神奈川県水産技術センターコラムno.22

掲載日:2018年12月7日

神奈川県水産技術センターコラム22号2018年12月7日号

研究員コラム

1 タナゴ類に魅せられて(栽培推進部 鈴木将平)

2 黒潮大蛇行・・・特異的な典型的(企画資源部 樋田史郎)

1 タナゴ類に魅せられて(栽培推進部 鈴木将平)

 はじめまして、今年入庁した鈴木将平と申します。淡水魚の魅力に酔いしれ、この職を目指し、現在はトラフグ、カサゴ、クマエビの種苗生産技術開発を担当しております。

 さて、海水魚と淡水魚、美しい魚といえば、海水魚をイメージする方は多いと思います。しかし、淡水魚には美しい魚がいない・・・というようなことはありません。

 初めてのコラムで紹介するのは、趣味の一つである「淡水魚」のタナゴ類です。
 海水魚に負けず劣らずの色彩を持つ魚種であり、日本国内に3属12種(亜種も含めると18種類)のタナゴが生息しています。
 魚類の多くは、産卵期に婚姻色と呼ばれる平常時とは異なった体色を示します。婚姻色は雄雌両方に出現するものもありますが、ほとんどは雄のみで見られ、派手な体色となります。タナゴ類の婚姻色も雄のみに見られ、その色彩に魅了される方が多く、人気の魚種となっています。

 ここまで読まれた方の中には、「そんな魚がいたんだ!」と思った方もいることでしょう。ぜひお手元のスマートフォンやPCで「タナゴ類 婚姻色」と検索してみてください。その派手な色彩に驚くはずです。さらに興味を持った方は、ぜひ一度河川に出向き、自然環境に生息するタナゴ類を探してみてはいかがでしょうか。
 図鑑や写真で見て感じる色と、肉眼で見て感じる色には雲泥の差があると私は思っています。タナゴ類も例外ではなく、自然環境で呈する色彩は人工飼育下のものとは比較にならない美しさをしています。
 でも、魚類の多くはストレスを感じると婚姻色が薄くなる傾向にあります。
 採捕した瞬間、カメラを構えるまでの刹那に見せるその煌きを、ぜひ御自身の目で体験してみてください。
 その時、タナゴ類の美しさに魅了されることでしょう。さらなる感動に出会えるはずです。

 美しい魚を見たいなら、河川に行くのもおすすめです。

カネヒラ

カネヒラ

シロヒレタビラ

シロヒレタビラ

2 黒潮大蛇行・・・特異的な典型的(企画資源部 樋田史郎)

 みなさん、ご存知ですか、黒潮が大蛇行していることを。
黒潮は、神奈川の海と漁業(東京内湾の奥を除く)に強い影響を及ぼす暖流です。北赤道海流から沖縄の西のあたりを通って、屋久島の南・トカラ列島を横切って日本列島の南岸を東に流れて行きます。日本列島南岸、特に関東・東海海域では、流れ方に様々なパターンがあります。水産系の試験研究機関は、これを流型としてA,B,C,D,N型で区分しています(図黒潮の流型)。漁業者も業界用語としてこの流型で漁業の操業や経営を判断します。

 黒潮は、流路によって大蛇行と非大蛇行に分けられますが、流型としては、大蛇行がA型、非大蛇行がB,C,D,N型になります。現時点の大蛇行は、昨年・2017年8月下旬に発生し、「12年ぶり」と報じられました。12年ぶりということで、珍しい現象のように感じられますが、過去には「大蛇行が普通の状態」といった時期もありました(図過去の大蛇行の発生の様子)。海洋物理学の最近の研究によれば、黒潮は大蛇行と非大蛇行のどちらか一方で安定して継続するようです。

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図(左) 黒潮の流型
(引用:太平洋いわし類・マアジ・さば類長期漁海況予報,国立研究開発法人水産研究・教育機構,http://abchan.fra.go.jp/gk29/20171225.pdf
図(右) 過去の大蛇行の発生の様子
(引用:報道発表資料, 平成29年8月30日,気象庁,https://www.jma.go.jp/jma/press/1708/30a/20170830_kuroshio.pdf)

 黒潮大蛇行は、紀伊半島・潮岬で安定して離岸し、遠州灘沖で北緯32度より南下する流路が1年以上続きます。ほかに、八丈島の北を通る、という特徴も挙げられています。しかし、これまでの様々な研究結果が前回の大蛇行(2004年7月~2005年8月)の終息後に整理されてきたところ、八丈島の南を通る例も少なくないことが明らかになってきました。また、大蛇行が発生すると漁業にどのような影響があるかも詳しく調べられました。例えば2004年には神奈川を含め様々な県でシラスが不漁になる等の情報がまとめられました(黒潮大蛇行に関連した漁海況の特異現象,独法水産総合研究センター 中央水産研究所,http://nrifs.fra.affrc.go.jp/kuroshio/200505/)。
 さて、表題の「典型的」ですが、八丈島の北を通る流路が「典型的A型」になります。前回2004年に発生した大蛇行は、まさに「典型的A型」でした。しかも、発生し、安定し、終息するまでの過程が、物理の「モデル」でもきれいに説明がはまる点で「典型的」でした。また、漁業への影響も大蛇行との関係が分かりやすい「典型的」でした。
 しかし、今回の大蛇行を機に、過去の大蛇行を振り返って詳しく調べてみると、「典型的A型」が始まりから終わりまで「典型的」に推移する例は、前回の2004年に発生した大蛇行だけでした。つまり、この「典型的」はむしろ「特異的」だったと言えそうです。大蛇行と漁業との関係についても、「典型的」はむしろ「特異的」だったと言えそうです。前回の詳しい分析で分かった気にならず、「引き続き詳しく調べねばならない」と、国都県の海況研究者は認識を新たにしたところです。

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