、ヨシ、ガマの草刈りに併せて土壌もある程度そこから搬出してしまうほうがより安定的にヨシ、ガマの草原を維持できると思うが、いかがか。 委:遊水地を造った後、効果が発揮されて水位を24cm下げることができたと非常に強調されているが、費用対効果分析のところでは氾濫による損害が相当に防げるはずのプロジェクトなので、だからこそB/Cが10とか17とか出ている。もし今回の雨が、想定している計画規模の洪水ならば、24cm下がったということだけを言うのではなくて、氾濫することが防げてさらに24cmまだ余裕があったというような表現になるだろう。逆に今回の雨が想定しているよりも随分小さいなら、この事象を強調して効果があったということを言うべきではなくて、今回の雨は計画している規模に比べれば小さいが、それでも24cmの効果があったと。もっと、覚悟しているような雨が来たらどうなるかというのは今後よく注視していきたいという論理になるだろうし、そのどっちかというところが十分に読み切れない。 それでは、事務局からお答えいただきたい。 事:まず、部分的な暫定供用の効果ということで、暫定供用しなかったらどうなったのかという話だが、暫定供用ということで一部供用した部分の遊水地に水を貯めることができたため、下流に対する効果は当然ある。ただ、それがなかったら溢ふれていたかどうかというのは正直分からないところではあるが、暫定供用の効果はあったと考えている。 次に、もっと遊水地を造る計画はないのかという話について、現段階の計画で考えているこの地点での遊水地計画というのはこれだけである。さらに将来計画とかその上の計画というと、また別の施設によって対応する計画になっている。 次に、最後のハード・ソフトの両面で取り組んでいくというところは対応方針に入れたほうがいいという話で、これは参考にさせていただき、修正させていただきたい。 あと、費用対効果のほうで計画規模と50mm/hとの関係について、計画規模と我々が言っている50mm/h降雨が降った場合にこの整備をしなければ氾濫がこれだけ起きていたのが、整備を行ったおかげで氾濫がなくなったので便益がこれだけ出たというような関係性になっている。分かりづらいところがあるので、工夫して定量的に分かるような形にさせていただきたい。 次に、上部利用の使い勝手ということで、例えば公園は予約した人だけしか使えないのではないかという話だが、確かに施設自体は予約して使うところもあるが、基本的には一般の人が入れる公園で、日常的に皆さんで使っていただくところである。あと、ビオトープも、環境を保全するためにつくるという本来の目的もあるが、自然教育とか、そういう場にもなっている。そういうことを地元の方から要望を頂いた中で今の使い方をさせていただいているのが実情である。 事:世帯数が増加したタイミングについて、前回再評価を受けさせていただいてから今回までの間に増加したということではあるが、具体的に何年度に増加したかについては調べさせていただく。 事:遊水地計画がその後増加した世帯を引き込んだのではないかというお話もあったが、我々の感覚からすると、この遊水地を造るから、ここが安全になるから住もうというのはあまりないと考えている。 ソフト対策で市民への情報伝達やそれに対する訓練について、河川の氾濫のタイミングで市民にお伝えするのは、河川管理者ではなくて市町村で判断していただいている。我々はその判断が的確なものになるように、常に水位のリアルタイムのデータだとか、氾濫危険水位に達した場合の氾濫危険情報を、プッシュに近いような形で行政側の方にお知らせし、それに基づいた情報伝達訓練についても、この河川だけではなく、全体で行わせていただいている。 あと、ビオトープの管理の話については意見を参考にさせていただきたい。 最後に、水位が24cm下がったという点については、県では遊水地に水が入るとその効果として、下流水位が幾ら低減されたということをホームページで公表しており、その一つを載せたほうが分かりやすいと思い、記載したところである。この台風のときはどこで氾濫していてもおかしくないような状態であったが、境川流域ではそれほど雨が多くもなかったという状況の中、遊水地としてこれだけの機能があってこれだけの効果を出したということなので、安全側に傾いたということは間違いないというふうに考えている。 委:ありがとうございました。ご発言された皆さんから重ねてのご意見がありましたらどうぞ。 委:さっきの50mm/hの計画規模の話について、この調書自体はこれでいいとは思うが、境川の河川整備計画を見ると、本来は60mm/h対応である。暫定的に50mm/hでやっているということだから、50mm/h対応が完了してある程度はカバーできたということかなと思ったので、その辺分かるようにしたほうがいい。あと気候変動とか豪雨に対して多分、今までやってきたことでは足りないという議論が早晩来る。そういうことに対しての不断の検討が大事だということを、最後の総括の中でそういうコメントを少し出す必要がある。 委:ありがとうございます。ほかの方はよろしいか。 (質問、意見等:なし) ありがとうございました。私ももう一つだけコメントしておくと、水位が24cm下がったことについて、事実を述べているということは分かるが、このレポートの中の非常に重要なことは、事後評価をしてみると、事業完了により氾濫を防ぐことができ、大きな便益が出ているということである。したがって、ここで述べる事実というのも、想定内の事象であれば、氾濫を防いでないといけないはずであり、氾濫に至らないようなケースであれば、まだ想定災害のような状況ではないが、当然効果が上がっているということになる。多分後者のほうだと思うが、24cmが黄色くなって随分強調し過ぎているから、24cmのために遊水地を造ったみたいな読み方をされないように工夫は要ると思う。それでは、何点か修正があると思うが、それはいずれ修正版を皆さんに見ていただく機会があるので、そのように進めることでよろしいか。 (異議なし) 委:どうもありがとうございました。それでは、引き続き、急傾斜地の対策について、概要説明と、それから7番、8番の事後評価を連続して説明いただきたい。
