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更新日:2024年10月8日
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下水疫学調査を用いた新型コロナ感染予測を行っています。
2023年6月23日 5類移行後、予測に必要なデータの切り替えに伴うシステム改修作業により、 しばらくの間、予測モデル(入院者数・重症者数)の更新を停止します。 |
本プロジェクトによるGoogle AIを用いたコロナ感染予測の更新は2022年2月に停止していましたが、次の特徴を持つ新たな予測モデルを用いて2023年3月から予測を再開しました。
下水疫学調査が実施されている相模川流域について、1週間後の週当たり新規感染者数を推定します。新規感染者数については、2022年9月26日の新型コロナ全数届出の見直しにより、神奈川県内で感染者の全数把握が簡略化されました。本推定は、「全数把握が簡略化されなかった場合に報告されるであろう新規感染者」と解釈できます。本推定モデル(PRESENSモデル*)は、共同研究者である、北海道大学の北島正章准教授の研究グループが開発しました。
(※)https://www.hokudai.ac.jp/news/2023/01/covid-19-5.html(別ウィンドウで開きます)
相模川流域内の下水中ウイルス濃度データに基づいた新規感染者数の推定予測
1 目的
本予測モデルでは、下水疫学調査が実施されている相模川流域において、下水中ウイルス濃度データに基づき1週間後の当該地域の(臨床PCR検査等に基づく)新規感染者数を推定することで、医療ひっ迫の可能性を予め察知するものです。
2 推計方法
(1)共同研究者である北海道大学の北島正章准教授の研究グループは、糞便中へのウイルス排出動態を組み入れた、数理モデル(PRESENSモデル*)を開発した。本モデルを活用し、下水中新型コロナウイルスの定量調査を入力値として、流域の新規感染者数を予測した。
(*)https://www.hokudai.ac.jp/news/2023/01/covid-19-5.html(別ウィンドウで開きます)
(2)当日の推計値のみならず1週間後の予測値も合わせて算出し、継続的に予測モデルの妥当性を評価、必要に応じて再学習・モデルの微修正等を行った。
相模川流域内の下水中ウイルス濃度データに基づき、週当たり新規感染者数を推定しました。
予測モデルによる2024年10月1日以降1週間の予測(2024年10月1日時点)
8月下旬から減少傾向にあったが、直近の10月1日からの1週間では、新規感染者数が1週前と比べて約35%増加すると推定されている。
この図は、相模川右岸・左岸流域内の週当たり新規感染者数についての実績と推定で、横軸が日付を、縦軸が新規感染者数を示します。図中の赤色の曲線は実績値を示し、青色の曲線は推定値を示しています。
週当たり新規感染者数(人)の推定値、実測値の値(CSV:3KB)
第7波と第8波の蔓延期、直近4週間の週当たり新規感染者数の表
日付 |
2022年 (第7波) |
2022年 (第8波) |
2024年 9月10日 ~9月16日 |
2024年 9月17日 ~9月23日 |
2024年 9月24日 ~9月30日 |
2024年 10月1日 ~10月7日 |
推定値(人) | 61,443 | 28,801 | 6,391 | 3,085 | 5,115 | 6,880 |
実績値(人) | 19,020 | 12,902 | (*) | (*) | (*) | (*) |
(*) 2023年(令和5年)5月8日以降は、5類感染症に移行したため該当データはない。
下水疫学調査から得られる下水中新型コロナウイルスの定量値、人流のオープンデータ、ワクチン接種状況等のデータを加味し「中等症」及び「重症」となる患者数を推計するモデルを開発しました。この予測モデルは、地域別の「入院者」、「重症者」が、確保病床数、重症用病床数を超えてしまうタイミングを予測できます。
神奈川県全体の入院者と重症者数についての推移予測
1 目的
本予測モデルでは、今後14日間に入院治療を必要とする重症者、入院が必要な患者等の数を予測することで、医療ひっ迫の可能性を予め察知するものです。
2 推計の概要
神奈川県全県だけでなく、二次医療圏別(横浜市、川崎市はそれぞれ1医療圏とする)/重症度別(中等症、重症)に、今後14日間の予測シナリオを提示しました。予測のため、過去の下水疫学調査から得られる下水中新型コロナウイルスの定量値、二次医療圏別の重症度別の療養者数やワクチン接種率、人流の変化率を考慮した回帰モデルを用いました。
3 推計方法
(1)二次医療圏における最も直近の重症度別の入院者数を被説明変数として、時系列回帰モデルを構築しました。説明変数として、過去の下水疫学調査から得られる下水中新型コロナウイルスの定量値、重症度別の患者数、ワクチン接種率、人流の変化率、年齢階級別の人口等を含め、それぞれの回帰係数を推計しました。
(2)(1)に基づき、今後7日間の重症度別入院患者数を二次医療圏別に推計しました。
(3)(2)に、過去7日間の重症度別入院患者数の週毎の変化率を乗じ、今後8日~14日間の重症度別入院患者数を二次医療圏別に推計しました。神奈川県全県の推計は、二次医療圏別の推計値の総和として推計しました。
2023年
「旧簡易モデル」は、地域別の「重症者」、「入院者」、「療養者」について、「最もよく起こる」、「最良」、「最悪」の3パターンで推計し、確保病床数、重症用病床数に対して、いつ超えてしまうのか、表とグラフでシミュレーションができるようになります。
旧簡易モデル
2022年
2021年
「旧主要モデル」は、「旧簡易モデル」の機能に加えて、例えば、現在の何パーセントの人流を抑制できれば、地域別の「重症者」、「入院者」、「療養者」が、確保病床数、重症用病床数を超えてしまうタイミングを1週遅らせることができるなどを表とグラフでシミュレーションできます。このシミュレーションも「最もよく起こる」、「最良」、「最悪」の3パターンで推計できます。
神奈川県立保健福祉大学 分析チーム
ヘルスイノベーション研究科 教授
イノベーション政策研究センター センター長
略歴
米国カリフォルニア大学デービス校医学部公衆衛生学科准教授/米国ニューヨーク州ロチェスター医学部公衆衛生学科助教授/米国連邦政府疾病管理予防センター(CDC)ヘルス・エコノミスト・予防効果フェロー/米国スタンフォード大学医療政策センター研究員/国立大阪病院整形外科臨床研修医 など
ヘルスイノベーション研究科 教授
イノベーション政策研究センター 研究員
聖路加国際病院産婦人科医師/ハーバード公衆衛生大学院リサーチフェロー/国立保健医療科学院主任研究官/神奈川県技幹などを経て現職
ヘルスイノベーション研究科 准教授
イノベーション政策研究センター 研究員
公衆衛生学修士(専門職)、博士(商学)/東京医科大学助教、神奈川県庁などを経て、2018年より神奈川県立保健福祉大学/医療情報技師
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