神奈川県水産技術センターコラムno.29

掲載日:2019年7月5日

2019年7月5日号

1 神奈川県水産技術センターの組織改編の概要と狙い(所長 利波之徳)

2 海況のお仕事(岸香緒里)

1 神奈川県水産技術センターの組織改編の概要と狙い(所長 利波之徳)

 神奈川県水産技術センターは、6月1日付けの定期人事異動に合わせ、資源管理と利用加工分野の強化を企図した組織の改編を行いました。

 当センターでは、これまで、資源管理にかかる研究を、サバやイワシなどの沖合域を中心とした資源と、ヒラメやサザエなど種苗の生産・放流と連動した沿岸域の資源に分けて異なるセクションで対応してきました。しかし、研究員の世代交代が進む中、若手研究員の資質向上を図りながら研究の水準を維持することが難しくなってきました。また、国からも、いわゆる栽培漁業(稚魚を放流して海で育つのを待って獲る手法)は、資源管理手法の一つとして用いて沿岸資源の管理を進めるべきである、との考え方が示されるようになりました。
 そこで、「企画資源部海洋資源担当」と「栽培推進部浅海増殖担当」の2部門に分かれていた研究部門を「栽培推進部資源増殖担当」に集約し、資源管理研究を強化することとしました。
 近年、東京湾の生産力の低下が懸念され、タチウオなど一部の魚種へ漁獲圧が集中する事態が生じています。相模湾では、磯焼けが急速に進行し、アワビやサザエの栽培漁業を継続することが難しくなりつつあります。一方で、沖合域ではマサバ資源の増加傾向がみられ、このマサバ資源をいかに効率的に利用するかも、これからの重要な研究課題です。このように、資源管理を取り巻く環境は急速に変化していますので、いわゆる栽培漁業分野を含めた資源管理にかかる人材を集中することで、多様な課題に取り組んでいきたいと考えています。

 また、水産業を振興する上では、生産物を消費者に届けることを重視したマーケットインの考え方が不可欠ですが、水産物を消費者が利用しやすい商材にしていく分野の研究開発は、組織的な対応が進まず、研究員個人の資質に頼る体制が長く続いてきました。
 そこで、今回の組織改編に当たり、「企画資源部企画調整担当」(利用加工担当者:研究員1名)から利用加工分野を独立させ、新たに「企画指導利用加工担当」(研究員2名、非常勤職員1名)を置き、水産物を最終的に消費者に繋げるための研究開発を強化することとしました。
 これまで、ビンナガマグロのコンフィやカマス棒の開発、キャベツウニの研究を行い、それぞれ高い評価をいただいてきましたが、これからは、より組織的かつ機能的に研究開発や関係業界への技術支援を行っていきたいと考えています。

 今回、6月1日付けというタイミングとなったため、事業の一部は、年度途中で担当者が変わってしまい、試験研究にご協力いただいている皆さんにはご迷惑をお掛けすることもあろうかと思いますが、今後の試験研究の充実を意図しておりますので、ご理解の上、従来にもましてご支援ご指導をお願い申し上げます。

組織の概要

企画指導

企画調整担当(3)

普及指導担当(3)

利用加工担当(2)

企画資源部

企画調整担当(3)

普及指導担当(3)

海洋資源担当(4)

栽培推進部

資源増殖担当(6)

種苗開発担当(3)

栽培推進部

浅海増殖担当(4)

種苗開発担当(3)

()は常勤の研究員数

2 海況のお仕事(企画指導部 岸香緒里)

 4月に入庁しました、岸です。水産技術センターに配属され、海況担当となりました。
 相模湾や東京湾等の水温や水質、流速等の観測、また黒潮の動向の把握など、幅広く海の様子を観測、分析する業務をしています。
 つたない言葉ではありますが、思ったことや気づいたこともお伝えできたらと思います。
 海洋の観測に欠かせない機器をご紹介します。
 CTD(Conductivity Temperature Depth profiler)という機器を使って、海の水温や圧力、塩分濃度を計測します。Conductivityは導電率、Temperatureは温度、Depthは深さ、profilerは観測記録装置のような感じです。このCTDを、東京湾や相模湾の観測地点の場所で水中に下ろしていき、地点ごとに決められた深さで測定を行います。その際に、機器に取り付けた採水器を使った採水も行います。採水器は筒状の構造で上下にふたがついており、水中でそのふたを閉める操作を行うことで採水します。
 この観測により、水中の特定の深さの水温や水質を知ることができます。実際の測定は漁業調査指導船 江の島丸が観測地点を回りながら行っており、海況の観測には船員さんたちの協力が欠かせません。
 私は小さい頃から海が好きでしたが、水温や水質がどのように観測されているのか、考えたことはありませんでした。また、海洋での観測がこのように地道な作業の積み重ねにより成り立っているとは、全くわかっていませんでした。この仕事に関って数か月の今は、日々どんどん変わっていく海の様子に驚くばかりですが、観測方法や機器への理解を深めて、早く一人前になれるよう頑張ります。
 海洋のデータに触れる際は、その向こう側の人のことを思い出してもらえると嬉しいです。

ctd

 

 

 

上部が採水器

灰色のパイプのような部分に水が入ります

 

 

下部の白い部分がCTD

ここで水温や塩分を計測します

本文ここまで
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