更新日:2023年8月2日

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川崎県民センター情報アーカイブ 2021-1

川崎県民センター

令和3年5月19日(水曜日)の放送 

土砂災害防止月間について

出演者:横浜川崎治水事務所川崎治水センター 副技幹 三善 泰雄(みよし・やすお)


(佐藤)今日は、土砂災害防止月間のお知らせということで、神奈川県横浜川崎治水事務所川崎治水センターの三善さんと電話がつながっております。
毎年6月は「土砂災害防止月間」となっていますが、三善さん、川崎治水センターの紹介と「土砂災害防止月間」がどのような趣旨のものなのか、教えてください。
(三善)川崎治水センターは、川崎市多摩区生田にある神奈川県庁の出先事務所で、川崎市内の河川や急傾斜地(崖地)の整備・維持管理、県立公園の整備などを担当しています。
国土交通省と県では、防災・減災の取組の一環として毎年6月を「土砂災害防止月間」として定め、梅雨や台風の時期を迎える前に、国民一人ひとりに崖崩れなどの土砂災害の防止及び被害の軽減の重要性について認識し、理解を深めていただけるよう、様々な取組を実施しています。

(佐藤)「土砂災害防止月間」は全国的な行事のようですが、県では具体的にはどのような取り組みを行う予定なのか教えてください。
(三善)例年は、土砂災害防止月間に先立つ5月下旬頃に、川崎市役所との共催により「土砂災害防止パトロール」を実施しますております。これは、川崎治水センター、警察及び市の防災関係、消防などの職員が合同で土砂災害の危険個所の点検を行うものですが、今年度は新型コロナ感染症の影響により、実施時期や実施体制などは現在のところ未定となっております。

(佐藤)土砂災害を防止するための法律や制度にはどのようなものがあるのでしょうか。
(三善)まず、土砂災害防止に関連する法律ですが、大きく2つの法律がありまして、「通称:急傾斜地法」と「通称:土砂災害防止法」があります。
崖崩れの対策は本来、土地所有者の方自らが取り組むことが原則ですが、地権者や住民の皆さまのご要望など、一定の要件を満たした場合には、昭和44年に成立した「急傾斜地法」に基づいて「急傾斜地崩壊危険区域」を指定し、県が防災工事を行うものです。
もう一つの「土砂災害防止法」は平成12年に成立した法律で、土砂災害か ら住民の生命を守るため、土砂災害のおそれのある区域についての周知、警戒避難体制の整備、一定の開発行為の制限等の対策を推進するものです。
簡単に言いますと、「急傾斜地法」はハード面の整備対策、「土砂災害防止法」はソフト対策を進めるための法律です。

(佐藤)ハード面、ソフト面の双方から土砂災害を防止する制度がある訳ですね。ところで、川崎市内にはその土砂災害のおそれのある区域はどのくらいあるのでしょうか。
(三善)川崎市内においては「急傾斜地法」に基づく「急傾斜地崩壊危険区域」が102箇所指定されています。その内訳は幸区2、中原区2、高津区48、宮前区11、多摩区16、麻生区23です。
「急傾斜地崩壊危険区域」に指定され、県による防災工事完成後にこの区域内で掘削工事や盛土工事などを行う場合には、がけ崩れを起こすことのないように事前に県の許可が必要になります。

(佐藤)それでは、ソフト面の対策の法律である「土砂災害防止法」の対象となる区域はどのくらいあるのでしょうか。
(三善)「土砂災害防止法」には通称イエローゾーンと呼ばれる「土砂災害警戒区域」と、イエローゾーンの中でも土砂災害のおそれがより著しい区域を指定する通称レッドゾーンと呼ばれる「土砂災害特別警戒区域」の2種類の区域があります。この区域は「急傾斜地崩壊危険区域」とは違って、ご要望に基づいて指定するものではなく、法律に基づき高さや傾斜度の条件を満たすところを一律に指定するものです。
川崎市内ではイエローゾーンが758箇所指定されており、その内訳は幸区7、中原区7、高津区97、宮前区165、多摩区176、麻生区306です。レッドゾーンは370箇所指定されており、その内訳は多摩区176、麻生区306です。今月中には、幸区で5箇所、中原区6箇所、高津区72箇所、宮前区100箇所が指定される予定であり、これで川崎市内のレッドゾーン指定が完了します。
ちなみに川崎区においては「急傾斜地崩壊危険区域」、「土砂災害警戒区域」とも指定はありません。

