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更新日:2025年3月26日
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神奈川県の自殺の現状、統計
自殺に関する統計は2種類あり、ここでは、警察統計と人口動態統計の両方を掲載します。
(1) 警察庁の自殺統計:総人口(日本における外国人を含む)を対象としています。 発見地(発見された場所)を基準に、発見時点(または自殺と判明した時点)で計上されます。1月から12月の集計です。
なお、平成21年からは「地域における自殺の基礎資料」として、発見地と併せて住居地の統計も公表されるようになり、時点についても発見日と自殺日の両方で計上されています。
(2) 人口動態統計:日本における日本人を対象としています。住所地を基準に死亡時点で計上されます。自殺・事故等不明の場合は自殺以外とされ、後日死亡診断書等の作成者から自殺の旨訂正報告があった場合には遡って計上されます。1月から12月の集計です。
警察庁の自殺統計(確定値) (令和5年警察統計 発見日・発見地)
警察庁の自殺統計(発見日・発見地) 参考:「令和5年中における自殺の状況」
国、神奈川県ともに、平成10年(1998)から一挙に自殺者数が増加し、以後年間自殺者数は高止まりの状態が続きましたが、ようやく平成24年(2012)から減少に転じました。その後神奈川県では平成29年(2017)に増加したものの概ね減少傾向でしたが、コロナ禍の令和2年以降は増加傾向にあります。
神奈川県では令和2年コロナ禍で1,269人と急増(前年より193人増加)、令和3年は前年より47人減少しましたが、令和4年5年と続けて増加し、令和5年は1,366人となっており、依然として非常に厳しい状況が続いており、今後の動向に注意する必要があります。(図1)
なお警察統計は、平成21年から「地域における自殺の基礎資料」が公表されていますが、それ以前の県単位のデータは少ないため、平成9年以降(性別は平成17年以降)のグラフとなっています。
令和5年(2023)、神奈川県の自殺者数は1,366人、47都道府県中、東京都・大阪府に次いで3番目に多い数でした。一方、自殺死亡率(人口10万当たりの自殺者数)は14.8で、47都道府県中4番目に少ない値でした。「自殺者数は多い方だが、自殺死亡率は低い方」というのが神奈川県の特徴です。
性別では(図2)、男性が898人(65.7%)、女性が468人(34.3%)で、前年に比べ男性は11人増加、女性も18人増加しました。全体では男性が女性の1.92倍で多いのですが、女性の構成比は34.3%です。全国の男女比はほぼ7:3と言われてきましたが、神奈川県では女性の構成比が全国より少し高めです。
平成17年以降のデータによると、男性は総数とほぼ同じカーブで減少・増加してきました。令和4・5年は増加が続きます。
一方女性は、減少はしていたものの、減り方の幅が小さく、令和2年の増加は114人、男性の増加79人を上回るものでした。令和2年以降は横ばい状態ですが、令和4・5年は女性も増加が続きます。
年齢別では(図3)、50歳代の方が最も多く、22.6%を占めます。続いて40歳代、20歳代と30歳代、60歳代、70歳代の順です。令和4年と比較すると、30歳代・50歳代で増加、60歳代・80歳以上でも少し増えました。 20歳未満から50歳代までで自殺死亡者全体の69.0%を占めており、全国の62.9%を上回るのが神奈川県の現状です。
令和2年(2020)の増加要因のひとつに、新型コロナウイルスの感染拡大による社会・生活環境の変化があげられており、その影響を受けやすい女性や若年層で自殺者数の増加が生じたと言われています。その後も高止まりになっている状況、及び令和4年以降に50歳代が増加している状況等を踏まえ、今後の動向を注視しつつ、対策を検討していく必要があります。
自殺には多様で複合的な原因や背景があり、様々な要因が複雑に絡み合う中で起きています。
神奈川県における自殺の原因・動機別自殺者数では(図4)、令和5年(2023)は、健康問題(身体やこころの病気についての悩み)が最も多く、経済・生活問題(生活苦・失業など)が2番目、以下家庭問題、勤務問題と続いています(原因動機不特定者を除く特定者1,300人について)。令和4年は、経済・生活問題より家庭問題が多かったのですが、令和5年は経済・生活問題が多くなりました。
