更新日:2025年4月15日

ここから本文です。

8章 自分や将来の子どもの健康を考えよう

神奈川県『健康・未病学習教材(高校生用副教材)』第四版

将来、子どもを持ちたいと思っていたら、いつ子どもを持ちたいかライフプランを考えて、日々の生活や健康と向き合うことが大切です。この考え方を「プレコンセプションケア(プレコン)」といいます。プレコンは、女性だけでなく男性も取り入れていくことが大切です。考えてみましょう。

プレコンセプションケアとは

「プレコン」とは、プレ(pre=〜より前の)コンセプション(conception=妊娠・受胎)の略です。若い男女が日々の生活や健康に向き合い、将来の自分や子どもの健康をしっかりつくっていこうという考え方は、今とても注目されています。なぜこのような考え方が広まっているのかというと、若い女性のやせと肥満の増加、出産年齢の高齢化などから、リスクの高い妊娠が増加していることがあります。

プレコンで、妊娠前にリスクを減らしていくことが、健やかな妊娠・出産や生まれてくる赤ちゃんの健康につながります。今は妊娠や出産を考えていなくても、プレコンを実践することでもっと健康になって、人生100年時代の満ち足りた自分(well-being)の実現につながります。体も心も、人や社会とのつながりも満ち足りている元気な人生を目指しましょう。

母の平均出産年齢(全国、神奈川県)

グラフ:母の平均出産年齢

出典:厚生労働省「人口動態調査」

自分の健康と将来の子どもの健康

このグラフは出生数と生まれた時の体重が2,500g未満の低体重の赤ちゃんの生まれた割合の推移を表しています。小さく生まれると、大人になったときに糖尿病や高血圧、循環器病や腎臓病などにかかりやすくなることがわかっています。

20代の若い女性のやせが低体重の赤ちゃんの増加に繋がっているといわれているので、やせすぎには注意が必要です。やせも肥満も、妊婦さんの体や赤ちゃんを危険な状態にする可能性があるので、いつか子どもが欲しいと思っていたら今から健康管理をしていくことが大切です。

出生数及び出生時体重2,500g未満の出生割合の推移(神奈川県)

グラフ:出生数及び出生時体重2,500g未満の出生割合の推移

出典:厚生労働省「人口動態調査」

妊娠・出産に適した年齢とは

このグラフは、女性の年齢による卵子の数の変化を表しています。生まれた時が約200万個で、その後は減り続けていっているのがわかります。卵子は年齢とともに数が減っていくため、妊娠しにくくなっていきます。

女性の各年齢における卵子の数の変化

グラフ:女性の各年齢における卵子の数の変化

出典:内閣府「共同参画」2014年2月号より改変

子どもが欲しくてもなかなか授からないことを不妊症、子どもを授かっても繰返し流産してしまうことを不育症といいます。男女ともに年をとると妊娠しにくくなって、流産も増えてきます。晩産化で不妊治療や検査を受ける人が増えていて、今では4.4組に1組の夫婦が不妊治療や検査を受けたことがあるとされています。

男女ともに20歳代が生物学的妊娠適齢期です。最近では、独身女性が将来の妊娠に備えて20・30代で卵子を凍結保管する場合もあります。将来、子どもを持ちたいかどうか、まだわからない人も多いと思いますが、知識として知って、今後のライフプランを考えてみましょう。

不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦の割合(全国)

グラフ:不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦の割合

出典:国立社会保障・人口問題研究所「社会保障・人口問題基本調査」

ワーク1

10年後のなりたい自分をイメージしてみましょう。
仕事、家族、趣味、やりたいことなど、グループで話し合ってみましょう。

ワーク2

プレコンセプションケアの実践には様々な方法があります。チェックシートにどれぐらいチェックがつくか確認してみましょう。チェックが少なかったら、できることから始めて、チェックを増やしていきましょう。

かながわプレコン・チェックシート

アクション1 自分のことを知り、自分の体を守りましょう
項目 チェックエリア
自分の適正体重を知り、キープしている。
体重と身長からBMIを計算してみよう!
体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
(18.5~25が標準)
 
自分の病気について知っている。  
定期的に健康診断を受けている。  
がん検診を受ける必要性を知っている。  
過度なストレスをためこんでいない。  
バランスのよい食事をこころがけている。  
歯のケアをしている。(1日2回以上歯を磨いている・デンタルフロスを日頃から使用している等)  
中高生は8~10時間(成人は6時間以上)の睡眠を十分にとっている。  
週に150分程度運動をしている。  
かかりつけの病院がある。(女性は婦人科かかりつけ医をつくる)  
予防接種を受けている。(風疹・おたふくかぜ・HPV)  
お酒は飲まない。  
たばこを吸っていない。  
受動喫煙(本人がたばこを吸わなくても身の回りのたばこの煙を吸わされてしまうこと)を避けている。  
危険ドラッグに手を出さない。  
感染症から自分とパートナーを守るためにコンドームを使用する。  
感染症から自分を守る必要性を知っている。(風疹、B型/C型肝炎、性感染症など)  
アクション2 パートナーの健康について知りましょう
項目 チェックエリア
パートナーの健康状態を知っている。  
妊娠についてパートナーと話し合えている。  
妊娠したくないときは、避妊している。  
アクション3 妊娠について知りましょう
項目 チェックエリア
妊娠したときの心と体の変化について(生理が止まること、つわり、気持ちが落ち込む等)を知っている。  
妊娠時・授乳中は禁煙・禁酒することを知っている。  
妊娠を希望する人は、食事とサプリから葉酸を積極的に摂る必要があることを知っている。  

出典:国立成育医療研究センター「プレコンチェックシート」をもとに改変

このページに関するお問い合わせ先

このページの所管所属は健康医療局 保健医療部健康増進課です。