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更新日:2024年2月20日

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農産物の上手な利用法(梅干し/材料)

「農産物の上手な利用法」のページでは、オープンラボで実験された農産加工実験や神奈川県農業技術センターの過去の研究成果を紹介しています。

作り方 作り方のアドバイス 農産物の上手な利用法の表紙
材 料
ウメ 1kg
塩 180g
写真ウメぼし 写真ウメぼし材料
 

★ウメ

ウメは中国が原産地ですが、日本には古くから入り、栽培されています。日本各地に土地の風土にあったウメが栽培されています。神奈川県では「十郎」「白加賀」が主要な品種です。
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「十郎」の花
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「白加賀」の花
ウメは品種により、酸味、皮の厚さ、果肉の状態が異なります。梅干に適した品種と熟度の原料を用いましょう。神奈川県では「十郎」「杉田」がお勧めの品種です。「十郎」は皮が非常に薄く、果肉が柔らかく、種が小さく、酸が多いので梅干に最適です。「杉田」は粒ぞろいがわるいのですが、果肉のやわらかさや香りの好さでは群を抜いています。
梅干原料のウメは木で完熟したウメを用いるのが肝要です。完熟したウメは手で簡単に収穫することができます。ちょっと触れただけで、枝からポロリと採れてしまいます。完熟したウメの果実にはヘタが残るようなことはありません。
写真アオウメ収穫 写真アオウメ
しかし、「十郎」のような品種では、その品種の特性から木になっているときには黄色く熟さないこともあります。その様な品種の場合は樹上でプックリと横に張りが出ているウメを収穫してください。未熟な青ウメはほっそりとして、縦に長くなっています。この様な細長いウメは梅干の原料に絶対に用いてはいけません。 写真
縦長なウメ果実
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プックリとしたウメ果実
ウメのヘタを爪楊枝で取らなければならないのは未熟なウメを強引にもぎ取り収穫した場合におこることで、梅干しの原料梅としては低級の原料を使うことになります。

市販されるウメはポリエチレン袋に包装されていることが多いようです。ウメの脹らみ具合や黄化度合いを確認して選んでください。品種によっては樹についている間は黄色くならないウメもありますが、完熟のウメは横に膨らんでいます。

写真1:包装されたアオウメ 写真2:包装されたアオウメ
緑色の残るウメを買った場合、20℃くらいの室内に1~2日おいて追熟させ、黄ウメにしてから用いてください。一度に黄色にならないときは、黄色になったウメを拾い出し、順次漬け込んでください。 写真1:キウメ 写真2:キウメ
縦に長く、緑色の強い青ウメは追熟させても黄色くならないことが多いのですが、このようなウメを漬け込むと皮が硬く、果肉も硬い梅干しに出来上がります。完全に熟した黄色のウメを使った梅干しとは比べようもありません。 写真
未熟な材料を使った梅干し
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好適な材料を使った梅干し
 

★塩

塩は特段のこだわりがないなら並塩を用いてください。原塩、または粉砕塩があるならば原塩や粉砕塩だけを使用してもよいですし、並塩と混合して使用してもよいでしょう。原塩や粉砕塩は海水のにがり成分を含んだ塩です。一般的なお勧め配合割合は並塩:粉砕塩を1対2くらいにするのがよいでしょう。
写真塩  
ウメ1kgに対して塩180gを使用してください。これ以上多くても、少なくてもいけません。ウメに対して塩を少なくするとなかなか梅酢が上がってこないので、上にあるウメの熟度が進み、均一な梅漬けに仕上がりません。熟度が進みすぎたり、腐敗・変質の発生します。塩を多く使うと梅漬けの塩分が濃くなるだけでなく、あまりに多いと梅酢に溶けきらず、容器の底に溜まってしまいます。使った塩が有効に利用されなくなってしまいます。 写真塩  
ウメ1kgに対して塩180gを使い、塩がウメと梅酢に均一に溶けると15%濃度の食塩水となります。ですから、梅漬けの食塩濃度は15.3%ということになります。この梅漬けを天日干しし水分を飛ばすと塩が梅干しの中に濃縮されることになります。この天日干しで重量が70%まで減少すると梅干しの中の塩分は21.9%となります。干し過ぎて重量が65%になったとすると梅干しの中の塩分は23.5%となります。例えば、塩を多く使うということで昔よく行われていた2割塩ということで、ウメ1kgに対し塩200gを使うとどうなるでしょうか。この場合、梅漬けの時の塩分は16.7%となります。これを天日干しし、重量を70%にすると塩分は23.9%となります。干し過ぎて、重量が65%になると25.7%となります。ここで注意しなければならないのは食塩が水にどのくらい溶けるかです。塩、塩化ナトリウムは20℃の水に26.4%までしか溶けないということです。それ以上の塩、塩化ナトリウムがあると結晶となってしまうということです。塩の結晶が浮き出した梅干しを見かけますが、これは塩の使い過ぎ、あるいは干し過ぎ、乾燥によるものです。ウメ1kgに対し、塩180gを使うということは干しあげても塩の結晶は析出せず、滑らかな感触が保たれるということになります。
 

★容器

ウメ漬けは酸と塩が多いので、酸と塩に耐える容器を用いてください。漬ける量が少ないならガラス製容器でも良いですが、大量に漬ける場合はプラスチック製容器が便利です。また、容器の大きさは梅に対して大きいものが必要です。15~20kg漬けこむなら、40リットル用の樽が必要になります。
写真ウメぼし容器 写真容器と材料
保存・熟成用の容器も必要です。長期間の保存・熟成をするので水分が減少しないような容器でなければなりません。プラスチック製、ガラス製、磁器などいろいろなものがあります。食塩、酸が多いので金属製はお勧めできません。また、陶器は通気・透水性がよいので、器面から水分が蒸散していくので、これも避けたほうが良いでしょう。容器にはフタが必要ですが、水分が減少しないよう、ピッチリとできるものでなければなりません。 写真ウメぼし容器
ピッチリとできるフタがない場合にはプラスチックフィルムでキッチリとしてしまえば問題ありません。梅干し生産農家ではプラスチック樽にポリエチレン袋を内装し、梅干しを入れ、袋の口を輪ゴムでとめています。 写真ウメぼし容器

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