なお、自殺の原因・動機に関して、令和3年(2021)までは遺書等生前の言動を裏付ける資料がある場合に限り、一人につき3項目まで計上可能でした。令和4年(2022)からは、家族等の証言から考えうる場合も含め一人につき4項目まで計上可能と変更されたため、以前とは単純に比較できません。令和4年(2022)から警察統計原票が見直され、他にも変更になった項目があります。
しかし自殺の直近に健康問題があったとしても、それは様々な要因が複雑に絡み合った結果であり、健康問題への対応だけでは十分ではありません。自殺対策はあらゆる分野の連携の下、総合的・継続的に実施することが大切です。
図4 神奈川県の自殺の原因・動機別自殺者数(原因動機不特定者を除く1,300人)
(家族等の証言から考えうる場合も含め4項目まで複数選択可能)
※自殺には多様で複合的な原因や背景があり、様々な要因が連鎖しています。
図5 神奈川県の自殺者数の推移
神奈川県では、平成10年(1998)の自殺者急増後、年間自殺者数は平成21年(2009)が最多となり、その後平成29年(2017)に増加したものの、概ね減少傾向でした。しかし令和2年(2020)は、警察統計と同様に新型コロナウイルス感染症の拡大という背景の中で、令和元年(2019)より192人増加し、1,402人となりました。続く令和3年 (2021)1,369人、令和4年(2022) 1,470人、令和5年(2023)は1,404人と増減はありますが、高止まりとなっています。(図5)
令和5年(2023)、神奈川県は47都道府県のうち東京都・大阪府に次いで3番目に多い数でした。自殺死亡率は15.7で、前年の16.3から0.6ポイント下回り、39番目(少ない方から9番目)でした。
性別は、男性が916人、女性が488人で(図6)、前年に比べて男性は58人、女性も8人減少しました。構成比は、男性が65.2%、女性が34.8%で、女性の構成比は全国に比べて高めです。
年齢別では、50~59歳が最も多く22.0%を占め、次に40~49歳・20~29歳・60~69歳・30~39歳の順で続いています(図7)。総数では、前年に比べ70~79歳と80~89歳で増加しました。男性は、50~59歳が増加、女性では20~29歳と、60~69歳・70~79歳・80~89歳において増加しました。
また、10代から30代までの合計は全体の28.9%で、減っていません。40代・50代は全体の39.6%を占めています。若い人から50代までで自殺者の68.5%を占めており、神奈川県では、男女とも若い人から働き盛りの年代に自殺が多いという現状があります。
若年層や女性への対策は重要な課題として、元々多かった働き盛りの年齢層(男女)への対策も引き続き取組む必要があります。
図7 神奈川県の自殺者の年齢別
神奈川県が平成22(2010)年度に策定した「かながわ自殺総合対策指針」では、平成29(2017)年度までに平成17年(2005)の自殺者数(人口動態統計:1,707人)を20%以上減少させるという数値目標が示されました。平成28年(2016)に自殺で亡くなった方は、人口動態統計で1,309人、平成17年(2005)と比べて23.3%減少しましたが、なお全国で3番目の多さであり、これからも対策の継続が必要とされました。
平成30年3月(2018)に「かながわ自殺対策計画」が策定され、新たな目標が設定されました。
計画期間は、平成30(2018)年度から34(2022)年度までの5年間でした。
◆ 自殺を考えている人を一人でも多く救うことをめざします。
◆ 数値目標 自殺死亡率(人口動態統計)を平成28年(2016)の14.6から、5年間で、15%以上減少させ、平成33年(2021)に12.4以下にします。
「かながわ自殺対策計画」は令和5年3月に改定され、新たな全体目標が設定されています。
計画期間は、令和5(2023)年度から令和9(2027)年度の5年間です。
◆ 自殺を考えている人を、一人でも多く救うことをめざします。
◆ 数値目標 自殺死亡率(人口動態統計)を平成28年(2016)の14.6から、10年間で、30%以上減少させ、令和8年(2026)に10.2以下にします。
住所:神奈川県横浜市芹が谷2-5-2
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