[急傾斜地崩壊対策事業の概要について] <事業実施課から概要の説明> [7番 稲村ガ崎3丁目地区 急傾斜地崩壊対策事業] [8番 岸地区 急傾斜地崩壊対策事業] <事業実施課から事業内容の説明>
委:今の2件、どちらの案件も数軒の建物にいる人が対象になっている。それぞれ建物が建てられた時期と、危険箇所になっていると思うが、その指定の時期はどういう時間関係になっているのか。恐らく想像するに、稲村ガ崎のほうは、かつてからのリゾート地だから、随分早くから家が建っていると思う。それから、もう一つの岸地区のほうは、何かまとまって開発されたような感じの平面図になっていたが、多分、市街化区域じゃないと思うので、開発行為の許認可のときにはこの安全対策というのは勧告としてやった上で開発しなさいみたいなことをやっているのかどうか、これも時間的な関係があるが、補足説明していただいた上で皆さんのご質問を受けたいと思う。事務局、いかがか。 事:稲村ガ崎3丁目については、昭和48年の航空写真などを確認しており、そのときからこの斜面の中には建物が建っているというような状況であった。岸地区については5軒あるが、一番早くて49年から58年の間に5軒とも建っている。 委:稲村ガ崎のほうだが、途中で青いところを除外している。そこをこの評価でどう位置づけるのかというところをどう考えるかということが気になる。要するに、必要だと思って始めたのにやらないで終わるということだから、どうするのか。例えば、危険区域というスキームの行為規制であったり、そういったことで引き続き守っていくであるとか、あるいは引き続き鎌倉市等といろいろ調整していくだとか、何かそういうことを書く必要があるのかないのか、どのような感じなのかということをお聞かせいただきたい。 委:確認だが、この事業というのは、基本的に受益者負担があるが、県が事業費を負担して20%市町村が負担するということで、住民の費用負担はないということか。それで今、なぜ、稲村ガ崎の事業の対象から外れてしまったのか。費用の負担がないのにどうして事業から抜けなければならなかったのかという経緯が知りたい。 委:8ページの「本事業により得られたレッスン」のところの最後に、景観的に配慮できたということで今後の類似事業のレッスンになると考える、というふうに言っていたが、9ページの、別の事業の整備後のところを見ると景観的にひどくて、説明の中で言っていた風致地区とか観光地とか、そういうところだけで景観に配慮すればいいのかという問題ではなく、全体的にやったほうがいいんじゃないかと思った。ということで、景観に配慮することで、コストというのがどれぐらいかかっているのかということを見ておかないと、類似事業にしかできないのか、そんな変わらないからどこにでも配慮したらいいのではないかという話なのかというのがはっきりしないなと思った。 もう一つは、矛盾するように聞こえるかもしれないが、景観に配慮することは前提となるが、その方法として、植栽で隠すということが果たして正しいのかということが気になる。というのは、人工的に補強しないと成り立たないような斜面の上や下に住んでいる、ということを意識しなくなるということは、長い目で見たときに防災的に問題があるような気がする。人工物のデザインによって配慮する等、ということができる、もしくは地域の住民に対する情報提供を継続的にやるとか、何か隠して自然なところに建っているからいい、で終わらせるのは、構造物もどんどん古くなるし、そのあたり、隠せてよかったで終わらせていいのかということが気になった。 委:やはり青いゾーンのところが気になり、どういう経緯で外れたのかを教えていただきたいというのと、あと、土砂災害特別警戒区域のマップを横目で見ながら説明を聞いていたが、この7番目のエリアの中にまだ警戒区域が残っているようで、事業を行ったけれども残ってしまったという場所なのか、それとも、工事のタイミングと警戒区域の調査のタイミングがずれているのかというあたりを教えていただきたい。 委:稲村ガ崎について、植生の評価について聞きたい。植生が景観上緑で覆ってしまうということの効果だけなのか、もしくは法枠工は植物が定着しやすくなっているということでは、将来そこに植物が定着して根が生えて、その根が地盤を保全する、強化する効果があるのか、それを期待しているのか、もし期待しているのだとすれば、そういった地盤を強化できるような植物、逆に崩れやすくする植物、いろいろあるから、そこを保全するような植物を誘導するような必要があるのではないか。 岸地区について、先ほどケヤキの根が現れているような面が出ていた。そうすると、私はあそこは一度の急傾斜のがけ崩れということではなくて、徐々に浸食が進んでいるというような状況だと思う。それと、急傾斜地にケヤキというのは最も強い保全効果がある、そのケヤキがこう現れていることは問題で、酒匂川の岸になっているということでは、やはり徐々に浸食というのが進んでいると思うが、そうすると、そこは法枠工事をやった後に徐々に浸食が進むことを考えると、今後も注視していく必要があると思うので、そのあたりをお聞きしたい。 委:2件の事業とも最初に説明いただいたソフト対策に関して、河川同様、恐らくソフト対策というのは、神奈川県の役割と市町村の役割、すみ分けがされていると思うが、今後のそのソフト対策の重要性、例えば既に書いてあるイエローゾーン、レッドゾーンを指定したという後に、それを住んでいる方たちが自分事として捉えられる仕組みというのが、県と市町村との連携が非常に重要だと捉えている。 