更新日:2025年4月15日

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2章 健康を支える仕組みを学ぼう

神奈川県『健康・未病学習教材(高校生用副教材)』第四版

私たちのかけがえのない健康。自らの健康づくりはもちろんですが、それを実践していくために社会の様々な分野で支えられています。その中心的な役割を担っているのが、ライフステージ全体を通じた、公的扶助、社会福祉、社会保険などの各種社会保障制度です。

超高齢社会の中で医療費も急増している中、制度の基盤を維持するために様々な取組が行われています。世代を超えた社会的な助け合いが社会福祉の基盤であることを理解したうえで、これからの社会の担い手である私たちは、社会保障制度についてどんなことを理解し、取り組んでいけるか、だれもが安心して医療や介護のサービスが受けられるための仕組みについて、医療保険制度を中心に考えます。

我が国の医療保険制度の概要

図解:我が国の医療保険制度の概要

出典:厚生労働省ホームページ

超高齢社会と医療費の増加

国民医療費・対国内総生産比率の年次推移

グラフ:国民医療費・対国内総生産比率の年次推移

出典:厚生労働省「令和3年度 国民医療費の概況」より

ワーク1

「フィットネスクラブ」や「個別指導」などで健康に投資することは、「高い」か「安い」かを考えて、グループで話し合い、その内容を書きましょう。

フィットネスに取り組む女性

各国の医療保険制度

世界各国の医療保険制度は、財源とサービスの提供という面から3つのタイプに大別されます。これらは、その国の政治経済、文化歴史と大きく関わっています。これにより欧州、日本、アメリカでは、同様な医療サービスでも、窓口での患者負担額は大きく異なります。

主な医療保険制度の比較

タイプ 概要 主な採用国
国営システム

税を財源として広く国民一般にほぼ無料で医療サービスを提供する制度で、医療機関も公的医療機関が中心となる。診療所の医師は住民の健康管理、病院の専門医は高度医療、専門医療を担当し、病院や診療所は全国各地に計画的に整備される。

  • 国民は地域の診療所に登録し、病院には診療所の医師の紹介状が必要。
  • 病院や診療所の開設は自由にできない。
  • 患者側からの病院、診療所の選択ができない。
イギリス/北欧諸国
社会保険システム

国民の多くが公的医療保険に加入し(日本は国民皆保険)、その保険料を医療費の財源とする。医療機関は開業が自由で、国民による医療機関の選沢も自由。

  • 国民は保険料を払う必要がある。(応能負担)
  • 医療機関の診療報酬はー律的、診療行為の量に応じて報酬を得る。
日本/ドイツ/フランス
民間保険システム 国民一般に対する公的医療保険制度はなく、多くの国民は民間保険に加入している。
被用者の場合は企業が保険料を負担し従業員に民間保険を提供している場合が多い。
  • 高い質の医療には高い対価が払われる。(医療の競争前提)
  • 65歳未満の2割は保険に加入しておらず、高額な医療費が必要。
公的な医療制度は、
  1. 高齢者(65歳以上)を対象とする制度
  2. 生活保護を対象とする制度
の2つ
アメリカ

図解:社会保障制度(国営システム・北欧型、社会保険システム・日本、民間保険システム・米国型。

出典:厚生のしおり 2016年8月号「地域の医療介護入門シリーズ」より作成

ワーク2

日本の医療保険制度と諸外国の医療保険制度を比較し、それぞれの長所、短所を考えて、どちらが良いと思うか、グループで話し合い、その内容を書きましょう。

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