神奈川県水産技術センターコラムno.20

掲載日:2018年10月5日

神奈川県水産技術センターコラム20号2018年10月5日号

研究員コラム

1ヒラメ水槽の底掃除(栽培推進部 相川英明)

2ディープなキンメダイ釣り(企画資源部 中川拓朗)

1 ヒラメ水槽の底掃除(栽培推進部 相川英明)

 私の主な業務は「バイテクを活用したヒラメの種苗生産技術開発」です。3倍体のヒラメや生殖細胞を移植した親魚からの種苗生産などを行っていて、実験室内には稚魚から成魚まで、さまざまなヒラメを収容した水槽が並んでいます。
 もちろん、各水槽の水温や水質のチェック、糞や残餌を取り除く底掃除など、日々の管理は基本中の基本です。
 水槽毎の水温を測定する際には、ガラス製の温度計を手に持ち、そっと先端の赤い部分を水面につけて行っています。すると、稚魚の場合、先端の赤色の部分を狙って盛んに食いついてきます。その時、水温計を持っている指先には、ガラスの棒からヒラメの歯のザラザラした感触が伝わってきます。
 ちょうど与えている飼料の大きさと温度計の太さが同じ程度なので、ヒラメが配合飼料と勘違いしているものと思います。
 日々の底掃除はビニールホースを使用してサイフォンの原理で行います。
 ビニールホースを水槽の底面に這わせて底掃除を始めると、稚魚はビニールホースにも大きく口を開いて食いついてきました。
 このビニールホースの外径は13.0mmですので、写真のヒラメ(体長が70mm程度)に対しては、かなり太いのではないかと思いました。そこで、研究論文を調べてみると、計算式ではヒラメの体長が70mmの場合、大きく口を開いた時の幅は直径13.4mmとなっていましたので、理論の上の数値と一致することが分かりました。
 透明のビニールホースは配合飼料には見えませんので、ヒラメはビニールホースを何と認識していたのでしょうか。シラスのような餌と思ったのか?それとも、外敵と思ったのか?しかし、ヒラメ稚魚が大きく口を開いて敵を威嚇するなんて聞いたことがありません。
 底掃除のような日々の飼育管理作業の際にも、よく観察して、ヒラメがビニールホースに食いつく理由について考えてみたいと思います。

この太さのビニールホースにヒラメ達は食いついてきました

2 ディープなキンメダイ釣り(企画資源部 中川拓朗)

 はじめまして。今年から城ヶ島にある水産技術センターに配属になりました、新採用職員の中川拓朗と申します。現在は企画資源部海洋資源担当という部署で、キンメダイやさば類の資源状況を把握する調査研究を担当しています。慣れないデスクワークや、調査船でのハードなフィールドワークに四苦八苦していますが、毎日なんとか頑張っています。今後も神奈川県の水産資源を持続的に利用していくため、調査研究に努めて参ります。何卒よろしくお願い申し上げます。
 さて、私がこの水産の世界に入った理由の一つには、長年の趣味である魚釣りがあります。幼少期から近所の川でハゼ釣りやコイ釣りに足繁く通い、学生時代には釣りサークルに所属して、近年相模湾に来遊するキハダを追いかけたり、フェリーで25時間かけないとたどり着かない小笠原諸島へカンパチを釣りに行ったりと、釣りにどっぷり浸かった人生を送ってきました。そんな私が最近始めようと思っているのが、『ルアーでのキンメダイ釣り』です。
 仕事でこの4月から調査研究の対象になったキンメダイですが、日々彼らの生態や資源状況について勉強していくにつれて、どんどん興味が湧いてきました。そこで、趣味と実益(?)を兼ねてキンメダイを釣ってみようと思い立ったのです。キンメダイ釣りでは生息域である水深200mから800mの深海を狙うため、かなり特殊な道具が必要になってきます。物干し竿の様に硬い釣り竿に、糸を1000m以上巻いた大型のリール、1kg近い鉛製のルアー(メタルジグ)等、一般的なルアー釣りの想像を遥かに超えるマニアックな道具立てです(写真)。この道具で、ルアーを深海の海底まで落として誘っていきます。そして、魚が針に掛かると次は回収を行うのですが、その時はなんと手動で仕掛けを上げてきます。エサ釣りでは電動リールを使用するのが一般的ですが、釣り竿をあおって頻繁に誘いを繰り返すこの釣りでは、重量級である電動リールはあまり適さないそうなのです。深海釣りでは、複雑な潮流や水圧の影響により、陸上で1kgのオモリをぶら下げるよりもずっと重く感じますし、1回で1000m近いラインを回収しなければならないため、相当な重労働になります(ルアーを回収するだけで15分以上かかります!)。
 そんなディープなキンメダイのルアー釣りですが、エサ釣りと比べて数こそ望めないものの、大きな個体が釣れる確率が高いと聞きます。三崎の市場でもなかなか見かけない2kg超えの個体も比較的頻繁に釣れるようです(本来であれば釣ったキンメダイの写真を載せたかったのですが、今年は道具を揃えただけでまだ出船できていません…)。近年減少傾向にあるキンメダイ資源ですが、これから大きくなる若い個体を残して、大型の個体を自分が食べる少量だけ釣り上げるという、資源にやさしい釣りのご紹介でした。

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キンメダイ釣りに使う道具。中央の小さいのが一般的な重さ(50g)のルアー

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