さらに、今回の急傾斜地等の対策に関しては、なかなか住民とのトラブルや、それから、工事ができるできないなどの非常に複雑なことを、周りの人はそんな細かいことは恐らく知らないと思うので、特にこのあたりは重要だと思う。例えば、大きな震災の後に中学校や学校などで白地図を基に、自分のエリアがどういった場所にあるのかなどを体験的に学習しているような学校もある。地域の消防等と連携したりする例もある。福祉の分野では、なぜ中学校なのかというようなところでいえば、地域包括ケアなどの機動力を持った中学校区のエリアというのは、非常に災害などのときに中学生を中心に動くことが可能だということを想定してそういう取組をしている学校などもあるので、特にこういった部分のソフト対策は、教育などと連携した周知の在り方、実際に機動力を持った在り方というのをぜひ検討いただきたい。 また、神奈川県と市町村との役割が、現状どうなっているかよく分からないところもあるが、神奈川県が指定した後に市町村にその情報を流した、例えば今みたいな好事例を、今度は市町村から好事例を神奈川県が吸い上げて県内で周知するというような双方向の在り方もぜひ検討いただきたいと思う。 委:ありがとうございます。それでは、私も質問ではなくてコメントということで申し上げたい。本件2つについての具体的な事後評価に関するコメントではなくて、これからの急傾斜地事業についてのコメントと受け取っていただければいいが、私もこれまでに神奈川県から、県では受益者負担、つまり住民が負担すべきところを行政が負担するという特殊な扱いをしてきたという経緯をなぜかと思って聞いたことがあるが、いろんな歴史的な経緯がある。例えば横須賀港を軍港として造る時代がある。明治時代には、平地のいい場所は軍が使わないといけないので、そこにいた人たちがみんながけのそばに行かないといけなくなった。それに対しては、がけの防護をするに当たって住民に負担を求めるってわけにはいかないというところから始まったと伺っている。どこまで正しいかどうかは別だが、なるほどなと思うようなご説明を頂いている。 そこは分かるが、公費を使って、そして限られた数の人たちの便益を図る、しかも資産、人命を何とかと言っているけども人命だけではなくて資産価値の保全、保存にも実質上なっているから、それが正当化されるには、非常に貧困地区、あるいは密集市街地であるというようなところで、自分たちでは到底できないというような場合にこそ適用されるべきだと思う。だけどこの稲村ガ崎は、先ほどの動画を見ても分かるようにお屋敷地域であって、ひょっとすると別荘かもしれないが、そういうところにこういう方式が本当になじむのかということは、これから時代が変わっていく中ではよく考えたほうがいい面があると思う。 それから、もう一つの岸地区から学ぶこととして思ったのは、がけの後ろにギリギリまで家を建てたら危ないというのは、別に何も技術力があろうがなかろうが分かる話であって、本来であれば5軒か6軒がそれぞれ開発するときに負担してもこのがけの防護をやった上で宅地化する、これが本来のあるべき姿だと思う。開発行為の許可制度が県あるいは市町村にある場合に、今はこういう事態が防げ、後になってから県が手を出さないといけないようなことにならないように、開発行為自身に今後義務を持たせる、勧告をするというようなことでないと、これはきりがない話になると思う。その辺、いろいろなことで学ぶべきことではないかと思った。 最後にもう一点だけ、最初のプレゼンテーションの達成率が急傾斜地56%という表現について、質問したい。整備対象箇所というのと、それから指定箇所というのと、整備したところという比だが、対象箇所分の整備済みというのは56%かもしれないけど、指定箇所のうちの整備したところは90%以上である。そうすると、指定するというのはどういう意味を持ってくるのか。取りあえず指定するかなという程度のものなのか、それとも、指定したところこそがやはり対象にすべきだというのであれば分母が違うのではないかと思ったが、その辺どんな感じか。 それでは、まとめてお答えいただきたい。 事:まず、稲村ガ崎3丁目地区で事業の対象から外れたところがどうだったのかというような質問を頂いたので、その点について説明させていただく。 急傾斜地事業を進める場合には、急傾斜地崩壊危険区域に指定した後に、その区域の中で県が代わりに工事ができるというような事業の流れになっている。稲村ガ崎3丁目についても、平成22年に区域指定をしたときには、全ての土地の所有者の方または居住者の方からこの事業、また工事を要望された上で進んできている。ただ、事業期間がかなり長くなるということから、県では工事をする前に必ずもう一度、本当に工事をすることを要望しているのかというのを確認した上で進めており、平成22年から順次赤いところをやっていったところ、最後、青いところに取りかかる段階に来たときに、やはり工事は要望しないというように県のほうで受け止めた。 委:それは分かっているが、どういう理由なのかという質問である。 事:その理由については、個人のそれぞれの意見があり、どうしてやらないのかというところまでは把握していない。 委:それは手薄かもしれない。 事:一般的によくある理由としては、実際に斜面に手を加えてほしくないとか、そもそもの山の持っている力で安全を確認しているという感覚を持っていらっしゃる方も多くおり、そのような場合に、なかなかコンクリートの構造物で対策してほしいという考え方にならないことなのではないかと考えている。 次に、外れたところについて県はどうするのかというところだが、急傾斜地崩壊危険区域に指定していれば、そこで開発したりとか、何か建物を解体して斜面に影響がある場合には、行為の規制が行える。例えば盛土とか切土とか、そういうような行為で斜面に影響がある場合は規制しているので、あと斜面の木の伐採も、そういう行為の規制から斜面の安全を県では確認している。 