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更新日:2024年2月15日
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神奈川県の自殺の現状、統計
自殺に関する統計は2種類あり、ここでは、警察統計と人口動態統計の両方を掲載します。
(1) 警察庁の自殺統計:総人口(日本における外国人を含む)を対象としています。 発見地(発見された場所)を基準に、発見時点(または自殺と判明した時点)で計上されます。1月から12月の集計です。
なお、平成21年からは「地域における自殺の基礎資料」として、発見地と併せて住居地の統計も公表されるようになり、時点についても発見日と自殺日の両方で計上されています。
(2) 人口動態統計:日本における日本人を対象としています。住所地を基準に死亡時点で計上されます。自殺・事故等不明の場合は自殺以外とされ、後日死亡診断書等の作成者から自殺の旨訂正報告があった場合には遡って計上されます。1月から12月の集計です。
警察庁の自殺統計(確定値) (令和4年警察統計 発見日・発見地)
警察庁の自殺統計(発見日・発見地) 参考:「令和4年中における自殺の状況」
国、神奈川県ともに、平成10年(1998)から一挙に自殺者数が増加し、以後年間自殺者数は高止まりの状態が続きましたが、ようやく平成24年(2012)から減少に転じました。その後神奈川県では平成29年(2017)に増加したものの概ね減少傾向でしたが、令和2年(2020)はコロナ禍で全国的に自殺者数が増加し、神奈川県も1,269人と前年に比べ193人増加(内訳:男性79人、女性114人)しました。
令和3年(2021)は1,222人と横ばい状態でしたが、令和4年(2022)は1,337人と前年より115人(内訳:男性96人、女性19人)増加し、依然として非常に厳しい状況が続いています。(図1)
なお警察統計は、平成21年から「地域における自殺の基礎資料」が公表されていますが、それ以前の県単位のデータは少ないため、平成9年以降(性別は平成17年以降)のグラフとなっています。
令和4年(2022)、神奈川県の自殺者数は47都道府県中、東京都・大阪府に次いで3番目に多い数でした。一方、自殺死亡率(人口10万対)は14.5で、47都道府県中徳島県に次いで2番目に少ない値でした。
性別では(図2)、男性が887人(66.3%)、女性が450人(33.7%)で、前年に比べ男性は96人増加、女性も19人増加しました。全体では男性が女性の1.97倍で多いのですが、女性の構成比は33.7%と例年より高くなっています。
年齢別では(図3)、50歳代の方が最も多く、40歳代・20歳代・60歳代・30歳代・70歳代の順で続いています。前年より大きく増加したのは、40歳代・20歳代・50歳代で、男女ともに増加しました。
性別年齢別を細かく見ると、男性は、40歳代・50歳代・20歳代で大きく増加し60歳代・20歳未満でも増えました。女性は、20歳代で大きく増加、40歳代・50歳代・80歳代でも増えました。(令和4年「地域における自殺の基礎資料」に基づく)
令和2年(2020)の増加要因のひとつに、新型コロナウイルスの感染拡大による社会環境の変化があげられており、社会・生活環境の変化の影響を受けやすい女性や若年層で自殺者数の増加が生じたと言われています。その後も高止まりになっている状況、及び令和4年に40-50歳代が増加した状況等を踏まえ、今後の動向を注視しつつ、対策を検討していく必要があります。
自殺には多様で複合的な原因や背景があり、様々な要因が連鎖する中で起きています。
神奈川県における自殺の原因・動機別自殺者数では(図4)、令和4年(2022)は、健康問題(身体やこころの病気についての悩み)が最も多く、家庭問題が2番目、以下経済・生活問題(生活苦・失業など)、勤務問題と続いています(原因動機不特定者を除く特定者1,147人について)。