(佐藤)まもなく、レッドゾーン指定が完了することになるのですね。どのようなスケジュールで指定は進められてきたのですか。
(三善)川崎市内においては、まず最初にイエローゾーンの指定を進めてまいりまして、これが平成28年度に完了いたしました。引き続き、平成29年度からレッドゾーン指定のための調査を開始し、多摩区においては令和元年度、麻生区においては令和2年度にレッドゾーンの指定が完了しました。
それぞれ、指定に先だっては調査結果を公表し、地元説明会の開催や町内会回覧、広報紙への掲載など様々な事前の周知を行ってまいりました。
指定や調査結果の公表内容については、神奈川県のホームページの中の「神奈川県土砂災害情報ポータル」というサイトに掲載しております。
また、「急傾斜地崩壊危険区域」と「土砂災害警戒区域」などの位置については、市役所及び各区役所で発行している「土砂災害ハザードマップ」に掲載されており、川崎市のホームページにもアップされておりますのでご覧になってください。

(佐藤)イエローゾーン、レッドゾーンとは、それぞれどのような位置付けのものなのか、もう少し詳しく教えてください。
(三善)イエローゾーン、レッドゾーンのどちらに指定された場合でも、引き続き、今までの建築物にはそのままお住いになることができます。
イエローゾーンは土砂災害のおそれのある区域、ということをお示しするもので、特に土地利用上の規制は発生しません。
一方、レッドゾーンに指定された区域においては、建築物の建替え、増築にあたっては、想定される崖崩れに対して建物の構造が安全であるかの確認が必要になります。安全ではないと判断された場合、防護壁をつくるか、建物壁を鉄筋構造にするなどして建築するなどの対応が取られることが一般的です。

(佐藤)川崎は大都会というイメージが強いですが、土砂災害が想定されるところが多いのに驚かされました。土砂災害を予測することは難しいと思いますが、普段の生活の中でどのようなことに注意すべきなのか、教えていただけますか。
(三善)崖崩れには「小石がパラパラ落ちてくる、斜面に割れ目ができる、斜面から水が湧き出す」などの前兆現象が見られることがあります。崖のそばにお住いの皆様は、普段から崖をよく観察して、危険を感じたら、すばやく避難することが大切です。

(佐藤)ところで、大雨が続いたりすると、土砂災害警戒情報が発表されますが、これが発表された時、私たちは何に注意したらよいのでしょうか。
(三善)大雨等により、土砂災害の危険性が高まったとき、県と気象台が共同して「土砂災害警戒情報」を発表します。これはテレビ番組の最中でも、テロップを出してお知らせすることになっておりますので、ご覧になったことのある方も多いと思います。これに併せて、市役所からは広報車や防災行政無線などにより「避難準備」「避難勧告」「避難指示」といった段階分けで避難の呼び掛けが発令されることになります。この呼びかけは「イエローゾーン・レッドゾーン」にお住いの皆様が対象となります。「土砂災害警戒情報」が発表された時は、いつ土砂災害が起きてもおかしくない、非常に危険な状態になっておりますので、特に注意してください。
幸い、川崎市内ではここしばらくは大きな土砂災害は発生しておりませんが、記憶に新しいところでは、一昨年、令和元年10月の台風19号においては、神奈川県内でも多くの土砂災害が発生し、尊い人命が失われることとなりました。命を守るためには情報の収集に努めて、すばやい避難行動につなげることが重要です。

(佐藤)避難するといっても、大雨の時や真夜中でも避難したほうがよいのでしょうか。
(三善)特にご高齢の方などは、大雨の最中や夜暗くなってからの避難は危険が伴いますので、家の中に留まらざるを得ない場合もあるかと思われます。そのような時には、家の中でも崖から遠い部屋に居ること、これを「通称:水平避難」と言います、また、2階建ての家であれば1階よりも2階に居ること、これを「通称:垂直避難」と言いますが、この2つの方法で対応することが安全と言われています。

(佐藤)土砂災害の危険が予測される時は避難するとのことですが、地域の避難施設の情報などはどこで入手することができるのでしょうか。
(三善)先ほども申し上げた「土砂災害ハザードマップ」は、市役所が警戒避難体制の整備の一環として各区役所別に作成しているもので、イエローゾーン・レッドゾーンの位置に加えて、地域の避難施設等の情報、土砂災害への注意に関する情報なども掲載されております。ハザードマップは市役所及び各区役所で配布するとともに、市役所のホームページにもアップされておりますので是非一度ご覧になってください。

(佐藤)今日は、土砂災害対策に関していろいろなお話が伺えました。最後にリスナーの皆さんにメッセージをお願いします。
(三善)今日お話しさせていただいた、土砂災害関係の情報は市役所のホームページや神奈川県のホームページの「神奈川県土砂災害情報ポータル」というサイトにまとまっておりますので、これから台風や大雨のシーズンを迎える前に、一度これらの情報に目を通していただきたいと思います。
川崎治水センターでは土砂災害対策とともに洪水対策も行っております。崖崩れをはじめとする土砂災害や洪水から身を守るためには、日ごろの備えと早めの避難が重要です。いざというときに慌てずに行動できるように、日ごろから備えていただくことをお願いします。

(佐藤)三善さん、ありがとうございました。

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