また、ソフト対策という形で土砂災害防止法という法律もできているので、市町村と連携しながら、大雨が降ったときには、イエローゾーンに指定されているところについて避難を促したり、また県ではそれを促すための土砂災害警戒情報などの発表なども取り組んでいる。 次に、景観について全体的に風致地区ではないところでもやったらどうかというようなご質問だったかと思う。この法枠工の中に植生基材を吹き付け、もともとその山に残っていた植生を復活させるというような工法については、実は全県で取り組んでいる。ただ、斜面の勾配がきつくなると植生が根付かなくなるということで、枠内はコンクリートのモルタルで吹き付けるような場所もあるが、ある程度の勾配が緩くて植生が根付くというような条件でこの法枠工を採用した場合には、実は全県でこの対策工法は推進して取り組んでいるところである。 次に、もう一点、植生で隠すだけでいいのかという質問があった。もともとあった植物を復活させる、それによって見えなくなるということで、隠しているというような意識は私どもは持っていない。法枠工の中に植生を復活させることで、もともとの自然の状況にできるだけ近づけ、法枠があることによって斜面の安全度は向上させている、複合的な形で対策をしているというような認識でいる。 また、防災意識が薄まるのではないかというところについては、ソフト対策という形で土砂災害防止法の取組もハード対策と両輪でやっていきたいと考えている。 続いて、植生で地盤を補強していることを考えているかという質問があった。この法枠工の中に植生を復活させているというのは、地盤を強化するために行っているとは考えていない。先ほど景観のところでも説明したが、もともとあった植生、自然環境を復活させて、自然環境に配慮した工法として行っている。地盤の安定度については、モルタル吹付とか法枠の枠というところで安定性を確保しているので、植生の地盤の強化というのは考慮していない。 そして、中学校エリアでも教育などに使ってソフト対策を進めたらどうかというようなご意見があった。土砂災害防止法で、ソフト対策で警戒避難体制とか開発の規制を行っているのと、急傾斜地法で、地元の土地の所有者の方が困難、不適当な方について県が防災工事を行うハード対策を両輪で進めているところだが、防災マップを地域の方々で作っていただいて防災意識を高めていくというような取組を、実は数年前、神奈川県でも試験的に三浦市と協力して行った。城ヶ島のエリアで地元の方と市町村の方が連携して、県のほうで土砂災害警戒区域とか、土砂災害とは何かというような説明をしながら、防災マップを作るというような取組をしたことがある。その取組を全県でほかの市町村でもやったらどうかということで、市町村の防災担当の方が集まる会議で県から、このような事例があるので皆さん一緒にやりませんかというような声かけをしたことがある。ただ、その後一緒に連携してやったという事例はなく、もう少し何か問いかけの仕方があるのかなという課題があった。ソフト対策としてそのような中学校エリアで教育につながるような取組を一緒にやっていくというのは、今後の取組として必要があると考えている。 また、もう一点、市のほうからも好事例の情報を得たらどうかというところについては、なかなかそういうような事例はないため、今後もそういうような情報をもらえて防災に対する土砂災害の対策に対する取組として、何かできる仕組みを検討できたらいいと思う。 委:最後のパーセントのところを教えていただきたい。 事:整備対象箇所数としては2,511、整備率はそれに対して56%、指定箇所1,590に対しては90%を超えるということで、当然いろいろ要件は調整しながら指定を進めており、指定されたところの数字でいうと90%だが、あくまでも対象箇所数として危険な箇所がこれだけあるというのに対して、整備済み率ということでまとめている。 委:そうすると、指定というのは何の意味を持っているのか。 事:工事を前提とするというか、工事に着手できる部分というようなイメージを持っていただければと思う。 委:工事をすべき、じゃなくて、工事に着手できる、という。 事:そのとおり。 委:すべきとできるという違いか。 委:承知した。いかがか、皆さん。 委:先ほど景観について説明していただいて、全ての事業でやっているという話と、あと隠したつもりはないという話だったが、資料のほうには、隠れることで周辺景観と調和させられたと書いてあるし、今後の類似事業のレッスンにもなるという話で、全事業にということで書いてはいないので、説明と資料が違うなというふうに思ったので、そのあたり、正しいことを書いていただきたいと思う。 委:これは、どっちが正しいのか。 事:植生を根付かせることができない箇所もあるということで、植生を根付かせて景観を復活できるところについては類似事業としてやっていく必要があると考えている。先ほど全箇所でやっているというのは、私の言い方が言い過ぎた面があり、植生を復活させることができる箇所については全箇所でこのような取組を行っていると説明させていただいているので、全部の事業でやっているというのは違うと考えていただければと思う。 委:では、隠しているほうは。 委:隠れることでというふうに書いてあって、さっきの説明だと、植生が復活したという話と全然言っていることが違うと思う。 事:整備後のところの記述についてのご指摘だと承知した。ここは、隠れることでというところは書き方がよくなかったため、表現を検討させていただきたいと思う。 委:では、文章のほうが間違えたということで、ご説明のほうの趣旨が正しいということで直していただく。そういうことでよろしいか。 委:はい。先ほどの、全ての事業じゃないというのもお願いする。