なお、自殺の原因・動機に関して、令和3年(2021)までは遺書等生前の言動を裏付ける資料がある場合に限り、一人につき3項目まで計上可能でした。令和4年(2022)からは、家族等の証言から考えうる場合も含め一人につき4項目まで計上可能と変更されたため、以前とは単純に比較できません。令和4年(2022)から警察統計原票が見直され、他にも変更になった項目があります。
しかし自殺の直近に健康問題があったとしても、それは様々な要因が連鎖した結果であり、健康問題への対応だけでは十分ではありません。自殺対策はあらゆる分野の連携の下、総合的・継続的に実施することが大切です。
図4 神奈川県の自殺の原因・動機別自殺者数(原因動機不特定者を除く1,147人)
(家族等の証言から考えうる場合も含め4項目まで複数選択可能)
※自殺には多様で複合的な原因や背景があり、様々な要因が連鎖しています。
図5 神奈川県の自殺者数の推移
神奈川県では、平成10年(1998)の自殺者急増後、年間自殺者数は平成21年(2009)が最多となり、その後平成29年(2017)に増加したものの、概ね減少傾向でした。しかし令和2年(2020)は、警察統計と同様に新型コロナウイルス感染症の拡大という背景の中で、令和元年(2019)より192人増加し、1,402人となりました。続く令和3年 (2021)は1,369人で横ばい状態でしたが、令和4年(2022)は前年より101人増加し1,470人と、令和2年(2020)よりも多くなりました。(図5)
令和4年(2022)、神奈川県は47都道府県のうち東京都・大阪府に次いで3番目に多い数でした。自殺死亡率は16.3で、前年の15.2から1.1ポイント上回り、34番目(少ない方から14番目)でした。
性別は、男性が974人、女性が496人で(図6)、前年に比べて男性は71人、女性も30人増加しました。構成比は、男性が66.3%、女性が33.7%で、女性の構成比が例年より高めになっています。
年齢別では、50~59歳が最も多く21.3%を占め、次に40~49歳・20~29歳・60~69歳・30~39歳の順で続いています(図7)。数では、前年に比べ50代、40代、20代で顕著に増加しました。男女ともに増加しています。60~69歳・80~89歳においても男女ともに増えました。
また、10代から30代までの合計は全体の3割近くで、減っていません。40代・50代は、増加により全体のほぼ4割を占めるに至りました。若い人から50代までで自殺者の68.6%を占め、この比率は全国の62.1%を上回っています。神奈川県では、男女とも若い人から働き盛りの年代に自殺が多いという現状があります。
若年層や女性への対策は重要な課題として、元々多かった働き盛りの年齢層(男女)への対策も引き続き取組む必要があります。
図7 神奈川県の自殺者の年齢別
神奈川県が平成22(2010)年度に策定した「かながわ自殺総合対策指針」では、平成29(2017)年度までに平成17年(2005)の自殺者数(人口動態統計:1,707人)を20%以上減少させるという数値目標が示されました。平成28年(2016)に自殺で亡くなった方は、人口動態統計で1,309人、平成17年(2005)と比べて23.3%減少しましたが、なお全国で3番目の多さであり、これからも対策の継続が必要とされました。
平成30年3月(2018)に「かながわ自殺対策計画」が策定され、新たな目標が設定されました。
計画期間は、平成30(2018)年度から34(2022)年度までの5年間でした。
◆ 自殺を考えている人を一人でも多く救うことをめざします。
◆ 数値目標 自殺死亡率(人口動態統計)を平成28年(2016)の14.6から、5年間で、15%以上減少させ、平成33年(2021)に12.4以下にします。
「かながわ自殺対策計画」は令和5年3月に改定され、新たな全体目標が設定されています。
計画期間は、令和5(2023)年度から令和9(2027)年度の5年間です。
◆ 自殺を考えている人を、一人でも多く救うことをめざします。
◆ 数値目標 自殺死亡率(人口動態統計)を平成28年(2016)の14.6から、10年間で、30% 以上減少させ、令和8年(2026)に10.2以下にします。
住所:神奈川県横浜市芹が谷2-5-2
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