研究報告 第165号 摘要一覧

掲載日:2021年3月30日

 冬どりハクサイの遅まき新作型開発

 ハクサイは直売品目として不可欠であり,県内の漬物業者向けとしても重要な品目である.神奈川県では,品種や作期の組み合わせにより10 月中旬から3 月上旬までの連続収穫体系があり,播種限界は9 月5 日とされてきた.近年,さらに遅まきが可能とされる新品種が民間種苗会社により育成され,新作型による作業の分散化や品質向上,台風被災後のまき直しなどの利用法が期待できる.そこで,本県における9 月5 日以降の遅まき作型の開発を目的に,作期移動試験,適品種および作型成立の気象条件について検討を行った.その結果,黄芯系ハクサイの早生品種‘ほまれの極み’および中早生品種‘菜時黄’は,低温結球性,耐寒性および晩抽性を有し,9月5 日以降にも播種可能であることが明らかになった.‘ほまれの極み’の場合,9 月15 日播種で12 月下旬から1 月下旬どり,9 月25 日播種で1 月下旬から2 月下旬どりができ,寒害の少ない重さ3~4 kg での収穫が可能であった.また,この遅まき作型が成立する気象条件の目安は,播種から12 月末日までの有効積算温度(基準温度:7℃)が‘ほまれの極み’では約650℃日以上,‘菜時黄’では約850℃日以上であった.

 

三浦半島地域における秋冬どりブロッコリーの適用品種選定と栽植距離および施肥量が収穫時期や花蕾品質に及ぼす影響

 三浦半島地域における秋冬どりブロッコリー栽培の適用品種を選定するとともに,栽植距離および施肥量が収穫時期や花蕾品質に及ぼす影響について調査した.
 ブロッコリーは花蕾品質が良好で,生理障害の発生が少ない特性を持つ品種を選択することが重要である.秋冬どり栽培の品種として,年内どりでは中生種の‘アーサー’,1~2 月どりでは晩生種の‘クリア’が適した.花蕾重や花蕾品質は栽植距離の影響を強く受け,施肥量の影響は小さかった.栽植距離は畝間60 cm,株間40 cmより狭くすると収穫時期は遅くなり,花蕾重や花蕾高,茎径は小さくなった.株間を40 cm として畝間60 cm,50 cm,40 cm で比較すると,畝間40 cm では,花蕾形状や生理障害発生株率の増加など花蕾品質の劣化が示唆されたため,最適畝間は50 cm であった.また,畝間を50 cm として株間を40 cm と30 cm で比較したところ,株間30 cm としても可販収量は高く,花蕾品質に問題はなかった.

 

ブドウ‘シャインマスカット’の小房栽培が果房管理の省力化に及ぼす影響

 ブドウ‘シャインマスカット’ (Vitis labruscana Bailey × V. vinifera L.) は全国および県内で急速に普及が進んでいる.現在,栽培現場における開花前の房作り作業では,‘巨峰’や‘藤稔’などと同様に花穂先端を残す方法が採られているが,‘シャインマスカット’の花穂先端は他品種に比べ小花が密集するため,摘粒作業に多くの労力を要している.そこで,2016 年~2017 年に,より花数の少ない花穂の中間部の支梗を使って,1 支梗当りの果粒数を20 粒程度,果房重を250 g 程度を目安に,1 花穂あたり2 または3 の小房を残す果房管理方法を考案し,収量,品質に及ぼす影響及び果房管理に要する作業時間について調査した.その結果,開花始期に花穂中間部の20 花蕾程度の支梗を2 段残し着果させることにより,収量と品質を維持しながら果房重230~270 g,果粒重12~15 g,糖度17~18°Brix の果房を得ることができた.このとき,房作りと摘粒作業を合わせた10a あたり換算作業時間は,慣行法より35%減少した.結論として,この栽培方法により,果房管理技術の省力化の可能性が示された.

 

小房栽培ブドウ‘シャインマスカット’の商品性と受容性

 少人数世帯向け食べきりサイズとして開発した小房ブドウについて,消費者の商品コンセプトへの受容性と購買行動への影響を検討した.

実需者への調査から食べきりサイズの小房ブドウの規格を果房重250 g と定義した.その後,販売実証試験を行った結果,ブドウ‘シャインマスカット’を小さな房にすることにより,消費者が買い求めやすい価格となり購買行動に結びつくことが判明した.また小房ブドウは,ブドウが新鮮なうちに消費でき,手軽で,少人数世帯が消費しやすい商材であることが確認できた.
 しかし現在の栽培技術では,果房重にばらつきがあること,‘シャインマスカット’以外のブドウで同じ商品評価が得られるかは不明であり,さらなる改善が必要であることが明らかとなった.

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