類似事業というのが、何を指しているのかということを踏まえ、植生が根付くか根付かないかという話についても修正をお願いする。 事:承知した。 委:よろしいか。 委:本来、そこにある植生が戻ってくるようにするということで、私は解決できたかなと思っているが、植物の根が入ってきてだんだん地盤が強固になっていくと同時に、セメントのほうは経年で劣化していく。恐らく40~50年たつとそこの植生も発達して、多分もうこの植物で結構現場に強い、風当たりに強い植物が選択されて入ってくる。そうすると、セメントが少し駄目になってきたときに、今度は植物のほうが代わってそこを強固な地盤にしていくということで、それで結果、セメントの法枠工ですか、そこから本来の自然に戻るというのが一番好ましい姿かなと思う。今の説明で私は満足しているので、ありがとうございました。 委:どうもありがとうございました。それでは、本件2件ですけれども、よろしいか。 (異議なし)
[港湾事業の概要について] <事業実施課から概要の説明> [9番 真鶴港 港湾改修事業] <事業実施課から事業内容の説明>
委:それでは、ただいまの港湾全般の話と、それから真鶴港の案件について、質問、コメントを頂きたい。 委:対応方針のところにある、海域環境の変化を見てモニタリングを今後も継続する必要がある、ということだが、海流の流れが変わるなどにより海底の生物相に変化があったのか、具体的な変化の内容がもし分かればお聞かせいただきたい。 委:現場に本小松石を使用したということだが、それがどれぐらい効果を発現しているのかという写真等があれば見せていただきたい。 委:事業の内容が重要だと思う一方で、事業の資料14ページ、費用の変化の主な要因と、「本事業により得られたレッスン」のところに記載があるとおり、作業船の回航費と荒天時の待機費等の建設事業費の増加、レッスンにおいては、事業のコストを減縮するためにというところから、縮減する工夫をした一方で、予想外の回航費などが日本に数隻しかないクレーン船でかかってしまった、ということを今後に生かしていきたいと書かれているが、具体的にどういうプロセスでこうなってしまい、今後どのようにしたいかというのが既にあれば教えていただきたい。 委:今の話とも関連するが、レッスンで書かれているところに、大きなクレーン船の確保に苦慮していることについて、類似工事の際には重機の調達の容易性も含めて規模を検討するということが書いてあるが、何か本末転倒のような気もする。小さい重機だけでできる規模では、安全性が保てなければどうするのかという話になるから、総合評価の入札方式だとか、デザインビルドを今やっているか分からないが、設計・施工一体型とか何かいろいろな手法もあるのかなという気もするので、もう少し間口の大きなレッスンのアウトプットにしたらいかがと思う。 委:なるほど。ほかの委員はよろしいか。では、港内の波の静穏度というのは非常に港湾上重要なファクターで、それが回り回って荷役が楽になるということになるのか、一番単刀直入なファクターというのが港内静穏度で、恐らくどの港湾でも波がどういう変動をしているか常時計測しているとすると、この事業をやる前はこんな波の、1年間の波高分布であったと。当然、高いところから低いところまで変動している確率分布になっているが、それが、これができた後はこうなったという分布図とか、それが普通のときも全部混ぜにしたらなかなか分かりにくいので、例えば同じようなコースを取った台風が来たときに、この沖の防波堤ができる前は、相当高いのが来ているときはこんな波高分布であったと。それが出来上がった後は港内の分布が、特定の場所でいいが、こうなったと、その辺は出したほうがいいと思う。 事:まず、海洋環境の変化について、今回この沖防波堤に関しては、海水の交換機能というものを付けており、その機能によって、防波堤が設置される前と同等の海流が港内のほうに流れていくシミュレーションを行っている。今現状の生物等の環境変化についてはまだモニタリングで把握できていないが、今後そういった調査を行いながら環境の変化を見て、必要な対応を取っていきたい。 次に、小松石の効果が発現している写真について、今調整しているので、次の質問に回させていただく。 今回、回航費等でコストが上がってしまった部分について、ケーソンの設計に当っては規模が、構造がなるべく小さくできるものとか、あとケーソンを海に浮かせながら曳航するが、そういった曳航の費用等を比較しながら構造を検討し、それで今回、日本に数隻しかない最大規模のクレーン船を用いて施工する形がコスト的に安くなるということで、構造を検討している。 事:ケーソンは全体を8函に分けて施工することにしたが、それは、ケーソンをできるだけ1函当たり大きくして、ケーソンの函数自体を減らしたほうがコストが安くなるということで、できるだけ大きいケーソンにしたかった。そのとき何が一番ポイントになるかというと、造ったケーソンを岸壁から吊り降ろすのに、一番日本で大きい現有するクレーン船が3,700t、これはその当時調べたが3隻あった。その3隻のクレーン船があるので、そのクレーン船で降ろせる最大規模の3,300tのケーソンにした。それで一番回航の回数も減るし、一番安くなるということで決めたところだが、実際には3,700t吊のクレーン船を確保するにも半年とかそのぐらい先まで予約が入っており、また荒天のために待機させるとなると、その費用も実は結構割高だったとか、あるいはクレーン船が遠い場所にいた際にはその回航費がすごくかかるというようなことがあったので、ケーソンの検討をするときにはそこまでは考慮できなかった部分がある。結果としてレッスンとしては、やはり単純に一番大きなケーソンで、できるだけ函数を少なくすればいいというだけではなくて、クレーン船の確保、規模の少し小さいクレーン船だとまだ数が結構いっぱいあるので、そうしたときにはクレーン船の確保の機会も増えるし、多少、回航費全体としては割高になるかもしれないが、そこまで考えて検討すべきだったというのが今回のレッスンである。 