神奈川県水産技術センターコラムno.43

掲載日:2020年9月2日

2020年9月4日号

1 ウニの個性(企画指導部 遠藤健斗)

2 アユの卵の飼育(内水面試験場 山田敦)

1 ウニの個性(企画指導部 遠藤健斗)

 今年度内水面試験場から城ヶ島の水産技術センター企画指導部へ異動となり、キャベツウニの担当になりました。改めてよろしくお願いいたします。元々専門は海の生き物でしたので、懐かしい塩水といった感じです。

 キャベツウニとは、磯焼けの原因生物であるムラサキウニを捕獲し、野菜残渣を与えて畜養するという、当センターで行っている研究の通称ですが、担当になって感じたことは、ウニは意外と気難しくて繊細であるということでした。1日や2日でしたら適当な水槽で飼っておくことはできますし、長期間でも生かしておくだけならそこまで難しくはありません。ただし、商品として売るためにたくさん餌をあげて太らせるとなると話は別です。水温や水質などをはじめ、水槽内の水の流れ、餌の形状、紫外線による日焼けなど、気を付けることが多々あります。

 しかし、これらをクリアしても尚ウニの飼育が一筋縄では行かないと感じるのは、もしかするとウニに個性や性格の違いがあるからなのかもしれません。水槽で飼育しているとウニは側面に好んで登るのですが、水槽に入れてすぐに側面を目指すせっかちなウニと、道草をくって中々側面へ登らずのんびりしているウニがいます。それ以外にも、餌のキャベツを入れるとすぐに反応するウニもいれば、その場では全く受け付けず、人がいなくなってから食べ始めるウニがいたりと、思い当たる場面はいくつもあります。

 表情どころか顔すら無い生き物なので、体調や意思(あるのかな)を読み取るのは難しいですが、どんな生き物も飼っていると愛着が湧くものです。最近は彼らが餌を食べる口の様子を眺めるのが、癒しの時間になっています。

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ズッキーニを食べるアカウニ

2 アユの卵の飼育(内水面試験場 山田敦)

 遅い梅雨明けから猛暑の連続。8月現在の施設の飼育水温は例年より高く、今後の水温がどのようになるか心配しています。

 さて、アユの産卵期は秋で、河川においてオスとメスが砂利の中や砂利に向かって放精、産卵を行います。産卵場所は主に早瀬ですが、卵には付着膜が備わっており、砂利に付着することで卵が流されず約2週間でふ化します。

 アユの人工飼育(種苗生産)の卵はどうするかと言うと、採卵・受精後に、卵の付着能力を利用して、着卵材(天然又は人工の繊維など)に付着させて、着卵材ごと水槽に配置し、卵の管理を行う手法がとられてきました。神奈川県でも2005年頃まではこのような卵管理でしたが、着卵材を100~150本も使うため大きな水槽が必要で、また、卵にカビが生えやすいので定期的な消毒作業が必要となり、そのために別水槽に着卵材を移動させなければならないなど、多くの労力を求められました。

 一方、アユ卵同様に粘着性を持つワカサギ卵では、卵の粘着性を除去し小型の円筒型ふ化器に収容するという卵着材を使用しない卵管理技術が開発されました。ふ化器の中の飼育水は下から上に流れる構造で、水よりも少し重い卵は、流れ出さない程度の水量で卵を管理できます。

 これをアユ卵に応用したところ、従来の方法と変わらない生残率となり、さらに、卵を高密度で管理可能、死卵除去が容易、消毒作業の省力化、消毒剤の削減、卵数を正確に計れるなど、様々な大きなメリットが確認されました。

 このようなふ化器による卵管理は、従前の着卵材よりも優れた点が多く、他県の生産機関でも導入され始めています。
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アユ卵(卵右側の盃型の膜は粘着膜)

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砂利に付着

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従来は、着卵材(シュロ)に展着(1本で3~5万粒程度展着)
100~150本(400万粒程度)を10トン水槽に吊るして管理

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現在は、円筒形ふ化器で管理。円筒形ふ化器1本は20リットル程度。1本で400万粒程度管理可能。


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