事:次に、クレーン船の規模だけでなくて総合評価等を用いながらというところについて、今説明させていただいた形で、曳航にかかる費用等を比較しながらやっているが、より総合的な視点を持って評価を行っていくことで、今回得られたレッスンも含めて構造を決めていくことができれば、より今後の事業に生かしていくことができるので、総合評価も活用しつつやっていく必要があると認識している。 波の静穏度に関して、今現状の波の分布については、現状で測られているものはないが、沖防波堤を検討するときに、沖防波堤の、あり・なしの、場合の、港内の波の分布をシミュレーションしている。沖防波堤がない場合、船が乗り降りする岸壁の近くで、もともと0.51mほどの波があったところが、沖防波堤を造ったことによって、0.23mということで、55%ほど波を軽減できた。 委:波高の問題だけではなくて確率分布である。何%の、1年間の、365日掛ける24時間のうちの、どのくらいが困ったことになっているのが、それがこういうふうに変わるという話ではないか。港湾の基本的な計画は。 事:基本的に先ほどの話と重なるが、シミュレーションではやっている。 委:実測はしていないのか。 事:やっていない。先ほどのシミュレーションはあるので、その状況等については資料として出すことはできる。シミュレーションの結果にはなるが、それでよいか。 委:事前に想定している状況の通りうまくいったかなということをチェックするのが事後評価だから、チェックすべきはB/Cみたいなものを計算するだけではなくて、多分波高の測定も本来ならあるべき。 事:例えば平塚の観測所だと波高を常に計測しているが、港内にはない。 委:ここはやっていないならしょうがない。しかし、地元の人の声や何かで測定に代えるというようなことでしょう。そこの部分はよく分かった。 事:小松石の画像について、今、画像を出させていただいている。 【パワーポイント】 委:その写真は資料にも載っているので見てはいるが、港から見たときにどれぐらい効果があるのかということを知りたかった。 事:確かに港から肉眼で見ると実はほとんど見えない部分というのはあるが、ただ一方で、ここは遊覧船もあり、それに乗った方は結構近くから見ることができる。真鶴港については、真鶴町の景観重要公共施設に指定されており、真鶴町から具体的に上部工には本小松石を使ってくださいというような要望もあったので、対応した。 委:景観検討が形骸化していると思うので、それはちょっと真鶴町のほうにも問題はあるとは思うが、本来であれば両端が直線で切られているような形を変えるとか、あとはもっと潜水堤みたいな形ができなかったのかとか、構造の部分から考える景観検討というのが必要であって、見えもしないような表面を飾るということが本当に景観配慮なのかということについて、言われたからやるというだけではない話合いの仕方があったらよかったなと思う。もちろん景観計画をつくっている側が一番主導権を握っているので、真鶴も先進的な地域として有名なのに、それでもその程度の運用しかしていないのかというのがちょっとショックと思った。 委:今の話にも相通じるが、先ほどのがけでも景観的なことがあって、景観というのはそんなのどうでもいいというわけにはいかないから一応景観を言っておくというようなことは、本来の配慮で見ると景観をつくっているのか壊しているのかよく分からないみたいなこともある。しかし本件についてはもうできているからしょうがないが、公共事業における景観というのをどういうふうに考えるのが本筋なのかというあたりは、せっかく委員にも入っていただいているので、県としても少し一般的な重要問題として検討を継続してやっていただけたらと思う。本件についてはそういうことでよろしいか。 (異議なし) ありがとうございます。非常に大きな問題提起を頂いた。それでは、今の真鶴港のところはよろしいか。 それでは、最後の公園の事業で、基本的なプレゼンと、山北つぶらの公園のお話をお願いしたい。
[公園事業の概要について] <事業実施課から概要の説明> [10番 山北つぶらの公園 都市公園整備事業] <事業実施課から事業内容の説明>
委:別添で頂いたB/C算出データを見たときに、需要予測で大体30万人ぐらい訪れるという結果になっているが、実際の利用者数は、開園後約3万人、パークセンターができて約4万人となっており、県としてこれは、まだ十分な公園の魅力が形成されていないと考えられているのかどうか。B/Cには実際の需要に基づいた補正をしたうえで便益を出しているので、特に問題はないかと思うが、この点についてお伺いしたい。 委:一つは、この公園について、こういう中山間地域にある公園は、ただ利用者が増えればいいとか利便性が上がればいいというものではなくて、地域の山北町も産業及び観光の拠点であってほしいと言っている。しかしながら、今後、令和4年度から指定管理制度を導入するということで、18ページの一番最後に、「指定管理者と一体となって公園の管理運営に努め、更なるサービス向上と利用者増に向けて、取り組む」と書いてあるが、これが山北町の要望と若干整合していないと感じた。指定管理者の選定の際に、お茶等の地域産業とのつながりを考慮しているのであれば、そういった表現を加えた方が良いのではないか。考慮していないのであれば、資料の表現を変えた方がよいと思う。 もう一つは県の公園事業全体の話で、説明の一番最後に、指定管理制度を活用しているという話があったが、県ではまだPark-PFIというのはまだ導入していないのかということをお伺いしたい。 委:資料の16ページから18ページに書かれているとおり、総合的な評価、レッスン、考察あたりのところをお伝えできればと思う。個人的には山北には縁があり、いろいろ行ったりするのでイメージがすごく湧いているところもあるが、今後は、山北と県の連携というのが非常に重要になってくると同時に、既にあるものの価値というところにも、いま一度町と連携してできるといいのかなと思った。公園的にはユニバーサルデザインとか、今後の地域活性化の貢献などを目指しながらも、地域と連携するに当たっては、最近だと例えば新しく薫る野牧場とかできたり、小学校の跡地にNPO法人共和のもりというのができて既に動き出している。お茶も新しいブランド、地元の井上茶をミュンヘンへお茶を送り出すプロジェクトが行われたり、様々な取組が行われている。今ある価値をもっと外の方に、山北と連携してできると、なおいいだろうなと思って聞いていたので、ぜひお願いしたい。 あとは、山北というのは水の水源でもあるし、木材利用も非常に重要であるのと同時に、来年、お峰入りがユネスコ無形文化遺産の審査がある年だったかと思うので、そういったところも含めて地域の価値を活用しながらの連携ができたらと思う。よろしくお願いしたい。 委:先ほど真鶴港でも議論があったが、効果のエビデンスについて、例えば今回でいうと3万人、4万人の利用者数ですと言われて、それが多いのか少ないのか、計画としてどうなのかという話もある。あるいは、レッスンのところではいろいろ工夫したと、そしたらやはり利用者がいろいろ再認識してくれたということが書いてあるが、エビデンスがない。例えばアンケートを実施していて利用者の声など、エビデンスにもなるのではないかと思うので、もしあればそういうのを入れてはどうかと思う。また、利用者数についても、例えば町の観光見込み客数との関係が示せると、本公園の事業効果が分かるので、何かそういうエビデンスを少し加えるような工夫ができたらいいなと思った。 委:この公園は、既存の地形や自然を生かすという大きなコンセプトがあって、それについては共感できる。それを生かせば生かすほど恐らく道がつきにくいというか、接する道路が狭かったり、曲がりが多く直線でないというような状況になっているかと思う。資料の説明では、東名高速とか国道246号に接しているが、よくよく見るとそこまで接していないというような状況で、ヘリポートとして果たして適切なのかなというのは個人的には思っている。これは山北町が決めることなので、ここで議論する話ではないかもしれないが、ヘリポートだと孤立した集落から人を助け出すとか、病院とか庁舎とかそういう拠点との接続を考えざるを得ないと思われ、公園が目指すべき5つの目標というのを、必ずしも全部確保しなくてもいいのではないかと思っている。ここの公園は自然環境の保全を一番大きく打ち出すということであれば、災害対応は、二の次でもいいのかなとも思う。もし今後は県の立場でヘリポートを公園に設置するときは、そのあたりの周辺環境、どこに必要な人たちがいて、そこにつながる道路のアクセスがどうなのかというあたりも含めて助言等頂けたらと思った。 委:これまでに委員がおっしゃったことと共通する話だが、このままのレポートだと、再評価でもほとんど同じことが書けてしまう。それが「でした」と言うか「でしょう」と言うだけの話という感じがした。それで、便益の項目を見ると、利用便益が割と少なくて、それ以外の災害、防災上の便益が割と高く計算されている。したがって、もし利用便益のウエートがその程度のものならば、予定されている来園者数が、30万人予定されているところがざっとその10分の1しか来ていないというのも、妥当かなという感じもする。 それで、全般的に対応方針のところは、もう効果がばっちり出ていて、もう全然すごいんだとか書いてあるが、防災機能の便益が一番大きいのであれば、防災効果として実際に使われたことはあるのか、もしも使われていないのであれば、効果があったと言えるのかという話になってしまう。ここが防災拠点として活用した実績がまだないのであれば、例えば台風が来た際にも、大丈夫なように作っているとか、今後災害が起こったときには、こういうふうに効果を発揮するとか、それだけの施設はつくったつもりである、だけどこれからチェックしないといけないというのが趣旨なのではないか。また、この自然というところが強調されているが、このエリアは丹沢国定公園の接点で、国定公園があるから自然は丹沢でいいんじゃないのといったら、それよりももっと都市公園としての意味が重点で、例えば防災というのはその一つだと思う。 次に、たくさんある県営の公園で、利用者が非常に多いところもあるだろうし、非常に少ないところもあるだろう。この4万人というのはそのうちのどの辺に位置づけられるのか。と同時に、プレゼンの中にも入っていたが、この1年半のコロナの経験の中で、人々は心のやすらぎも欲しいし、家の中にずっといるわけにもいかないので、広々とした公園で少しはのんびりさせてもらいたいというのも分かる。だから、私の近所での経験をしても、こういう公園への来園者というのは結構増えているような感覚を持つ。県営の公園がたくさんある中、それを時系列でおさえておくということが、エビデンスとして出ているのかどうか、確認ができればと思う。今言ったのは、この案件ではなくて一般論のほうの話で発言させていただいた。 委:この公園には行ったことがあるのだが、目立った施設がなく、大きな特徴がないというのが正直な感想。オープンなスペースで、居心地は抜群に良かったが、他にすごいというのが特になかった。 委:今の意見は非常に重い意見だということで受け止めていただきましょう。 事:一番初めにありました公園のB/Cについて、需要計算による利用者数30万人に対して、実際の利用者数は3万数千人となっているため、この実績を踏まえて補正をかけているが、この点は、我々も本公園の課題として認識している。利用者数が伸びない理由として、本来であれば開園して広報活動等を積極的に実施し、人を呼び込んでいくところだが、パークセンターが開園してこれからだというときに新型コロナウイルスの感染拡大があり、それ以降広報活動を自粛し、イベントも控えさせていただいていて、十分に周知できていない。今後、新型コロナウイルス感染症が落ち着き次第、力を入れてやっていきたい。 事:指定管理者制度の取組ということについて、ちょうど今、5年に一度の指定管理者の入替えがほぼ終わったところで、令和4年の4月から新しくなっていく。この指定管理の公募の中で、指定管理者の提案自体を評価する以前に、地域との連携とかエリアマネジメントを評価基準の中に入れ、そこをしっかり評価して、選定してきた。また、Park-PFIについてお尋ねがあったが、観音崎公園で実施しているが、本県での官民連携は、指定管理者制度をベースにしているのが原則である。 それから、地域の価値向上というところで、こちらについても今日はお茶や森林再生等の地域産業との連携の話を頂いたが、先ほどの指定管理の入替えの中で、そうした地域連携についても提案を頂いているので、既にある地域の価値向上というものをしっかり図っていきたいと思っている。 エビデンスについては、これからの指定管理のモニタリングの中でアンケート調査をやっていくので、そこで利用者からの意見等を反映できるように工夫してやっていきたいと思っている。 国道246号から実は遠く、ヘリポートをここにつくってどうするのか、というお話を頂いたが、町の地域防災計画の中では、ヘリポートをある程度離れたところに点在させるなど、町内全域をカバーする均衡配置を目指しており、いざとなったら片方が駄目でも片方でケアできるような形で本公園を使わせてほしいと、町から聞いている。まさにポテンシャルとすれば、二の次でいいとまでは言わないが、公園から見ればそれは主要な機能として発揮させるものではないと思っているので、町の地域防災計画の位置づけの中で、防災機能というところを発揮していければと思っている。 それから、30万人が10分の1で全体としてどうなのかというところについては、コロナ禍においてもなお、利用者がいればいいというわけではないが、これからの指定管理者制度の中で少しでも伸ばしていく努力をしっかりやっていきたいと思っている。丹沢公園のふもとで丹沢があるんだからというところは確かにあるが、防災だけではなく、やはり地域の拠点という利用というところで、都市公園としての、都市というところの機能というものをしっかり位置づけて発揮していきたいというふうに思っている。 公園の利用者数について、27公園のうち、湘南海岸公園では180万人と多いが、本公園は27公園中25番目で、下から3つ目である。 委:26番目と27番目はどこか。 事:26番目は、はやま三ヶ岡山緑地で、これは近緑緑地特別保全地区の公有地部分を公園にしたところ。27番目は、いせはら塔の山緑地公園で、これは伊勢原の塔の山の緑地を対象とした公園で、市民緑地制度を活用している。 委:私が言いたかった趣旨は、数が多ければいいとか、公園というのは決して利用者数だけの話じゃない。そこを強調したいのではない。だけど、そこのところはそこのところで議論しつつも、例えば防災であればまだ発揮していないけどこれから発揮するとか、拠点になっているけど、拠点のほうは何かエビデンスはないのかとか。だから、これからモニタリングするときにデータを集めるなんてことではなくて、事後評価というのは本来、エビデンスを付けて検証するのが作業であって、出来上がったから何となくレポート書けばいいって、そういうものではない。そこのところ、ぜひお分かりいただきたい。 事:分かりました。あと最後に、実際に現地をご覧いただいた中での特徴がないという、非常にお言葉はつらいところだが、これはやっていくしかない。 委:利用者のアンケートぐらいに受け取っていただきたい。 事:非常に恐縮であるが、意外と私どもがふだん管理して聞いている中では、何もないというところで、まさにコロナ禍で、ぼーっとする、見晴らしがいいところで、ぼーっとして心と体の健康を取り戻すというところの意味とか価値というものは一定程度あると考えている。県民の方にそうした利活用の場も提供できればと思う。 委:指定管理について、もう既に地域との関係を基準に入れて選ばれているということだったので、そのあたりをこの「考察」の「今後の取組」のところにぜひ入れたらいい。特に先ほどの公園に特徴がないという話も、指定管理で運用が変わると変わってくると思うので、そういう意味も込めてこの最後の一文は、変えたほうがいいと思った。 事:表現のほうは工夫させていただく。 委:ほかにはよろしいか。 (質問、意見等:なし) この27ある県の公園というのも、かなり遠方から来てくれるといいねという公園ももちろんある。そこに特徴が必要という考え方もあるが、広域的な地元の空間として使うんだといったら、例え話で言えば、普通の小学校の校庭がそれぞれ特徴的である必要はない。ぐるっと回る、徒競走とかできればいいわけだから。だけどスペースがあることが価値だから、ある種の公園はそういうものだという割り切りもあってもいいのかもしれない。特徴を持つべき公園と、むしろ特徴なんかよりもスペースであるとか便利さであるとか防災性とかが必要な公園があってもいいのかもしれない。県が定めている都市公園として必要な5つの視点を全公園が満たさないといけないと思わないほうが、むしろいいのかもしれないというのを今日、聞いていて私は感じた。それでは、本件もエビデンスを少し充実していただいて、この事業が今どういう状況にあるのかというのをより分かるようにしていただく修正をお願いする前提付きで、対応方針を大体おまとめいただいたということでよろしいか。 (異議なし) (以上) |
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